第 3 章 ラマン利得効率の分布測定方法の性能解析
3.2. ラマン利得効率の分布測定方法の性能解析
3.2.3. 実 験
前節3.2.1および3.2.2で述べたSNRの設計方法を確認するために,実験を実施した.実
験では,被測定光ファイバとして,長さ25kmおよび50kmの1.31µm帯零分散単一モード光 ファイバを用意した.被測定光ファイバの特性は,表3-1に示す通りである.CW光源には,
波長1550nmで動作する分布帰還型半導体レーザ(DFB-LD: Distributed feedback laser diode) を用いた.DFB-LDの相対強度雑音RINは−130dB/Hzであった.パルス光源には,波長1450nm で動作する直接変調型のLDを用い,パルス光の入射光強度,パルス幅をそれぞれ 12dBm, 1µs とした.また,CW光の波長 1550nmにおける光サーキュレータおよび波長フィルタの 透過率は,合計4.5dBであった.光検出器には,PDを用い,検出器後段に帯域1MHzの電 気増幅器を設置した.光検出器の特性は表3-2に示すとおりである.実験では,ラマン利得 の偏光依存性による光強度の揺らぎを避けるために,偏波コントローラを用いてCW光の偏 光状態をランダム化した.また,平均化処理回数は216回とした.なお,216回の平均化処理 によって48dBのSNR改善を見込むことができる.さらにCW光の入射光強度を変化させ,
実験と計算の比較を行った.
図 3-2および 3-3 は,被測定光ファイバの長さがそれぞれ 25km,50kmの場合に対して,
CW光の入射光強度を変化させた時の受光したCW光強度分布を示している.図3-2および 3-3より,CW光の入射光強度が小さく,被測定光ファイバが長くなるほど,SNRが劣化し ていることが分かる.また,増幅成分の光強度の揺らぎは,直流成分の揺らぎとほぼ同等で あることが分かる.これは,本測定におけるラマン利得が小さく,受光する光強度が,直流
成分 >> 増幅成分となるためであり,直流成分による光検出器のショット雑音,相対強度雑
音成分が支配的であることを示している.このため,近似的に直流成分の光強度の揺らぎを 雑音の大きさと定義することができる.また,図3-4に示すように,増幅成分の光強度の揺 らぎを無視し,増幅成分の平均値を被測定光ファイバの各位置における信号の大きさとして 定義することで,実験的に測定波形からSNRを算出し,計算との比較を行った.
表3-1. 計算および実験に用いた被測定光ファイバの特性
表3-2. 計算および実験に用いた光検出器の特性
0.22 dB/km α
CWOPTICAL LOSS at 1550nm
0.26 dB/km α
POPTICAL LOSS at 1450nm
0.40 W
-1km
-1γ
RAMAN GAIN EFFICIENCY
1.45
nREFRACTIVE INDEX
78 µm
2 AeffEFFECTIVE AREA
VALUE SYMBOL
PARAMETER
0.22 dB/km α
CWOPTICAL LOSS at 1550nm
0.26 dB/km α
POPTICAL LOSS at 1450nm
0.40 W
-1km
-1γ
RAMAN GAIN EFFICIENCY
1.45
nREFRACTIVE INDEX
78 µm
2 AeffEFFECTIVE AREA
VALUE SYMBOL
PARAMETER
1 dB η
c1 dB
COUPLING COEFFICIENT
0.8 η
d0.8
QUANTUM EFFICIENCY
20
M1
MULTIPLIED FACTOR
5 nA 5 nA
IdM
DARK CURRENT
5 nA
-Id0
MULTIPLIED DARK CURRENT
0.7
x-EXCESS NOISE FACTOR
8 dB
F8 dB
NOISE FIGURE OF ELECTRICAL AMPLIFIER
16 Ω 16 Ω
LOAD RESISTANCE
RAPD PD
SYMBOL PARAMETER
1 dB η
c1 dB
COUPLING COEFFICIENT
0.8 η
d0.8
QUANTUM EFFICIENCY
20
M1
MULTIPLIED FACTOR
5 nA 5 nA
IdM
DARK CURRENT
5 nA
-Id0
MULTIPLIED DARK CURRENT
0.7
x-EXCESS NOISE FACTOR
8 dB
F8 dB
NOISE FIGURE OF ELECTRICAL AMPLIFIER
16 Ω 16 Ω
LOAD RESISTANCE
RAPD PD
SYMBOL
PARAMETER
図3-2. 受光したCW光強度分布(L = 25km)(a)PCW(L) = 7dBm, (b)PCW(L) = 3dBm
0 20 40 60 80
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
(b)
L= 25 km
PCW(L) = 3 dBm
DETE CTE D CW POWER (a.u.)
POSITION [km]
0 20 40 60 80
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
(a)
L= 25 km
PCW(L) = 7 dBm
Noise
Signal P
amp(z)
P
dcDETE CTE D CW POWER (a.u.)
POSITION [km]
図3-3. 受光したCW光強度分布(L = 50km)(a)PCW(L) = 7dBm, (b)PCW(L) = 3dBm
0 20 40 60 80
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
(b)
L= 50 km
PCW(L) = 3 dBm
DETE CTED CW POWER (a. u .)
POSITION [km]
0 20 40 60 80
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
(a)
L= 50 km
PCW(L) = 7 dBm
DETE CTED CW POWER (a. u .)
POSITION [km]
図3-5は,実験によって得られたSNRと前節の計算によって得られたSNRを比較した結果 を示している.これより,両者は非常に良く一致しており,前節で述べた SNR 設計方法が 妥当であることが確認でき,これを用いて本測定方法の測定可能距離を推定することができ る.