3.5節では,タンクスカートを構成するリング補強円筒殻の1リング間をモデル化したうえで,
せん断荷重を付与した場合における弾塑性座屈強度に及ぼす初期不整と塑性化パラメータβ およ
びBatdorf Parameter 𝑍の影響について検討を実施した.
一方,タンクスカートは複数のリング補強材にて構成されている.そこで,本章では,複数の リング補強材を有する円筒殻に,せん断荷重を付与した場合の線形座屈固有値解析を実施し,リ ング補強材がせん断座屈強度に及ぼす影響を確認した.リング補強材形状は Fig. 3-16 に示す T 型とし,補強リングのウェブ高さ(𝐻𝑤)および板厚(𝑡𝑤),フランジ幅(𝐵𝑓)および板厚(𝑡𝑓)は,円筒殻 に軸圧縮荷重が作用した際に全体座屈モードが生じない,すなわちリング補強材が節となるよう に設定した.検討に用いたリング補強材の基準寸法をFig. 3-16にあわせて示す.
検討モデル(本研究では,以降5リングモデルと呼ぶ)をFig. 3-17に示す.5リングモデルの 寸法は,1 リングモデルと同様,Moss 型 LNG 船のタンクスカートの実寸法を参考に,半径 𝑅 = 20,000(mm),板厚 𝑡 = 50(mm),1 リング間長さ𝐿 = 2,000(mm)とした.このときの 𝑍の値 は3.77となる.なお,円筒中央部の補強リング位置での剛性に近づけるべく,5リングモデルは 円筒上下端部にも補強リングを配している.また,円筒殻部のメッシュ分割は1リングモデルと 同じとし,補強リングはウェブを4要素,フランジを4要素でモデル化した.また,上下端の境
界条件はFig. 3-3 (b) に示す1リングモデルの場合と同じとした.
基準寸法の5リングモデルにせん断荷重を付与した場合の座屈固有値解析にて得られた座屈モ
ードをFig. 3-18に示す.Fig. 3-18より,基準寸法の場合リングを巻き込む座屈が生じることが
わかる.補強リングのフランジの板厚を30mm,ウェブの板厚を20mmとした場合の座屈モード
をFig. 3-19に示す.Fig. 3-18は,円筒殻に軸圧縮荷重時に補強リングが節となる座屈となるよ
うにリング寸法を決めたとしても,せん断荷重時には補強リングを巻き込む座屈が生じる可能性 があることを示しており,Fig. 3-19より,リング寸法をさらに大きくすることにより,リングを 巻き込まない座屈モードに移行することがわかる.
そこで,リング補強材の寸法がせん断座屈荷重および座屈モードに及ぼす影響を確認すべく,5 リングモデルのウェブおよびフランジの板厚をパラメータとしてシリーズ計算を実施した.座屈 固有値解析結果をTable 3-4に示す.なお,Table 3-4に示す固有値の値はBase Modelにて得ら れた値を用いて無次元化している.
Table 3-4より,フランジのみ板厚を増加させた場合,せん断座屈荷重はほとんど変化しないが
座屈モードがリングを節とするモードに転じやすくなること,ウェブのみ板厚を増加させた場合 は,せん断座屈荷重は上昇するが座屈モードは変化しない可能性があること,ウェブとフランジ の板厚を両方とも変化させることでせん断座屈荷重および座屈モードの変化に効果があることが 分かる.
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しかしながら,実構造物では軽量化の観点からウェブよりフランジの板厚のほうが大きい寸法 を取ること,仮にウェブを増厚した場合でもせん断座屈荷重の上昇率は僅かであること,3.5節で の検討より,𝑍が大きくなった場合でも初期不整が座屈強度に及ぼす影響は軸圧縮のそれに比べて 小さいことから,円筒殻に軸圧縮荷重時に補強リングが節となる座屈となるようにリング寸法を 決めることは実用上問題ないと考えられる.
Fig. 3-16 Shape of Ring stiffener (T-Shape)
Fig. 3-17 Calculation Model with several ring stiffeners, loading condition and constraint conditions for shearing load.
Flange
Breadth ( ) 300 mm Flange
Thickness ( ) 20 mm Web
Height ( ) 600 mm Web
Thickness ( ) 20 mm
web flange
z
x y
all nodes at top end;
uy; constraint,ux; uniform enforced displacement
all nodes at bottom end;u
x= uy =uz=0 at 0 deg. and 180deg.; uy =z=0
2,000(mm) 20,000(mm)
t=50(mm)
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Fig. 3-18 Buckling mode under shearing load (global buckling mode) (Base model; tw=tf=20mm, Hw=600mm, Bf=300mm)
Fig. 3-19 Buckling mode under shearing load (local buckling mode) (tw=20mm, tf=30mm, Hw=600mm, Bf=300mm)
z
x y
z
x y
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Table 3-4 Buckling mode and eigenvalue for buckling strength with several ring stiffeners (Hw=600mm, Bf=300mm)