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スポーツⅡ(球技)

ドキュメント内 高等学校保健体育解説 (ページ 146-149)

第3章 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い

第3節 スポーツⅡ(球技)

1 目 標

「スポーツⅡ」で取り上げる球技は,それぞれの型に応じた攻防で個人やチームの能力に応じた 作戦を立て,集団対集団,個人対個人で勝敗を競い合うといった特性がある。

球技の専門的な理解と高度な技能の習得を目指した主体的,合理的,計画的な実践を通して,

自己の課題を解決できるようにするとともに,生涯を通してスポーツの振興発展にかかわるこ とができる資質や能力を育てる。

「球技の専門的な理解」とは,類型で例示された中から選択する種目についての成り立ちや変 遷などの歴史や現在のルール,技術の構造及び技能の高め方,技術分析,初心者への指導法,審 判法,球技大会や競技会の開催の仕方やその際の役割分担などについて科学的,社会的,文化的 な側面から教養を身に付けることである。

「高度な技能の習得を目指し」とは,球技の楽しさや喜びを深く味わうとともに,「スポーツ

Ⅱ」の中から自己の能力・適性等に応じて種目を選び,自己やチームの能力を最大限に発揮し専 門的な技術や戦術,作戦を習得し,相手やチームに応じた攻防を展開できるようにすることを目 指すことである。

「自己の課題を解決できるようにする」とは,自己やチームに適した目標や課題を適切に設定 して練習に取り組み,その課題を解決できるようにすることである。

「生涯を通してスポーツの振興発展にかかわることができる資質や能力を育てる」とは,卒業 後においても,「する,みる,支える」といった視点で自己に適した「スポーツⅡ」とのかかわ りを継続することである。

そのため,指導に際しては,専門的な知識及び目的に応じた技能,これらを活用して課題を解 決するための思考力・判断力及び主体的に学習に取り組む態度をバランスよくはぐくむことが重 要である。

2 内 容

(1) ゴール型球技の理解と実践 (2) ネット型球技の理解と実践 (3) ベースボール型球技の理解と実践 (4) ターゲット型球技の理解と実践

本科目の内容は,「(1)ゴール型球技の理解と実践」,「(2)ネット型球技の理解と実践」,「(3) ベースボール型球技の理解と実践」,「(4)ターゲット型球技の理解と実践」で構成している。ま た,(1)については,バスケットボール,ハンドボール,サッカー,ラグビーの中から,(2)につ いては,バレーボール,卓球,テニス,バドミントンの中から,(3)については,ソフトボール,

野球の中から,(4)については,ゴルフを適宜取り上げるものとしている。

以下には,ここでいう「理解と実践」に求められる各競技の資質や能力を,①技能,②態度,

③知識,思考・判断に整理して示すこととする。

① 各競技の技能については,それぞれ,次の点に配慮して取り扱うこととする。

ア ゴール型球技

ゴール型球技では,バスケットボール,ハンドボール,サッカー,ラグビーを取り上げ,

チームや個人の技能に応じて戦術,作戦を重視した攻防を展開できるようにする。その際,

手でボールを扱うバスケットボール,ハンドボール,主として足でボールを扱うサッカー,

手と足でボールを扱うラグビーの各種目の特性を踏まえ,ボール操作とボールを持たないと きの動きを中心に取り扱うようにする。

ボール操作の動きでは,ドリブルやパス,ボールを保持したランニングなどによってボー ルを保持したり相手をかわしたりして攻防を展開する技能を中心に扱うようにする。ボール を持たないときの動きでは,パスを受けるために空間に走り込んだり仲間をサポートしたり する動きによって,組織的に攻防を展開する技能を中心に扱うようにする。

なお,指導に際しては,身に付けた技能に応じて攻防が展開できるよう科目「体育」の球 技の例示などを手かがりに系統的,計画的に練習ができるようにする。また,技能と体力の 関連を踏まえ,各種目の高度な技能の習得に効果的な科学的練習法や体力トレーニングも含 めて取り扱うように配慮することが大切である。

イ ネット型球技

ネット型球技では,バレーボール,卓球,テニス,バドミントンを取り上げ,チームやダ ブルス,個人の技能に応じて戦術,作戦を重視した攻防を展開できるようにする。その際,

手でボールを扱い,チームで複数回の接触によって攻撃を組み立てるバレーボール,ラケッ トでボールを扱い,一回の返球によって攻撃を組み立て打ち合うテニス,卓球,バトミント ンの各種目の特性を踏まえ,ボールや用具の操作とボールを持たないときの動きを中心に取 り扱うようにする。

ボールや用具の操作では,サービス,レシーブ,スマッシュ,カットなどの技能を用いて,

返球場所をコントロールしたり,緩急や前後の空間への返球,ボールの回転の変化などによ って,体勢を整えたり,相手の隙をついたりして攻防を展開する技能を中心に扱うことがですき きるようにする。ボールを持たないときの動きでは,空間を埋めたり仲間をサポートしたり する動きによって,仲間と連携して攻防を展開する技能を中心に取り扱うようにする。

なお,指導に際しては,身に付けた技能に応じて攻防が展開できるよう科目「体育」の球 技の例示などを手かがりに系統的,計画的に練習ができるようにする。また,技能と体力の 関連を踏まえ,各種目の高度な技能の習得に効果的な科学的練習法や体力トレーニングも含 めて取り扱うように配慮することが大切である。

ウ ベースボール型球技

ベースボール型球技では,ソフトボール,野球を取り上げ,個人やチームの技能に応じて 戦術,作戦を重視した攻防を展開できるようにする。その際,ボールがやや大きく塁間が短 いソフトボール,ボールが小さく塁間が広い野球の各種目の特性を踏まえ,バット操作やボ ール操作とボールを持たないときの動きを中心に取り扱うようにする。

バット操作やボール操作では,バッティング,バントなどの技術を用いて,打ち返す方 向をコントロールしてヒットをねらったり,仲間の進塁をサポートしたりして得点につなげ る攻撃と,フライやゴロに対する補球動作と送球動作などの守備を中心に扱うようにする。

また,ボールを持たないときの動きでは,攻撃では,離塁やタッチアップなどの技術を用い て次の塁をねらう動きによって進塁することを,守備では,打球に応じた守備位置の移動や 仲間と連携して中継プレイやバックアップをするための動きを取り扱うようにする。

なお,指導に際しては,身に付けた技能に応じて攻防が展開できるよう科目「体育」の球 技の例示などを手かがりに系統的,計画的に練習ができるようにする。また,技能と体力の 関連を踏まえ,各種目に高度な技能の習得に効果的な科学的練習法や体力トレーニングも含 めて取り扱うように配慮することが大切である。

エ ターゲット型球技

ターゲット型球技では,ゴルフを取り上げ,個人の技能に応じてクラブ操作ができるよう にする。その際,静止したボールをクラブで打ち進め,定められたカップにより少ない打数 で入れることを競い合うゴルフの特性を踏まえ,距離や場面に応じたクラブ操作を中心に取 り扱うようにする。

クラブ操作では,距離に応じてドライバー,アイアン,パターの基本的なグリップやスイ ング動作を中心に扱うとともに,技能の程度や施設の状況に応じて,ラフショットやバンカ ーショット,ハーフショット,斜面でのショット,パッティングなどについても取り扱うよ うにする。

なお,指導に際しては,身に付けた技能に応じて作戦が展開できるよう系統的,計画的に 練習ができるようにする。また,技能と体力の関連を踏まえ,各種目の高度な技能の習得に 効果的な科学的練習法や体力トレーニングも含めて取り扱うように配慮することが大切であ る。

② 態度については,次の点に配慮して取り扱うこととする。

球技の学習に主体的に取り組むとともに,勝敗などを冷静に受け止め,競技のルールや審判 の判定を遵守しようとすること,試合後にお互いを讃え合うなどのマナーやフェアプレイの考 え方を大切にしようとすること,互いの技術の上達に向けて助け合い高め合おうとすること,

審判や記録などの役割を積極的に引き受け自己の責任を果たそうとすること,チームの作戦や 戦術の話合いでは,自分の意見や仲間の意見を調整して合意形成に貢献しようとすることがで きるようにする。また,体調や気候の変化に応じて運動量を調整したり危険を予見して回避行 動をとったりするなどによって,健康・安全を確保し事故防止を図ることができるようにする。

なお,事故防止については,ゴール型球技では,攻防入り交じってボールを手や足で奪い合 う特性から接触による事故,ネット型球技では,コート内の味方同士の接触や用具操作にかか わる事故,ベースボール型及びターゲット型球技では,バットやボールによる事故が起きやす いことなどを踏まえて事故事例や防止策,技能に応じた練習の選択,天候の変化や炎天下など の自然環境の中での安全の確保,応急手当の仕方などの態度形成のもととなる知識について理 解させ,危険を回避する態度を高めるようにする。

また,ノーサイドやオリンピズムといった考え方があることについても必要に応じて取り上 げ,意欲を高めるようにする。

③ 知識,思考・判断については,それぞれ,次の点に配慮して取り扱うこととする。

知識では,技術,戦術,作戦及びその高め方,合理的な練習法や練習計画の立て方,体力の 高め方,課題解決の方法,審判法や競技会の企画・運営の仕方,初歩的な指導法,運動観察や

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