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作業機器の移動と回転及び特殊な操作

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3.4 システムの設計

3.4.2 作業機器の移動と回転及び特殊な操作

プラント解体機器を運搬するシミュレーションを実施するためには、作業機器を配 置することだけでは十分ではない。配置された作業機器の位置と姿勢を変えることに より、作業機器を正しい位置に配置することが必要である。また、作業機器を横に倒 すシミュレーションには、配置されたチェーンを引っ張ったり、緩めたりする作業、作 業機器の位置と姿勢を変える作業が必要となる。その際、作業機器を運搬する過程で、

カメラ画面で作業機器のモデルと周囲作業環境の間に干渉の有無を提示することが必 要となる。また、シミュレーション後に解体作業計画を検討するため、シミュレーショ ン状況を記録することも必要である。このシミュレーション機能を実装することによ り、PDCWは要求仕様の(4)(5)(6)(9)(10)を満たす。これらの要求仕様を満たすために 具体的には以下の11つの機能を実現する。

(h) 鳥瞰図上で操作したい作業機器を選択する機能 (i) 選択された二次元概略モデルの色を変える機能 (j) 選択された三次元モデルの色を変える機能

(k) 作業機器の二次元概略モデルを回転・平行移動させる機能 (l) 配置された機器の二次元概略モデルを鳥瞰図から消去する機能 (m) チェーンを引っ張ったり、緩めたり操作する機能

(n) 機器の形状モデルが作業環境に接触した際に互いの接触箇所を着色する機能 (o) 着色された接触箇所の色を消去する機能

(p) 機器の形状モデルを平行移動・回転させる操作及び特殊な操作を以前の状態へ戻 すことと後の状態へ移る機能

(q) シミュレーションの状況を記録、再現する機能 以上の要求仕様と機能構成の対応を表3.4に示す。

表 3.4: 作業機器を作業現場に操作することの要求仕様と機能構成の対応

要求仕様 機能構成

(4)作業機器の形状モデルを自由に移動で   きること

(h)鳥瞰図上で操作したい作業機器を選   択する機能

(i)選択された二次元概略モデルの色を変   える機能

(j)選択された三次元モデルの色を変える   機能

(k)作業機器の二次元概略モデルを回転・

  平行移動させる機能

(l)配置された機器の二次元概略モデルを   鳥瞰図から消去する機能

(5)作業機器を自由に操作できること (m)チェーンを引っ張ったり、緩めたり操   作する機能

(6)解体機器の形状モデルや機器の形状モ   デルが周囲の環境に接触した箇所が把   握できること

(n)機器の形状モデルが作業環境に接触し   た際に互いの接触箇所を着色する機能

(o)着色された接触箇所の色を消去する機   能

(9) 解体協調作業の操作を「Undo」 

「Redo」できること

(p)機器の形状モデルについてを平行移   動・回転させる操作及び特殊な操作  を以前の状態へ戻すことと後の状態へ移   る機能

(10)解体協調作業の状況を記録、再現  するできること

(q)シミュレーションの状況を記録、再現  する機能

(h)鳥瞰図上で操作したい作業機器を選択する機能 鳥瞰図上で複数の作業機器を配 置した後、一つの作業機器を操作するため、この作業機器を選択することが必要であ る。本システムでは、鳥瞰図上で一つの作業機器を指でタッチすることで、この作業 機器を選択できる。解体機器の移動と回転はチェーンの操作により行うので、操作ボ タンによる操作は必要がない。また、解体機器を選択することはできない。鳥瞰図上 で狭い領域に複数の作業機器があり、一つの作業機器を選択しにくい場合、鳥瞰図を 拡大、移動して選択する。

(i)選択された二次元概略モデルの色を変える機能 鳥瞰図上で選択された作業機器 と選択されていない作業機器を区別するため、選択された状態を提示することは必要 である。本システムでは、作業機器が選択された場合、色を変える機能を付加する。

(j)選択された三次元モデルの色を変える機能 チェーンを操作する際、カメラ画像上 で解体機器と接続したチェーンが何本もある場合に、操作したいチェーンと他のチェー ンを区別するため、鳥瞰図上で選択されたチェーンブロックの色を変えることだけで はなく、カメラ画像上でこのチェーンブロックと接続するチェーンの色も変える。

(k)作業機器の二次元概略モデルを回転・平行移動させる機能 配置された作業機器 を移動、回転するため、上へ移動、下へ移動、左へ移動、右へ移動、左へ回転と右へ回 転の機能が必要である。本システムでは、移動のボタンを一回押した際には、選択さ れた作業機器が世界座標系で1,000mm移動する。回転のボタンを一回押した際には、

選択された作業機器が世界座標系で3度回転する。更に遠くの移動と大きな回転を実 現するため、移動と回転の量が5倍になるボタン設定した。このボタンを押して、移 動と回転のボタンを押すと、世界座標系で5,000mmの移動と15度の回転になる。

(l)配置された機器の二次元概略モデルを鳥瞰図から消去する機能 作業機器を配置 した後、作業機器が不要になった場合、この配置した機器を消去することが必要とな る。本システムでは、作業機器が選択された後、提示した操作インタフェース中の「消 去」ボタンを押して、選択された作業機器を消去する。

(m)チェーンを引っ張ったり、緩めたり操作する機能 解体機器を横に倒す過程をシ ミュレーションするため、チェーンを操作することにより、解体機器の姿勢と位置を リアルタイムに正しく提示することが必要である。本システムでは、この挙動計算に

Bullet Physics物理エンジン[14]を利用する。Bullet Physics物理エンジンとは、剛体 やソフトボディに対して衝突判定演算を行う専用のオープンソースライブラリである。

Bullet Physics物理エンジンを利用して、現実世界中の物体の物理過程をシミュレー

ションできる。本システムでは、ユーザのチェーンの操作に応じて、解体機器の姿勢 と位置を計算して、カメラ画像と鳥瞰図に解体機器の位置と姿勢を正しく反映する機 能を実装する。

上述した物理過程をシミュレーションする際、解体機器のモデルは重力影響を含め る。また、解体機器の重力以外の外力が存在しない状況下で解体機器が自由落下する ことを防止するため、解体機器の下抗力を提供できる地面を設定することが必要とな る。これから、解体機器が地面上で静止できるだけではなく、解体機器が高い所から 落下する場合、地面上で止めることができる。

また、Bullet Physicsエンジンには拘束条件[14]がある。拘束条件とは、2つの剛体 間に働く制約であり、その両者のうち少なくとも片方は、動的オブジェクトでなけれ ばならない。この原理により、チェーンと解体機器に拘束条件を設定すると、解体機 器がチェーンの操作により運動する。

本システムは、複数本のチェーンを操作することにより、解体機器を移動させるこ とを実現する。このため、以下の三つの要素が必要である。

(1) 解体機器の重さ:本研究では、解体機器の重さを1トンと設定する。また、物理 計算する場合の解体機器の重心は解体機器の幾何重心とする。

(2) 拘束点:本システムでは拘束点をチェーンと解体機器の接続点とする。また、Bullet

Physicsエンジンで複数の拘束点を計算できるので、複数本のチェーンを解体機器

上に接続しても、この計算を実現できる。

(3) 加える力:本システムでのチェーンの操作は、チェーンの方向に沿ってチェーン に力を加えることにより実現する。

図3.14と図3.15は方向の違う二つの力により、チェーンを引っ張ることと緩めるこ とを実現する例を示している。

(n)機器の形状モデルが作業環境に接触した際に互いの接触箇所を着色する機能 解 体機器を横に倒し解体機器を運搬する過程中、解体機器と作業環境の間に干渉が生じ た場合、どの部分が干渉したかをユーザに分かりやすく知らせるために、解体機器と

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図 3.14: チェーンを引っ張る操作

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図 3.15: チェーンを緩める操作

作業環境が干渉した際には環境の干渉箇所を赤色に変化させ、解体機器上の干渉箇所 を青色に変化させる。

(o)着色された接触箇所の色を消去する機能 (n)の機能により着色された箇所が多 くなった場合、新たな箇所の干渉の有無を把握しにくいので、「干渉消去」ボタンを実 装することにより、前に着色された箇所の赤色と青色を消し、作業環境と解体機器の 色を元に戻す機能を実装する。

(p)機器の形状モデルを平行移動・回転させる操作および特殊な操作を以前の状態へ戻 すことと後の状態へ移る機能 作業機器の移動、回転、チェーンの操作等について、

前回に作業した状態へ戻るため、Undoの操作が必要である。また、前回操作した状 態へ戻った後、今回操作した状態へ戻るためRedoの操作も必要である。これにより、

「Undo」「Redo」ボタンを実装する。

(q)シミュレーションの状況を記録、再現機能 シミュレーションをした後、作業計 画を検討し、現在シミュレーションの状況を記録するため、保存する機能が必要であ る。また、記録された状況を再現するため、状況を再現する機能も必要である。

3.4.3 複数人の協調作業の支援

本システムはプラント解体協調作業を支援するため、複数人の作業者が同時に本シ ステムを利用できるようにする。また、他の作業者の位置と見ている方向を把握する ため、すべての作業者の位置と見ている方向の情報も必要である。作業者自身の操作 が見えるだけでなく、他の作業者の操作も見えることが必要である。そのために必要な 機能としては以下の4つが挙げられる。また、この機能はPDCWの要求仕様の(7)(8) を満たす。

(r) 複数の作業員間で現場の状況を通信する機能 (s) 協同作業者の操作を共有する機能

(t) 作業者の位置と姿勢をリアルタイムに提示できる機能 (u) インカムを利用して複数作業者間で会話できる機能

要求仕様と機能の対応を表3.5に示す。

以下、各機能の概略設計を述べる。

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