10%有意水準にはないが視覚的に、定量的な出荷品 質基準が有る方が、SLOC発生不具合密度がやや低
5.5 企業事例: 業務アプリケーション別の基準値設定
135
(1) 目的
開発現場に納得感の高いドメイン別の目標基準値をベンチマークと して比較・検討することによって、自組織の品質目標値を設定する。
<考え方>
業種をドメインとして層別し、目標基準値を設定するケースは多い。
しかしながら、同一業種であっても業務アプリケーションや顧客の特 性によって、取得されたデータに大きなバラツキが発生し、開発現場 として納得感のある設定値になることは少ない。また一方で、ドメイン を細分化した場合、サンプルデータが少なくなり統計的な手法を用い た基準値設定が困難になる。
多少乱暴な方法ではあるが、改良開発プロジェクトを対象として、サ ンプルデータが少なくても、開発現場が少しでも納得感が持てること を目標に基準値提供を行った。
Copyright © 2015 独立行政法人情報処理推進機構
5.組織の改善例
5.5
企業事例:業務アプリケーション別の基準値設定
(つづき)
136
(2) ベンチマーク
<内部ベンチマークの設定方法>
① ドメインの設定
ドメインの設定は、業務アプリケーション、顧客別に設定する。
② ドメイン別の目標基準値の設定
i
)サンプルが10
件~30
件対象となる過去プロジェクトのデータからの最小値と最大値を 目標基準値として設定。(過去に発生しない値は今後も発生し ないとの仮定のもと、この範囲外での目標値設定は行わない。)
ii
)サンプルが30
件以上対象となる過去プロジェクトのデータから第
1
四分位と第3
四分 位の数値を目標基準値として設定。(過去の実績から想定し、50
%のデータが分布するエリアを目標基準の設定エリアと する。)Copyright © 2015 独立行政法人情報処理推進機構
137
5.組織の改善例
5.5
企業事例:業務アプリケーション別の基準値設定
(つづき)
(3) ベンチマーキング方法
ドメイン別の目標基準値をベンチマークとして比較・検討することに よって、自組織の品質目標値を設定する。
<効果>
統計的手法を駆使したものではないものの、開発現場及びマネジメ ント層からも各ドメインの実力から設定された目標基準値であると の理解を得ることができた。
<参考ポイント>
ベンチマーキングにおいては、できるだけ同種のソフトウェアと比較・検討すること が望ましく、典型的には同じ業種のベンチマークを利用することが推奨される。
この例は、社内において業務アプリケーション及び顧客で層別した内部ベンチ マークを整備・利用することによって、開発現場等にとってより納得できるベンチ マーキングを実現しており、ドメイン別マネジメントの事例として参考になると考え られる。また、サンプル数が少ない場合のベンチマークの整備方法としても参考 になると考えられる。
Copyright © 2015 独立行政法人情報処理推進機構