第 5 章 処理システムの検討
2. 処理システム案の比較・検討
図 5-4 炭化炉の処理フロー例
41 (2) 焼却施設の概要
市内では、焼却施設を北部環境事業所及び石名坂環境事業所に 2 箇所保有しており、
2 施設 3 炉体制で焼却処理を行っています。
表 5-3 市内の焼却施設
施設名称 北部環境事業所 石名坂環境事業所
所在地 藤沢市石川 2168 藤沢市本藤沢 2-1-1
処理方式 全連続燃焼式
(ストーカ方式)
全連続燃焼式
(流動床方式)
公称能力 150t/日
(150t/日×1 炉)
260t/日
(130t/日×2 炉)
年間稼働日数※ 307 日 259 日(2 号炉)
239 日(3 号炉)
年間処理量※ 42,564t 59,498t
年間残渣量※ 5,785t 5,607t
残渣の処分方法 資源化、売却 資源化、売却
付帯施設 発電設備
場内給湯設備
発電設備 温水プール熱供給設備 場内冷暖房・給湯設備 ※平成 26 年度実績
2-2 処理システムの検討
(1) 前提条件
整備方針では、「リサイクル推進型+焼却エネルギー利用・最終処分場負荷軽減型」
として、以下のように定義づけられています。
本検討においても、整備方針に示される処理システムを前提とします。
(2) 検討ケース
焼却残渣の溶融処理には、焼却残渣の溶融スラグ化を北部環境事業所内で行うか、
現状どおり外部委託を継続するかによって、処理システムと対応する処理方式が異なり ます。
ここでは、溶融処理の実施場所に注目した 2 ケースで検討します。
「リサイクル推進型+焼却エネルギー利用・最終処分場負荷軽減型」
ごみを焼却し、その際に発生したエネルギーをできるだけ回収し、発電等に利用す るとともに、焼却残渣は溶融スラグ化し、資源として利用することで最終処分量を可 能な限り減らすシステム。
表 5-4 検討ケース
ケース 1 ケース 2
処理システム 北 部 環 境 事 業 所 内 で 溶 融 処 理 を 行い、資源化する。
外部委託により溶融処理を行い、
資源化する。
対応する処理方式
焼却施設+灰溶融施設 または
ガス化溶融施設
焼却施設(単独)
(3) 検討ケースの比較検討
検討ケースは、環境保全性、安全性・安定性、維持管理性、最終処分量、経済性、
実現性から比較検討を行います。
表 5-5 比較検討結果 ケース 1
北部環境事業所内での溶融処理
ケース 2
外部委託による溶融処理 1.環境保全性
溶融するためのエネルギー が北部環境事業所内で必要 となる。
△
委 託 先 で の 環 境 保 全 対 策 が 必
要となる。 ○
2.安全性・安定性
①建設実績
②安全対策
③安定稼働実績
④ 本 市 に お け る 採 用 実績
⑤トラブルの可能性
⑥継続性
①建設実績は焼却単独での 整備は少ないが、最終処 分場を保有しない自治体 では採用されている。
②安全対策は講じられてい る。
③稼働実績は、10 年~15 年 程度の施設が多い。
④溶融方式を採用していな い。
⑤溶融設備に対するトラブ ルの報告事例は多い。
⑥適切な維持管理を行うこ とにより 30 年程度の稼 働が可能となる。
△
①-
② 安 全 対 策 は 講 じ ら れ て い る。
③ 古 く か ら の 稼 働 実 績 が あ る。
④現状で採用している。
⑤ 大 き な ト ラ ブ ル 等 の 報 告 例 は少ない。(本市委託先では トラブルはない。)
⑥ 民 間 施 設 へ の 委 託 で あ る た め 、 複 数 施 設 の 確 保 等 の リ スク回避が必要となる。
○
3.維持管理性
①設備の簡略性
②労働安全衛生(作業 環境対策)
①溶融設備の増加により、
処理設備は複雑となる。
その結果、焼却方式より も故障頻度が多い。
②方式により高温エリアで の作業が必要になる場合
○
① 焼 却 設 備 の み で あ る た め シ ンプルなシステムである。
② 外 部 委 託 の た め 、 作 業 環 境 配慮箇所は少ない。
◎
43 ケース 1
北部環境事業所内での溶融処理
ケース 2
外部委託による溶融処理 5.経済性
北部環境事業所の建設費、
維持管理費が現状より増加 する。
△ 焼却残渣の委託費がかかる。 △
6.実現性
北部環境事業所では用地が 限られており、溶融設備の 設置は困難。
△ 用地面で支障はない。 ◎
総合評価 △ ○
※◎:特に優れている、〇:優れている、△:劣る
以上より、処理システムは、ケース 2 の外部委託による溶融処理の継続に優位性が あると考えらます。ただし、民間施設への委託は、社会情勢の変化や企業の財務状況の 変化によって、委託費の変動や企業の倒産等も考えられます。これらのリスク回避のた め、現状同様、複数施設への委託を基本としてリスク回避を図ります。
2-3 処理方式の検討
処理方式は、処理システムの比較検討を行った結果、前提条件の焼却エネルギー利用及 び最終処分場の負荷を軽減に適した処理方式は、安全、安定して焼却灰を溶融処理し資源 化できる焼却処理方式となります。
焼却処理方式のうち、回転式焼却炉については一般的に廃棄物処理施設において採用し ている自治体がなく、また広い敷地が必要となることから、今回計画する焼却炉方式はス トーカ方式又は流動床方式の 2 つに絞られます。これら 2 つの焼却処理方式は、いずれも 本市での採用があります。
表 5-6 焼却方式の比較
項目 ストーカ方式 流動床方式
処理の概要 ストーカを機械的に駆動し、投 入したごみを乾燥、燃焼、後燃 焼工程に順次移送し(1~2h)燃 焼させる方法。ごみは移送中に 撹拌反転され、表面から効率よ く燃焼される。
熱砂の流動層に破砕したごみを 投入して、乾燥、燃焼、後燃焼 をほぼ同時に行う方式。灰は飛 灰となって排出される。
1 環境保全
①公害防止基準の達成
②二酸化炭素排出量
①公害防止基準はいずれも 達成可能である。
②二酸化炭素排出量はほぼ 同じである。
◎
①公害防止基準はいずれも 達成可能である。
②二酸化炭素排出量はほぼ 同じである。
◎
2 安全性、安定性
①建設実績
②安全対策
③安定稼働実績
④ 本 市 に お け る 採 用 実 績
⑤トラブルの可能性
①流動床式よりも実績が多 い。
②いずれの方式も安全対策 は講じられている。
③古くからの稼働実績があ る。また、連続稼働実績 も長い。
④北部環境事業所で採用し ている。
⑤炉に係るトラブルは少な い。
○
①ストーカ式よりも実績が 少ない。
②いずれの方式も安全対策 は講じられている。
③古くからの稼働実績があ る。また、連続稼働実績 も長い。
④石名坂環境事業所で採用 している。
⑤施設によっては前処理破 砕機に係るトラブルが稀 に見られるが、炉に係る トラブルは少ない。
△
45
ストーカ方式と流動床方式を比較検討した結果、ストーカ方式に全般的に優位性がみら れ、特に災害廃棄物処理については、ストーカ方式は、災害ごみの受入ごみ質に、ある程 度許容が持てる優位性があります。また、北部環境事業所新 2 号炉の整備について、スト ーカ方式、流動床方式の処理技術を保有するプラントメーカーに対して、参入意向を調査 した結果、回答したすべてのプラントメーカーがストーカ方式を希望機種として選択し、
ストーカ方式での参入意向が強く、競争性の確保も可能となります。
以上のことから、新 2 号炉の処理方式はストーカ方式とします。
項目 ストーカ方式 流動床方式
3 経済性
①建設費
②維持管理費
③焼却残渣の外部委託
① 建 設 費 は ほ ぼ 同 じ で あ る。
②維持管理費はほぼ同じで ある。
③主灰量が多いため、流動 床式と比較すると外部委 託費は安価となる。
◎
① 建 設 費 は ほ ぼ 同 じ で あ る。
②維持管理費は補機類が多 く、使用電力量がストー カに比較し多い。
③飛灰量が多いため、スト ーカ式と比較すると外部 委託費は高価となる。
△
4 その他
① 近 年 の 採 用 に 係 る 動 向
②競争性の確保
③災害時の対応
①全ての処理方式の中で近 年最も採用が多い方式で ある。
②全ての処理方式の中で最 もメーカが多いため競争 性は確保できる。
③災害廃棄物の処理が可能 である。
◎
① 近 年 の 採 用 実 績 は 少 な い。
②3 社程度であり、ストー カ式よりも競争性が確保 できない。
③ごみの前処理(破砕)が 必要なため、多種多様な 災害廃棄物の処理は困難 である。
△
◎:特に優れている。○:優れている。△:劣る。×:致命的な点がある。
(×は該当なし。)