4.3 交流電場誘起流の流動特性評価実験
4.3.3 交流電場誘起流の三次元流動構造
血液の導電率σ=5~20mS/cmの範囲内であるσ =5.0, 10.5mS/cmの溶液では,
どちらでも z 軸方向の流動が形成されていることに着目し,この流動の三次元 的流れ構造について検証した.
(Ⅰ) x-y平面内流動
Fig. 4.1.8 (a) ~ (g) にz = -150~150μmの速度ベクトル線図を示す.
導電率σ = 10.5mS/cm,電場強度E = 25V/mm,電場周波数f = 15MHzである. z
= -150~-50μm では,電極近傍の領域に集中し,異なる高さに向かう流動が 誘起されているのがわかる.z = 0,50μmでは電極に向かう流動が確認できるが,
これは解析に用いた画像の電極近傍に異なる高さの粒子写りこんだためであり,
実際にはx = 100μm付近に集中する流れが誘起された.一方,z = 150,100μmで
はx = 200~250μm付近の速度ベクトルが小さい領域を境に,x軸の負の方向と
正の方向に分かれて広がる流動が誘起されていることがわかる.x = 200~250μm の速度ベクトルが小さい領域では観測高さから外れる向き,つまり z 方向成分 の速度が大きい流動であると考えられ,また,周囲の流動の様子から異なる高さ から流れ込んでくる流動であると考えられる.
107
(a) z = 150 (b) z =100
(c) z = 50 (d) z = 0
x [μm]
y [μm ]
Induced flow velocity108
(e) z = ‐ 50 (f) z = ‐ 100
(g) z = ‐ 150
y [μm ]
x [μm]
Fig. 4.3.8 Velocity Profile near parallel plate Electrode (σ =10.5mS/cm, E =25V/mm, f =10MHz)
Induced flow velocity
109
(Ⅱ) y-z平面内流動
次に,x-y平面での観察ではz軸方向の誘起流の観察が困難であったため,y
-z平面での観察を行った.まず,初めにPTV解析結果よりz軸方向の誘起流の 評価を行った. Fig. 4.3.9にPTV解析結果の例を示す (σ=12.5mS/cm, E =50V/mm, f=100kHz, x=200µm).各曲線が粒子の軌跡を示しており,平均流速はスケールバ ーに対応している.赤枠は電極の位置を示している.粒子の軌跡について,y =
-100~100µm の電極間領域では,粒子は z 軸に平行な軌道を示したのに対し,
y≦-100,y ≧100µmの電極上・電極外側領域では曲線的な軌道を示した.つま
り,粒子は,電極間領域ではz軸方向成分のみが,電極上・電極外部領域ではz 軸及び y 軸方向成分を有していることがわかる.これは,x-y 平面での,y=0 上の領域を中心に速度ベクトルの集中・減少し,z軸方向の誘起流速が支配的と なる観察・解析結果と一致している.
より詳細な流動特性の評価を行うため,電極からの距離 x を100,200,300,
400µmで変化させた場合の,z=500µmでの粒子速度を解析した.解析結果をFig.
4.3.10 (a)-(d)に示す.導電率σ = 12.5mS/cm,電場強度E = 50V/mm,電場周波数
f = 100kHzである.誘起流速vzは,y=-100~100µmの電極間ギャップで最大と
なり,電極間領域から離れるほど減少する傾向が確認できる.これは,y=0 の 電極間中心に接近するほど電場強度が増加し,電磁気学的な作用やジュール熱 の影響が増加するためと考えられる.また,(a),(b)では誘起流速は放物線状の分 布を示すのに対し,(c),(d)では分散した分布を示した.これついては,x-y平面 内観察同様,(c),(d)では y-z 平面に対して垂直な x 方向の速度ベクトルが増加 し,正確な計測が出来ていないためと考えられる.
誘起流速が高値を示す y=-100~100µm の電極間ギャップでの誘起流に注目 した.電極間領域の平均誘起流速のvz,avr とxの関係をFig. 4.3.11に示す.これ
110
より, x=200µm付近でvz,ave は最大となる速度分布を形成することが明らかと
なった.本実験では観察系の関係上,x=400µmまでの計測となったが,電極近 傍では安定した流動が形成されていることが示された.
次に,vz,aveとzの関係をFig. 4.3.12に示す.vz,ave はz=0-500µm間で増加し て以降,z≧500µmではおよそ一定の値を示している.このことから,安定した 流動形成に大きな電極長さは不要と考えられる.
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Fig. 4.3.9 PTV image
(σ=12.5mS/cm, E =50V/mm, f=100kHz, x=200µm)
0 500
-500
500
y [µm]
z [µm]
0
Induced flow velocity
112 0 100 200 300 400 500 600
-400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400
vz[µm/s]
y [µm]
0 100 200 300 400 500 600
-400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400
vz[µm/s]
y [µm]
(a) x=100
(b) x=200
113 0 100 200 300 400 500 600
-400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400
vz[µm/s]
y [µm]
0 100 200 300 400 500 600
-400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400
vz[µm/s]
y [µm]
(c) x=300
(b) x=400
Fig. 4.3.10 Velocity distribution by changing x (σ=12.5mS/cm, E =50V/mm, f=100kHz)
114 0
50 100 150 200 250 300
0 1000 2000 3000 4000 5000 6000
Vz,ave
[μ m/ s]
z [μm]
0 100 200 300 400 500
0 100 200 300 400
Vz,ave
[μ m/ s]
x [μm]
Fig. 4.3.11 𝑣𝑧,𝑎𝑣𝑒 by changing distance from electrode x (σ=12.5mS/cm, E =50V/mm, f=100kHz, z=500µm)
Fig. 4.3.12 𝑣𝑧,𝑎𝑣𝑒 by changing distance from electrode bottom z (σ=12.5mS/cm, E =50V/mm, f=100kHz, x=200µm)
115