x= (x1, . . . , xm)とx% = (x%1, . . . , x%m)について、(x1, . . . , xm, x%1, . . . , x%m)をxx%で 表すことにする。
4.1.主定理
ˆbのQ-カラリングについて、m-ブレイド bの ith initial arc のカラーをxi とす る(i= 1,2, . . . , m)。x= (x1, . . . , xm)と置き、さらにy=x1x2· · ·xnと置く。但 し、x1 = x, xj = Rxj−1(xj−1) (j > 1)である。任意の C ∈ ColQ(ˆb)について、
Ry = idQと仮定する。このとき、3-コサイクル f に関するSm(b,∆2n)のカンド
ルコサイクル不変量 は Φf(Sm(b,∆2n)) = !
C∈ColQ(ˆb)
Φfˆy(ˆb;C)·
"m i=1
"n j=1
Ψ∗f(ˆb;Rj−1x (C),Rj−1x (xi))−1
で表される。ここで、Φfˆy(ˆb;C)はˆbのカンドルコサイクル不変量であり、Ψ∗f(ˆb;C, x) はˆbのシャドウコサイクル不変量である。x は C と bから定まり、fˆy はf と y から(1)によって定まる2-コサイクルである。
位数pのdihedral カンドルとは、集合{0,1, . . . , p−1}であって、2項演算が x∗y = 2y−x (mod p)で定められているもののことである。Rpで表すことにす る。R3p からZ/pZへの写像
θp(s, t, u) =v(s−t)((2u−t)p+tp−2up)/p
∈ )v |vp = 1*=Z/pZ
は3-コサイクルであり、Mochizuki の3-コサイクルと呼ばれる。Z[Z/pZ] を
Z[v, v−1]/(vp−1)と同一視する。このとき、主定理から次の定理が導かれる。
4.2.定理
Mochizukiの3-コサイクルθpについて、
Φθp(S4(σ1σp2σ3,∆2n)) =p+ 2
!p−1 i=1
(p−i)t2ni2 ∈Z[t, t−1]/)tp = 1*
である。但しここでpは3以上の素数である。
向きづけられた曲面結び目Fが(−)もろて型であるとは、鏡像を取って向き を逆にして得られる曲面結び目−F∗とFが同値であることをいう。 曲面結び目 Fのコサイクル不変量がΦf(F) = #
aigi ∈ Z[G] (ai ∈ Z, gi ∈ G) であるとき、
−F∗のコサイクル不変量はΦf(−F∗) = #aig−i 1であることから([3])、以下の系 が得られる。
4.3.系
p≡3 (mod 4)である素数pと、pの倍数でない正整数nについて、S4(σ1σp2σ3,∆2n) は(−)もろて型ではない。
4.4.主定理の証明の概略
ブレイド∆2は図5のような形をしているとみなすことができる。よって、Sm(b,∆2n) の基底ブレイド∆2nは図5のような形をしている∆2がn個連なっているとみなせ る。各三重点は、bを∆2nに沿って滑らせて、b·∆2nから∆2n·bの形に変形する ときに起こるタイプIIIのライデマイスタームーブに対応する。bは∆2に沿って 一回滑るとき、まずm本のアークの上を通り、それからm本のアークの下を通る ので、bの各交差点に対し、タイプIIIのライデマイスタームーブが2m回起こる。
x1 x2
xm
x1*x1
x2*x1 xm*x1
(x(x12*x*x11)*x)*x22 (xm*x1)*x2
Rx(y)=(...((y*x1)*x2)...)*xm
Rx(xm) Rx(x2) Rx(x1) y
Rx(y)
y
図 5:∆ 2.
すなわち、bの各交差点に対し、三重点が2m個現れる。よって、Sm(b,∆2n)の三 重点はbの交差点の個数かける2mn個あることがわかる。個々の三重点のウェイ トを調べることで、主定理が導かれる。
証明は、以下のような流れで示される。
• Sm(b,∆2n)のQ-カラリングとˆbのQ-カラリングが、任意の C ∈ColQ(ˆb)に ついてRy= idQという仮定の下で1対1に対応する。
• アークの上を滑るときに出てくる三重点のウェイト全体の積は
$m i=1
$n
j=1Ψ∗f(ˆb;Rj−1x (C),Rj−1x (xi))−1 になる。
• アークの下を滑るときに出てくる三重点のウェイト全体の積はΦfˆy(ˆb;C)に なる。
参考文献
[1] S. Asami and S. Satoh, An infinite family of non-invertible surfaces in 4-space, Bull. London Math. Soc.37(2005), 285–296.
[2] J. S. Carter, D. Jelsovsky, S. Kamada, L. Langford and M. Saito,Quandle cohomol-ogy and state-sum invariants of knotted curves and surfaces, Trans. Amer. Math.
Soc.355(2003), 3947–3989.
[3] J. S. Carter, D. Jelsovsky, S. Kamada, and M. Saito, Computations of quandle cocycle invariants of knotted curves and surfaces, Adv. in Math.157 (2001), 36–
94.
[4] J. S. Carter, S. Kamada, and M. Saito,Geometric interpretations of quandle homol-ogy and cocycle knot invariant, J. Knot Theory Ramificartions10(2001), 345–358.
[5] I. Nakamura, Surface links which are coverings over the standard torus, arXiv:math.GT/0905.0048.
Infinite type invariant of surface braids with 4 branch points
矢口 義朗 (広島大学)∗
概 要
Hurwitz同値とは,群Gのn個の直積Gnの中で定義されるもので あり,トポロジーや代数幾何などの分野への応用がある。本講演では,
GがSmとZmの半直積のときのG4におけるHurwitz軌道分解につい て,得られた結果を報告する。但し,Smはm次対称群であり,Zmは 無限巡回群Zのm個の直積とする。さらに,4つの分岐点をもつ曲面 ブレイドへの応用について述べる。