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参照光ファイバを用いたラマン利得効率の評価

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第 2 章  ラマン利得効率の分布測定方法の提案

2.4. 参照光ファイバを用いたラマン利得効率の評価

2.4.1. ラマン利得効率の相対測定

本測定方法では,受光するCW光の光強度の測定波形から,ラマン利得効率を求めるため には,増幅成分の他に,直流成分Pdc,パルス光の入射光強度PP(0)およびパルス光の波長に おける光損失分布αP(z)のそれぞれを測定する必要があることを既に述べた.また,前節で述 べたように,双方向測定方法を用いることで,パルス光の波長における光損失分布α (z)を容

表2-1.  OTDR法および双方向測定方法を用いて得られたパルス光の光損失の比較

0.23 dB/km 0.09 dB 0.22 dB/km 0.59 dB 0.26 dB/km 0.25 dB/km

0.11 dB 0.24 dB/km 0.59 dB 0.26 dB/km SMF1

CONNECTION LOSS SMF1-SMF2 SMF2

CONNECTION LOSS SMF2-DSF DSF

BIDIRECTIONAL METHOD CONVENTIONAL

FIBER / CONNECTION OTDR

0.23 dB/km 0.09 dB 0.22 dB/km 0.59 dB 0.26 dB/km 0.25 dB/km

0.11 dB 0.24 dB/km 0.59 dB 0.26 dB/km SMF1

CONNECTION LOSS SMF1-SMF2 SMF2

CONNECTION LOSS SMF2-DSF DSF

BIDIRECTIONAL METHOD CONVENTIONAL

FIBER / CONNECTION OTDR

易に得ることが可能である.しかしながら,直流成分Pdcとパルス光の入射光強度PP(0)を測 定する必要があった.本節では,ラマン利得効率が既知の光ファイバ(以下,参照光ファイ バと呼ぶ)を被測定光ファイバと接続することで,これらの値を知ることなく相対的にラマ ン利得効率を評価する方法[2-8]について述べる.

図2-9は,参照光ファイバを用いた装置構成を示している.この時,前節で述べた双方向 測定方法を用いて,A端,B端それぞれからパルス光を入射した時に得られる増幅成分の積 をPampAB

(z)とすると,式(2-8)および(2-10)より,

) 12 2 ( )

(

) 2 ( ) ( exp

) 0 ( ) 0 ( )

(

2 2

2 2

0

=

⎟⎠

⎜ ⎞

⎥⎦ ⎛

⎢⎣ ⎤

= ⎡−

z h

z vW dz z P

P P P z

PampAB dcA dcB PA PB L P

γ

γ α

となる.ここでh2は位置zに依存しない定数である.すなわち,式(2-12)より被測定光フ ァイバの長さ方向にわたるラマン利得効率の相対的な分布を得ることができる.ここで,参 照光ファイバの任意の位置z0において,ラマン利得効率が既知であり,その値をγ(z0)として

図2-9.  参照光ファイバを用いた装置構成

PUMP LD SIGNAL LD

PD AVERAGER

COUPLER

TEST FIBER

0 L

Z

CW LIGHT

DISPLAY

TIME

POWER

PC

OPTICAL FILTER

REFERENCE FIBER

A END B END

式(2-12)を正規化すると,

) 13 2 ) (

( ) ( )

( ) (

0 0

= P z

z P z

z

AB amp

AB amp

γ γ

となり,参照光ファイバのラマン利得効率γ(z0)に対する相対的なラマン利得効率の分布を得 ることができる.このように,参照光ファイバを用いて双方向測定を行うことで,直流成分 Pdc,パルス光の入射光強度PP(0)およびパルス光の波長における光損失分布αP(z)のいずれも 測定する必要が無いため,図2-9に示すように装置構成を大幅に簡易化することができる.

2.4.2. 従来の測定方法との比較

本測定方法と従来の測定方法を比較するために,図2-9の装置構成を用い,前節で述べた 参照光ファイバを用いた相対測定方法に基づいて,現在光通信システムに用いられている 様々な種類の光ファイバのラマン利得効率の測定を行った.SMF,DSF に加え,4 種類の

図2-10.  参照光ファイバを用いて得られたラマン利得効率分布

POSITION [km]

NORMALI Z ED RAMAN GAIN EFFICIENCY

10 20 30

0.5 1.0 1.5

0

NZDSF3 SMF REFERENCE

1.55µm帯非零分散シフト光ファイバ(NZDSF1〜4: Non-zero dispersion shifted fiber)と純石 英コア光ファイバ(PSCF: Pure silica core fiber)を被測定光ファイバとして用いた.また,参 照光ファイバとして,DSFを用い,被測定光ファイバと接続して測定を実施した.参照光フ ァイバのラマン利得効率は,ファイバ内でほぼ均一であり,CW光の波長が1550nmの時,

0.98W-1km-1であった.

図2-10は,式(2-12)から得られた相対的なラマン利得効率の分布の一例を示している.

なお,ここでは被測定光ファイバとしてNZDSF3とSMFを参照光ファイバと接続した場合 について示している.図 2-10 より,各光ファイバのラマン利得効率の分布は一様であり,

NZDSF3およびSMFのラマン利得効率は,それぞれ参照光ファイバのラマン利得効率の0.76

倍,0.40倍であった.したがって,NZDSF3 と SMFのラマン利得率はそれぞれの光ファイ バ長さ方向の平均値で0.74 W-1km-1,0.39 W-1km-1となる.このように,参照光ファイバを用 いた相対測定方法を用いて,同様にラマン利得効率の分布を測定することが可能であり,増 幅成分のみを双方向測定することで,簡便に精度良く測定を行うことができる.

次に,本測定方法と従来の測定方法を用いて,各種光ファイバに対してラマン利得効率の 波長依存性の測定を行った.従来の測定方法として,図 2-11 に示すように,信号光源に広 帯域なCW光を出射するスーパールミネッセントダイオード(SLD)光源,励起光源に同じ くCW光を出射するLDを用いた装置構成を構築した.この時,ラマン利得は光スペクトラ ムアナライザ(OSA)で検出される光強度の波長依存性から以下の式で与えられる[2-9].

) 14 2 ) (

(

) ( ) ) (

(

1 2

3 − −

=

s s s

s P

P G P

λ λ λ λ

ここで,P1は信号光のみを入射し,励起光が無い時に検出される信号光強度,P2は信号光が 無く,励起光だけを入射した時に検出される励起光による自然ラマン散乱光強度,P3は信号 光と励起光共に入射した時に検出される信号光強度を示す.なお,被測定光ファイバのラマ ン利得効率は,得られたラマン利得から以下の式に基づいて算出することができる.

[ ]

) 15 2 ) (

( ) ln

( = −

eff Pin

s

s P L

G

λ λ

γ

( )

) 16 2 exp (

1− −

=

P P eff

L L

α α

図2-12.  従来の測定方法と参照光ファイバを用いた提案方法の比較

1520 1540 1560 1580

0 0.5 1.0 1.5

WAVELENGTH [nm]

NORMALIZED RAMAN GAI N EFFICI ENCY

REFERENCE DSF

NZDSF1 NZDSF2

NZDSF3 NZDSF4 SMF PSCF

図2-11.  従来の測定方法の装置構成

SLD OSA

DETECTOR PUMP LD

FIBER UNDER TEST

CW LIGHT CW LIGHT

ここで,PPinは励起光(CW光)の入射光強度,αPは被測定光ファイバ長さ方向の励起光の 波長における光損失の平均値,Lは被測定光ファイバの長さを示す.

また,本測定方法においては,CW光の波長を1520nmから1580nmの範囲で5nm間隔に 変化させた.両測定方法を用いて得られた結果を比較して図 2-12 に示す.図中のプロット は,本測定方法で得られた結果を示しており,各種光ファイバの長さ方向にわたるラマン利 得効率の平均値を,CW光の波長1550nmの時の参照光ファイバのラマン利得効率で正規化 した値を示している.各種光ファイバのラマン利得効率は,また実線および破線は従来の測 定方法を用いて得られた結果を示している.これより両者は非常に良い一致をしており,本 測定方法が妥当であることが確認できる.

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