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医療制度改革と今後の経営戦略

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国際モダンホスピタルショウ2 0 0 6・カンファレンス

大道  久

日本大学医学部 社会医学講座医療管理学部門 教授 基調講演

医療制度改革と今後の経営戦略

シンポジウム――医療制度改革と今後の経営戦略

〈平成18年7月・東京都〉

邉見 公雄

赤穂市民病院 院長

神野 正博

特別医療法人財団董仙会 理事長・恵寿総合病院 院長

大道  久

日本大学医学部 社会医学講座医療管理学部門 教授

中川  翼

医療法人渓仁会 定山渓病院 院長

黒澤 一也

特別医療法人恵仁会 常務理事・くろさわ病院 院長

本の方針が示されておりました。国民皆保 険は堅持する。しかしそのなかで経済指標 を留意しつつ医療の質向上と効率化で医療 費の適正化を図る。負担と給付を透明にす る。これはポイントだけだといかにも放り だしたような表現になっていますが,安定 的な経済成長といわれ高度成長は見込まれ ないなかで,高齢化が進む,一方で少子化 もそれに合わせるかたちで急速に進んでい る,今後の我が国の財政の構造などを含め ると,今後の医療はあり方はどうだといっ たなかで,この3つの要素が出てきたわけ です。

 「皆保険の維持」については,これは異論のな いところだと思います。「経済指標に留意しつつ 医療の質向上と効率化」。この経済指標について はマクロ経済指標などと連動したかたちの社会保 障政策などが議論されて提起があって,非常にク リティカルなところですが,とりあえずこういう 表現になっておりました。そういったなかで,お おむね向こう20年間,2025年までを目途にした 医療の構造改革のなかで,基本実体は「医療費適 正化」,すなわち医療費抑制政策といってもよろ しいと思います。そのポイントになる点はここに 3つ掲げております。

医療費適正化のすすめ方

 何をもって医療費を適正化するかというと,こ れもある意味では 耳にたこ のようなところが ありますが「生活習慣病対策と長期入院の是正に よって中長期的方策」を講じる。これは徹底して 行うということでした。メタボリックシンドロー ムという言葉がいまや一般の国民の方々にも受け 入れられつつある状況にございます。しかし我々 医療経営の立場・観点から言いますと,抱き合わ せになったかたちの「長期入院の是正」,言い古さ れた用語のようですが長期入院の是正というやや 陳腐な用語が使われたところが今後の本当のとこ ろです。ここらあたりを受け止めなくてはいけな い。単に在院日数を短縮するというよりは,すで に今回の診療報酬でも対応された地域連携パスと

いわれている,今回はたかだか大腿骨頸部骨折に ついてのみの適用となっておりますが,要は施設 対応の急性期から慢性期,さらには在宅に至るま での一連の流れのなかで長期にわたる入院は徹底 した短縮化を図るということ。抱き合わせになっ た生活習慣病等の予防による医療費抑制はどこま で効果的かというのはまだ分からないのです。し かし徹底的にやるというわけですから,本当のと ころはこれからなわけです。この2つの組み合わ せというのが何とも奇妙ではありますが,抑制効 果の期待されているところが大きいことも事実と いう認識を持ちたいと思います。

 それから短期的方策として,先般の関連法案で すでに成立したところですが「公的給付の見直 し」と「診療報酬」についての対応です。特に公 的給付の見直しというのは,これはまだ国民の皆 さん方は本当のところはあまり分かっておられな いのではないか。先ほど演者の間で打ち合わせた ときにもそのようなお話でした。端的に言って高 齢者の方々に,収入が現役世代並みの人は3割の 患者負担,一般的には2割。ついこの間,現政権 になった翌年の平成14年でしたか,定額から定率 負担を高齢者にお願いして1割負担になった。あ っという間に2割,場合によっては3割というこ とが現実のものになったわけです。実施はこれか らとはいうものの,肌身で感じる時期がきて,国 民の皆さんがこれをどう受け止めるか大変重要で

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スライド1

す。ここについては中長期の方策を待てないとい う財政状況があると受け止めるのもそのとおりだ と思いますが,深刻な対応が取られたことも事実 です。

 「診療報酬による短期的方策」は,これは読ん で字のとおりです。このたび平成18年の改定が行 われました。今おおむね状況が把握されつつあり ますが,今回のマイナス3.16%は2年後,4年後 さらには節目となる6年後あたりまで大変な状況 が続くということです。関連法案が成立して直後 に,すでに「歳出改革」という言い方で,プライ マリーバランスをしっかり取るために向こう5年 間で国庫レベルで10数兆円の抑制を図る。そのな かで医療部分について1兆数千億円。これを診療 報酬レベルでいいますと2回ないし3回の改定で 達成させるということです。すべて医療費で対応 する話ではありませんが,これまでの経過を見ま すと,医療費は冗長性があるという言い方をしま すが,押し込もうと思えば取りあえず押し込むこ とができるように見えるのです。ですから,どう しても年金とかほかの社会保障関連費用よりも標 的になりやすいわけです。その話はともかく,い ずれにしろ,今後とも毎回,対前回3%くらいの マイナス改定ということになって当然のような響 きが,今もう出てきているわけです。ここのとこ ろは短期的方策に位置づけられているところです。

 これらのかなりドラスティックな改革は保険者,

事業者,あるいは被保険者,医療機関,患者等の

利害関係者それぞれが痛みを分かち合って頑張り ましょうということです。保険者,事業者等,そ れぞれが一定の取り組みの方向を示しているわけ ですが,こんななかで今後の医療経営が語られな ければならない。こういうことになります。

 (スライド2)結局このような考え方のなかで,

医療費適正化の効果が2025年までにどのくらいか というと,これは患者負担分を除いたかたちで示 されていますが,現在2006年28.3兆円のところを,

今のままの制度で運用すると2025年には56兆円に なってしまう。これが本当に当たっているかとか こんなに上がるはずはないとか,数年前の予測で はこれが56兆円どころか70何兆円だったではない か,非常にいいかげんな数字だということも議論 されますが,ただなにがしか数値を据えなければ 政策が決まりませんので,フォーマルなデータと してはこういうことが示されているわけです。こ れを先ほどの中長期の方策によって20年間で6兆 円の縮減を図る。高齢者の患者負担の引き上げに よる短期的方策では実はわずか1兆円なのです。

ここに書いてありませんが,今回の診療報酬改定 マイナス3.16%が進捗中ですが,これによって20 年間で1兆円の縮減効果があるといわれておりま す。いずれにせよ合わせて7兆〜8兆円の縮減を 図らなければ,今後の我が国の財政が見通せない という論理での今回の改革となったというわけで す。

06年度診療報酬改定の概要        (スライド3)さて,制度改革のなかで医 療経営を論じる以上は,診療報酬改定の流 れをもう1回確認せざるを得ないというこ とで,ポイントだけ2枚のスライドにして あります。これはもうそれぞれのお立場で 今運用の最中ですから,あらためて述べる までもないことなのですが,多少とも医療 改革と経営との関係でコメントができれば ということで掲げてあります。

 領収書の発行は「診療報酬各部単位」と いう言い方で,投薬,注射等について交付

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スライド2

義務が課せられました。ただし患者の求め に応じて場合によっては明細レベルまで示 すことに努めることになっています。医療 を受ける立場からも医療経営の実情などを 理解をしていただくという観点から対応す べきでしょう。このところは,説明するの は大変であるとか,そもそも診療報酬体系 はこれだけ複雑化しているところを明細書 に落として示すということは,ほとんど無 理だという議論など,いろいろありました。

しかし基本の方向としては窓口負担はすで に3割になり,場合によっては高額療養費 制度などの見直しも進んでいます。実際に痛みを 伴う窓口での支払いに対して一定の理解を得ると いうときに,領収書をこまかく示せばいいという わけではありませんが,なにがしか努力をしてい くことは現実の経営にとっても大事なのかなとい う気がします。

 診療情報提供料については,紹介率などを含め た連携関係の診療報酬が大幅に見直されました。

特に紹介加算などは廃止になったわけです。また 急性期入院加算は,特定を含めてこれもなくなり ました。大変なことにはなりましたが,今やその 流れが3カ月あまりを過ぎているところです。そ ういったなかで,診療情報提供料は一本化されま したが,そこにセカンドオピニオンが倍額で付い ています。セカンドオピニオンといういわばより 透明な医療の提供の仕組みを国民に理解してもら うという意味ではやはり1つのポイントになりま す。さまざまな診療情報を,第2の専門医からの セカンドオピニオンを得るために情報提供すると いうのは大変な負担なのですが,それを取りあえ ずは受け止めた倍額の診療情報提供料が付いたと いうことだと思います。

 看護については現在,一大課題となっています が,取りあえず表記を改めました。あっという間 に定着した感があります。今1.4対1というより は7対1のほうが当たり前になりましたが,要は 患者の立場に立って,「2対1というが本当に隣 の患者さんと私と合わせて1人の看護師さんがい

るとはとても思えない」という医療を受ける立場 からの訴えを受け止めたということになっていま す。これは表記の問題というだけではなくて,す でに10対1を7対1にするのは大変だとか,療養 病床で20対1レベルまで引き上げるとか,さまざ まな看護をめぐる経営的な判断を迫られ,かつ努 力を強いられている部分だと思います。

 禁煙の話は予防に関連したところを先取りした ということも言えます。がん拠点病院については 紹介加算が別立てで付きました。

 手術の施設基準については前々回の要件不備で 3割削減という,何とも根拠不十分のような話で 大変な騒ぎになりましたが,前回の5%のかさ上 げを受けて,さらに今回は廃止となりました。た だしこれは今後ともさらに調査・検証をするとい うことになっていまして,全く芽がなくなったわ けではないということです。エビデンスを求めて 調査をこれから行うということですが,ご意見が 分かれるところです。いずれにせよ,専門医の専 門性ないしは経験,あるいはその医療機関が持っ ている手術であれば手術についての一定程度の効 果(アウトカム)を診療報酬とリンクさせるとい うことのとっかかりにしたいという思いが4年前 にあったのかもしれませんが,ここのところは,

もうとてもできないからあきらめたという話には ならないと理解すべきだと思います。新たな専門 医制度などのお話もありますが,今日のところは まだ確たるものは見えておりません。

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スライド3

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