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原因についての議論も,先の第 1,第 2 原因の議論の場合 と同様に,リカードウのマルサス批判が関連しているように思われる.リカー

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ところでこの第 3 原因についての議論も,先の第 1,第 2 原因の議論の場合 と同様に,リカードウのマルサス批判が関連しているように思われる.リカー

ドウは『原理』第

32 章で,

『地代論』における地代増大の第

3 原因についての

マルサスの説明,すなわち,「所与の効果を生み出すのに必要とされる労働者の 人数を減少させるような,農業の改良,あるいは努力の増加」という文章を引 用した後,次のように言っていた.

「農業上の改良および優れた肥沃度は,共に,ある将来の時期により高い地代を生 む能力を土地に与えるであろう,なぜならば,食物の価格は同じであって多大の追加量 が存在するだろうからである,しかし,人口の増加が同じ割合になるまでは,食物の追

85)この点については,森氏の指摘(森茂也『古典派経済成長論の基本構造』同文舘,1992 年,149 ページ)も参照されたい.

加量が要求されることはなく,それゆえに,地代は引き上げられないで引き下げられる であろう.その当時の事情のもとで消費されうる分量は,より少数の人手をもってか,

あるいはより少量の土地をもって供給されうるであろうから,原生産物の価格は下落 し,資本は土地から引き上げられるであろう.」(Ⅰ, p.412)

すなわち,農業の改良によって生産量が増大すると,将来は地代が増大する かもしれないが,当面は人口が変わらないであろうから,人口を維持するのに 必要な食物が「より少数の人手」,あるいは「より少量の土地」によって生産で きることになり,その結果,最劣等地が耕作から排除され,穀物価格は下落し,

地代も減少することになるというのである86)

それでは,このようなリカードウの批判に対して,マルサスはどのように答 えるのであろうか.マルサスは,『原理』初版で,リカードウの言うように農業 の改良が穀物生産量を増大させ,穀物価格を低下させることは認める.しかし,

マルサスによると,それは「短期的」なものだとして,次のように言っている.

「土地の剰余生産物を一切の他のものから区別する,この章のはじめの部分で指摘し た重要な原因の作用,すなわち,適当に分配されたときにはそれ自身の需要を作り出す 生活必需品の能力,あるいは言葉を換えると,生活手段を圧迫しようとする人口の傾向 は,まもなく穀物および労働の価格を引き上げ,また資本の利潤をそれ以前の水準に低 減するであろうが,他方ではそうしている間に,これらの改良によってたやすくされた より貧弱な土地の耕作と,以前に耕作されていたより良質のすべての土地へのその適用 とにおける各段階は,一般的に地代を引き上げることであろう.87)」(Principles, p.164)

86)この論点は,すでに『地代論』出版直後の,1815 年2 月6 日付のリカードウのマルサス宛て手紙

で批判されていた.そこでリカードウは,次のように言っていた.「高論のなかには賛成できない部 分がいくつかあります.その一つは,……改良が地代におよぼす効果であります.それらは直接の 効果の点では農業者にとってだけ有利であり,地主にとってはそうでないと思われます.得られる 生産物の増加分または同量の生産物を得るさいの節約はすべて農業者の利益に帰し,地主は改良に よって蓄積およびより貧弱な土地の耕作が促進されうる点で間接にそれから利益を受けるにすぎな いと私は思います.(Ⅵ, p.172)

87)初版の「価格を引き上げ」は,第2 版では「価格を回復させ(restore)」に変更された.

すなわち,たとえ農業の改良によって生産量が増大し,需要に比べて供給が 過剰となり,穀物価格が低下したとしても,それは短期的なものであり,第

1

節で述べられた穀物高価格の第

2 原因,すなわち「適当に分配されたときには,

それ自身の需要を作り出し,または生産された必需品の分量に比例して需要者 の数を増すことのできる,生活必需品に特有な性質」(Principles, p.140)から,

穀物価格は再び上昇し,地代が増加することになるというのである.したがっ て,ここでの議論は,穀物高価格の第

2

原因を論拠にしたものであり,またこ の考え自体は,すでに『地代論』で論じられていたものであるから,『原理』に なって改めて展開されたものではなかった.そのためリカードウ自身も,『評 注』の中でこのパラグラフに付した評注

80

では,「返答済み」(Ⅱ, p.141)と述 べるにとどまっており,何らかの新たな議論を展開する必要性は感じなかった のであった.

そしてマルサスは,続く第

9 パラグラフで次のように言っている.

「この国に起こった農業の非常に偉大な改良は,資本の利潤が,土地が現在の人口 の半分しか維持できなかったほぼ

100

年前と,今同じように高い88)ことによって,明 らかに立証されている.そして適当に分配されたときには,それ自身の需要を作り出す 生活必需品の能力は,労働とそのほかの商品を支配する穀物の交換価値が,よりよい 道具の採用と土地を管理する改良された制度との両者によって,つぎつぎに耕作に採用 された多くの偉大な改良にもかかわらず,どんなに少なく見積もっても,減少していな い89)という明らかな事実によって,十分に証明される.」(Principles, p.165)

したがってマルサスは,地代増大の第

3

原因についての議論を,穀物高価格

88)初版の「今同じように高い」は,第2 版では「1813 年には同じように高かった」に変更された.

この変更は,単に出版時期の違いに配慮したものと思われる.

89)初版の「どんなに少なく見積もっても,減少していない(is, to say th least, undiminished)」は,

第2 版で「その時期以前の長い間,減少しなかった(was for many years before that period,

undimin-ished)」に変更された.なおそれ以外に5カ所で文言が変更されているが,それほど重要なものとは

思われない.

の第

2 原因による論証だけでは不十分と考えて,それを過去 100 年間の利潤率