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中小製造業向け共通 EDI の標準化・ 開発目標

ドキュメント内 インターネットEDI促進調査研究報告書 (ページ 50-53)

5 中小製造業向けインターネットEDIシステムの考察

5.3 中小製造業向け共通 EDI の標準化・ 開発目標

製造業はわが国の戦後の高度成長を支えた重要な産業分野であったが,近年のグローバル化の 進展により国内製造拠点の海外流出が続き,その弱体化と国際競争力の低下が懸念される状況にな っている。

わが国製造業の産業基盤はこれまで強力な中小製造業企業群により支えられてきたが,これら の中小企業がグローバル化に対応して生き残ってゆくためには短納期・多頻度・多品種・少量生産 が可能なスピード経営への転換が不可欠な条件となっている。今後このような中小製造業の体質転 換を実現するためにはEDIの普及・促進が最優先課題である。

5.3.1 中小製造業 EDI 普及のための検討課題

中小製造業EDI普及阻害要因へ対応すべき課題を整理すると次のようになる。

(1) 業界別EDIや企業別EDIから共通EDIへの転換

製造業の系列型取引は急速に崩壊しつつあり,中小製造業は業界を超えた取引を行い始め ている。これまでの業界別や企業別 EDI における多端末現象や多画面現象を引き起こさ ずに一つの共通EDIを導入するだけで多数の取引先と取引できることが理想である。

(2) 中小企業へEDI普及のライバルはFAX

中小規模中小製造業のメインの取引手段である FAX の置き換えが可能な導入コスト・運 用コストで,FAXを超える利便性の提供が必要である。

l 一つのシステムで受注・発注の両面で使えるEDI(FAXと同等機能)

l 社内受発注システムとの自動データ交換(FAXを超えるメリット)

自動または半自動で受発注データを EDI システムと交換できる安価な受発注システムの 提供が必要。

(3) 不定IPアドレス接続対応とPull型XML/EDI標準化

中小規模中小製造業に最も普及しているインターネット不定 IP アドレス接続への対応と セキュリティ対応のために,広範囲な相互接続が可能なPull型XML/EDIの提供が必要。

(4) セキュリティと情報リテラシー

中小規模中小製造業の情報リテラシーレベルでセキュリティを維持管理できるシステムと 支援サポートの提供が必要。

5.3.2 製造業各層の中小製造業向け EDI に対するニーズと標準化・開発目標

製造業の受発注構造は大手発注企業からパソコン1台の小規模中小製造業までを結ぶ重層化さ れた広大なネットワークを構成しており,EDI 普及のための課題解決ニーズも各層ごとにそれぞ れ異なっている。

中小製造業のEDI化には次の二つの局面の課題を解決しなければならない。

l 大手製造業と中規模中小製造業の間の企業間取引(第2層)を改善するためのWeb-EDIに 代わるEDI

l 中小製造業相互の取引(第3層)を改善するためのFAXに代わるEDI

これらの課題解決の前提となる関係企業のEDI化ニーズと標準化・開発目標は次のとおりであ る。

(1) 大手発注製造企業のニーズと標準化・開発目標

l FAX取引の置き換えが可能なWeb-EDIより普及の容易なEDI 全てのFAX取引をEDIに置き換え,省力化を実現したい。

l 発注先の導入コストを極小化できるEDI

EDI導入コスト増は購買品のコストにはね返るので,発注先のEDI導入費用は極小化し たい。

l 既存の自社業務システムは変更せずにEDIを導入したい。

l 企業間取引に耐えられる信頼性とセキュリティを備えたEDI l 海外展開した製造拠点や海外の取引先とも取引できるEDI l 将来はSCM対応可能なコラボレイティブEDIへ転換可能なEDI

(2) 中規模中小製造業のニーズと標準化・開発目標

l 一つ導入すればすべての取引先と接続できる中小製造業共通EDI

製造業の系列取引構造は急速に崩壊しつつあり,大手企業と直接取引する中規模中小製 造業は業界を限定せずに大手企業との取引を拡大し始めている。取引先ごと,もしくは 業界ごとの個別の EDIは中小製造業にとっては大きな負担であり,FAXのようにひと つのシステムを導入すればすべての企業と取引できる中小製造業共通 EDI の普及を望 んでいる。全ての大手発注企業がこの共通EDIを利用してくれることが理想である。

l 発注と受注の両面で利用できるEDI

Web-EDIのように発注,または受注にしか使えないEDIではなく,FAXのように発注

と受注の両面で利用できるEDIが必要。

l 人手を必要とせず取引データを一括送受信できるEDI

Web-EDIのような取引データ入手に人手を必要とせず,自動または半自動で取引データ

の一括送受信が可能な中小製造業共通EDIの標準化と開発が必要。

l 取引額に見合ったコストで利用できるEDI

l EDIとデータ交換が可能な安価な業務アプリの提供

EDIでディジタルデータを入手しても,このデータを人手によらず自社の業務システム へ入力する仕組みが無ければEDI化のメリットは得られない。EDI連動の業務システム を安価に提供できるような体制が必要である。共通EDIとの間で自動的にデータ交換が

可能な業務パッケージソフトの提供が望まれる。

(3) 小規模中小製造業のニーズと標準化・開発目標

小規模中小企業向けには上記のほか次の目標が追加される。

l 大部分の中小企業が利用している不定IPアドレス接続でも利用できるEDI(サーバー レスで利用できるPull型EDI)

l Pull型EDIクライアント相互間でも受発注に利用できるEDI

l 情報リテラシーが低くても,FAXと同レベルの使いやすさで利用できるEDI l FAXと同レベルのコストで導入できるEDI

l EDIとデータ交換が可能な安価な業務アプリの提供

オフィスソフトを利用した簡易な業務アプリの提供が望まれる。

l EDIの導入と利用の支援サービスの安価な提供

5.3.3 中小製造業共通 EDI フレームワーク確立の意義

中小製造業共通EDIフレームワークが実現すれば次のようなメリットが得られる。

(1) 大手発注企業のメリット

l FAX取引が継続している中小製造業発注先へのEDI導入説得が容易となり,FAXの

全面EDI化の可能性が高まる。これにより中小規模の購買先までサプライチェーン・

マネージメント(SCM)の導入が可能となり,本格的なスピード経営が実現する。

l これまでの非効率なFAXや伝票郵送が無くなるので,購買業務の生産性が上がり購買 経費の削減が実現する。

l 発注先中小企業の導入費用が単一の共通EDIの導入で済むため小額に止まり,生産性 向上にも寄与するので資材購入単価への跳ね返りを極小化でき,コストダウンが可能 となる。

(2) 中小製造業のメリット

l 大手発注企業の発注先絞込みが始まっているが,EDI化対応体制を早期に確立した中 小製造業は取引継続の可能性が高くなる。更にこれまで取引の無かった新規顧客の開 拓や新市場への展開が容易になる。

l EDI導入をきっかけとして社内の情報化が進展し,企業としての生産性向上が実現す る。これにより中小製造業の体質が強化され,生き残りの可能性が高くなる。

l 受注業務だけでなく協力企業への発注業務EDI化が可能となり,納期短縮などのSCM に対応したスピード経営が実現する。

(3) IT関連産業のメリット

l 共通EDI導入をきっかけとして,大手企業や中小企業の社内情報システムの見直しが 始まり新しいITビジネスのチャンスが生まれる。

l 中小製造業向け EDI の普及をきっかけとして,大手企業や他の中小企業の業界

XML/EDI導入が促進され,新しいXML/EDI変換サービスなどのニュービジネスが

誕生する。

(4) 国家的メリット

l 製造業の産業基盤が強化されることにより,わが国の国際競争力を維持発展させるこ

とができる。

l 製造業における中小企業 EDI化モデルを実現することにより,中小企業全体の EDI 化へ波及させるための基盤が確立する。これによりe-JAPAN計画を実現することが 出来る。

l 東アジアでEDI国際標準化のイニシアティブをとることができる。

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