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教科書教材

「ごんぎつね」(:第4学年)

関連教材 新美南吉のその他の作晶

  「ごんぎつね」の学習から、同じ作者の他の作品の多読に結びつ けることができる。例えば、「ごんぎつね」と「手ぶくろを買いに」

・では、同じキツネが登場する物語であるが、話の展開や読後感はま ったく違う.。子ども自らが「どの部分がよく似ていて、どの部分が 違うのか」と比べて読むこともできる。また複数の作品を読む中で、

作者の特徴にも気付くことができる。

 攣科書跡替と関連教材のジャンルについては、どのような組み合診せ、

読み広げも可能である。小学校段階で扱いやすいジャンルは、物語、説 明的文章、詩歌、伝記、評論、解説文、随筆、古文、漢文、薪闘記事、

新聞等の投書、コラム、図鑑、辞書、辞典、原作、リライトした文、マ ンガ等が考えられる。

 図4は第6学年で筆者(山下〉が行った、宮沢賢治の作晶を扱った時

の授業の構想図である。

図4 授業の構想図

○騰科書翻である・「やまなし順治の伝記」の2翻を核と

  して授業を構想した。

○は関連翻である・比べ読みや多読を取り入れる際に提示可能姻

  書・資料を挙げた。

 このように教科書教材は物語と伝記のジャンルであるが、比べ読み、

多読を取り入れる活動を行うことによって、詩や解説文など他のジャン ルに読みが広げることができる。

 また、比べ読みや多読を取り入れることにより、教科書から読みが広       33

がる過程を三段階に分けて構想し、三重円で表している。第一段階では 子どもの読みめ意識は「受け身的要素のある読書活動」であり、第三段 階に進むにつれて「主体的要素のある読書活動」へ変容する。したがっ て、第一段階では二つの教科書教材の「やまなし(物語)」・と「イーハ

トーヴの夢(伝記)」を配置し、単元の核とした。第二段階では、教師 が提示することによって、子どもが意識していく関連教材を配置した。

第三段階では、教科書教材や関連教材の読み取りによって、子ども自ら が選び読み進めていく図書・資料を配置した。

 なお、「賢治の他の物語作品」のように第一段階から第三段階までま たがって配置しているものもある。これは、教科書教材の読み取りにも 含まれ、さらに主体的に読み取っていく段階でも読んでいく可能性のあ

るものと考えたからである。

 第一段階と第二段階を授業として扱い、第三段階は肩常の読書活勧と 考えた。教科書教材を核に置き、主体的な読書活動へ進めるためにどの

ような図書・資料を提示することが効果的かということを考慮しながら、

教材文を選択していくことが重要である。それには、教科書教材の特性、

子どもの実態などをふまえておく必要もある。

 (2)読み取りの観点

 次に、どのような観点(視点)で読み取っていくのかを考察していく。

教科書教材で何を学ぶことを昌標にしているのか、何を中心に読み取る のかをまず明確にとらえ

ることが重要である。つ       表7 読み取りの観点例 まり、ぞのような事柄に

ついて教科書教材と関連 教材を比べて読むのか、

どのような事柄をきっか けにして教科書教材から 関連教材への多読に進む のかという「読み取りの 観点」が必要となってく

る。「読み取りの斑点」

説明的文章 文学的文章

筆者の意見・主張 要旨

論の構成 具体例 結論 表現

作者の意図 主題 揚面の構成

登揚人物の心情や行動 人物の変容

情景 描写

しかけ 時代

は表7に挙げるものが例として考えられる。具体的に述べる。「筆者の

意見・主張」を読み取りの観点として据えた場合、教科書教材の筆者の 主張と関連教材の筆者の主張を比べて読むことにより、その主張の異同 が鮮明になる。また、主張の異同がどのような論から出てきているのか についても読み深めることができる。同様に、同じ筆者のいくつかの文 章を読むことによって、その筆者の主張がより詳しく具体的に読み取る こともできる。

 複数の教材を活用するために、基本的にその観点は、「共通すること」

「異なること」に目が向けられていく。小学生の子どもにとって、「共 通点(同じところ)」r相違点(異なるところ)」に着目して読み進める 活動は、非常に明快で取り組みやすい。その結果、子どもたちの方から 読み取ったこと、気付いたことが数多く出され、より主体的な読み取り の活動となっていく。

 読み取りの観点は教師が指導計画を設計する際に、明確にもっておく べきであるが、学習する子どもにも分かりやすく提示し、読み取りの観 点を教師と子どもが共有して学習活動を行っていかなくてはならない。

また、読み取りの観点が多岐にわたり複雑になると、学習活動が停滞す るおそれがある。その時間に提示する読み取りの観点は精選しておくべ

きである。

 (3)育成する力の観点

 比べ読み、多読を取り入れた学習活動で、どのようなカを育成してい くのか指導計画の目標を立てる必要性がある。『小学校学習指導要領』

の各学年の目標は読解の目標と読書についての目指す態度が掲げられて いる。その目標に向かって、その時点で達成すべき事柄を指導目標とし て立てなければならない。比べ読みや多読の取り組みの中で、育つ力と

して以下の3点が考えられる。

①目的をもって図書・資料を選び、読書の幅を広げていくカ

②読み取ったことをもとに、自分の考えを広げ深めるカ

③得た情報を生活の中で活用する力

 この3点は単一教材の学習活動でも取得できる力である。しかし、複 数教材の比べ読み、多読の学習活動では、より効果的に育成することが

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できるカであると考える。

 まず、①目的をもって図書・資料を選び、読書の幅を広げていくカで あるが、教材文選択の」観点で葡述したように、既習の文章や新しい文章 と関連づけることで、文章との出合いの幅が広がる。また扱うジャンル も多岐にわたる。このような読みの広がりは、単一の教材から即、結び つけられるものではない。また、読み取りの観点を示すことによって、

一「何について読み取るのか」が子どもにも理解しやすくなり、読み取り の観点に沿った図書・資料を選ぶようになる。すなわち、筆者の意見の 補充になる資料や筆者の意見と反対の意見が書かれている文章があるこ とに気付き、 ひいては自分でそうした図書・資料を選ぶことができるよ

うになる。

 また、複数教材を読み取る中で、様々な文章や資料を関連づけて読み 取るカがっく。関連づけて読み取る過程で、自分の考えが広がったり深 まったりしていく。さらに「同じところ」「異なるところ」に着目して 読み取ることで、それぞれの文章を客観的に読み取っていくことになる。

その結果、独りよがりな読みや部分に固着した読み方が減少する。この ようなことから「②読み取ったことをもとに、自分の考えを広げ深める 力」は、複数教材の活用の過程でより培われていくものであると考えら

れる。

 最後にf③得た清心を生活の中で活用するカ」について述べる。先述 したように比べて読むことは、文章を客観的に読む作用もあることから、

筆者・作者を意識した読みとなることもある。筆者・作者を意識するこ とは同時に、自分自身を意識することにもつながる。「筆者の意見と自 分の意見を比べてどうなのか」と問うことで、読み取った情報が自分自 身の知識・体験・感情などに反映され、再構築される。かつ、「図4授 業の構想図」で示したように、教科書教材から広がる読みを行うことで、

子ども自身の生活揚面の読みへ広がっていく。生活場面に広がることは、

必要があるから読む、もっと読みたいから読むという主体的な読書活動 に成長している。そこに、情報を活用する活動も含まれてくると考えら

れる。

2.3 年間指導計画での位置づけ

 次に、比べ読みや多読を取り入れた指導を、年間指導計画の中でどの ように位置づけていくのかについて考察する。

 『小学校学習指導要領(国語)』(平成10年版)では、読書に関する 目標を「楽しんで読書しようとする態度」(第1、2学年)、「幅広く読 書しようとする態度」(第3、4学年)、「読書を通して考えを広げたり 深めたりしょうとする態度」(第5、6学年)の育成であるとしている。

 実際の子どもの読むことの力の段階を考えると、学年が進行すること に、「読書に親しむ」→「読書の幅を広げる」→「読書から自分の考え を広げたり深めたりする」という直線的、段階的な向上ではない。どの 学年においても、「読書に親しむ」→「読書の幅を広げる」→「読書か ら自分の考えを広げたり深めたりする」という段階を繰り返し、螺旋的・

反復的に向上するものであると考えられる。

 したがって、年間指導計画を立てる際にも、同一学年で「読書に親し む」→「読書の幅を広げる」→「読書から自分の考えを広げたり深めた

りする」という目標を組み込むことが必要である。

 どの学年でも、本と出会い、本に親しむ段階から始まり、最終的には 自分の考えを広げたり深めたりする段階に到達するような指導計画をた てるべきである。むろん、学年の発達段階の特性もあるので、「読書に

親しむ」段階でも、第1学年と第6学年とでは自ずからその内容は異な

ってくる。

 また、年間指導計画の中で、単一教材を扱い精読する単元と、複数教 材を活用し比べ読みや多読を取り入れた単元を効果的に配置していく必 要がある。単一教材を扱った指導では、比べ読みや多読を取り入れた学 習を支える読みのカの育成を図らなければならない。時間的な順序、事 柄の順序を読み取るカや、中心となる語や文をとらえて段落相互の関係 を読み取る気心の育成は、いきなり比べ読みや多読の学習活動で行うよ りも、単一教材で学習した方が理解しやすい。単一教材で身につけた力 を、次に複数教材で活用するという流れが必要である。

 p.40−p.41に提示する年間指導計画は、第6学年の計画案である。

一学期は読書への意欲を喚起する段階として「読書活動を広げるカの育 成」を目指している。二学期は一学期の学習をふまえ、「目的をもって

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