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保健

ドキュメント内 高等学校保健体育解説 (ページ 108-119)

第2章 各科目

第2節 保健

1 性 格

少子化や情報化など社会の急激な変化による近年の児童生徒の成育環境や生活行動の変化,国民 の疾病構造等の変化にかかわって深刻化している心の健康,食生活をはじめとする生活習慣の乱れ,

生活習慣病,薬物乱用,性に関する問題など現代社会における健康・安全の問題は多様化しており,

児童生徒のみならず国民すべてにとって心身の健康の保持増進が大きな課題となってきている。

これらの問題に対処するためには,ヘルスプロモ-ションの考え方を生かし,健康に関する個人 の適切な意志決定や行動選択及び健康的な社会環境づくりなどの重要性について理解を深めるとと もに,生涯の各段階における健康課題への対応と保健・医療制度や地域の保健・医療機関の適切な 活用及び社会生活における健康の保持増進について理解できるようにし,心身の健康の保持増進を 図るための思考力・判断力などの資質や能力を育成することが重要である。

「保健」は,これらの健康・安全に関する基礎的・基本的な内容を生徒が体系的に学習すること により,健康問題を認識し,これを科学的に思考・判断し,適切に対処できるようにすることをね らいとしており,生涯を通じて健康で安全な生活を送るための基礎を培う上で中心的な役割を担っ ているものである。

したがって,「保健」の指導に当たっては,ホームルーム活動や学校行事などの特別活動及び総 合的な学習の時間などにおいて,「保健」で身に付けた知識及び資質や能力を生かして課題解決な どに取り組むことができるようにする必要がある。

そのためには,「保健」の指導を進める過程で,健康に関する興味・関心や課題解決への意欲を 高めるとともに,知識を活用する学習活動を重視して,思考力・判断力等を育成することが重要で ある。

2 目 標

個人及び社会生活における健康・安全について理解を深めるようにし,生涯を通じて自らの 健康を適切に管理し,改善していく資質や能力を育てる。

「保健」の目標は,「保健体育」の目標を受けて,これを「保健」の立場から具体化し,学習 指導の到達すべき方向を明らかにしたものである。

「個人及び社会生活における健康・安全について理解を深めるようにし」とは,我が国の疾病 構造や社会の変化に対応し健康を保持増進するためには,ヘルスプロモ-ションの考え方を生か して健康に関する個人の適切な意志決定や行動選択及び健康的な社会環境づくりなどを行うこと が重要であることを理解できるようにするとともに,思春期から高齢者までの生涯の各段階にお ける健康課題への対応と保健・医療制度や地域の保健・医療機関の適切な活用及び環境と食品の 保健,労働と健康など社会生活における健康の保持増進について,個人生活のみならず社会生活 とのかかわりを含めて総合的に理解することを示したものである。

その際,学習の展開の基本的な方向として,小学校においては,身近な生活における健康・安 全に関する基礎的な内容を実践的に理解すること,及び中学校においては,個人生活における健 康・安全に関する内容を科学的に理解することを踏まえ,自我の確立とともに個人にかかわる事 柄のみでなく社会的な事象に対する興味・関心が広がり,自ら考え判断する能力なども身に付き つつあるという発達の段階を考慮し,個人生活や社会生活における健康・安全に関する事柄に興 味・関心をもち,科学的に思考・判断し,総合的にとらえることができるようにすることを目指 したものである。

「生涯を通じて自らの健康を適切に管理し,改善していく資質や能力を培う」とは,個人生活 及び社会生活における健康・安全について総合的に理解することで,現在及び将来の生活におい

て健康・安全の課題に直面した場合に,的確な思考・判断に基づいて適切な意志決定を行い,自 らの健康の管理や健康的な生活行動の選択及び健康的な社会環境づくりなどが実践できるように なるための基礎としての資質や能力を育成することを目指している。

3 内 容 (1) 現代社会と健康

我が国の疾病構造や社会の変化に対応して,健康を保持増進するためには,個人の行動選択 やそれを支える社会環境づくりなどが大切であるというヘルスプロモーションの考え方を生か し,人々が自らの健康を適切に管理すること及び環境を改善していくことが重要であることを 理解できるようにする。

ア 健康の考え方

健康の考え方は,国民の健康水準の向上や疾病構造の変化に伴って変わってきているこ と。また,健康は,様々な要因の影響を受けながら,主体と環境の相互作用の下に成り立 っていること。

健康の保持増進には,健康に関する個人の適切な意志決定や行動選択及び環境づくりが かかわること。

イ 健康の保持増進と疾病の予防

健康の保持増進と生活習慣病の予防には,食事,運動,休養及び睡眠の調和のとれた生 活を実践する必要があること。

喫煙と飲酒は,生活習慣病の要因になること。また,薬物乱用は,心身の健康や社会に 深刻な影響を与えることから行ってはならないこと。それらの対策には,個人や社会環境 への対策が必要であること。

感染症の発生や流行には,時代や地域によって違いがみられること。その予防には,個 人的及び社会的な対策を行う必要があること。

ウ 精神の健康

人間の欲求と適応機制には,様々な種類があること。精神と身体には,密接な関連があ ること。また,精神の健康を保持増進するには,欲求やストレスに適切に対処するととも に,自己実現を図るよう努力していくことが重要であること。

エ 交通安全

交通事故を防止するには,車両の特性の理解,安全な運転や歩行など適切な行動,自他 の生命を尊重する態度,交通環境の整備などがかかわること。また,交通事故には責任や 補償問題が生じること。

オ 応急手当

適切な応急手当は,傷害や疾病の悪化を軽減できること。応急手当には,正しい手順や 方法があること。また,心肺蘇生等の応急手当は,傷害や疾病によって身体が時間の経過

とともに損なわれていく場合があることから,速やかに行う必要があること。

我が国の疾病構造や社会の変化に対応して,健康の考え方も変化するとともに,様々な健康へ の対策,健康増進の在り方が求められている。したがって,健康を保持増進するためには,一人 一人が健康に関して深い認識をもち,自らの健康を適切に管理すること及び環境を改善していく ことが重要であることを理解できるようにする必要がある。また,個人の行動選択やそれを支え る社会環境づくりなどが大切であるというヘルスプロモーションの考え方に基づいて現代社会の 様々な健康問題に関して理解できるようにする必要がある。

このため,本内容は,健康の考え方が変化してきていること,健康の保持増進には健康に関す る個人の適切な意志決定や行動選択及び環境づくりがかかわること,生活習慣病の予防には調和

のとれた生活を実践する必要があること,喫煙,飲酒,薬物乱用などは健康や社会に大きな影響 を与えるので,個人や社会環境への対策が必要であること,感染症の発生や流行には時代や地域 によって違いが見られ,それに対応した対策が必要であること,ストレスに適切に対処すること や自己実現を図る努力が重要であること,交通事故を防止するには適切な行動や交通環境の整備 などが必要であること,及び適切な応急手当により傷害や疾病の悪化を軽減できることなどを中 心として構成している。

(ア) 国民の健康水準と疾病構造の変化 (イ) 健康の考え方と成り立ち

ア 健康の考え方

(ウ) 健康に関する意志決定や行動選択 (エ) 健康に関する環境づくり

(ア) 生活習慣病と日常の生活行動 (イ) 喫煙,飲酒と健康

イ 健康の保持増進と疾病の予防

現 (ウ) 薬物乱用と健康

代 (エ) 感染症とその予防

社 (ア) 欲求と適応機制

会 (イ) 心身の相関

ウ 精神の健康

と (ウ) ストレスへの対処

健 (エ) 自己実現

康 (ア) 交通事故の現状

エ 交通安全 (イ) 交通社会で必要な資質と責任 (ウ) 安全な社会づくり

(ア) 応急手当の意義 オ 応急手当 (イ) 日常的な応急手当

(ウ) 心肺蘇生法 ア 健康の考え方

(ア) 国民の健康水準と疾病構造の変化

我が国の死亡率,平均寿命,受療率など各種の指標を通して健康水準の動向を取り上げ,

科学技術の発達や社会経済の発展に伴って健康水準が向上してきたこと,さらに,疾病構造 が変化してきたことを理解できるようにする。

ドキュメント内 高等学校保健体育解説 (ページ 108-119)

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