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4. プロジェクト実現に向けた調査

4.3 日本技術の優位性

4.3.3 個別の機器の低炭素化

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パルパーの動力のうち大きな割合を占めるのが、図の中心部にあるヘリックス・パルパー(Helix Pulper)

と呼ばれる装置である。ヘリックス・パルパーの内部の底は、投入された段ボール古紙原料の未離解片を 効率的に回流し離解するように設計された G 型タブと、強力な回流を発生させるヘリックス・ローターとから なる。

このうちヘリックス・ローターは、今回導入予定のものは第3世代である。以下、第1世代から順に技術の 変遷を説明する。Fajar社の旧ラインには、5 年ほど前に第 1 世代が導入されている。回転する羽根が強 い回流を生じさせることで、原料との接触時間を増やし、練り(デフレーキング)の効率性を強くする仕組み がされている。羽根にはストレーナーと呼ばれる網がついている。回転する羽根の下にはローターがあり、

ストレーナーとローターの間で原料がすりつぶされる仕組みになっている。ローターは小さいが、エネルギ ー効率は高い。

図 31 ヘリックス・ローター第1世代(Fajar社導入済み)

図 32 ヘリックス・ローター第2世代(Fajar社導入済み)

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図 33 ヘリックス・ローター第2世代での流体分析

次に上図のヘリックス・ローター第2世代は、2013年度にFajar社に導入されたばかりであり、その省エ ネ性能をモニターしてもらっている段階にあり、今のところ評価は上々である。アタック羽根、ポンプ羽根、

取り換え可能なデフレーキング羽根の三つが組み合わされているのが最大の特徴である。アタック羽根で 最初の一撃を原料に与え、ポンプ羽根で強い回流を生じさせて下側のローターに原料をすぐに当て、さら にデフレーキング羽根でローターとストレーナー表面との間のすりつぶし効果を高めている。

そして今般導入が予定されているヘリックス・ローター第3世代は、既に日本の国内工場では導入されてい るものであり、特許も取得済みである。下図の通り、アタッキング羽根そのものの刃先が曲折していることに より、回流を生じる力をさらに強くしてある。その他バッフルプレートやデフレーキング羽根の部分にも細か い改良が加えられている。

さらに、第3世代のストレーナーでは穴が増え、ごみを通さないようにするだけでなく、ストレーナーとロータ ーとの間のすりつぶし効果を高めている。他社製のストレーナーは径 15mm と想定されるが、導入予定の ストレーナーは9mmと細かくなっている。ストレーナー径を小さくし、ストレーナーで異物をできるだけ除去 することで、後工程での粗選スクリーニングに使われる動力が少なくて済む。なお日本国内では、そもそも 投入される段ボール古紙に混入している異物が少ないため、径4.5mmのものが使われている。

図 34 ヘリックス・ローター第3世代

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図 35 ヘリックス・ローター第3世代に使われるストレーナー

次に Gタブであるが、これは水平方向にはGの字をした回流を、垂直方向には同心円状の回流を生じ させることからそう呼ばれている。ヘリックス・ローター第 3 世代は、動力が少なくて済む。通常は動力が少 ないと処理量も少なくなるのだが、同じ動力でも処理量がほぼ一定に保たれる程度にまでGタブの効率性 が優れている。

図 36 ヘリックス・パルパーに使われるGタブと流体シミュレーション

以上より、ヘリックス・パルパーは、ヘリックス・ローター第 3世代と Gタブとがあいまって、ヘリックス・ロータ ー第1世代のパルパーに比べて2割ほど動力原単位が優れており、したがって2割ほどの省エネにつな がっているといえる。

2)フラクショネーター工程

フラクショネーター工程は、機器としてはクリーナーとフラクショネーターとからなる。パルパーで処理され た原料はクリーナー工程に送られる。ここでは、パルパーで作った減量中から、水よりも重い異物、具体的 には石や砂状のものを比重分離により除去する。できるだけ異物を除去することで、後工程の消耗品の寿 命が伸び、ポンプ動力の削減により全体としての省エネを実現することができる。前述したとおり、システム 全体の基本仕様として、従来型では高濃度(H.C.)、中濃度(M.C.)、低濃度(L.C.)の3段階のクリーナー が配置されていたのが、新しいラインでは高・中濃度、低濃度の 2 段階で済む設計になっている。濃度が 低いほど、繊維も細かいため、より細かい異物が除去できるクリーナーである。

クリーナーは、下記写真のように 5m ほどの高さの筒状のものである。模式図の真ん中にある漏斗のよう な形状をしたサンドトラップによって、砂状の異物を粗選する。今回導入予定のラインでは、このサンドトラッ プでできるだけ砂を除去するようになっている。

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図 37 高・中濃度クリーナー

フラクショネーターは、原料中の繊維を長いもの(LF)と短いもの(SF)とに分離する。異物除去の効率性 を改善することで、省エネにつながる。

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図 38 フラクショネーター

3)粗選スクリーン工程

フラクショネーターで分離された長い繊維中から、プラスチック等の異物を除去する。下図右下のバスケッ トと呼ばれるドラム状のものの中で、異物を除去する。図からも明らかなように、構造はフラクショネーターと 類似している。

図 39 粗選スクリーン

粗選スクリーン工程では、スクリーンのためのローターが進化していることで性能が高まっている。具体的 には、従来使われていた下図左のGHCローターは、既に他社製品よりも3割省エネの構造をしていたが、

新たなGHC2ローターPowerWaveという商標の波状の突起が表面に施してあり、これによりさらに少ない 動力でGHCローターと同等の性能を発揮できる。Fajar社の旧ラインにおいて、ローターのみGHC2 に 交換し、性能を確認してもらっているところである。

図 40 従来のGHCローター(左)と新しいGHC2ローター(右)

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さらに、粗選スクリーンで分離されたプラスチックから、繊維を分離してプラスチック等の異物のみ、外部 に排出するのが下図のアルファスクリーンである。

図 41 アルファスクリーン

4)低濃度クリーナー工程

中濃度クリーナーでは医師や砂程度のより大きな異物を取り除いたのに対し、低濃度クリーナーでは、

粗選スクリーンで大型のプラスチックを除去した原料中から、ほこりのような重量異物を除去する。下図のよ うに 1.5m ほどの高さの装置が並列配置されているものである。これも、他社製品に比べて原料中の重量 異物を効率良く除去できることから、製品の品質向上だけでなく、後工程の機器摩耗も削減できる。

図 42 低濃度クリーナー

5)精選スクリーン工程

さらに、原料を 0.15mm という非常に狭いスリットを通過させて、異物を除去するのが精選スクリーンであ る。

6)仕上げ・リジェクト処理工程

まずディスクフィルターでは、これまでの工程で原料を処理する際には濃度を1.0%前後まで稀釈する必 要があったが、抄紙機に送る際には再度濃度を4.0%位まで上げる必要があるために必要な脱水のプロセ スに使われる設備である。短繊維用と、長繊維用とがある。

次にポリディスクフィルターは、使用する水は必ずオーバーするが、その水の中に繊維があると資源が失 われることを意味するため、排水から繊維を回収するのに必要な設備である。スウェーデン GL&V 社製品

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を導入予定である。競合他社の Voith 社製品は、フィルターバックが不要で消耗品が無いという特長があ るが、実際はステンレスも摩耗するのでセグメントは消耗品となり、しかも高価であるため、GL&V 社製品の コストパフォーマンスがより良い。さらに、Voith 社製品と異なり、フィルター内部が清掃できるために、中長 期的にはより低炭素につながるといえる。

サンドセパレーターは、文字通り、網を通すことによって、高濃度や低濃度クリーナーで除去された重量異 物から、異物と水を分離するものである。

スクリュープレスは、重量異物以外の原料から分離された異物を焼却するために、30%以上の濃度に脱 水するものである。スクリュープレスは、相川鉄工も製造しているが、当該ラインでは、世界トップクラスの脱 水率を誇る富国工業株式会社製品を使う(下図参照)。円筒状のスクリーンの中にスクリューが設置され、

スクリュー軸が出口に向かって次第に太くなっていることにより 1 ピッチの容積が徐々に小さくなり、原料が 圧縮されるようになっている仕組みである。この圧縮により分離液はスクリーンの穴より搾り出され、下部ろ 液受け皿にて集合されて機外へ排出される。原料排出部にはスプリング(空圧又は油圧)によって押付けら れた出口コーンがあり、脱水ケーキが所定の濃度になると、スクリューによる押し出し力がスプリングによる 押し付け力より勝つ事により、出口コーンが後退して脱水ケーキが排出される(同社HPより)。

競合他社製品は30%程度の濃度に脱水するものだが、富国工業製品は32%程度と、数%の脱水率向上 が見込める。脱水した後の水はプロセスに戻すため、省資源(水)につながる。省エネそのものにはつなが らないものの、キャッシュフローに直結する効率性改善である。さらに、低速運転なので動力が小さく省エ ネにもつながり、騒音や振動の問題が無く据付け架台も簡単な構造である。

図 43 スクリュープレス

ロータリースクリーンシックナーは、スクリュープレスの脱水の補助脱水をする設備である。シックナーもス クリーンも、それぞれ選別するものであるが、穴を通ったものを原料として使うスクリーンに対して、シックナ ーでは、非常に小さな穴を通らなかったものを原料として使うという違いがある。

以上、日本技術の低炭素技術としての優位性として、システム全体の基本仕様による低炭素化、個別の 機器の低炭素化とに分けて記述した。システム全体としては、クリーナーのプロセスを1段階減らし、粗選ス クリーンよりも先にフラクショネーターに送ることで低炭素技術となっている。個別の機器は、日本的なカイ ゼンのプロセスによって相川鉄工が地道に取り組んできた R&D の成果として最新の部品が組み込まれて いることで、動力原単位の改善を通じて低炭素技術となっているが優れていることによる。

また、工程外での低炭素化に間接的につながる点も指摘される。上述の通り、スクリーンシステムが高効 率のため、同じ強度の完成原料を軽量化することができる。ホスト企業が販売する最終段ボール製品は従 量価格であるため、ホスト企業の利益への影響はないが、製品が流通するインドネシア全体では、同じ強 度の段ボールがより少ない紙の使用量で生産されることになり、省資源化のみならず物流セクターにおけ る低炭素化に寄与する。

さらに、低炭素技術という側面以外の日本技術の優位性として、先述の通り、仕上げとりジェクト処理工 程における水の省資源化が特長である。また、フラクショネーター等が競合技術よりもコンパクトな設計とな っているため、工場内スペースの有効活用に貢献すること、ライン全体のFA化により人件費が最低限に抑