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第 5 章 遠距離場において騒音を低減するアクティブ防音塀 57

5.4 数値計算による提案手法の検証

5.4.3 二次音源出力の増幅率と騒音低減量の関係

騒音低減量[dB

1

0.5 2 3 4

従来手法 β -2

-1 0 1 2 3 4 5 6 7

1.5 2.5 3.5 4.5 5

防音塀2 防音塀1 防音塀3

(a) 騒音源: N1地点

騒音低減量[dB

1

0.5 2 3 4

従来手法 β -2

-1 0 1 2 3 4 5 6 7

1.5 2.5 3.5 4.5 5

防音塀2

防音塀3

防音塀1

(b) 騒音源 : N2地点 図 5.6: 騒音低減量とβの関係

5.4. 数値計算による提案手法の検証 63

騒音低減量[dB

1

0.5 2 3 4

従来手法 β -2

-1 0 1 2 3 4 5 6 7

1.5 2.5 3.5 4.5 5

防音塀2

防音塀3 防音塀1

(c) 騒音源 : N3地点

防音塀2

騒音低減量[dB

1

0.5 2 3 4

防音塀3

防音塀1

従来手法 β -2

-1 0 1 2 3 4 5 6 7

1.5 2.5 3.5 4.5 5

(d) 騒音源: N4地点 図 5.7: 騒音低減量とβの関係

提案手法を用いたときのANCによる騒音低減量を図5.6,5.7に示す。ただし,ANCによる 騒音低減量は,図5.4に示す制御領域内で63 – 800 Hzの帯域でエネルギー平均した音圧レベ

ル(以下,平均音圧レベルと呼ぶ)のANCシステム動作前後での差である。また,横軸のβ

5.2節で述べたように,提案手法を用いたときの二次音源出力と従来のフィードバック制御を用 いたときの二次音源出力の比であり,β = 1は従来のフィードバック制御に対応する。N1,N2, N3,N4地点のいずれに騒音源を配置しても,防音塀1,2,3の全てにおいて,βの値が1より 大きくなるにつれて,騒音低減量は増加し,あるβで最大値となった後,減少へと転じる。防 音塀1は騒音低減量が最大となるβの値が騒音源の位置によって大きく異なっており,β の値 を4.8 に固定すると,騒音源をN3地点に配置したときには提案手法の騒音低減量が最大となる のだが,騒音源をN1 地点に配置したときには騒音低減量は-1.6 dBと,ANCシステム動作後 の方が音圧レベルが高くなる。

表 5.1: 一つのフィードバックシステムを使用したときの騒音低減量と制御手法の効果 防音塀

騒音源位置

1 2 3

従来手法 (1) 3.1 3.9 2.8 低減量[dB] 5.4 4.6 5.8

N1 提案手法 (2)

(2.1) (1.5) (2.4) 効果 [dB] (2) - (1) 2.3 0.7 3.0

従来手法(3) 1.9 2.3 1.5 低減量 6.6 3.3 3.1

N2 提案手法 (4)

(3.7) (1.9) (2.8)

効果 (4) - (3) 4.7 1.0 1.6

従来手法 (5) 1.2 1.5 0.9 低減量 4.2 2.6 1.9

N3 提案手法 (6)

(4.8) (2.5) (3.2)

効果 (6) - (5) 3.0 1.1 1.0

従来手法(7) 1.2 1.5 0.9 低減量 3.9 3.2 2.0 N4

  提案手法 (8)

(4.5) (3.0) (3.5)

効果 (8) - (7) 2.7 1.7 1.1

5.4. 数値計算による提案手法の検証 65

0 5 10 15㨇m㨉

2 4 6 8

76 dB

8280

㒐㖸႖

78

74

図 5.8: 制御音の音圧分布(防音塀3)

0 5 10 15㨇m㨉

2 4 6 8

74 80 dB

78

㒐㖸႖

76 76

騒音源: N1

0 5 10 15㨇m㨉

2 4 6 8

8280

㒐㖸႖

78 76

74 dB

騒音源 : N4 図 5.9: 騒音の音圧分布

従来のフィードバック制御を用いたときの騒音低減量,提案手法を用いたときの騒音低減量 の最大値,及び,そのときのβ (括弧内の値),提案手法の効果として両制御手法の騒音低減量 の差を表5.1にまとめる。提案手法の効果は,ANCシステムの配置によって異なっており,防 音塀1が防音塀2,3と比べて大きい。防音塀1を設置し,騒音源をN2地点に配置し,提案手 法を用いたときが,全ての条件の中で騒音低減量が最も大きく,6.6 dBである。また,そのと きの従来のフィードバック制御との騒音低減量の差は4.7 dBである。従来のフィードバック制 御,提案手法のどちらも騒音源が防音塀から遠くなるほど騒音低減量が小さくなる。防音塀3 の制御音の音圧レベルの空間分布を図5.8に,騒音の音圧レベルの空間分布を図5.9 に示す。い ずれの値も63 – 800 Hzオーバーオール値である。騒音源がN4 にある時の音圧レベルは高さ2 m以下の領域ではほぼ同一の値となる。一方,騒音源がN1 にある時の音圧レベルは高さ2 m 以下の領域では鉛直方向及び水平方向に変化する分布を示す。防音塀3の制御音の音圧レベル も高さ2 m以下の領域では鉛直方向及び水平方向に変化する分布を示しており,騒音源がN1 にある時の音圧レベルと完全に一致するわけではないが,分布の傾向が近い。騒音源がN2地 点,N3地点にあるときもあわせて騒音の音圧レベル分布と制御音の音圧レベル分布を比較する と,騒音源の位置が防音塀から遠くなるほど制御音の音圧レベル分布と騒音の音圧レベル分布 の差が大きくなる。また,防音塀1,2 も同様の特徴を示す。そのために騒音源が防音塀から遠 くなるほど騒音低減量が小さくなったと考えられる。

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