第 5 章 樹脂封止パッケージの反りを考慮したチップ表面の残留応力評価 67
5.4 樹脂封止後の反り・応力解析結果
パッケージの反りは,モアレ干渉縞反り測定装置を用いて,室温~250℃までの測定 を行った.模擬チップの応力値は室温(25℃)で測定した.樹脂封止後で測定した反り とX軸方向の垂直応力値(X1,X2)を,シミュレーション結果と比較することにより 解析精度の検証を行った.
5.4.1 シミュレーションモデル
数値解析には,MSC Software社の汎用解析ソフトウエアMARC2008を使用した.
図 5.4(a)に,解析に用いた樹脂封止後の有限要素法モデル(Finite Element Method:
FEM)(1/4対称モデル)を示す.第4章で用いたモデルのメッシュサイズは変えずに 封止樹脂の要素のみを追加した.図5.5に計算条件を示す.封止樹脂以外は第4章と同 じ構成材料を用いているため,模擬チップと基板の初期反りを4章と同じ方法でモデル 化し,さらに樹脂封止の条件を加えて計算した.樹脂封止後のモデルは,150℃で初期 反りを再現させた後,樹脂封止温度の175℃まで昇温させる.次に,組み立てプロセス と同じ条件で降温させ室温の 25℃で応力値を評価した.さらに,モアレ干渉縞反り測 定装置と同じ条件で昇温させ,反り値を評価した.計算後の応力値は,図5.4(b)に示す ピエゾ素子エリアの節点の値を平均して求めた.
本研究では,模擬チップの部分を異方性弾性体,樹脂基板(substrate),ダイボンディ ング剤(導電性接着剤:adhesive)を粘弾性体,封止樹脂(resin)を弾性体と粘弾性体の2 種類で解析した.
Mold
Piezo element area
Center of ¼ symmetry Center of ¼ symmetry
X Y z
Y
z X
Chip Adhesive
(a) (b)
Fig. 5.4 3D FEM model.(a) Resin molded model, (b)Locations of piezo-gauges on a chip.
Fig. 5.5 Schematic of temperature history considering the initial warpage.
5.4.2 解析結果および考察
樹脂封止後の反りと応力について,封止樹脂を弾性と仮定した解析と粘弾性材料とし て解析した結果を実験値と比較した.反りの温度変化を図 5.6(a),ピエゾ抵抗ゲージ X1,X2により測定された室温(25℃)での残留応力成分であるX軸方向の垂直応力を 図5.6(b)に示す.模擬チップと基板の初期の反りを考慮し,封止樹脂を弾性物性で計算 した結果では実験値と大きな開きがあった.一方,封止樹脂の粘弾性物性を考慮するこ とにより,反りは実験値と精度良く一致した.このように,パッケージ構成材料の粘弾 性解析では,反りについては実験値と良好に一致するが,応力値については実験値と一 致しないことがわかった.そこで,次にその原因を考察した.
パッケージの模擬チップ表面に発生する残留応力評価には,封止樹脂のガラス転移点 近傍を,応力フリー温度とすることが有効であることは既に報告されている[1].本研 究に使用した封止樹脂は,ガラス転移点が115~130℃近傍であることから,封止樹脂 の応力フリー温度のみを130℃に設定し計算を試みた.その結果,応力値は実測データ と一致し,文献[1]と同様の結果を得た.反りは130℃を応力フリーとすることで,模擬 チップと基板の初期反りの影響を除けば,130℃での反り値は,ほぼゼロになる.しか し,図5.6(a) の結果からも分かるように,実測値では130˚C付近で反りが発生してお り,解析値と大きく異なる.よって,模擬チップ周辺の封止樹脂による粘弾性挙動に加 えて,さらなる応力緩和を起こす加熱時の変形挙動が存在すると考えられる.この原因 を究明するために,レーザー顕微鏡画像にデジタル画像相関法を適用する手法を用いて,
模擬チップと封止樹脂の界面付近の加熱時のひずみを測定した.
-30 -20 -10 0 10 20 30 40 50
0 50 100 150 200 250 300
Temperature (℃)
Warpage (um)
Elastic analysis considering initial wapage Viscoelastic analysis considering initial wapage Experiment
(a)
-350 -300 -250 -200 -150 -100 -50
X1 X2
Stress[MPa]
Elastic analysis considering initial wapage Viscoelastic analysis considering initial warpage
Experiment AverageMin
Max
(b)
Fig. 5.6 Comparison between experimental measurements and numerical results after molding.(a)Results of warpage, (b)Results of mechanical stress σx at 25℃.