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分布ラマン増幅を用いた光ファイバ伝送路の設計

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第 4 章  分布ラマン増幅を用いた光ファイバ伝送路の設計方法の提案

4.2. 分布ラマン増幅を用いた光ファイバ伝送路の設計

4.2.1. 伝送路モデルおよび設計方法

  図4-1に分布ラマン増幅を用いた光ファイバ伝送路のモデルを示す.分布ラマン増幅を用 いた光通信システムの代表的な例として,図4-1(a)に示すような,分布ラマン増幅だけを用 いた伝送路モデルと,図4-1(b)に示すような,遠隔励起増幅方式を用いた伝送路モデルにつ いて検討を行う.前者では,1.55µm帯である信号光を効率良く増幅する1.45µmを励起光の 波長としている.一方,後者の遠隔励起増幅方式は,励起光源からLDRAだけ離れた位置に配 置されたエルビウム添加光ファイバ(EDF)に対して,遠隔から通信用の光ファイバに対し て励起光を伝搬させることで,EDFを動作させる増幅方式である.遠隔励起増幅方式におい ては,信号光はEDFで増幅された後,さらにEDFから励起光を入射する位置までの距離LDRA

の区間において分布ラマン増幅される.ここでは,EDFの吸収波長に合わせて,励起光の波

長は1.48µmとなる.いずれの構成においても,信号光は分布ラマン増幅によって増幅され

図4-1.  伝送路モデル

Tx Rx

PUMP SOURCE PRE AMP

Tx Rx

PUMP SOURCE DRA SECTION (=

LDRA

)

PRE AMP DRA SECTION (=

Ltotal

= L

DRA

)

TOTAL LENGTH (=

Ltotal

) a)

b)

SPLICE FIBER PIECE (UNIT LENGTH l)

REMOTE-EDF

SPLICE

FIBER PIECE

(UNIT LENGTH l)

た後,受信器前段の光増幅器(プリアンプ)にて増幅され,受信される.光ファイバ伝送路 は,単位長さlの光ファイバが直列に接続されて構成されているものとすると,光ファイバ や接続点の数は,総伝送距離Ltotalを用いて決定することができる.また,構成する光ファイ バの特性および接続損失のばらつきは,正規分布に従うと考えられるため[4-1], [4-2],それ らが縦列に接続されて構成される伝送路の伝送特性は,各光ファイバの特性および接続損失 の平均値および標準偏差を基に決定することができる.

図4-2に提案する設計方法の流れを示す.ここでは一例として,光ファイバの特性の平均 値および標準偏差から伝送可能距離を算出する場合について示している.遠隔励起増幅方式 の特徴として,励起光源からEDFまでの距離 LDRAによって,到達する励起光強度が変化す るために,EDF で得られる信号光の利得,発生する雑音の大きさが異なる[4-3].このため,

LDRAを最適な長さに設定する必要があり,初めにこれを仮定する.励起光が伝搬し,分布ラ マン増幅が行われるのはこの区間であり,長さLDRAに応じた光ファイバの数および接続点数

図4-2.  設計のフローチャート例(伝送可能距離を算出する場合)

D. SET REMOTE EDF POSITION LDRA PUMP LOSS

AND RAMAN GAIN EFFICIENCY

SIGNAL LOSS

C. CALCULATE SNR

B. CALCULATE GAIN AND NOISE FIGURE A. SET TOTAL LENGTH L

END START INPUT FIBER DATA

・AVERAGE

・STANDARD DEVIATION

OUTPUT

TRANSMISSION LENGTH Ltotal COMPARE WITH

REQUIRED SNR

L=MAXIMUM

CALCULATED SNR = REQUIRED SNR CALCULATED SNR ≠

REQUIRED SNR

YES NO

から,励起光波長に対する光ファイバ伝送路の光損失特性,ラマン利得効率の大きさを決定 することができる.次に,総伝送距離Ltotalを仮定し,同様にこの長さに応じた光ファイバの 数および接続点数から,信号光波長に対する光ファイバ伝送路の光損失特性を決定する.そ の後,EDFおよび分布ラマン増幅によって得られる利得と,雑音指数を計算し,受信される 信号光のSNRを決定する.所要の伝送特性(例えば伝送誤り率)を満足するためのSNR値

(所要SNR)が与えられた時,受信される信号光のSNRと比較し,所要SNRと一致するま で,初めの工程を繰り返すことで,最大の伝送可能距離を求めることができる.なお,図

4-1(a)に示すような分布ラマン増幅のみを用いた伝送路モデルの場合には,図 4-2 において

工程Dを除くことで同様に最大の伝送可能距離を求めることができる.

4.2.2. 受信光のSNR特性

受信される信号光のSNR(SNRd)は,EDFおよび分布ラマン増幅の利得,雑音指数から,

以下のように与えられる[4-4].

) 1 4 ( 4

16

2

2 2

2

⎟⎟

⎜⎜

⎛ + +

=

B OSNR B

B B B B

B B SNR OSNR

e o e o

e

d d

ここでBeおよびBoはそれぞれ受信器の電気,光の帯域であり,Bは伝送速度を示す.OSNRd

は光段でのSNRであり,EDF,分布ラマン増幅,受信器前段の光増幅器の利得GEDFGDRAGPREおよび雑音指数FEDFFDRAGPREから決定され,

) 2 4 (

Pr 2

2

1

⎟⎟⎠

⎜⎜ ⎞

⎛Α + +

Α

= Α

DRA EDF

e EDF

DRA EDF

POST d

G G

F G

F F hvB OSNR P

となる.ここでA1および A2は,それぞれ送信端〜EDF,EDF〜受信端までの信号光の全損 失であり,h はプランク定数,νは信号光の周波数である.分布ラマン増幅による信号光の ラマン利得および分布ラマン増幅による雑音指数は,

( )

( )

) 3 4 exp (

exp 1 −

⎥⎥

⎢⎢

⎡ − −

=

pt

DRA pt p

t DRA

L G P

α α γ

) 4 4 1 (

=

o ASE DRA

DRA hvB

P F G

と与えられる.ここで,γtはラマン利得効率,Ppは励起光の入射光強度,αPは励起光波長に 対する光ファイバ伝送路の光損失特性である.また,PASEは,分布ラマン増幅による自然放 出ラマン散乱光強度であり,

) 5 4 ( .

34 1 . 4 34 . exp 4 34 .

2 4

3 ⎥ −

⎢ ⎤

⎟⎟⎠

⎜⎜ ⎞

⎛ +

⎟−

⎜ ⎞

= ⎛

DRA DRA

s DRA o

ASE G

G hc G

P B

λ

と与えられる[4-5].ここでcは光速,λsは信号光の波長,GDRAは分布ラマン増幅による利得

(dB単位)である.なお,EDFの利得および雑音指数は,用いるEDFの励起光の入射強度 と利得および雑音指数の関係に基づいて決定することができる.さらに,図4-1(a)に示すよ うな分布ラマン増幅のみを用いる場合については,式(4-2)においてA1 = 1およびFEDF = 0 とすることで同様に受信光のSNRを計算することができる.

4.2.3. 光ファイバ伝送路の特性

  光ファイバの特性および接続損失は全て正規分布に従い,かつ独立事象であると仮定する と,個々の特性の分布は平均値と標準偏差から決定される.敷設後の光ファイバ伝送路にお ける信号光波長に対する光損失特性αst,励起光波長に対する光損失αptおよびラマン利得効 率γtは,光ファイバ素線状態で測定される各特性の平均値αs*,αp*およびγ*,またそれらの 標準偏差σs,σpおよびσγを用いて,次のように定義することができる.

) 6 4 (

2 /

2

*

* ⎥⎦⎤ + −

⎢⎣⎡ + + +

= s total c s total c total sm

st

α

L

α

N k

σ

L

σ

N L

α

α

) 7 4 (

2 /

2 2

2

*

* ⎥⎦⎤ + −

⎢⎣⎡ + + +

= p DRA c p DRA c DRA pm

pt

α

L

α

N k

σ

L

σ

N L

α

α

) 8 4 (

2 /

* ⎥⎦⎤ + −

⎢⎣⎡ −

= DRA DRA DRA m

t

γ

L k

σ

L L

γ

γ

γ

ここでは,接続損失の平均値αc,標準偏差σc,ケーブル化,敷設,敷設後の温度変化による 特性の変化を見込んだマージンαsm,αpm,γmを考慮している.また,k は光ファイバ伝送路 全体の伝送特性を満足する確率を決定する定数であり,例えば,k = 3.09の時,光ファイバ の諸特性のばらつきによって取りうる伝送路全体の伝送特性の99.9%を保証することになる.

従って,式(4-6)〜(4-8)に示すように,伝送路全体の伝送特性を決定するために,光フ ァイバ素線状態において,信号光および励起光の各波長に対する光損失特性の平均値および 標準偏差,ラマン利得効率の平均値および標準偏差,接続損失の平均値および標準偏差を把 握する必要がある.また,ケーブル化や敷設時に光ファイバに加わる外力や敷設後の温度変 化についても同様に把握する必要がある.

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