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第5章 健康を支える環境づくり

1節 すこやか親子の推進

核家族化、少子化、働く女性の増加など子どもと家族を取り巻く環境が大きく変化する中 で、安心して子どもを産み、子どもがより健やかに育まれるためには、保健、医療、福祉及 び教育機関等各分野の連携を図りつつ、切れ目ない母子保健の充実が重要です。

育児に関する不安や悩みが少しでも軽減され、良好な親子関係を積み重ねながらゆとり を持って楽しく子育てができるよう、全ての子どもが健康で個々に応じた成長ができるた めの知識の普及と適切な関わりの啓発を推進します。

(1) 妊娠・出産期の保健

妊娠期を健やかに過ごし安全な出産ができることが、生涯を通じた健康の出発点であるこ とから、妊娠期からの健康づくりが、子どもが健やかに成長する上で重要なものとなります。

このため、母体の健康保持と胎児の健全な発育に十分気を配ることが大切です。

また、妊娠と出産について学び、正しい知識を身につけ、考えることも必要です。

① 【 現状 】

妊娠届の届出時期をみると、妊娠20週以降に届け出る割合が増加傾向にあります。

本市では、届出の際に適切な妊婦健診の受診を促すとともに、専門職が面接をし、健やか な妊娠の継続と分娩時のリスクを低減させるための相談、指導等を行っています。

届出が遅れると、必要な保健指導や健診が適時に受けられないなど、妊婦や胎児への影響 が考えられるため、妊娠がわかったらすぐに届け出る意識の啓発が必要です。

(妊娠届より)

94.6 93 93.6 94.3 96

92.4 92.4

4.4 5.4 5.3 5.7 2.4

5.7 4

1 1.6 1.1 0

1.6 1.9

3.6

80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 100

H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26

(%)

(年度)

妊娠届の届出時期の割合

11週以内 12~19週 20週以降

両親学級への初産婦の参加率をみると、平成24年度から減少傾向にあります。

お産をする医療機関等でも産前の母親学級を行っていますが、本市では特に、妊娠期か らの健康づくりを学ぶための調理実習や、父親の育児参加を促すための沐浴実習を取り入 れています。

妊婦、特に初産婦は、妊娠出産に対し様々な不安を感じます。そのため、妊娠期から心 身ともに健康的な生活をおくり、安心して出産、育児に臨めるよう支援することが必要で す。

(「東御市保健衛生」より)

低出生体重児(出生時の体重が 2,500g未満の児)の出生状況をみると、その数、割合 とも増加傾向にあります。

低出生体重児の要因としては、妊娠期間中の喫煙(受動喫煙)や妊婦のやせ傾向等が挙 げられます。低出生体重児は将来、生活習慣病を発症しやすいといわれることから、妊娠 期の健康管理や保健指導、胎児の健全な発育に関する知識の普及が必要です。

(「東御市保健衛生」より)

52.6

73.8

56.7

42.9

0 20 40 60 80 100

H23 H24 H25 H26

(年度)

両親学級への初産婦参加率

14

18

16 16

19

5.9

7.4

6.7 6.5

8.5

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

H22 H23 H24 H25 H26 (年)

低出生体重児の出生状況

妊娠中の喫煙率と飲酒率の状況をみると、喫煙率は 3%前後で推移しており、飲酒率は 減少傾向となっています。

喫煙や飲酒は、流産、早産、低出生体重児等の発生要因であり、胎児の発育に悪影響を 与えます。また、出産後の喫煙、飲酒も母乳の分泌に影響し、乳児の健康を害する恐れが あります。

妊産婦の喫煙と飲酒の影響について正しく理解し、母子双方の健康を守る意識が必要で す。

(新生児訪問データより)

本市では、不妊及び不育症に悩む夫婦の負担を軽減するため、それらの治療に対する補 助を実施しており、不妊治療費補助の交付件数は増加傾向にあります。

妊娠、出産は、両性の望みに基づき次の世代を育むものですが、望みどおりになるとは 限りません。妊娠、出産を望む夫婦を支援する事業の周知が必要です。

また、安心・安全な妊娠、出産を迎えるためには、思春期(学齢期)から生について学 び、考え、お互いの価値観を尊重しつつも自己決定能力を高める機会(思春期保健)が必 要です。

② 【 課題 】

・妊娠がわかったときから、出産のリスクを低減させる意識の醸成が必要です。

・低出生体重児の出産を予防するための正しい知識(生活習慣・食習慣の改善)を学習 することが大切です。

・妊産婦の喫煙及び飲酒をなくすことが必要です。

・両親学級初産婦参加率を高めることが必要です。

・不妊、不育症治療補助に関する情報周知が必要です。

・母子に対するサービスは多くの関係機関で行われているため、有効な支援のためには 連携が必要です。

2.7 3.4

3.1 3.4

3.1 2.8 2.9

1.7

0.5 0.9

0 1 2 3 4

H22 H23 H24 H25 H26 H22 H23 H24 H25 H26

喫煙率 飲酒率

(年度)

妊娠中の喫煙率と飲酒率の推移

③ 【 取組みの方向 】

個人

・妊娠がわかったら早期に届出をします。

・低出生体重児の出産を予防するため、正しい知識を学び、取り組みます。

・妊産婦は、喫煙や飲酒による母体、胎児、乳児への影響を理解し、健康管理を行いま す。

行政

・妊娠届出時に十分な情報提供を行い、安全な出産ができるように支援します。

・継続的相談ができるよう、妊娠届出時には保健師が面接します。

・参加しやすい両親学級を開催します。

・妊娠期の適正な体重増加、健康的な食習慣や食の選択について学習の機会を設けます。

・安全安心な出産ができるよう医療機関、関係機関と連携します。

・不妊症、不育症補助事業を継続します。

・思春期保健を実現するために、教育機関等と連携します。

・母子保健事業における連携体制の充実に努めます。

④【 目標 】

評 価 項 目 現 状 値 目標(H31) 目標の考え方 全 出 生 数 中 の 低 出

生体重児の割合

8.5%

(H26出生届出から)

増加の抑制 県計画(H29)に準 ずる

妊娠 11 週以下での 妊娠届出率

92.4%

(H26妊娠届より)

100% 県計画(H29)に準

ずる 妊娠中の喫煙率 3.1%

(H26新生児訪問データより)

0% 県計画(H29)に準 ずる

妊娠中の飲酒率 0.9%

(H26新生児訪問データより)

0% 県計画(H29)に準 ずる

両 親 学 級 初 産 婦 参 加率

42.9%

(H26保健衛生より)

60% 市

まち・ひと・しごと 創生総合戦略の目

標値 60%(H31)

に準ずる

(2) 乳幼児期の保健

ゆとりを持って健やかに子育てすることは、子どもの情緒や心の健康に大きな影響を与え ます。愛着形成は、基本的人間の信頼関係の根本であり、乳幼児期に確立する必要がありま す。昨今は、核家族化や地域のつながりの希薄化により、育児について親が孤立しやすい状 況にあります。相談しやすい場所づくりや正確な育児情報の発信が必要となります。

① 【 現状 】

生後4か月までの新生児訪問の状況をみると、概ね95%以上の家庭を訪問することがで きています。訪問できなかった家庭に対しては、4か月健診にて状況確認しています。

新生児訪問時、育児中の相談者の有無について確認し、安心して育児に取り組めている かなど、育児環境について聞いています。

母親からの聞き取りの中で、子育てについて相談できる人がいない親が3%から5%いま す。全ての親が相談できる環境づくりが必要です。

(新生児訪問データより)

241

217 222

6

3

3 96.6

94.3

96.3

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100

200 210 220 230 240 250

H24 H25 H26

(年度)

生後4か月までの新生児訪問の状況

訪問件数 未訪問数 子育てのことを相談できる人がいる

産後うつの傾向にある産婦(1EPDSで9点以上)の割合をみると、国と比較すると高 い傾向にあります。良い育児環境のために産後うつの早期発見と予防が必要です。

出産後3か月までは産後うつの好発時期に当たるといわれています。産後うつは、発 見と治療が遅れると育児能力が低下し、家庭生活にも大きな影響を及ぼしかねないので、

新生児訪問に併せて母親のうつ傾向の有無を確認しています。

(新生児訪問データより)

母子保健法では、母性並びに乳児及び幼児の健康保持増進のために、1歳6か月児及び 3歳児の健康診査、保健指導を行うよう規定しています。本市では、他にも独自に、発達 の節目である4か月児と10か月児、2歳児の健診を実施しています。

乳幼児健診受診率の推移をみると、2歳児健診以外は94.0%以上の横ばい傾向にありま す。

(「東御市保健衛生」より)

1 EPDS:エジンバラ産後うつ質問票(Edinburgh Postnatal Depression Scale)のこと。

母親に回答してもらい、9点以上の得点があると産後うつが心配されます。

15.8

10.8

15.0 12.8

10.3

9.0

0 5 10 15 20

H17 H21 H25

EPDS 9点以上の割合

80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 100

H 2 2 H 2 3 H 2 4 H 2 5 H 2 6

(

%)

(年度)

乳 幼 児 健 診 受 診 率 の 推 移

4か月 10か月 1歳6か月

2歳 3歳

乳幼児健診後の相談や支援の必要な母子の状況をみると、増加傾向にあります。

相談内容は多様となっていて、健やかな成長のために、小児科医(児童精神科医)・心理 発達相談員・言語聴覚士などの専門家に相談できるよう機会を作っています。

本市の専門家の相談件数の状況をみると、心理発達相談員(2人)は平成26年度延べ54 件、言語聴覚士は平成26年度述べ33件、小児医(児童精神科医)は平成26年度延べ21 件で年々相談件数が増えています。

(乳幼児健診データより)

(「東御市保健衛生」より)

43 64

119

82

308

59 88 109

46

302

72 68

122

85

347

70 101 141

89

401

0 50 100 150 200 250 300 350 400 450

4か月 10か月 1歳6か月 3歳 合計

(年度)

乳幼児健診後の支援児数

H23 H24 H25 H26

58

26

11

95

41

29

15

85 54

33

21

108

0 20 40 60 80 100 120

心理相談 言語相談 発達相談 合計

(年度)

心理・言語・発達相談の状況

H24 H25 H26