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図118: a*b*色差の比較グラフ

III

降雪検出における提案手法

1 降雪画素検出の課題

降雪画素検出手法の問題点は、雨粒の特徴をそのまま雪粒にも適用して雪粒を検出する事であ る。雨粒画素は、明るく小さな画素としてクラスタリング等で抽出されたり、直線的な形として抽 出されたりする。しかし、降雪画像は降雨画像よりも暗く不鮮明な画像であり、雨粒と同様の特徴 を持つとは限らない。検出するためには、まず画像を鮮明にする事が必要である。

また、雪粒を動体として検出しても、雪粒は雨粒の様に直線的な形になるとは限らない。空間周 波数を解析して直線構造を抽出して雨(雪)粒を検出する手法( [38–40])もあるが、建物のエッジ 等も検出してしまい、これらの手法は誤検出が多い。また、2次モーメントから形の歪みを計算し てある角度に傾いている直線構造の領域を雨(雪)粒画素として抽出する手法[37, 41]もあるが、雪 粒は雨粒よりも移動軌跡が直線的にはならず、形も雨粒の様な球体ではないため、形や移動方向の 角度から雪粒を検出する事は難しい。

実際の降雪場面は悪天候により画像が不鮮明になるが、従来手法では雪粒が鮮明に見える画像を 対象としている。そのため、前処理で画像を鮮明にする必要があるが、この前処理の画像鮮明化に 失敗すると、降雪検出に利用出来ない。文献 [14]の様な従来の画像鮮明化手法では、フレーム毎 に偽色が発生する位置が変わるため、単純な動体検出や直線構造の抽出等を満足に行う事は出来な い。そのため、従来では雪粒の未検出が多い。

本研究では、前述した画像鮮明化手法によって、明度整合が保持され偽色が無い鮮明化画像を生 成し、動体検出による手法で雪粒画素を検出する手法を提案する。従来では不鮮明な画像から雪粒 を検出する事は出来ず、また検出条件が難しいため多数の雪粒候補が除外されてしまう。本研究で 提案する手法は、安定した画質を生成する鮮明化手法と動体検出手法を組み合わせる事で、単純な 計算で雪粒を検出する事によって未検出を防ぐ。

1.1 降雪画素の特徴付け

雪粒は雨粒よりも遅いが、一般の動体に比べて高速である。一般の動体はフレーム間差分によっ て境界線しか検出されないが、雪粒はフレーム間差分でも雪粒全体が検出される程速い。よって本 研究では、雪粒を「高速移動体」と特徴付けて、動体検出アルゴリズムで雪粒を検出する。雪粒は 時間的なノイズと仮定し、3Dメディアンフィルタによって雪粒を取り除いた背景画像を作成し、

背景差分によって雪粒を検出する。

2 従来手法

2.1 色クラスタリングと背景差分の組み合わせによる雪粒検出

手法[6]は、降雪画像の鮮明化手法を提案し、雪粒画素を除去してから画像を鮮明化している。

雪粒は白く小さいと仮定し、色と大きさのクラスタリングによって背景画像を構築し、雪粒は背景 差分によって検出される。以下に、手法[6]の雪粒検出について述べる。

2.1.1 手法の説明

手法[6]は、背景画像を作成するために、クラスタリング手法は特定してないが、各画素の過去 数フレーム分のデータを使ってクラスタリングを行い、「背景」「雪粒」「前景」の3クラスに分類 している。「背景」クラスタは動体の無い特徴で作成され、各画素において過去数フレームで出現 頻度が高い色特徴から生成される。「雪粒」クラスタは白い特徴で作成され、雪粒と仮定する白い 画素から生成される。「前景」クラスタは動体特徴で作成され、背景クラスタでも雪粒クラスタで もないデータから生成される。その後、背景差分で動体検出を行い、検出領域の大きさでさらにク ラスタリングを行い、小さいと雪粒クラスタ、大きいと前景クラスタと判別する。

2.1.2 色クラスタリングの結果

図119に背景クラスタと雪粒クラスタの例を示す。図119は[6]に掲載されている画像である。

図119は、入力画像を複数フレーム保存しておき、時間方向にクラスタリングをして高明度の画 素を特定する事で、背景クラスタと雪粒クラスタを更新していく例である。図119右図を見ると、

背景画像には雪粒は映っていない事が分かる。しかし、降雪画像において白い特徴は雪粒だけでな く、積雪やその他一般の白い動体にも当てはまる。図119は悪天候によって全体的に暗い画像であ るが、雪が止んだ後の積雪が残っている明るい晴天画像や、白い雲が映っている晴天画像などに対 して、この手法は適用出来ない。

図119: 背景クラスタと雪粒クラスタ