〈代理店制度に関する諸問題〉
『活力ある代理店制度等研究会』
■基本的な考え方
保険の自由化・規制緩和の進展と消費者意識の変化、利用者ニーズの重視と利用者保護ルールの徹底を柱 とした金融行政への転換等を受けて、商品および販売勧誘のあり方が抜本的に見直され、代理店の業務も大 きな変革・変質を求められている。販売チャネルについても、電話やインターネットによるダイレクト販売 の進展、銀行や郵便局、生命保険会社のような巨大な代理店の登場、更には、SHOP店といわれる来店型店 舗をメインとした全国展開の大型代理店の出現等によって、その構造は大きく変化している。
一方、少子高齢化社会を迎えた日本国内の損保マーケットを見据えて、国内損保は揃って海外展開を加速 させており、経営資源は海外や生保分野へシフトしつつある。
このような環境の中で、日本の消費者の安心と安全を守るために、日々地域密着で取り組んできた国内の 損害保険代理店、とりわけ保険以外に収入源を持たない専業代理店は生き残る道があるのか、将来に向けた 成長ビジョンが描けるのか、正に大きな転機に立たされている。
我が国の損害保険は、その約92%が代理店扱いとなっており、代理店は歴史的にも長年に亘り消費者の選 択に応えてきた。この実績は極めて重く、個々の事象にいたずらに怯える必要はない。しかしながら、環境 は常に変化していくので、知らない間にお湯の温度が上がって死んでしまった「茹でガエル」にならないよ う、常に社会の動向に目を向けるとともに、自らの意識や行動を振り返り、変化に適応した体質に転換して いく努力が求められる。
これは代理店制度を採用している国内損保会社にとっても同じ命題であり、これから時代はどう動いてい くのか、その流れの中で日本の消費者は損害保険に何を求めるのか、代理店と保険会社が共通の認識に立ち、
ベクトルを揃えた上で、新しい時代にあった代理店制度を危機感を持って追求し、あるべき姿を実現してい く必要がある。すなわち、「日本の損害保険マーケットにおける消費者対応のためには代理店制度が最適の システムである」という考えが共通認識として持てるのであれば、若くて能力がある人材が損害保険代理業 という職業を目指して参入してくるような活力ある代理店制度を構築していくことは業界全体の喫緊の課題 であり、その努力が損害保険代理業を代表する本会と保険会社双方に求められる。
このような認識の下で、平成19年度に「活力ある代理店制度等研究会」が設けられ、代理店と保険会社が 同じテーブルに着き、目指すべき代理店像の論議を始めた。これが「心ある対話」のスタートであり、以降、
毎年論議を続けている。
なお、本研究会は結論を出すことを目的としているわけではない。(重い課題ばかりであり、元々一朝一 夕にはいかない問題である。結論に拘ると杓子定規な対応で終わってしまい、対話の意味をなさなくなる。)
代理店サイドの実情や置かれている環境を「頭」で認識し、その思いや願いを「心」で感じ取ってもらった 上で、それぞれの保険会社の戦略や政策立案の際に、『代理店の立場に立って』、出来るものから織り込んで もらうことを期待したものである。勿論、代理店サイドにも保険会社の戦略や方針を理解した上での取り組 みを求めている。このあり方が、最も健全な問題解決に導くと判断し、双互理解を進めているものである。
■「活力ある代理店制度等研究会」(通称:活力研)の構成
⑴ メンバー
◇保険会社:協会長会社5社の代理店業務担当部長(主に、営推・営企部門)
◇日本代協:会長、副会長、企画環境委員会・組織委員会各委員長、事務局
⑵ 金融庁報告
本研究会の報告書は、金融庁保険課長に提出し概要説明を行っている。
なお、平成21年度から本会HPにも掲載し、情報をオープンにして広く問題点や課題を提供している。
各方面での論議のたたき台として活用されることを期待したい。(報告書は資料編 参照)
■平成19年度の内容
消費者の声、保険会社の専業代理店政策を確認後、損保代理店の現状と問題点(代理店の悩み)や代理店 の活力を喪失させていることについて、現場の実態を踏まえて意見交換を実施した。
■平成20年度の内容
消費者団体や有識者の意見等を踏まえた上で、以下の項目について論議を深めた。
① 保険契約者の利益保護につながる代理店の資質向上
② 公平・公正な募集環境の確立
③ 目指すべき損害保険代理店像の共有化
④ 代理店手数料の基本的考え方
■平成21年度の内容
代理店と保険会社の関係を規定する現行の「代理店委託契約書」の各規定に関し、保険募集現場の現在の 実務を踏まえた実態との乖離について、今日的見地から問題点と課題解決の方向性について論議を行った。
主な論議項目は以下の通り。
・ 委託契約書全体に対する基本的な問題認識 / ・委託業務の範囲 / ・経費の取り扱い ・保険事故発生時の対応(代理店の役割) / ・乗合承認手続き / ・代理店手数料規定 ・用語の定義 / ・委託契約書に関する社員教育
■平成22年度の内容
平成21年度までの論議を踏まえた上で、我が国損害保険マーケットの将来展望を見据えた、求められる代 理店像(特に、プロ代理店の存在価値とあるべき姿等)について論議を行った。
なお、平成23年3月11日に発生した東日本大震災への対応のため、同年3月に予定していた最終回の論議 が8月まで延期となった。これにより、報告書の公表は平成23年9月となった。
主な論議内容は以下の通り。
① 損保市場における専業代理店の位置付けと今後の戦略並びに必要な支援策
② 代理店を取り巻く外部的な競争要因の整理と対応策の検討
③ 代協正会員実態調査の「代理店の声」を踏まえた意見交換
④ 代理店の目指す方向性と職業魅力の向上
⑤ 活力ある代理店制度の構築に向けて
また、特別編として、「東日本大震災と代理店の存在価値」についても事務局にて整理を行い、報告書に 付記した。
■平成23年度〜平成24年度の内容
平成19年度から継続した論議により、制度問題に関する主要な論点の課題については、一応の整理ができ たので、平成23年度からは、代理店の成長、発展を実現していくことを目的として保険会社、代理店双方の 立場から意見交換を行い、一定の方向感を共有していくこととしている。
なお、平成23年度は、保険会社とともに東日本大震災対応を最優先にしたため、活力研開催は下期1回の み(プロ代理店の経営指導も行っているブレインマークス・安東社長との論議)となった。平成24年度も引 き続き同趣旨で論議を継続し、提言にまとめていく予定である。
■活力研セミナーの開催
活力研の論議内容について、各代協の役員や会員に理解を深めていただく場として、平成22年度から「活 力研セミナー」を開催し、情報の共有化に努めている。
平成22年度は10場所、23年度は22場所、24年度は(現時点で)6場所での開催が済または予定されている。
実施要領は、以下の通り。
・内 容:平成19年度〜 22年度の論議内容を解説する ・実施単位:ブロック、代協単位(遠隔地は支部単位も可)
・講 師:会長、副会長、企画環境委員長が担当
・費 用:実施場所単位で@10, 000円のみ負担(講師料なし、交通費等は日本代協負担)
・資 料:統一レジメを使用(事務局から一括送付)