ア ラザ ン
金 色の折 り 紙 100
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 9 8 7 6 5 4 3 2 1
アル ミホイ
500円
硬 ル貨
Figure 5
設問ごとにルール を適用 して解答 した学習者数(%)電気 を通 す か ど うかが明 らかで ある と思われ る事例 皓1り 箸
,ア
ル ミホイル,5
00円
硬 貨)に対 して は,す べての学習者(32人)がル ール を適用 して解 答 してい る。 しか し,電
気 を通 す か疑 わ しそ うな事例 に対 しては,ア
ラザ ン37.5%(12
人),金色 の折 り紙
28.1%(9人
)の学習者 しかル ール を適用 して解答 していない。また
,ア
ラザ ンや金色 の折 り紙 については,そ
れ ぞれ 「チ ョコ レー トなので,電気 を通 さない」(発話 9)や 「紙 なので
,電
気 を通 さない」(発話 17)と い う特割 り箸
徴 的 な発 話 が見 られ る。 これ らの こ とは
,学
習者 が 「食 品 の材料 」や 「紙 の材 料」 と 「電気 を通 さない もの」 とい う概 念 間 に誤 つた連合 関係 を築 いて い ることを示 唆 してい る
bま
た,多
くの学習者 に とつてア ラザ ンが電気 を通す とい う 意外 な結果 か ら,金
色 の折 り紙 も電気 を通す か も しれ ない とい う考 えが生 じて い る(発話 11,12)。 これ は,先
行概 念 に基 づ く予想 が誤 つてい るか も しれ ない とい う覚悟 が形成 され た と言 える。 この よ うに,こ
の段階 にお いて,様
々な考えが表 出 してい る ことは
,先
行概念 と科 学的概念 の相 互交渉 が活 性化 している 結果 と考 え られ る。33
4.ル
ール に基 づ く予想の段 階この段 階 のお け る授 業 での対話 を Table1 7に 示す。
Table 17
ルールに基づく予想の段階での対話水銀 ナ トリウム,カルシウム
,マ
グネシウムは,電気を通すでしょうか,通
さないで しょう力、 予想変 えたときはその理由,予想は同 じでも根拠が変わったときはその根拠を記入 しま しょう。lC
どんなんやったっけ。2C
ナ トリウムどんなんやつたっけ。3T 下応, 1つずつ見ていこう力、 もつぺんね。水 銀 これだつたれ
伴 習者の視線が水銀 に向く)
4T
よく見 ると自分の顔が映つてる。鏡みたいだ。徽 師はナ トリウムをプ ロジェクターで提示す る)
5C
オイルで光 つてる。鰤 はナ トリウムをカ ッターナイフで切 り,オイル のついていない部分を改めて提示 し
0
6C
傲 師は紙ヤス リでマ グネシウムの表面をみがい―
0 7C
うお―。徽 師はカルシウムの粒 をグループごとに配布 し,紙 ヤス リでみが くよう:理し
0
8C
光つてる。□内は主発問,Tは教師の発託 Cは学習者の発話 を示す
この段階 では
,「
どん なんや った つけ」(発話 1)か ら,授
業 内での教師 と学習者 のや りと りが始 まってい る。この発話 は,次
の発話(発話2)か
ら「ピカ ピカ光 つ てい るか ど うか」 を尋 ねてい る と考 え られ る。つ ま り,学
習者 の意識 は,物
質が ピカ ピカ光 つてい るか ど うか に向いてい る と言 え る。 そ の証拠 として
,ナ
トリウム をカ ッターナイ フで切 つた ときの切 断面 を見 た ときの反応(発話 6)やカ ル シ ウムの粒 を紙 ヤス リでみがいた ときの反応(発話 8)が あげ られ る。ま た,マ
グネ シ ウムの表面 をみがいた後 の反応(発話 7)も
,「
うぉ―。光 つてい る」 とい うよ うな反応 で あ る と考 え られ る。次 に
,ル
ール教示前 と教示後 で,水
銀,ナ
トリウム,マ
グネ シ ウム,カ
ル シウムが 自信 を持 つて電気 を通す と予想 した学習者 の割合 の変化 を調べた。 その 結果 を
Figure6に
示す。34
96.9
m 露
:ご40
ル ール 教 示 前
― Hg ' ・Na Mg
Ca
ル ール教 示 後
Figure 6
電気 を通す と自信 を持 つて予想 した学習者数の変化(%)
ルール 教示後 は
,実
験金 属事例 のすべ ての物質 に対 して,96.9%(31人
)の学 習者 が電気 を通す と自信 を持 つて予想 し直 してい る。この こ とは,「 ピカ ピカ光 る もの」と「電気 を通す もの」とい う概 念 間の連 合 関係 が形成 され,「ピカ ピカ光 るものは
,電
気 を通 す」 とい うルール が受容 され た ことを意 味 してい る。ル ール の読 み取 りの段 階では,「 ピカ ピカ光 るものは
,電
気 を よ く通す 」とい うル ール を一部 の事 例 につ いて受容 で きず,他
の情報 を付加 して先行概念 との 矛盾 を解 消 しよ うとす る傾 向が見 られ た。 それ に も関わ らず,な
ぜ,こ
の段 階 でル ール が受容 され たので あろ うか。 そ の要 因の1つ
と して,ル
ール の読み取りの段 階 で行 つた課題 の配列l頁序 が あげ られ よ う。 具体 的 には言 えば
,こ
の課題 は,アル ミホイル とい う明 らか にル ール の適 用 が可能 な事例(伏見(1995)は 正 知 事例 と呼ん でい る)か ら
,金
色 の折 り紙 とい うル ール の適 用 が疑 わ しい事 例(伏見(1995)は 誤知事 例 と呼 んで い る)へ と
,意
図的 に配 列 さて いた。 この こ と は,Figure5に
示 した教示 され たルール を適用 した解答者 数 の結果 か らも明 ら かで あ る。つ ま り,正
知 事例 か ら誤知事例へ と課題 が配列 され ていた ことに よ り,教
示 され たル ール を受 け入れ る覚悟 が じわ じわ と形成 され ていつた と考 え られ る。 そ れ ぞ れ の物 体 が 電 気 を通 す か 確 か め て い る場 面 で の や り と り(Table16参
照)で,こ
の こ とを裏 づ ける特徴 的 な発話 が見 られ た(発話 11,12)。この
2人
の学習者 は,と もに金色 の折 り紙 は,電気 を通 さない と解答 していた。しか し
,こ
のや りと りの 中で,自
分 た ちの考 えが誤 つてい るか も しれ ない とい う覚悟 が生 じた結果 と して,こ
の よ うな発話 が生起 した と捉 え られ る。0 0 0 0 0 0 9 8 7 6
35
5.実
験 や観察 の段階9つ
の グルー プ に分かれ て,水
銀,ナ
ト が電気 を通す こ とを確 か める実験行 った。成 され ていた。
1つ
の グル ー プ を抽 出 し, 話 をTable18に
不 す。リウム
,マ
グネ シウム,カ
ル シウム グループは男女混合で3〜 4名
で構 グループ内で観察 された実験中の対Table 18
グループ内で観察 された実験中の対話水銀,ナトリウム,マ グネシウム,カ ルシウムが電気を通すかを確かめワークシー ト3に記録しましよう。
1シオ
これつて水銀が重いの。
2サラ
うん。
3シオ
なんか気持ち悪ヤヽ 4シオ
どうやつてやるんこれ 5サ ラ
ここにつけるれ 6ノ ゾ
やつてみ。
(ピカ・ブー・テスターが反応する) 7シオ
=応
,金属 じやないの。8ケン
金属でつながつてる。
(ピカ・ブー・テスターが反応する)
9シオ
つながつた。○じゃなし、
10ケ ン
うん
,○
。 11サ ラ水銀
,○
。12シオ
ナ トリウムは泌 。 13サ ラ
これです。切つてくオ
L
14シオ
切るん。
15サ ラ
押さえて。切 らして〜。
16シオ
うん。押さえとくから。
17サラ
ありがとう。切 ります。みんな切るやろ。
ちょつとずつ。4人がカットできるように。
18シ オ
ズブッていったらいいんちゃうん。
19サ ラ
押さえとってな。
20シオ
やっ成
21サ ラ
そ うそ うそ う。
22サラ
いや〜ん。気持ち悪い。
23シオ
フフフ。
24サ
ラなんか
,あ
めみたいやな。かたい。はい,次の方 どうぞ:切らへんの。
25シオ
切 りたい。切 りたい。
26ケン
あ
,そ
れつてや つた ら鳴るんちゃ うん。27ノゾ 鳴 るん? 28サラ
失礼 します。
29ケン
これ前,鳴つた。
30サラ
え〜。これ鳴 らへんで。ナ トリウム鳴 らな
い 。
(ピカ・ブー・テスターが反応する)
31サ ラ 1鳥つた。
32シオ
こつちやつてみたら。
33サ ラ
さっき鳴ってんで
,今
,一晩(ピカ・ブー・テスターが反応する)
34ケ ン 1島るな〜。それな〜。
35シオ
うん。
36サ ラ
鳴る。か して。や らして。
37シオ
いいよ。
38サ ラ
鳴 らなし、 ぬれてるか らかな。
39シオ
こつち
,そ
っちやってみたら。獨 サラ
さつき鳴ってんで。
(ピカ・ブー・テスターが反応する) 41サ ラ
なんでぬれてるから。
(ピカ 。ブー・テスターが反応す る)
42サ ラ 1鳥つた。
43シオ 1鳥つた。
44サ ラ
マグネシウムそオ
L
45ノ ゾ
準備はオッケー.
46シオ オッケー。
(ピカ・ブー・テスターが反応する)
47サラ
はい,鳴ります。
36
48サ ラ
カルシウムどれ 49ケ ン
こ力
L
50サ ラ
鳴 らないで。
51シ オ 1島らなし、
(ピカ 。ブー・テスターが反応す る)
52ノゾ
違 う違 う違 う。これとこれがあつてるか ら。
53サ ラ
うん。鳴 らへんねん。
54ケ ン
もうちょつと削ってみる。
(ピカ・ブー・テスターが反応する)
55シ オ 微妙に鳴る。
(ケンがカルシウムを削り始める)
(ノゾとシオはナ トリウムを切 り始める)
56ノゾ
気持ち悪υヽ
57シ オ
ほんま簡単に切れる。
58ケ ン
なんか, ピカピカ光つてきた。
(シオとサラは水銀を手にする)
59シ オ
まってよ。
60サ ラ
こつちきて。
(ピカ・ブー・テスターが反応する)
61シオ
お―通る。
62シ オ
おもしろし、 なんた こオЪ 63サ ラ
これも。
64ノゾ
何 してんね―。
65シオ
これ針やん。
66サ ラ
ここでとれてるやんなこ。
67シオ
うん。
レ ンはカルシウムを肖Jり終える)
68ケ ン
これ,もう1回やって。
69ノ ゾ
鳴 らへん。
70り‐ラ
鳴 らへん。
89シオ
はさんだら鳴るよ。
90シオ
こっすたやつは,結構,と くに鳴 りやすか つた。
91サ ラ
鳴 らないよ。
92ノ ゾ
交代 しよ。
93シオ
もう1回 はさんで。
(ピカ・ブー・テスターが反応す る)
94サ ラ
ほんまや,はさんだら鳴る。
95ケ ン
ほんまや,はさんだら]鳥るんや。
(ピカ・ブー・テスターが反応する)
71シオ
あ,鳴った。
72ノゾ 1鳥つた。
‐
73シ オ
こつちじゃなし、 よつしゃ。
74シオ 鳴らへん。鳴 らへんヽ
(ピカ・ブー・テスターが反応する)
75シ オ ]烏った。
76サ ラ
なにそれ。
(ピカ・ブー・テスターが反応する)
77シオ 1鳥ってるんじゃないん。鳴ったけども。
78シ オ
はさんだ方がや りやすいかな。
(ピカ・ブー・テスターが反応する)
79シオ
(ピカ 。ブー・テスターが琳 する)
80シオ 1鳥ったで〜。
81ケ ン 鳴った? 82シオ 1鳥った。
83サ ラ
カルシウムか してよ〜。
84シオ
鳴るでそ力
%
86サラ
これ鳴った。
86シオ
はさんだ方が鳴るかも。
87ケ ン
もう1回 こすろう。
88サラ
はさんだらいいねんな〜。
□内は主発間を示す
ノ ゾ を 除 く3名 は
,ル
ー ル に 基 づ く予 想 の段 階 で,実
験 金 属 事 例 の それ ぞ れ の 物 質 が 自信 を持 っ て 電 気 を通 す と予 想 し,こ
の実 験 に 臨 ん で い る。 ノ ゾ は,す
べ て の物 質 につ い て 電気 を通 す と予 想 して い るが
,そ
の 予 想 に 自信 を も て ないまま
,こ
の実験 を行 って い る。ピカ・ ブー 0テ ス ター を用 いて
,水
銀 とマ グネ シ ウムは容易 に電気 を通す こ とを確認 で きた よ うで あるが,ナ
トリウムは,ピ
カ・ブー・ テ ス ターが反応 し た り,反
応 しなか つた りしてい る。 また,カ
ル シ ウムは, ピカ・ ブー・ テスタ ー がまつた く反応 せず,こ
の グルー プは,ナ
トリウム とカル シ ウムが電気 を通 す か ど うかにつ いて結論 を出せ ず にい る。ル ール に基づ く予想 を行 つて いなけ れ ば,こ
の時点 で,ナ
トリウム とカル シ ウムは,電
気 を通 さない と結論 づ けた か も しれ ない。しか し
,ナ
トリウム とカル シ ウムの電気伝 導性 をす ぐに否定す ることはなか つた。 なぜ な ら,こ
のグル ープ の3名 は,ナ
トリウム とカル シ ウムが電気 を通 す こ とに 自信 を持 つてい るか らであ る。 したがつて,電
気 伝導性 を確認 できるよ うに工夫 しなが ら実験 を継続 してい る。
ナ トリウムは
,非
常 に反応 性 の高 い物質で あるた めに,流
動パ ラフィン 内で保存 して いる。 そ のため
,表
面 が流動 パ ラフ ィンで ぬれ た状 態 になつて い る。この グル ープのメ ンバータ特 にサ ラは
,ナ
トリウム のぬれ てい る部分 に ピカ・ブ ー・ テ ス ター の電極 をあてて い るので
,電
気 を通 さない と考 えてい る(発話38,41)。 そ こで,表面がぬれ ていない部分 を探 し,そ こに電極 をあて るこ とで, ナ トリウムが電気 を通す ことを確認 してい る。
また
,カ
ル シ ウムは表 面が酸化 してお り,金
属光 沢が見 られ ない。そ こで,ケ ンは
,み
が くことを提案 し(発話54),カ
ル シ ウム を紙ヤス リでみ が き始 めた。ケ ンは光 沢がでて きた こ とを確認 して(発話 58)。 み が き終 える と
,光
沢 の出たカル シ ウムを用 いて電気伝 導性 を確認 す るこ とを提 案 してい る(発話 68)。 その 後 も
,ピ
カ・ ブー・ テス ター は反応 した り,反
応 しなか った りす るので,シ
オが電極 の あて方 を工夫す るこ と(発話
78,79,86,89,93)を
提案 してい る。 その提 案 にメ ンバ ー も賛 同 し(発話 88,94,95),そ の方法 を用いて カル シ ウムが電気 を 通す こ とを確認 で きた。38