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5. JCM 方法論作成に関する調査

5.2 リファレンス排出量の設定と算定、およびプロジェクト排出量の算定

5.2.1 方法論算定式

方法論(案)としては、原単位法(ボール紙 1 トンあたり)を用いて省エネ効果を推計する。本プロジェクト の対象ライン(OCCライン)の電力消費量をモニタリングし、削減量を算定する。

リファレンス電力消費原単位の計算式:

“ECi,m” 既存ラインiにおける月mの電力消費量;

“PPi,m” 既存ラインiにおける月mの紙生産量;

“minimum” over latest 3 years は、直近3年間の年間の値に対するもの;

“minimum” over i は、各既存ラインiに対し、過去3年間を対象に、年間生産量でウェイト付けされた もの。

リファレンス排出量:

“j” は、プロジェクトで新たに導入されたラインを表すサフィックス。

“CEFmEL” は、年y月mにおいて用いられた電力のCO2排出係数。グリッド電力が用いられた場合に は、インドネシアJCM Websiteの直近の値が用いられる。その他のソースの場合には、CEFがその電 力源からの直近 1 年間のデータを元に計算される。複数のソースがある場合には、紙生産量でウェイト をとってその月のCEFを計算する。

プロジェクト排出量:

排出削減量:

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5.2.2 原単位法の利用

中間報告において、システム全体の製造量当りの排出量を見る原単位法については、具体的な削減が 何に起因するものであるかの特定が難しくなるため、なるべく避けるべきという指摘があった。

これは、OCCから出される中間生成物(原紙原料)あたりの排出量をみる原単位法にすべきとのことであ ると理解するが、

・ 本方法論が広く使用されるようになるためには方法論をなるべく簡易にすべきという点

・ 中間生成物のデータ収集が非常に難しい点

・ システム全体の製造量と中間生成物の製造量はほぼ完全に比例する点

(仮に少しずれていても ライン5と新設のライン8のPMラインでの歩留まり率が分かるため、ライン8 のPMラインをリファレンス対象のライン5のPMラインに置き換えて計算することができ、実質OCCの みの改善効果を計算することが可能である点)

から、システム全体の製造量当りの排出量を見る原単位法を採用することとした。

5.2.3 方法論バウンダリーと補助対象バウンダリーの考え方

方法論はOCCライン全体のエネルギー削減を対象として設計している。

一方で補助事業では、OCC ラインの中でも CO2削減に寄与する機器のみ(原料処理設備用機器および 計装機器)を補助対象としており、OCC ラインを完成させるために必要な建屋やクレーン、その他の汎用 部品等は除外している。

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5.2.4 BAUおよびリファレンスシナリオの考え方

何をBAUとおき、何をレファレンスとおくかは慎重な議論が必要とされる。

本プロジェクトのような既存工場へのライン新設の場合、レファレンスもしくは BAU の電力エネルギー原単 位の設定方法として、企画書作成時は以下の3つの選択肢を想定していた。

1. 同国全体の同種規模ラインで、近年(たとえば最近 5 年間に)操業を開始した段ボール原紙 の製造工場における原単位を調査し、その中で原単位のよい(たとえば、上位 20%に位置 するケースの平均など)工場ラインの原単位を採用

2. 導入にあたって複数業者から提案がある場合には、その中で収支が最も優れているケース のエネルギー消費原単位を採用

3. 過去の同社の(複数の)ラインの実績から、何らかの方法で算出(例えば、最も効率のよいラ インの原単位を採用等)

1.については、製紙工場におけるエネルギー原単位は、ある種の秘密情報であり、他社の工場のデータ を取得するのは実質不可能に近い為、困難であることが判明した。

2.についても、基本的には秘匿情報であり、今回のFajar社の件では、仮に運よく競合他社のデータを

得られたとして、方法論として、同方法で算定することを必須とした場合、第2、第3のプロジェクトでデータ が取得できず、行き詰まる可能性があると考える。

よって、本方法論では過去のFajar社のライン実績からBAUおよびリファレンスを算出することにした。

なお、過去のデータを利用する妥当性については、企業は、同じ運用技術と実績のあるパフォーマンスを 持つシステムを選択することが自然であるという仮定に基づいている。

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<BAUシナリオの設定方法>

BAUシナリオとは、「二国間クレジット制度の最新動向」(日本政府)において、「ホスト国における提案プ ロジェクトと同等のアウトプット又はサービスを提供する場合のもっともらしい排出量」と定義されている。

前述したように、企業は、同じ運用技術と実績のあるパフォーマンスを持つシステムを選択することが自 然であるので、増設の場合は、既設のラインの状況の整理を行った上で、適切な比較対象(BAU)を探す 必要がある。

比較対象(BAU)は、通常は、保守性の原則を考慮した上で以下の条件に合う対象を探す。

 同じ製品種類を作っていること

 新設予定のラインの想定稼働率と同程度であること(多くの場合は、単純に高稼働のものを選べ ばよい)

 稼働年数が比較的新しいもの(保守性の原則から比較的新しいラインを比較対象とすべき)

同じ製品種類は、適格性要件でもうたっている条件であるのと、稼働年数を加味した場合、保守性の原 則からPM5とPM7を比較対象にせざるを得ない。

また、PM5とPM7であれば既に図面があり、再度詳細設計し直す必要がないので、Fajar社としては大 幅なディスカウントが期待できるため、その意味でも、本補助によるディスカウントがなければ、これらと同等 の機器を導入することになるだろう。(なお、この 2 ラインは相川鉄工が納入したものであり、わずか 2 年前 の機器だと、残念ながらそこまでCO2の削減幅は期待できない可能性もある。)

BAU候補が2つあるので、その加重平均をBAUとおくこととする。その場合、BAUのSPEC値は、約

0.161MWh/生産tである。

<リファレンスシナリオの設定方法>

図 48 BAU排出量とリファレンス排出量の違い

出所)二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism (JCM))の最新動向P25

二国間クレジット制度の最新動向では、プロジェクトとリファレンスの違いについて、BAU よりも保守的な 数値設定をするという事以外に、明確な定義はない。つまり何かしらのロジックをプロジェクト実施者が考案 する必要がある。

保守性担保の考え方、すなわち、BAUを割り引いてリファレンスを設定する考え方としては、以下の様な 方法が考えられる。

 平均から標準偏差を引く(マイナス1σもしくは2σ)

 比較対象のラインの中で最もエネルギー効率の良いラインを選ぶ(通常の増設であればここまでエ ネルギー効率の良いラインは再度選ばれることはないとの仮定を置く)

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80 ここでは、後者の考え方を採用する事にする。

上述したように、BAUのSPEC 値は、約0.161MWh/生産tであった。ライン5は約0.144MWh/生産t であり、約12%程度もエネルギー効率が良い。これは十分保守的なシナリオを選定したという事ができるだ ろう。

5.2.5 リファレンス電力消費原単位の求め方

スペック値において、BAU、リファレンスの考え方の整理を行ったと、実際の操業実績データを元に、ラ イン別に下記の計算を行った。

Fajarは適格性要件6に当てはまるので、ライン5の過去3年データを保持している。ここでは、方法論

としてリファレンス「原単位」を、既存ライン中で、過去3年間で最も年次パフォーマンスのよかったデータを 用いることとする。記録が3年分ない場合には、1年もしくは2年のデータを用いる。

電力消費原単位の計算式:

“ECi,m” 既存ラインiにおける月mの電力消費量;

“PPi,m” 既存ラインiにおける月mの紙生産量;

“minimum” over latest 3 years は、直近3年間の年間の値に対するもの;

“minimum” over i は、各既存ラインiに対し、過去3年間を対象に、年間生産量でウェイト付けされたも の。

なお、原単位のスペック値と実際の操業データは異なりは、歩留まりの発生に起因している。製紙工程が 停止する原因のほぼすべては抄造工程の紙詰まり、紙切れに起因しているが、抄造工程が止まって、製品 が製造されない間もOCCラインは動き続ける。よって、歩留まりにより製品生産量が想定よりも少なくなって も、OCCラインのエネルギー使用量は変わらず、結果としてOCCラインの製品当たりのエネルギー原単位 はスペック値よりも悪化することになる。

5.2.6 プロジェクト生産量および電力消費量の求め方

本方法論では、プロジェクト生産量および電力消費量は実測によって求める。よって FSの段階では、ま だCO2削減量を計算することはできない。

しかし、今回のプロジェクトの CO2削減“予測量”についてはライン8のOCCラインの原単位スペック値 を元に、以下の式で計算することが可能である。

ER = RE - PE

={レファレンス電力消費原単位(MWh/ton)-プロジェクト電力消費原単位(MWh/ton) }× プロ ジェクト生産予測量(ton/年)× 電力CO2排出係数(tCO2/MWh)

プロジェクト電力消費原単位の算出においては、ライン 8 のスペック値に歩留まりを加味する必要がある。