第1章 模倣に対する行政的救済
3. 不公正貿易行為に対する貿易委員会による救済制度
不公正貿易行為の調査及び産業被害救済に関する法律では、大韓民国の法令又は大韓民 国が当事者である条約によって保護される特許権・実用新案権・意匠権・商標権・著作権・
著作隣接権・プログラム著作権及び半導体集積回路の配置設計権又は地理的表示及び営業
り迅速な調査がなされるという長所がある。ただし、貿易委員会の行政措置について争う 場合、行政法院、そして上告する場合は大法院の判断まで受けなければならず、時間及び 代理人費用がさらに必要になるという短所もある。
3-1 申告手続
①何人も不公正貿易行為の事実があると認められるときには、これを調査するよう貿易 委員会に書面で申請することができる。
②不公正貿易行為に対する調査申請は、違反行為があった日から1年以内にしなければ ならない。
③貿易委員会は、調査申請があった場合、30 日以内に調査開始の如何について決定しな ければならない。2006 年 12 月 18 日、貿易委員会の委任専決規程の改正を通じて、不 公正貿易行為調査及び産業被害救済に関する法律第 5 条の調査開示の可否の決定は、
貿易調査室長が決定し、その内容を次期委員会に報告するようにした。ただし、その 内容が重要で、委員会の審議が必要と貿易調査室長が判断する場合には、委員会に上 程して決定することになっている。
3-2 制裁手段 (1)是正措置命令
貿易委員会は、知的財産権侵害物品等の輸出入、国内販売、製造行為があると判定した 場合、当該行為者に対して、当該物品等の輸出・輸入・販売・製造行為の中止、当該物品 等の搬入の排除及び廃棄処分、訂正広告、法違反事実の公表、その他是正のために必要な 措置を命じることができる。これに関連し、2004 年 1 月 20 日に改正されて同年 10 月 20 日に施行された不公正貿易行為調査及び産業被害救済に関する法律の改正法によれば、
「法違反事実の公表」が「法違反により貿易委員会から是正命令を受けた事実の公表」に 修正された。この是正措置命令に違反した者は、同法 40 条 1 項 2 号の規定により3年以下 の懲役又は 3,000 万ウォン以下の罰金に処される。
(2)課徴金
貿易委員会は、知的財産権侵害物品等の輸出入、国内販売、製造行為があると判定した 場合、当該行為者に対し、大統領令の定める取引金額に 100 分の 2(2004 年 1 月 20 日に改 正されて同年 10 月 20 日に施行された不公正貿易行為調査及び産業被害救済に関する法律 の改正法によれば、100 分の 30 に調整された)を乗じた金額の範囲内で課徴金を賦課する ことができる。ただし、取引金額がないか又は取引金額の算定が困難な場合であって大統 領令が定める場合には、5 億ウォンを超えない範囲内で課徴金を賦課することができる。
大統領令で規定している課徴金賦課の基準は、次のとおりである。
課徴金の賦課基準となる売上額 賦課比率
10 億ウォン以下 賦課基準の取引額の 30/100(基本金額) 10 億ウォン超過 100 億ウォン以下 10 億ウォン毎に 500 万ウォン加算 100 億ウォン超過 1,000 億ウォン以下 100 億ウォン毎に 1,000 万ウォン加算
1,000 億ウォン超過 1 兆ウォン以下 1,000 億ウォン毎に 2,000 万ウォン加算 1 兆ウォン超過 1 兆ウォン毎に 4,000 万ウォン加算
3-3 異議申立
貿易委員会が下した是正措置命令又は課徴金賦課処分に対して不服がある者は、その処 分の通知を受け取った日から 30 日以内に異議申立をすることができる。貿易委員会は、異 議申立に対して 60 日以内に決定しなければならず、30 日の範囲でその期間を延長するこ とができる。
3-4 不公正貿易行為に対する調査手続フローチャート
調査申請 (貿易調査室)
制裁措置施行 (貿易委員会)
制裁措置建議 (貿易委員会)
調査開始如何の決定(30)日 (貿易委員会)
不公正貿易行為の調査 (貿易調査室)
審議・議決 (貿易委員会)
暫定措置
*書面申請
*職権調査
*申告期間、申請書等の適正性の検討
*判定時限の設定
*書面調査の原則
*面接又は現地調査の並行が可能
*調査結果の審議
*制裁措置の手段及び水準の決定
*是正措置命令 *原産地部分
*課徴金賦課
産資部長官に建議
*是正措置命令
*処分の通知を受け
3-5 改正施行令
「不公正貿易行為調査及び産業被害救済に関する法律(産業被害救済法)」の改正施行令 が 2006 年 2 月 8 日から施行されている。
①職権によって不公正貿易行為を調査する場合には、事前に知的財産権者の意見聴取を 行うことを義務化した。
②貿易委員会の調査中止事由を「不渡りなどの事由により被申請人の営業が中断した場 合」及び「被申立人の所在不明などにより正常な調査が困難な場合」に明確化し、さ らに「不公正貿易行為と関連して訴訟手続が進行中である場合」、「特許権、意匠権、
商標権などと関連した特許審判が進行中の場合」を調査中止事由に追加した。
③暫定措置決定時の考慮事項として「対象行為が最終的に不公正貿易行為であると判断 される可能性」、「暫定措置をとらない場合の回復できない被害の発生可能性」、「暫定 措置の施行が国民経済及び消費者に及ぼす影響」を規定、そして、暫定措置を決定す る場合には当事者に暫定措置の判定内容、事由、期間、不服方法などを通知するよう 手続を明確化した。
④暫定措置の申請人が貿易委員会に提供しなければならない担保額を「暫定措置の施行 によって発生し得る被申請人の損害を保全するのに十分な金額」としている。
3-6 問い合わせ先
貿易委員会 住所 京畿道果川市中央洞 2 番地
貿易委員会 不公正貿易調査チーム 電話 02-2110-5582~5585
FAX 02-504-7093 http://www.ktc.go.kr