第 3 章 窓ガラスの汚れ検出 49
3.7 汚れ検出センサを用いた確実な清掃動作の実験による確認
3.7.1 ロボットが落とせる汚れの全てを 1 回目の直進で落とす場合 . 74
まず,ロボットが落とせる汚れの全てを1回目の直進で落とす場合に,提案手法 によって2回目の直進後に一列がもう汚れを落とせない状態であることを検出でき ることを確認する.
2450
0
Horizontal position (mm)
Output voltages of the dirt sensor (mV)
2000
400 2050
2100 2150 2200 2250 2300 2350 2400
300 200
100 2500
Output voltages in the first translation Output voltages in the second translation Area of dirty part
Fig. 3.27Output voltages of each cell when the robot cleans all dirt in first trans-lation
図3.26に示すように,窓ガラス上の水平方向の位置が100∼200mmの領域のみを 汚す.汚れには3.6節の実験と同様に汚れの程度を調整しやすいベビーパウダーを 用いる.また,汚れの状態は本センサシステムで最も汚れが少ないと評価する状態 である窓ガラスBと同程度である.ロボットはこの窓ガラス上を以下のように移動 する.
1回目の直進:左から右へ水平に直進して,落とせる汚れを全て落とす.
2回目の直進:右から左へ水平に直進する.
実験区間は0∼400mmの領域とし,セルの間隔がD = 10mmなので,40個の検出 セルごとの出力電圧をそれぞれの直進において測定した.
この移動を5セット行ったときの1回目と2回目の直進時におけるセルごとの出 力電圧の平均値を図3.27に示す.横軸は水平方向の位置,縦軸は汚れ検出センサの 出力電圧を表す.実線と破線がそれぞれ1回目と2回目の直進時における各セルの 出力電圧の平均値を表している.また,範囲を示すI 印がそれぞれの標準偏差を表
Area of dirty part
0
Horizontal position (mm)
Differences of output voltages (mV)
-250
400 -100
0 100 200
300 200
100 250
-200
Between first and second translations 150
50 -50
-150 +-Vt
Fig. 3.28Difference of output voltages when the robot cleans all dirt in first trans-lation
す.そして,図3.28に1, 2回目の直進時の各セルの出力電圧の差の平均値を実線で,
セルの状態を評価するためのしきい値Vtと−Vtを一点鎖線で示す.また,標準偏差 を範囲を示すI 印で示す.しきい値Vtは,3.6節の実験結果より,窓ガラスが汚れ ていない状態(窓ガラスA)の出力電圧2327mVとベビーパウダーによる汚れについ て最も汚れが少ないと評価する状態(窓ガラスB)の出力電圧2746mVの差の4分の
1として,Vt= 105mVとした.実線で示す1, 2回目の直進時の各セルの出力電圧の
差が,全てのセルにおいて一点鎖線間の領域にあるなら,一列がもう汚れを落とせ ない状態であることをロボットが検出できることが分かる.
5セットの試行の全てにおいて,図3.28に示す実線のように,1回目と2回目の 直進時の出力電圧の差の絶対値が全てのセルでVtより小さくなり,ロボットは2回 目の直進の終了時に一列がもう汚れを落とせない状態であると評価した.したがっ て,提案手法によって,ロボットが一列がもう汚れを落とせない状態であることを 検出できることが分かる.
3.7.2 ロボットが落とせる汚れの一部しか 1 回目の直進で 落とさない場合
次に,清掃機構が汚れている等の不備があり,ロボットが落とせる汚れの一部し か1回目の直進で落とさない場合に,提案手法によって2回目の直進後に一列がま だ汚れを落とせる可能性がある状態であることを検出できることを確認する.
一つ目の実験と同様に,窓ガラス上の水平方向の位置が100∼200mmの領域のみ をベビーパウダーで汚す.また,汚れの状態は本センサシステムで最も汚れが少な いと評価する状態である窓ガラスBと同程度である.このため,汚れ検出センサの 検出領域の長さLsl = 66mmの1/3以下の大きさの汚れは目立たないので,1/3以 上の大きさの汚れが残っていることを検出できれば十分である.そこで,図3.29に 示すように清掃機構の一部を取り除き,汚れ検出センサの検出領域の1/3が通る場 所の汚れをロボットが1回目の直進で落とさない状態を作る.これにより,汚れ検 出センサの検出領域の1/3が通る場所の汚れが1回目の直進後にも残り,ロボット は反転後の2回目の直進時に全ての汚れを落とす.ロボットはこの状態で窓ガラス 上を以下のように移動する.
1回目の直進:左から右へ水平に直進して,落とせる汚れの一部を落とす.
2回目の直進:右から左へ水平に直進して,落とせる汚れを全て落とす.
3回目の直進:左から右へ水平に直進する.
一つ目の実験と同様に,40個の検出セルごとの出力電圧をそれぞれの直進において 測定した.
この移動を5セット行ったときのそれぞれの直進時におけるセルの出力電圧の平均 値を図3.30に示す.横軸は水平方向の位置,縦軸は汚れ検出センサの出力電圧を表 す.実線と破線,一点鎖線がそれぞれ1, 2, 3回目の直進時における各セルの出力電 圧の平均値を示している.また,標準偏差を範囲を示すI印で示す.そして,図3.31 に1, 2回目の直進時の各セルの出力電圧の差の平均値を実線で,2, 3回目の直進時の 各セルの出力電圧の差の平均値を破線で,セルの状態を評価するためのしきい値Vt と−Vtを一点鎖線で示す.また,標準偏差を範囲を示すI印で示す.しきい値Vtは,
一つ目の実験と同様にVt= 105mVとした.本実験では,ロボットの1回目の直進後
Cleaning unit (First translation)
Cleaning unit (Second translation) Partly removed
cleaning part
Detection area
Fig. 3.29 Partly removed cleaning part Area of dirty part
2450
0
Horizontal position (mm)
Output voltages of the dirt sensor (mV)
2000
400 2050
2100 2150 2200 2250 2300 2350 2400
300 200
100 2500
Output voltage in the first translation Output voltage in the second translation Output voltage in the third translation
Fig. 3.30Output voltages of each cell when the robot cleans a part of dirt in first translation
に最も汚れが少ない状態と同程度の汚れが,水平方向の位置が100∼200mmであり,
汚れ検出センサの検出領域の1/3が通る場所のみに残る.このため,100∼200mmに
Area of dirty part
0
Horizontal position (mm)
Differences of output voltages (mV)
-250
400 -100
0 100 200
300 200
100 250
-200
Between first and second translations Between second and thrid translations 150
50 -50 -150
Vt
+-Fig. 3.31Differences of output voltages when the robot cleans a part of dirt in first translation
あるセルにおいて実線で示す1, 2回目の直進時の各セルの出力電圧の差が一点鎖線 間の領域にないなら,一列がまだ汚れを落とせる可能性がある状態であることをロ ボットが検出できることが分かる.
5セットの試行の全てにおいて,図3.31に示す実線のように,100∼200mmの位 置のセルで1回目と2回目の直進時の出力電圧の差の絶対値がVtより大きくなり,
ロボットは2回目の直進の終了時に一列がまだ汚れを落とせる可能性がある状態で あると評価した.また,図3.31に示す破線のように,2回目と3回目の直進時の出 力電圧の差の絶対値が全てのセルでVtより小さくなり,ロボットは3回目の直進の 終了時に一列がもう汚れを落とせない状態であると評価した.したがって,提案手 法によって,ロボットが一列がまだ汚れを落とせる可能性がある状態であることを 検出できることが分かる.また,一つ目の実験と同様に提案手法によってロボット が,一列がもう汚れを落とせない状態であることを検出できることも分かる.
以上より提案手法によって,汚れ検出センサを搭載したロボットが,窓ガラスの水
平方向の一列がもう汚れを落とせない状態であるかを検出できることが分かる.こ れにより,落とすことが可能な汚れを残して,その列の移動を終了することがなく なるため,窓ガラスを確実に清掃することができる.