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交通流の再現性の検証実験

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第 4 章 交通流シミュレータの開発

4.7 交通流の再現性の検証実験

図 4.15: シミュレーション範囲全体図

とは出発したトリップの数であるため、時刻帯毎の発生量について、それが1日の中 で占める割合を、時刻帯毎に出発するトリップ数の比率と考え、出発時刻帯テーブル に格納していく。例として、「出勤」目的の出発時刻帯テーブルを表4.18に示す。ゾー ン間トリップ数テーブルの各要素について、その出発地ゾーンから出発時刻帯テーブ ルを参照し、時刻帯毎に重み付けすることで、最終的に目的別・出発時刻帯別のゾー ン間トリップ数テーブルを作成した。例として、「出勤」目的・午前8時台のゾーン間 トリップ数テーブルを表4.19に示す。同様のテーブルを「自由」「業務」目的のトリッ プについても作成し、全ての目的別・時刻帯別のゾーン間トリップ数テーブルの合計 数だけ自動車エージェントを作成、各自動車エージェントの出発地・目的地と出発時 刻帯を設定した。ただし、各自動車エージェントの具体的な出発地・目的地は該当す るゾーン内のランダムなノードとして経路探索を行い、具体的な出発時間は指定され

図 4.16: 各ゾーンの範囲設定図

た時刻帯の中でランダムに設定した。

シミュレーションでは1stepを0.1秒に設定した。これは自動車エージェントの速度・

加速度を細かい時間幅で変化させ、CO2排出量やコストを詳細に算出するためである。

シミュレーションはハイウェイ設置時間である、午前6時〜9時を対象として行い、3 時間分(108000step)実行した。検証実験では交通流の再現性の確認を目的としている ため、ハイウェイを設置していない状態で行う。また、二輪車や自転車、歩行者など は渋滞などの交通状況に大きく影響しないと考えられるため、自動車以外の交通につ いては考慮しない。

4.7.3 検証項目の詳細

道路交通センサスの交通量観測結果[3]とシミュレーションで観測された交通量を比 較することで交通流の再現性を検証した。比較は図4.15の道路ネットワーク内60箇所

表 4.16: ゾーン番号とパーソントリップ調査でのゾーン名の対応関係 ゾーン番号 パーソントリップ調査でのゾーン名

1 西京区

2 南区

3 伏見区下鳥羽他

4 向日市

5 長岡京市

6 京都市都心部

7 伏見区

8 八幡市他

9 南丹

10 北大阪

で行った。ただし、道路交通センサスの観測結果[3]は午前7時台以降のデータしかな いため、午前7時台、午前8時台の2時間分について比較した。

表 4.17: 「出勤」目的のゾーン間トリップ数テーブル

PPPPPPPPP

PPPP

出発地

目的地 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

1 3883 3001 697 1086 679 3231 1639 491 578 118

2 248 2383 742 260 260 1819 1420 182 242 890

3 101 1660 1133 313 313 387 2162 422 252 432

4 557 1171 643 1059 791 674 748 78 39 379

5 348 862 474 829 1676 519 748 170 371 706

6 689 3327 714 298 84 0 1707 323 0 1377

7 410 4729 3049 544 544 3826 0 3042 362 965

8 95 340 255 101 71 401 1089 0 0 0

9 668 738 178 343 387 0 303 32 0 979

10 51 814 264 88 730 1182 608 0 920 0

表 4.18: 「出勤」目的の出発時刻帯テーブル

ゾーン番号 午前6時台 午前7時台 午前8時台

1 0.136 0.366 0.276

2 0.120 0.325 0.275

3 0.155 0.343 0.235

4 0.081 0.332 0.331

5 0.162 0.341 0.286

6 0.057 0.341 0.285

7 0.125 0.356 0.255

8 0.199 0.294 0.318

9 0.107 0.376 0.340

10 0.154 0.342 0.276

表 4.19: 「出勤」目的・午前8時台のゾーン間トリップ数テーブル

PPPPPPPPP

PPPP

出発地

目的地 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

1 1072 828 192 300 187 892 452 136 160 33

2 68 655 204 72 72 500 391 50 67 245

3 24 390 266 74 74 91 508 99 59 102

4 184 388 213 351 262 223 248 26 13 125

5 100 247 136 237 479 148 214 49 106 202

6 196 948 203 85 24 0 486 92 0 392

7 105 1206 777 139 139 976 0 776 92 246

8 30 108 81 32 23 128 346 0 0 0

9 227 251 61 117 132 0 103 11 0 333

10 14 225 73 24 201 326 168 0 254 0

4.7.4 検証実験の結果

午前7時台、午前8時台の実測値を横軸に、シミュレーション値を縦軸にプロットし た図をそれぞれ図4.17、4.18に示す。また、シミュレーション値と実測値の相関係数 を表4.20に示す。午前7時台については、5%水準で有意に相関があった。

表 4.20: シミュレーション値と実測値の相関係数

午前7時台 午前8時台 相関係数 0.33 0.25

シミュレーション値と実測値に全く相関がないわけではないが、乖離が生じている。

この原因については、以下のことが考えられる。

まず、パーソントリップ調査のOD交通量に含まれる傾向誤差が考えられる。名取ら の研究によると、パーソントリップ調査ではトリップに抜け落ちが発生する傾向があ り、この抜け落ちは1人あたりの総トリップの2〜3割程度にまで達する[45]しかし、こ れを考慮したとしても表4.20の乖離は説明しきれない。そこで、実測値とシミュレー ション値が特に大きく乖離している箇所を調査すると、特にシミュレーションで扱う 範囲の境界付近に多かった。図4.16のゾーン設定が不適切であった可能性があり、よ り詳細な設定が求められる。また、ゾーン内で出発地・目的地を設定する際に、完全 にランダムに設定したことにも問題があると考えられる。通勤の場合、住宅地と業務 用地や商業用地などの間を移動すると考えられるため、本来は完全にランダムにする のではなく、土地利用データを反映させる必要がある。

以上のような問題点はあるが、図4.17、4.18の赤い円で囲った部分に着目すると、再 現性が高い箇所も存在し、現実の京都市近郊の交通流との関連もある程度はあると言 える。したがって、シミュレーションで出てきた結果にも一定の信頼は置けると考え られる。

0 500 1000 1500 2000 2500 3000

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000

実測値(台/h)

シミュレーション値(台/h)

図 4.17: 午前7時台のシミュレーション値と実測値の比較(60箇所)

0 500 1000 1500 2000 2500 3000

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500

実測値(台/h)

シミュレーション値(台/h)

図 4.18: 午前8時台のシミュレーション値と実測値の比較(60箇所)

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