交通の現状 2.安全で快適なモビリティ確保への取り組み
2-1
2-1 道路交通事故への取り組み
前田 公三
1996年の交通事故の死者数は9,942人と9年ぶりに1万 人以下にすることができたが、人身事故件数は依然として 増加中である。今後は、第6次交通安全基本計画の2000年 に死者を9千人以下にする目標を達成するための死者数低 減対策とともに、人身事故件数を低減させるための事故防 止対策にも積極的な取り組みが必要である。また総務庁か ら交通事故を経済的観点からみた分析結果が公表され、今 後は経済的観点からの検討および対策も必要と思われる。
図1 交通事故死者数は9年振りに1万人を割ったが、
自動車交通 1998 37
12 10 8 6 4 2 0
9.89.3
8.89.5 9.710.210.210.0 9.58.8
8.4 7.6 自
動 車 乗 車 中 の 致 死 率
致死率=死者数/死傷者数×100 '85 '86 '87 '88 '89 '90 '91 '92 '93 '94 '95 '96
(‰)
年
図5 自動車乗車中の致死率は '92 年以降低くなっている。この要因としては、道路交通環境の整備、安全運転 の徹底とともに最近の自動車の被害軽減対策の充実強化があげられる。
資料⁚(財)交通事故総合分析センター「交通統計」
図6 人身事故では、車両相互事故が多い。車両相互事故の中では、出合頭事故と追突事故が件数も多く、かつ 増加傾向にある。特に出合頭事故では、道路環境、車両要因が複雑に関連した事故が多く、総合的な観点 からの対策が必要である。
図7 車両側の対策としては先進安全自動車 (ASV) の 研究開発技術の早期商品化が期待される。
図8 交通事故の経済的損失額は、年間4兆円あま りである。
○衝撃吸収ボディ採用拡大(日産:ZONE、トヨタ:GOA、
三菱:RISE、マツダ:MAGMAなど)
○ドアサイドビームの採用拡大
○SRSエアバッグ
・運転席、助手席の標準採用の拡大 ・側面衝突用のサイドエアバックの採用
○プリテンショナー、ヒューズベルトの採用拡大
○後席3点式シートベルトの採用拡大 など 自動車の主な被害軽減対策
0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000
1970
追突 出合頭衝突
右折時衝突 追越時正面衝突
その他正面衝突 左折時衝突 追越時衝突
すれ違い時衝突 事
故 件 数
(件)
'96年 '95 '90 '85 '80 '75 0
100,000 200,000 300,000 400,000 500,000 600,000 700,000 800,000
1970
車両相互
車両単独
人対車両
(件)
事 故 件 数
'96年 '95 '90 '85 '80 '75
それ以外
物損 9041億円 人身
(21%)
(34%)
(45%)
1兆4860 億円
1兆9680億円
4兆3581億円 人身
(34%)
1兆4860 億円
物損
(45%)
1兆9680億円
〈インフラ活用〉
・交差点自動停止システム
・カーブ進入減速システム
後続車への緊急制動 報知システム
後側方警報システム 居眠り運転警報システム
居眠り状態覚醒システム プレビューコーナーモニターシステム
先行車への接近警報システム 車間距離自動維持運転システム 歩行者検知
システム
撥水ウィンドウシールド 車線逸脱防止システム
事故回避自動操作システム ヘッドランプ
配光特性制御
資料⁚運輸省資料より作成
注)人身損失額:医療費、休業損失、慰謝料 物的損失額:車両・構築物修理・修繕・弁償費用 そ れ 以 外:勤務先の損失額、警察の事故処理費用、
被害者の救済費用、社会福祉費用、その他損失 資料⁚総務庁記者発表資料('97.9.16)
資料:(財)交通事故総合分析センター「交通統計」 資料:(財)交通事故総合分析センター「交通統計」
■ 人身事故の類型の推移 ■ 車両相互事故(人身事故)の衝突形態の推移
交通の現状
一般道 情報提供エリア
高速道 情報提供路線 1997年12月現在
1997年12月現在 計 画 中 1998年 3月から 計 画 中
2-2
2-2 ITS(高度道路交通システム)
岩崎 雅彦・堀越 実・福村 友博
ITS(Intelligent Transport Systems)とは、高度に発達し た電子技術や通信技術を駆使し、人とクルマと道路をうま く融合させ、一体システムとして知能化するものである。
ITS は、限られた資源、施設を効果的に利用し、交通環境 を改善する有力な方策の一つであり、その経済波及効果も 注目されている。日本では 1996 年7 月、交通関係 5 省庁(警 察・通商産業・運輸・郵政・建設)が全体構想を発表、21 世紀 に向け ITS 展開の道標(みちしるべ)が示された。
図1 ITS の利用者サービスを明確化するため、実施指針として 9 つの開発分野が 5 省庁から示された。
図2 渋滞や所要時間などの情報がいつでもリアル タイムでわかる VICS の利用可能エリアが広 がっていく。
交通管理の最適化
商用車の効率化 緊急車の運行支援
道路管理の効率化 公共交通の支援
安全運転の支援 自動料金収受
システム
ナビゲーション システムの高度化
交通運用歩行者等 の支援
自動車
図3 民間の情報提供サービスがスタートし、より 多様化したサービスが利用者に提供される。
車載システム 移動体電話回線
交換機 情報サービス センター 0
50 100 150 200 250 300
1993 1994 1995 1996 1997
(予測)
1997年6月実績
累計台数
(万台)
カーナビゲーション VICS車載器
年度 資料:交通工学1996No.1 Vol.31より作成
資料:VICSセンター資料より作成 資料:コンパスリンク(株)
サービスメニュー例
☆交通情報サービス…この先混んでる?
☆駐車場案内…どこか車を停めるところはない?
☆タウン情報…この辺に銀行はない?
☆レストラン案内…彼女が喜ぶお店をおしえて?
☆観光案内…恋人岬ってどういったらいいの?
■ VICS 車載器普及台数
■ VICS 情報提供エリア
■ 日本の ITS 9 分野の関わり
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