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関連法律

ドキュメント内 「韓国模倣対策マニュアル」 (ページ 133-159)

第3章  模倣に対する刑事的救済

1.  関連法律

  産業財産権の侵害による差止請求訴訟も通常の民事訴訟であり、弁論主義を基調とする 民事訴訟の一般原則が適用される。従って、実体的な内容に関しては、特許法、商標法等 が基準となるが、訴訟手続に関する部分は民事訴訟法及び同施行令等による。

2.民事訴訟の対象となる侵害行為 

 

2-1 特許権の侵害 

  特許侵害は、直接侵害と間接侵害に分けることができ、直接侵害は同一領域における侵 害と均等領域における侵害に分けられる。同一範囲内の侵害は、発明の構成要件の全てを そのまま使用するので故意的な侵害である場合が多い。発明の構成要件的特徴を全て使用 しないが、重要な特徴を使用して同じ結果を得る場合、即ち、請求範囲の一つの要素でも 抜けていたり、付け加えられていたり、変更されている場合には、文言侵害は否定され、

均等領域においての侵害が成立するかどうかを判断することになる。

 

(1)同一領域における侵害 

  特許請求の範囲の文言の解釈により特定された発明内容(対象)に対する同一領域におけ る侵害、即ち当該特許の構成要件的特徴を全部そのまま使用する場合(文言上の一致)は、

先使用権などの違法性阻却事由がない限り、特許侵害を構成する。

(2)均等領域における侵害(均等論) 

  侵害物が特許発明の構成要件を変更する態様で達成されている場合、即ち形式的に同一 ではないが、当該発明の核心的特徴をそのまま使用して実質的に同一なものと評価される 場合、特許侵害が肯定されるといえるであろう。均等論とは、このように対比される二つ の実施形態が実質的に同一であると評価され得る場合に、両者は均等であり、単純な設計 変更に過ぎず又は無駄な工程を付け加えたり省略した実施形態については、事実上侵害と 認めることができるという理論をいう。

  韓国での学説は均等論を認めることで一致している。国際的にも確立した原則である。

判例でこれを明示的な論難を経て適用した事例は見い出し難いが、均等論を事実上認める

(参考)関連判例(大法院第 3 部 2000.7.4.言渡 97 フ 2194 判決)   

本件は、抗菌剤のサイプロフロキサシン(ciprofloxacin)を製造する方法に対するバイエル の特許発明に対し、大熊製薬が中間剤を製造する工程を追加して通常の化学反応理論及び 発明の収率を高めた方法がバイエルの特許発明の権利範囲に属さないという判断を請求し た事件である。大法院は、大熊製薬の発明はその出発物質、反応物質及び目的物質がバイ エルの特許発明と同一で、その製造方法も反応物質のピペラジンを出発物質の C-7 の位置 に結合させて目的物質を製造するバイエル特許発明の主反応の反応原理をそのまま利用す るという点でその技術的思想と核心的な構成が同一で、ただ大熊製薬の発明が出発物質に アルミニウムクロライドを反応させて中間体を経る構成を付加した差がありはしても、こ の付加工程は本件の両発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、周知の慣 用技術によって容易に付加させることができる工程にすぎないと見られ、その作用効果も また周知の慣用技術を付加することによる効果以上に優れていたり、顕著に向上したとは 見難いので、大熊製薬の発明はバイエルの特許発明と相違する発明であると見ることがで きず、その特許発明の権利範囲に属する均等領域での侵害であると判断した。

(3)間接侵害 

  現実に侵害と見難いが、侵害行為の前段階にあって特許侵害と見られる形態の実施をい う。法は一定の実施類型を特に規定して特許侵害行為と擬制している。第一に、特許が物 の発明の場合には、その物の生産にのみ使用する物を業として生産・譲渡・貸与又は輸入 したり、その物の譲渡又は貸与の申出をする行為、第二に、特許が方法の発明である場合 には、その方法の実施にのみ使用する物を業として生産・譲渡・貸与又は輸入したり、そ の物の譲渡又は貸与の申出をする行為(特許法第 127 条)である。

2-2 商標権の侵害  (1)同一領域での侵害 

  同一領域での侵害がある。いわゆる使用権に対する侵害である。

(2)類似領域での侵害 

  類似範囲での侵害で、いわゆる禁止権に対する侵害に属する。実際に最も問題となる点 であり、他の産業財産権におけるのと同様に、「大きな利益に対しては大きな保護、小さな 利益に対しては小さな保護」の原則により周知著名商標には一般商標の場合より大きな保 護が与えられ、強い商標は弱い商標よりその保護範囲が広い。従って、商標の防御区域で の類似を判断するに当たって商標の周知著名性、自他商品の識別力、取引通用性などが考 慮されなければならない。

(3)間接侵害 

  商標法は、商標侵害の予備的、寄与的行為をいわゆる間接侵害と規定することによって 商標保護の幅を広めている。特許法第 127 条と同様の趣旨である。間接侵害となるのは、

次の行為である。

①他人の登録商標と同一又は類似の商標をその指定商品と同一又は類似の商品に使用 する目的や使用させる目的で交付又は販売し、偽造・模造又は所持する行為、 

②他人の登録商標を偽造又は模造する目的や偽造又は模造させる目的でその用具を製 作・交付・販売又は所持する行為、 

③他人の登録商標又はこれと類似の商標が表示されたその指定商品と同一又は類似の 商品を譲渡又は引き渡すために所持する行為(商標法第 66 条)。 

2-3 不正競争行為の場合 

(1)商品主体の混同行為(不正競争防止法第 2 条第 1 号イ目) 

  商品主体混同行為は国内に広く認識された他人の姓名、商号、商標、商品の容器、包装 その他他人の商品であることを表示した標識と同一又は類似のものを使用したり、このよ うなものを使用した商品を販売、頒布又は輸入、輸出して他人の商品と混同を引き起こす 行為をいう。いわゆる周知商標などの冒用によって混同を招く行為である。商品主体混同 行為は次の営業主体混同行為とともに、いわゆる passing-off 又は palming-off とよばれ る類型の典型的な不正競争行為である。不正競争防止法で保護される商標や商号は周知性 を取得していれば十分であり、登録、登記されていることを要しない。

 

(2)営業主体の混同行為(不正競争防止法第 2 条第 1 号ロ目) 

  営業主体混同行為は国内に広く認識された他人の姓名、商号、標章その他他人の営業で あることを表示する標識と同一又は類似のものを使用して他人の営業上の施設又は活動と 混同を引き起こさせる行為を言う。ここで規定する姓名、商号、標章は営業標識の例示に 過ぎず、企業標や営業標章など、それが営業を表す標識である以上、すべてこれに含まれ る。登録されないサービスマーク、フランチャイズ、チェーン店、商品化権者なども周知 性を獲得して営業標識化された場合にはここに該当する。 

 

(3)著名標識稀釈行為(不正競争防止法第 2 条第 1 号ハ目) 

  商品主体又は営業主体の混同行為惹起行為以外に、非商業的使用など大統領令で定める 正当な事由無くして国内に広く認識されている他人の姓名、商号、商標、商品の容器・包 装その他の他人の商品又は営業であることを表示した標識と同一若しくは類似のものを使

責任を問うことができる(不正競争防止法第 5 条、第 6 条)。 

 

(4)原産地誤認惹起行為(不正競争防止法第 2 条第 1 号ニ目) 

  原産地虚偽表示行為は商品及びその広告によって又は公衆が知り得る方法で取引業者の 書類もしくは通信によって虚偽の原産地の標識をしたりあるいはこのような標識をした商 品を販売、頒布又は輸入、輸出して原産地の誤認を引き起こさせる行為である。原産地

(origin、ursprung、origine)は元来、葡萄酒、チーズなどと共に特定の土地の自然条件と生産

物の特性、品質との間に密接な関連がある場合、主に農業生産物の元来の産地名称(狭い 意味の原産地名称)を保護するためにフランスなどヨーロッパで発展した概念である。原 産地は天然の産出物(農産物、水産物など)を生産する地名だけでなくて、加工、製造さ れた商品(酒、繊維、化学製品、機械類)を産出する地名も含むものと解釈されている。 

 

(5)出所地誤認惹起行為(不正競争防止法第 2 条第 1 号ホ目) 

  出所地誤認惹起行為は商品及びその広告によって又は公衆が知り得る方法で取引業者の 書類もしくは通信にその商品が生産、製造あるいは加工された地域以外の所で生産又は加 工されたように誤認を引き起こさせる標識をしたり、又はこのような標識をした商品を販 売、頒布もしくは輸入、輸出する行為を言う。ここでの出所地は生産地、製造地、加工地 を意味し、原産地より広い概念である。このような出所地標識は虚偽である必要はなく、

誤認を引き起こさせるだけで十分で、例えば国産品を単純に「外国製」と表示したものや

Made in U.S.A.と表示したものはもちろん、加工、暗示的な表示をするものなどにまで広く

適用される。 

 

(6)質量誤認惹起行為(不正競争防止法第 2 条第 1 号ヘ目) 

  質量誤認惹起行為は他人の商品を詐称したり商品又はその広告に商品の品質、内容、製 造方法、用途もしくは数量の誤認を起こすようにする宣伝あるいは標識をしたり、このよ うな方法や標識で商品を販売、頒布又は輸入、輸出する行為である。質量誤認惹起行為は 需要者に対する不正需要操縦行為の1つとして虚偽詐欺広告が典型的なものであり、顧客 の不正獲得行為(unfair catching of customers)の類型に属す。質量誤認惹起行為は競 争者個人の利益を損なう行為というよりは正当に営業中である競争者全体に対するイメー ジ毀損、顧客獲得可能性の毀損を招く行為であるため市場の一般的破壊をもたらす行為で あり、その直接的かつ1次的被害者は一般消費者であるため一般消費者に差止請求権を認 定する必要性がある。 

 

(7)不当ドメインネーム登録行為等の禁止(不正競争防止法第 2 条第 1 号チ目)

  2004 年 1 月 20 日に公布されて同年 7 月 20 日付で施行された改正不正競争防止法では、

正当な権原のない者が、①商標など標識に対して正当な権原がある者または第三者に販売

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