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スポーツ総合演習

ドキュメント内 高等学校保健体育解説 (ページ 159-164)

第3章 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い

第8節 スポーツ総合演習

1 目 標

スポーツ総合演習は,実習,体験,発表などの課題研究を通して,知識・技能の重要性を改めて 認識し,情報の分析・評価,論述や熟考,評価などの言語に関する能力の育成に資するとともに,

自らに適した生涯を通した豊かなスポーツライフの実現に向けた見通しを立てるとともに,スポー ツと多様にかかわることのできる能力の育成を目指したものである。

このことは,「生きる力」の育成に向けて,基礎的・基本的な知識・技能の習得とともに,観察・

実験やレポートの作成,論述といった各科目の知識・技能を活用・探究する学習活動が重視される 今回の改訂の中で,専門学科「体育」においては,「第1 スポーツ概論」から「第7 スポーツ

Ⅵ」までの科目の学習を総合的に活用し,自らが課題を設定し探求することを通して,生涯を通し た豊かなスポーツライフの実現及びスポーツの振興発展にかかわることができる資質や能力の育成 を図ろうとしたものである。

スポーツの専門的な知識や高度な技能の総合的な活用を目指した課題研究を通して,生涯を 通した豊かなスポーツライフの実現及びスポーツの振興発展にかかわることができる資質や能 力を育てる。

「スポーツの専門的な知識や高度な技能の総合的な活用」とは,「スポーツ概論」で学習した知 識及び各科目に関連する専門的知識や身に付けた高度な技能を,スポーツ実践,スポーツの指導や 運営及び管理,スポーツを通した社会参画などの場面に総合的に活用することである。

2 内 容

(1) スポーツの知識や実践に関する課題研究

(2) スポーツの指導や運営及び管理に関する課題研究 (3) スポーツを通した社会参画に関する課題研究

スポーツ総合演習は,生涯を通した豊かなスポーツライフの実現及びスポーツの振興発展にか かわることができる資質や能力を育てることとした科目の目標を達成するために必要な内容を考 慮し,「(1)スポーツの知識や実践に関する課題研究」,「(2)スポーツの指導や運営及び管理に関 する課題研究」,「(3)スポーツを通した社会参画に関する課題研究」の3項目で構成している。

(1) スポーツの知識や実践に関する課題研究

スポーツの知識や実践に関する課題研究では,「スポーツ概論」で学習したスポーツの歴史・

文化的特性と現代的特徴,スポーツの効果的な学習の仕方や,各科目に関連する専門的な知識 などから,主に,「する」「みる」といった視点で自らの関心に応じてテーマを選び,文献研究,

実験を通した仮説検証,調査研究等の課題研究を行うものとする。

(テーマと課題研究の方法の例)

・関心のあるスポーツの発展や普及の歴史や現状,文化的特性などを過去の文献から整理 し,自らの考えをまとめる。

・関心のあるスポーツの合理的な動作の仕方や練習法について,大学や研究機関等の研究 からの情報の収集,仮説を立てた動作分析などの実験等をして,グラフや図表から傾向 や適切な動作の仕方などを検証する。

・関心のあるスポーツの過去の事故事例から,健康・安全を確保するためのマニュアルや 手順を作成し,その運用を通して,具体的効果の結果をまとめる。

・スポーツ関連企業等への訪問調査を行い,その活動方針や現在の課題等について聞き取 り,スポーツ関連企業の実際をまとめる。

・スポーツの局面に着目して,戦況の変化を導きだしたプレイや対戦相手の戦術の特徴な どについて,記録データやビデオ等の映像から分析する。

(2) スポーツの指導や運営及び管理に関する課題研究

スポーツの指導や運営及び管理に関する課題研究では,「スポーツ概論」で学習したスポー ツの運営及び管理,スポーツの指導法と安全や,各科目で学習した指導法などから主に,「指 導者や管理者としてスポーツを支える」といった視点で自らの関心に応じてテーマを選び,文 献研究,体験,実習などを通した課題研究を行うものとする。

(テーマと課題研究の方法の例)

・スポーツクラブや公共施設におけるスポーツ教室プログラムや大学等の運動部活動の活 動を体験し,スポーツの指導法の特徴などについて分析し,報告する。

・家族や地域の児童生徒や高齢者などに対して,体力の向上や健康の維持を目的とした適 切な運動の計画を立てるために,聞き取り調査などを行い,継続しやすい運動プログラ ムなどを作成する。

・スポーツ大会やスポーツイベントの企画・運営の仕方についての実態調査を通して,対 象に応じた運営マニュアルを作成したり,校内球技大会などの企画・運営の実習等を行

ったりして,その成果をまとめる。

・関心のあるスポーツの公式ルールや審判法についての講習会等に参加し,体験から感じ 取ったことをまとめる。

(3) スポーツを通した社会参画に関する課題研究

スポーツを通した社会参画に関する課題研究では,「スポーツ概論」で学習した豊かなスポ ーツライフの設計や,「スポーツⅥ」の内容などから主に,「愛好者としての立場からスポーツ を支える」といった視点で自らの関心に応じてテーマを選び,文献研究,体験,実習などを通 した課題研究を行うものとする。

(テーマと課題研究の方法の例)

・高齢者や特別支援を必要とする人などのスポーツ推進のための実態調査やボランティア 実習を通して,すべての人々が参画できるスポーツの在り方について提案する。

・地域のスポーツイベントへのスタッフ参加体験などを通して,地域住民の立場でスポー ツイベントへの参画の在り方をまとめる。

・野外活動や公共施設のスポーツ大会などの際に,環境に配慮したプログラムの立て方や 持続可能な社会の実現への取組に向けて,参加者に対して具体的な提案を行い,責任あ る行動のための行動指針等の作成を行う。

3 内容の取扱い

(1) 内容の(1)から(3)までの中から一つ以上を選択して扱うことができる。

(2) 指導に当たっては,「スポーツ概論」との関連を図り,実習,体験,発表等の活動を重視 するとともに,言語に関する能力の育成を図ること。

「スポーツ総合演習」については,内容の(1)から(3)までの中から一つ以上を選択して扱うこ としているが,生涯を通した豊かなスポーツライフの実現及びスポーツの振興発展にかかわるこ とができる資質や能力の育成を目指すことから,卒業までの見通しを立てて,できるだけすべて の内容を扱うようにするなどの配慮をすることが大切である。

指導に際しては,「スポーツ概論」との関連を図り,スポーツ概論で学習した内容に関連させ てテーマを設定できるように配慮する。また,学習については,実習や指導体験を通して課題研 究に実感をもたせるとともに,課題研究発表会などの他の生徒や地域等へ成果を発表したり,報 告したりする機会を設けるなど,言語に関する能力の育成を図ることとしている。

また,「各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い」で示した「必要に応じて,コンピュ ータや情報通信ネットワークなどを適切に活用し,学習の効果を高めるようにすること」,「学外 の認定資格等の取得と関連付けるなど,より専門的かつ実践的な知識及び技術の習得が図られる ようにすること」についても,地域や学校の実態に応じて配慮するようにする。

第3章 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い

1 指導計画の作成

体育科の目標を達成するためには,意図的,計画的な学習指導を展開する必要がある。このた めには,地域や学校の実態,生徒の特性等を十分に考慮し,卒業までの見通しを立て,内容の決 定,各内容に当てる授業時数,単元の構成及び配列等を的確に定めた指導計画を作成することが 大切である。

1 体育に関する学科における指導計画の作成に当たっては,各年次において次の事項に配慮 するものとする。

(1) 「スポーツ概論」,「スポーツⅤ」,「スポーツⅥ」及び「スポーツ総合演習」については,

原則として,すべての生徒に履修させること。

(2) 「スポーツⅠ」,「スポーツⅡ」,「スポーツⅢ」及び「スポーツⅣ」については,これら の中から生徒の興味や適性等に応じて1科目以上を選択して履修できるようにすること。

これは,指導計画を作成するに当たって,各科目の取扱いについて配慮すべき事項を示したも のである。

「スポーツ概論」,「スポーツⅤ」,「スポーツⅥ」及び「スポーツ総合演習」の各科目は,各年 次において,原則としてすべての生徒に履修させる。また,「スポーツⅠ」,「スポーツⅡ」,「ス ポーツⅢ」及び「スポーツⅣ」の各科目は,各年次において,これらのうちから生徒が自己の興 味や適性等に応じて1科目以上を選択して履修できるようにすることとしている。

これは,各科目の主体的,合理的,計画的な実践を支える科学的理論及び生涯スポーツの普及 発展に求められる知識,健康の保持増進や体力の向上及び自然とのかかわりの深い野外活動,探 求的活動や実践的教育の充実を重視するとともに,生涯を通してスポーツの振興発展に寄与する 資質や能力をはぐくむために,生徒の興味や適性等に応じて自ら選択した科目について,一定の 時間を確保することに配慮したことによるものである。

2 内容の取扱い

(1) 各科目の指導に当たっては,公正,協力,責任,参画に対する意欲及び思考力,判断力な どを育成するとともに,生徒の健康・安全を確保し,事故防止を図ること。

これは,各科目の内容の取扱いに当たって配慮すべき事項を示したものである。

各科目の指導に当たっては,学校教育法において,「生涯にわたり学習する基盤が培われるよ う,基礎的な知識及び技能を習得させるとともに,これらを活用して課題を解決するために必要 な思考力,判断力,表現力その他の能力をはぐくみ,主体的に学習に取り組む態度を養うことに,

特に意を用いなければならない」と規定されていること,「健康,安全で幸福な生活のために必 要な習慣を養うとともに,運動を通じて体力を養い,心身の調和的発達を図ること」と規定され ていること等を踏まえ,基礎的な知識及び技能,これらを活用する思考力・判断力,主体的に学 習に取り組もうとする意欲及び公正,協力,責任,参画に対する意欲をバランスよくはぐくむこ とが大切であることを示したものである。また,体育の学習指導では,事故防止に向けて細心の 注意を払うとともに,生徒自らに対しても健康・安全を確保する能力の育成が求められることを 示したものである。

ドキュメント内 高等学校保健体育解説 (ページ 159-164)

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