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第 3 章 開口において騒音を反射する能動制御に関する実験的検討 25

3.2 実験

3.2.6 二つの ANC ユニットを用いた制御

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図 3.15: 実験装置の配置

ここでは二つのANCユニットを設置した実験について述べる。実験装置の配置を図3.15に,

開口に設置する二次音源とエラーセンサの配置を図3.16に示す。ANC ユニット1,2は,それ ぞれ二次音源二つ,エラーセンサ二つで構成されており,二つのユニットは独立して適応動作 する。即ち,ユニット1のコントローラはエラーセンサ1,2において音圧が最小になるよう二 次音源1,2を駆動し,ユニット2のコントローラはエラーセンサ3,4 において音圧が最小に なるように二次音源3,4を駆動する。そのため,二つのユニットを同時に適応動作させたとき には,二次音源からの出力が他のANCユニットのエラーセンサに到達し,適応動作に影響を 与える可能性がある。ここでは,ユニット1のみを動作させたとき,ユニット2のみを動作さ せたとき,ユニット1,2両方を同時に動作させたときの3 種類の動作で騒音低減効果を比較

500

500

600

600 800 平面図

立面図

立面図 500

500

ANCユニット1 ANCユニット2 二次音源1,2

エラーセンサ1,2

二次音源3,4

エラーセンサ3,4

単位:mm

図 3.16: ANCユニット

する。ユニット1,2両方を同時に動作させる制御では,両方のユニットの適応動作を同時に開 始し,適応動作が収束したところで適応を停止し,その時点でのフィルタ係数を用いて制御を 行った。騒音源スピーカは図3.15に示す位置に開口に向けて床面上に設置した。騒音源信号に

は45 – 355 Hzに帯域制限したホワイトノイズを使用し,参照信号としてコントローラに入力

した。

50 63 80 100 125 160 200 250 15

10

5

0

-5

周波数[Hz]

低減量(放射パワー)[dB]

図 3.17: 騒音低減量(計測面1,2合計)

制御前とユニット1,2両方を動作させたときの計測面1,2で合計した放射パワーレベルの 差を図3.17に示す。放射パワーレベルの計測手順は3.2.3節で述べた手順と同じである。騒音

低減量は100 Hzで最大値11 dBとなったのち,周波数が高くなるにつれて小さくなり,200 Hz

3.2. 実験 39 以上では負へと転じた。一方,3.2.3,3.2.5節の実験では騒音低減量が125 Hzで最大となり,

250 Hz以上で負へと転じた。これらの周波数に差が生じた原因として,本節の実験で設置する

エラーセンサの数が3.2.3,3.2.5節と同じ4個であるにも関わらず,制御を行う開口の面積が 3.2.3,3.2.5節の2倍であったことが考えられる。

50 63 80 100 125 160 200 250 15

10

5

0

-5

ユニット1のみ動作 ユニット1,2動作

周波数[Hz]

低減量(放射パワー)[dB]

図 3.18: 騒音低減量(計測面1)

50 63 80 100 125 160 200 250 15

10

5

0

-5

ユニット1のみ動作 ユニット1,2動作

周波数[Hz]

低減量(放射パワー)[dB]

図 3.19: 騒音低減量(計測面2)

次に,計測面1,2それぞれで計測した制御前と制御後の放射パワーレベルの差を図3.18,3.19 に示す。まず,計測面1では,ユニット1のみを動作させたときよりも,ユニット1,2両方を 動作させたときの方が低減量が大きい。これは,ユニット2を停止したときにはユニット2の 開口を透過する騒音が計側面1に回り込むが,ユニット2を動作させるときには回り込みが低

減したためであると考えられる。一方,計測面2 ではユニット1,2 両方を動作させたときの 方が,ユニット2のみを動作させたときよりも騒音低減量が小さい。その原因として,ユニッ ト1 の二次音源はユニット2のエラーセンサに向いており,ユニット2 の動作がユニット1の 二次音源による付加音の影響を受けやすかったためであると考えられる。このことから,複数 の独立したユニットを設置して制御を行うことは可能であるが,二次音源の向きに注意が必要 であると言える。

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