サーバ
3.5 システムの実装
3.5.1 ハードウェア
ハードウェア構成を図3.19に示す。一台のパソコンはサーバとして、複数台のiPad2 はクライアントとして構成する。iPad2の仕様を表3.6に示す。パソコンはアップル社 のMacBook Proを利用する。
表 3.6: iPad2の仕様 厚さ×長さ×高さ 8.8mm×185.7mm×241.2mm
重量 601g
画面サイズ 9.7インチ(対角) カメラの解像度 1024×768ピクセル
ワイヤレス通信方式 Wi-Fi、Bluetooth2.1+EDR センサー 3軸シャイロ、加速度センサーなど
CPU 1GHzデュアルコアApple A5カスタムデザイン高性能、省電力SoC
サーバ
クライアントA クライアントB クライアントC クライアントD
無線通信 無線通信 無線通信
図 3.19: ハードウェア構成
図 3.20: 無線LAN親機[18]
パソコンとiPad2間は図3.20に示す一台の無線LAN機器を介して、無線で通信す る。無線LAN機器の仕様を表3.7に示す。
複数人での会話を支援するため、図3.21のようにe-インカム社のインカムと図3.22 のようにイヤホンマイクを利用する。インカムの仕様を表3.8に示す。
表 3.7: 無線LAN機器の仕様
対応OS Windows 7、Mac OSなど
周波数範囲 2,412〜2,472MHz(1〜13ch) データ転送速度 最大54Mbps(IEEE802.11g)
図 3.21: インカム[19]
表 3.8: インカムの仕様 外形寸法 57W×98H×27.9Dmm 重量 124g
チャンネル数 20チャンネル+中継用27チャンネル対応
通話距離 障害物の無いところ500m程度、建物の内部に70-120m
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図 3.22: イヤホンマイク[20]
3.5.2 ソフトウェア
本システムのソフトウェアはアップル社のXcodeを利用して開発した。開発言語は
Objective-Cを用いた。また、3DCG等の仮想情報の表示にはOpenGL-ESを利用した。
サーバとクライアント間の無線通信を行うため、Apple社が開発したゼロ・コンフィ ギュレーション技術Bonjour[15]を利用した。
仮想物体の物理運動をシミュレーションするため、Bullet Physics物理エンジン[14]
を利用した。
解体機器モデルと作業環境モデルの形状を読み込むため、Visualization ToolKit[16]
を利用した。
3.5.3 開発したシステムのインタフェース
3.5.3.1 システムを起動した直後のインタフェース
開発したPDCWシステムを起動した直後のインタフェースの画面を図3.23に示す。
このインタフェースは鳥瞰図、カメラ画像、操作インタフェースの三つ部分で構成さ れる。
鳥瞰図
操作の
インタフェース カメラ画像
図 3.23: PDCWシステムを起動した直後の画面
図 3.24: 作業機器を配置する方法
(1)鳥瞰図 作業現場を真上から見た場合の状態を参照できる概略図である。これに より、解体機器の二次元概略図と作業員の二次元概略図を提示できる。また、作業機 器を配置した後、作業機器の二次元概略図も提示できる。
(2)カメラ画像 拡張現実感を用いて、解体機器の三次元モデルと配置した作業機器 の三次元モデルを重畳表示した映像を表示する。インタフェース左下の箇所を指でタッ チすることにより、カメラ画像と鳥瞰図を切り替えることができる。
(3)操作インタフェース チェーンブロック、台車と櫓の配置ボタンがある。また、
「チェーンを外す」、「Undo」、「Redo」、「状況の保存」、「状況の再現」、「使い方」の6 つボタンと操作の状況のテキストがある
a. 作業機器を配置するボタン:図3.24に示すように、配置したい作業機器のボタン を鳥瞰図上で配置したところまでドラッグすることにより、作業機器を配置する。
b. チェーンを外す:解体機器を台車上で載せた後、このボタンを押すと、全てのチェー ンが外れる。
c. Undo:シミュレーション中、前回の状態へ戻す。
操作
インタフェース チェーンの配置 インタフェース
図 3.25: 作業機器を操作するインタフェース
d. Redo:シミュレーション中、前回の状態へ戻した後、今回の操作した状態へ戻す。
e. 状況の保存:シミュレーションの状況を保存する。
f. 状況の再現:保存したシミュレーションの状況を再現する。
g. 使い方:本システムの使い方を表示する。
h. 操作状況のテキスト:本システムの通信状態などシステムの状況を表示する。全 ての操作状況テキストとテキストの意味を表3.9に示す。
3.5.3.2 作業機器の操作インタフェース
鳥瞰図上で配置した作業機器を指でタッチすると、その作業機器が選択される。そ の際、選択された作業機器の二次元概略図の色を変える。一つの作業機器を選択した 際には、図3.25のような「操作インタフェース」が提示される。また、配置したチェー ンブロックと櫓を選択する場合、「チェーンの配置インタフェース」も提示される。
(1)操作インタフェース 作業機器を選択した後、「↑」、「←」、「→」、「↓」、「左へ 回転」、「右へ回転」、「消去」などボタンを利用して、この作業機器を操作する。
表 3.9: 操作状況テキスト テキスト 意味
接続成功 iPad2デバイスはサーバに接続した
未接続 iPad2デバイスはサーバと接続しない
接続中 iPad2デバイスはサーバと無線で接続している
配置中 作業機器は配置処理中である 配置成功 作業機器の配置に成功した ロープ設置成功 チェーンの配置に成功した ロープ設置失敗 チェーンの配置に失敗した。
ロープ設置中 チェーンを配置している
移動中 作業機器を移動する操作は処理している 移動完了 作業機器を移動した
回転中 作業機器を回転する操作は処理している 回転完了 作業機器を回転した
消去中 作業機器を消去する操作は処理している 消去成功 作業機器を消去した
外す不能 解体機器と台車の位置が正しくないので、チェーンを外すことできない 外す成功 全てチェーンを外した
保存中 シミュレーションの状況を保存している 保存成功 シミュレーションの状況を保存した
ロード中 シミュレーションの状況を読み込み中である ロード成功 シミュレーションの状況を再現した
a. ↑:選択された作業機器は前へ水平移動する。
b. ←:選択された作業機器は左へ水平移動する。
c. →:選択された作業機器は右へ水平移動する。
d. ↓:選択された作業機器は後ろへ水平移動する。
e. 左へ回転:選択された作業機器は左へ水平回転する。
f. 右へ回転:選択された作業機器は右へ水平回転する。
g. 消去:選択された作業機器を消去する。
h. ×1:移動のボタンを一回押すと、選択された作業機器は1,000mm移動する。回
転のボタンを一回押すと、選択された作業機器は作業現場に3度回転する。
i. ×5:移動のボタンを一回押すと、選択された作業機器は5,000mm移動する。回
転のボタンを一回押すと、選択された作業機器は作業現場に15度回転する。
j. 隠す:操作インタフェースを隠す。
(3)チェーンの配置インタフェース 配置されたチェーンブロックを選択して、この チェーンブロックのチェーンと解体機器を接続することが必要である。チェーンブロッ クのチェーンを配置する場合、鳥瞰図上でこのチェーンブロックを選択して、図3.25に 示すようなチェーンの配置インタフェースを提示する。このインタフェースは、「チェー ンを配置」ボタン、「隠す」ボタンとチェーンを配置する方法を説明するテキストの三 つ部分を構成する。
a. チェーンを配置:配置されたチェーンブロックを選択して、このチェーンブロッ クのチェーンを解体機器と接続したい場合、このボタンを押す。
b. 隠す:チェーンを配置したくない場合、このボタンを押すと、チェーンの配置イ ンタフェースを隠す。
c. テキスト:チェーンを配置する方法を提示する。
図 3.26: カメラ画像に切り替え時のシステム画面
(4)チェーンの配置
「チェーンを配置」ボタンを押すと、図3.26に示すようにデバイス画面上の鳥瞰図 とカメラ画像が切り替わる。カメラ画像上に解体機器の三次元モデルが重畳表示され るので、解体機器上のチェーンを接続したい箇所を指でタッチすると、チェーンがそ の箇所に接続される。しかし、この場合、デバイスが動くと、接続したい箇所をタッ チすることは難しくなるので、カメラ画像の右下に表示される、カメラ「Stop」ボタ ンとカメラ「Play」ボタンを用いて、カメラ画像の静止及び再開を行う。
a カメラStop:カメラを静止する。カメラ画像はカメラが最後にキャプチャした作
業現場の画像である。
b カメラPlay:作業現場の画像キャプチャを再開する。
カメラ「Stop」ボタンを押した後、最後にキャプチャした作業現場の画像上で、図 3.27に示すようにチェーンを解体機器と接続したい箇所を指でタッチし、図3.28に示す ようにチェーンを配置する。櫓のチェーンを配置する方法とチェーンブロックのチェー ンを配置する方法は同じである。また、チェーンの配置に成功した後は、カメラは自 動に作業環境を撮影する。
図 3.27: 接続箇所の選択
図 3.28: チェーンを配置した様子
チェーンを引っ張る チェーンを緩める
図 3.29: チェーンの操作
(5)チェーンの操作
チェーンを配置した場合、図3.28に示すように、カメラ画像右側にスライダーが表 示される。このスライダー上のボールをドラッグして、チェーンを操作する。作業現場 でチェーンを操作する場合、下へ引っ張る動作と緩める動作の2つがあるので、本シス テムでは、図3.29に示すように、スライダーのボールを下へドラッグする場合、チェー ンを引っ張ることを実現する。スライダーのボールを上へドラッグする場合、チェー ンを緩めることを実現する。また、ボールをスライダーの一番下までドラッグする場 合、チェーンを引っ張る速度は一番速くなる。ボールをスライダーの一番上までドラッ グする場合、チェーンを緩める速度は一番速くなる。
複数人の作業員は複数本のチェーンを配置して、チェーンを操作することを通じて、
解体機器を横に倒す作業を実施する。
(6)解体機器の運搬
解体機器を横に倒した後、鳥瞰図上で台車を配置する。この台車を移動して、解体 機器の真下へ移動する。また、解体機器の姿勢に合わせて、台車を回転させる必要が ある。解体機器と台車の姿勢を正しく対応させた後、カメラ画像で解体機器と台車の 距離を確認する。
この距離が500mmより小さい場合、操作インタフェースの「チェーンを外す」ボタ