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第 4 章 過労死等の防止のための対策の実施状況

第 2 節 啓発

9 公務員に対する周知・啓発等の実施

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9 公務員に対する周知・啓発等の実施

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意識啓発など職員の心の健康づくり対策に重点的に取り組んでいる。平成 27 年1月には、職 員がセルフケアに関する知識を身に付けるための自習用の研修教材を作成し、全府省に配布 し、平成 27 年 12 月には、心の不健康な状態を未然に防止することを目的としたストレスチ ェック制度を導入した。

内閣官房内閣人事局では、各府省の管理監督者に対し、メンタルヘルスケアに関する知識 を習得させるとともに、職員が心身ともに健康で安心できる職場環境づくりの取組や職場に おけるメンタルヘルスケアの一層の推進に資することを目的として、1年間に全国6ブロッ クで各1回、メンタルヘルスセミナーを行っている。さらに、業務多忙や遠隔地官署勤務等 の理由により研修やセミナーを受講できない各府省の新任管理職員に対し、メンタルヘルス に関する知識の習得並びに理解の徹底を図るため、e-ラーニングによる講習を行っている。

平成 27 年度には、メンタルヘルス講習のうち、ラインケアのコースは約 4,000 名、相談対応 方法のコースは約 5,000 名を対象として実施した。

ウ 国家公務員のパワー・ハラスメント対策について

人事院では、いわゆるパワー・ハラスメントの防止に役立てることを目的に、裁判例や苦 情相談事例等を参考に、「「パワー・ハラスメント」を起こさないために注意すべき言動例(平 成 22 年職職-1)」を作成し、各府省に対して、職員に周知するとともにその防止に努める よう通知している。また、平成 27 年7月には、職員一人ひとりがパワー・ハラスメントの防 止等についてより一層認識し、パワー・ハラスメントを受けた場合には、一人で悩まずに相 談できるように、パワー・ハラスメントの概念、なり得る言動、相談例、相談先等を紹介す る『パワー・ハラスメント防止ハンドブック』を作成し、全府省に配布した。

内閣官房内閣人事局では、業務多忙や遠隔地官署勤務等の理由により研修やセミナーを受 講できない各府省の新任管理職員に対し、ハラスメント防止に関する知識の習得並びに理解 の徹底を図るため、e-ラーニングによる講習を行っている。平成 27 年度には約 4,000 名を 対象として実施した。

(2) 地方公務員に対する周知・啓発等の実施

ア 一般職員等に対する取組

総務省では、全国的な会議や各種研修会等において、過労死等防止対策のみならず、安全 衛生管理体制の整備やメンタルヘルス対策等の労働安全衛生全般について、各地方公共団体 に対して、助言等を実施している。

イ 教職員に対する取組

教員の勤務時間については、文部科学省が平成 18 年度に実施した教員勤務実態調査注1)

において、教諭の残業時間は1か月当たり、約 42 時間という結果が出ている。国際的な比較 としては、平成 26 年に6月に公表されたOECD国際教員指導環境調査注2)では、日本の教

注1) 調査期間は平成 18 年7月3日から平成 18 年 12 月 17 日までで、28 日間ずつ6期に分けて実施。全国の公立小・中学校 のうち、地域・学校規模のバランスを考慮して無作為に抽出した学校(小学校 180 校、中学校 180 校)×6期を抽出し、毎 月調査対象校を変更(1校の調査期間は1月間のみ)。調査対象は、校長、教頭、教諭、栄養教諭、養護教諭、講師(常勤)。

注2) 学校の学習環境と教員の勤務環境に焦点を当てた国際調査(調査時期は平成 25 年(2013 年)2月中旬~3月中旬)。調 査対象は,中学校及び中等教育学校前期課程の校長及び教員であり,1か国につき 200 校,1校につき教員(非正規教員を 含む)20名を抽出。日本の参加状況は,全国 192 校,各校約 20 名(校長 192 名,教員 3,521 名)。国公私立の内訳(参加 校に所属する総教員数における割合)は,国公立校が約 90%,私立が約 10%。

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員の1週間当たりの勤務時間は参加国中で最長となっている。

また、平成 26 年度中に病気休職処分となった教職員は 8,277 人で、そのうち精神疾患によ る病気休職者数は 5,045 人(全教職員数の 0.55%)と平成 19 年度以降、5,000 人前後で推移 している(平成 26 年度公立学校職員の人事行政状況調査)。

さらに、平成 21 年度から平成 25 年度の間で、脳・心臓疾患、精神疾患等に係る公務災害 認定を受けた地方公務員の約3割が学校職員となっている。

こうした状況を踏まえ、文部科学省としては①労働安全衛生体制等の整備促進、②学校現 場における業務改善の取組の促進等に取り組んでいる。

労働安全衛生体制等の整備を進めるため、具体的には、教員が働きやすい職場環境の整備 についての調査を隔年で実施し、当該調査結果を参考に、労働安全衛生法に基づく労働安全 衛生体制の整備を推進している。また、平成 27 年 10 月には、衛生管理者や産業医等の選任 を要するものの一覧など、労働安全衛生管理の基礎的な知識や体制整備の方策等を記載した リーフレットを各教育委員会等に対して配布している。

メンタルヘルス対策についても、平成 25 年3月に文部科学省が取りまとめた「教職員のメ ンタルヘルス対策について(最終まとめ)」に基づき、本人による「セルフケア」や管理職等 の「ラインによるケア」といった予防的取組や、休暇取得から職場復帰までの段階に応じた 復職支援等を推進している。また、平成 26 年に労働安全衛生法が改正され、平成 27 年 12 月からストレスチェック制度が学校に対しても導入されたことを受け、ストレスチェック結 果を踏まえ、必要に応じて医師による面接指導を実施するなど、教職員のメンタルヘルス対 策及び労働安全衛生管理体制の更なる充実の推進に取り組んでいる。

学校現場における業務改善の取組としては、平成 27 年7月に、業務改善のための基本的な 考え方と改善の方向性、実践事例等について取りまとめた「学校現場における業務改善のた めのガイドライン」を公表した。本ガイドラインにおいては、業務改善について、「校長のリ ーダーシップによる学校の組織マネジメント」、「教員と事務職員等との役割分担など組織と しての学校づくり」、「校務の効率化・情報化による仕事のしやすい環境づくり」、「地域との 協働の推進による学校を応援・支援する体制づくり」、「教育委員会による率先した学校サポ ートの体制づくり」の5つの基本的な考え方と方向性について整理するとともに、先進的な 取組を行っている自治体の実践事例や、国における業務改善推進のための支援策などを盛り 込み、本ガイドラインを活用した学校現場の業務改善を推進している。

ウ 警察職員に対する取組

平成 26 年2月に「組織的な健康管理対策の推進について」と題する通達を発出し、「長時 間勤務者に対する医師による面接指導の申出をしやすい環境の整備・改善」、「超過勤務を縮 減するための取組」、「年次休暇等の取得の促進」、「事務の合理化・効率化」等、長時間勤務 による健康障害防止対策を推進するよう指示している。さらに、全国会議等で超過勤務縮減 のための各種施策を講じるよう指示している。これらに基づき、都道府県警察において超過 勤務縮減等の各種施策を実施している。

また、平成 27 年 11 月には都道府県警察における過重勤務対策推進状況(面接指導実施件 数等)を調査集計の上、通知している。

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