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スポーツⅥ(体つくり運動)

ドキュメント内 高等学校保健体育解説 (ページ 156-159)

第3章 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い

第7節 スポーツⅥ(体つくり運動)

などによって,健康・安全を確保し事故防止を図ることができるようにする。

なお,指導に際しては,野外の運動は,学校を離れ,天候の変わりやすい自然環境下で活 動が行われることから,活動によって予想される事故の状況,健康・安全に影響を及ぼす生 物や植物についての情報と対策,活動地域特有の環境を十分把握し,健康・安全が確保され るよう留意する。

③ 知識,思考・判断については,それぞれ,次の点に配慮して取り扱うこととする。

知識では,選択する活動の名称や用語,技術とその高め方,体力の高め方,課題解決の方 法,活動プログラムの企画・運営の仕方,初歩的な指導法,動作分析の仕方などを理解する ことができるようにする。

また,思考・判断では,自己の課題を解決するとともに生涯を通して「スポーツⅤ」の振 興発展にかかわることができるよう,これらの知識を活用して,課題の設定や情報の分析及 び適切な選択,活動の評価,目標の修正や練習計画の組み立てなどができるようにする。

3 内容の取扱い

(1) 内容の(1)又は(2)のいずれかを選択して扱うことができる。

(2) 内容の(1)については,キャンプ,登山,遠泳等の水辺活動の中から,(2)については,ス キー,スケートの中から適宜取り上げるものとし,その他の運動についても,機械等の動力 を用いない活動を中心に,地域や学校の実態に応じて扱うことができる。

(3) 特定の期間に集中的に校外で授業を行う場合は,安全対策に十分配慮するものとする。

「スポーツⅤ」に示す事項については,内容の(1)又は(2)のいずれかを,生徒が能力・適性等 に応じて一つ以上を選択して履修できるようにすることとしている。

また,地域や学校の実態に応じて,その他の運動についても,主に,自然環境に配慮したサイ クリング,ハイキング等の機械等の動力を用いない活動を中心に履修させることができるとして いるが,原則として,その他の運動は,示された各運動に加えて履修させることとし,地域や学 校の特別の事情がある場合には,替えて履修させることもできることとする。また,競技型野外 活動であっても,生徒の技能や経験の程度に応じて,自然体験型野外活動として取り扱うことも できようにする。

なお,「野外活動」は,校外学習を中心として特定の期間に集中的に授業を行う場合が多いと 考えられるので,事前の準備や事後の反省,評価等を含めて計画することが必要である。

の方法などについて科学的,社会的,文化的な側面から教養を身に付けることである。

「その活用を目指し」とは,体つくり運動で学習した知識を運動実践において活用を目指すこ とである。

「実生活に役立てるようにする」とは,体つくり運動の学習の成果を,各個人のスポーツ実践 や健康の保持増進に役立てることができるようにすることである。

「生涯を通してスポーツの振興発展にかかわることができる資質や能力を育てる」とは,卒業 後においても,「する,みる,支える」といった視点で自己に適した「スポーツⅥ」とのかかわ りを継続することである。

そのため,指導に際しては,ねらいに応じた体つくり運動の行い方に関する知識,これらを活 用して課題を解決するための思考力・判断力及び主体的に学習に取り組む態度をバランスよくは ぐくむことが重要である。

2 内 容

(1) 体つくり運動の理解と実践

(2) 目的に応じた心身の調整の仕方や交流を深めるための運動の仕方の理解と実践 (3) ライフステージに応じた運動の計画の立て方の理解と実践

本科目の内容は,「(1)体つくり運動の理解と実践」,「(2)目的に応じた心身の調整の仕方や交 流を深めるための運動の仕方の理解と実践」,「(3)ライフステージに応じた運動の計画の立て方 の理解と実践」で構成している。

以下には,ここでいう「理解と実践」に求められる資質や能力を,①運動,②態度,③知識,

思考・判断に整理して示すこととする。

① 各運動の行い方については,次の点に配慮して取り扱うこととする。

ア 体つくり運動の理解と実践

体つくり運動では,体ほぐしの運動と体力を高める運動を取り上げ,それぞれの特性に応 じて運動したり,運動の計画を立てて実践したりすることができるようにする。

体ほぐしの運動は,手軽な運動や律動的な運動を通して心や体を解放することによって,

ストレスの解消に役立ったり,仲間とのコミュニケーションが円滑になったりするといった 特性がある。特に体ほぐしの運動は,特定の運動の技能を身に付けることをねらいとしてい るのではなく,運動を通して,心と体は互いに影響し変化することに気付くこと,体の状態 に応じて体の調子を整えること,仲間と積極的に交流することをねらいとしている。

これらのねらいに適した体ほぐしの運動の行い方の例として,①体の伸展,屈曲,回転,

捻転などの運動をゆっくりのびのびと,あるいはリズミカルに心が弾むように行う,②歩,

走,跳などの全身運動を自分にとって快いペース,ゆったりとした動きや気持ち,あるいは リズミカルに心が弾むように行う,③仲間と動きを合わせたり,対応したりする運動や仲間 と協力して課題に挑戦する運動を行うなどが挙げられる。これらの運動は,一つの行い方で あっても,体への気付き,体の調整,仲間との交流などのねらいが関連している場合がある ので,指導に際しては,これらのかかわり合いを理解できるようにする。

体力を高める運動は,自己の体力や生活に応じて,必要とされる体力を高めることにより,

健康を保持増進したり,様々な運動の技能の向上が期待できるといった特性がある。体力を 高める運動として,①大きな力を発揮する能力を高めるための運動,②スピーディなあるい はパワフルな動きができる能力を高めるための運動,③動きを持続する能力を高めるための 運動,④体の柔らかさを高めるための運動,⑤動きの巧みさを高めるための運動,⑥総合的 に体力を高めるための運動などに大別されるが,それぞれの運動に応じて合理的に運動例を 組み立てることができるようにするとともに,①~⑥を組み合わせて自己に適した運動の計

画を立てることができるようにする。

これらの指導に際しては,①運動の計画過程,②体力を高める際の原則,③体力を高める 目的などについて取り上げるようにする。

①運動の計画過程では,1)自己に適した目標の設定,2)運動の組み立て,3)計画の作成,

4)実践とその内容の記録,5)測定,評価(現在の健康状態や体力水準の把握) による新 たな目標の設定といったサイクルがあること。

②体力を高める際の原則では,オーバーロード(過負荷)の原則に留意するとともに各運 動を組み立てる際には,1)誰のためか,2)どのようなタイプの負荷を用いるか,3)どの ような負荷方法を用いるか,4)どの程度の負荷の強度と量を用いるか,5)どのような運 動様式を用いるかなどに留意することが求められること。

③体力を高める目的については,1)疲労回復,体調維持又は健康の保持増進のための計画,

2)生活習慣病の予防をねらいとした計画,3)体力の要素をバランスよく全面的に高める ための計画,4)競技力の向上や競技で起こりやすいけがや疾病を予防するための計画な ど個人の目的に応じた計画を立てること。

イ 目的に応じた心身の調整の仕方や交流を深めるための運動の仕方の理解と実践

目的に応じた心身の調整の仕方や交流を深めるための運動の仕方は,体つくり運動のうち,

主に体ほぐしの運動の学習から,自らの実践を深めたり,他者に対して実践したりできるよ うにすることをねらいとしている。そのため,本内容では,健康や体調を維持するために,

様々な呼吸法やストレッチングなどを用いて呼吸や体調を整えるといった行い方,チャレン ジゲーム,イニシアチブゲームなどの活動を用いて仲間と協力して課題に挑戦しその課題を 解決する過程を通して,チームの協力性や帰属意識を高めるといった行い方を取り扱うこと ができるようにする。

なお,生涯を通してスポーツの振興発展にかかわることができる資質や能力を育てる視点 から,ねらいに応じて,手軽な運動や律動的な運動を組み立て,異年齢に対する簡単な指導 や普通科の生徒等を対象とした簡単な指導などについても取り扱うことができるようにす る。

ウ ライフステージに応じた運動の計画の立て方の理解と実践

ライフステージに応じた運動の計画の立て方は,体つくり運動のうち,主に体力を高める 運動の学習から,自らの実践を深めたり,他者に対して実践したりできるようにすることを ねらいとしている。ライフステージには,体力の向上が期待される時期,体力の維持が期待 される時期,加齢に伴う体力の低下をゆるやかにすることが期待される時期がある。また,

各個人の考え方に応じたライフスタイルがある。そのため,本内容では,それぞれのライフ ステージ及びライフスタイルに応じた運動の計画の立て方を取り扱うことができるようにす る。

指導に際しては,体力の向上が期待される時期には,実生活全体の計画として,① 学校

(体育の授業,休憩時間,運動部の活動),登校時や下校時及び家庭での運動を考慮した1 日の計画 ,②負荷の頻度,あるいは平日と週末などを考慮した1週間の計画,③四季,あ るいは授業期間中や長期休業期間中などを考慮した1年間の計画,④高校3年間の計画など の広がりを踏まえた計画を立てられるようにする。

体力の維持が期待される時期には,生活習慣病の予防や豊かなスポーツライフを継続する ための運動の計画,「健康づくりのための運動指針2006」(厚生労働省運動所要量・運動指針 の策定検討委員会 平成18年7月)に基づく運動実践の仕方などについて取り上げるように する。

また,加齢に伴う体力の低下をゆるやかにすることが期待される時期には,加齢期に適し た運動例などについて取り上げるようにする。

この際,体育科などで高度な技能の習得を目指し,日常的にスポーツを実践している生徒

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