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リクルートの戦略

ドキュメント内 流通科学大学卒業論文 (ページ 51-59)

第3章  ホットペッパーについて

第3節  リクルートの戦略

これまでホットペッパーの紹介をしてきたが、ではそのホットペッパーを発行している リクルートにはどんな戦略があるのだろうか。まずは、情報誌の機能からみていくことに する。

第1項  情報誌の機能

リクルートの情報誌には読者に「相場感」を与える機能がある。それは情報誌自体が、そ の“正確さ”と“豊富さ”と“タイミングのよさ”ゆえに擬似市場化してしまうからであ る。持ち歩きのできる“見本市”として株式市場や車のオークションと同じように市場機 能を持っているといえよう。このとき市場におこる変革は次の3つである。

①市場の自由化・オープン機能

それ以前には一部の玄人によって動かされていた市場を、素人一般のイニシアティブに

引き戻すことができる。不動産取引がいい例だが、情報が豊富で正確なオープンマーケッ トでは、読者は素人であっても相場観が得られるので騙されることが少ない。

②商品の品質向上化機能

商品の価格を引き下げ、機能を向上させる(情報広告の)送り手側の努力が促進される。

一覧に付され比較検討されるので、いい商品でなければ売れない。このように情報誌は無 言のうちに企業の内部努力を引き出すパワーを持つ。

③資源の節約機能

受け手と送り手のコミュニケーション・ロスを減らし、行動を直接誘発するので、マス コミュニケーション手段しかなかったときと比べてコミュニケーション・コストが下がる。

第2項  “在庫”のない情報誌事業

数千社の広告出稿先(顧客)を先に集めて、それをインデックス別に(業界別や地域別、沿 線別、目的別、興味別など)分類・編集し、情報誌を刷ってから流通させるから在庫は残ら ない。第2節、第3項でも述べたように収益の大部分が販売収入ではなく、広告収入によ って成り立っているリクルートにとっては、返品コストは無視できるほど小さい。だから ホットペッパーのような「情報誌事業」は利益率が高いのである。

第3項  地域の読者と店をつなぐ

では次に、リクルートの役割(提供できる価値)を店側と読者側からみていく。

☆店舗・企業に提供できる価値

①自由になる時間とお金を持ち、情報に敏感な消費の主役であるF1層に集中したダイレ クトで効率的・効果的な販促活動ができる。

②「トクする情報を得ること」を目的に読者が見ており、情報への注目度が高く、クーポ

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ンを持って店いくという行動を引き起こすので販売促進の即効性がある。

③クーポンというフィードバック機能によって広告効果の確認を行いながらのセールスプ ロモーションが可能になる。これによって、広告効果のデータベース化と計画的・経 済的なプラン・ドウー・シーによる広報戦略が可能になる。

④全国に商品・サービスを提供している企業にとっては、分割してエリアを選定できるた め、エリアの特性を考慮したエリアマーケティングが可能。また、逆に主要都市を網 羅し、一気に話題性を高める広報も可能である。

☆読者(消費者)に提供できる価値

①日常生活まわりの商品・サービスを割安で手に入れられる。

②身近なエリア情報が満載され、発見があり消費活動の選択肢が増える。

③多くの比較検討しやすい情報の中からお得度を比較し、自分にとってのベストを選択 できる。

④定期的かつ継続的に信頼性の高い商品・サービスを安心して得られる。

今、流通の世界では、価格競争が中心である。「絶対的に価格が低い」が消費者のメリッ トであるが、果たしてそれだけだろうか。ファーストフードが流行する一方、都心の億 ションが即完売している。また、価格はそれほど安くなくても、メニューや雰囲気や接 客サービスの工夫で、たくさんの集客に成功している小さな店もある。

  つまり、いい商品・サービスが自分にとって割安であれば、ためらっていた消費が動き 出すのではないだろうか。今まで動かなかったのは、ほんの一部の人しか知らなかったた めや、工夫・サービスの改善が一部の店に限られていたためや、小さな店のサービスの改 善や工夫を手軽に紹介できるメディアがなかったことが理由だと思われる。

ホットペッパーがその役割を果たすことで、埋もれていた情報が流通し、提供されるサ ービスの工夫が競われ、そのことが広告上の工夫として表れれば消費者の消費意欲を刺激 することができる。

  第4項  ショートレンジでのコミュニケーションがブランドをつくる

  広告という手法でブランドづくりをする商品もあるが、ホットペッパーのプロモーショ ンでいえば、目的は商品告知・アピールである。ブランディングの根幹部分は、雑誌の本

誌側でとりにいく話なので、そのきっかけとなるプロモーションという位置付けだ。マー ケットの中でのポジションをできるだけ早く高く獲得するというのが目的なので、多少目 立ったほうがいいし面白いほうがいい。名前が残り、手にとってみようというきっかけに なればいいということだ。ちなみに、「Hot  Pepper(ホットペッパー)」という 誌名の由来は、「刺激的(スパイシー)な生活をこの街で」ということからきている。

  今後のコミュニケーション戦略についても、プロモーションによってブランドを長期的 な視野でどうするかということは考えられていない。特にテレビCMは短期的視野で考え るべきものだ。その時々のホットペッパーがマーケット、読者、クライアントとの関係性 の中でどういう立ち位置にいて、その立ち位置で問題が発生しているのかいないのか。あ るいはそういう人達に、コミュニケーションしていくためにはっきり言わなければならな いことは何なのか。そのときのプロモーションの中身は、その「いわなければならないこ と」に尽きるだろう。例えば、今はグルメ情報をメインにしているが、最終的には生活情 報全般をカバーする情報誌になるのではないか。その時には、コンテンツ量だけでなく分 野を拡大することで、新しい情報が入ったということこそ、読者に言わなければならない ことだ。

  このように、かなりコンセプトを絞っているからこそ、広告の役目としては、どのよう にメッセージを点火して発信していくかということに尽きる。10年後、20年後という 先の話ではなく、とにかく今の時代に、一番消費者に受け入れられるように魅力的に見ら れるような商品にするにはどうしたらいいかを常に考えている。商品力があれば、コミュ ニケーションの世界観をつくって、それをマス媒体でその時に一番、効果的な手法で毎回 発信していく。ある程度、世界観を共有させていたりトーンをもっていれば、1本1本の 最強の商品広告が、ホットペッパーのブランド広告として見えてくるはずだ。単発のショ ートレンジで考えて、結果としてブランドのイメージが1本の線のようになっているとい うのが一番いいのではないだろうか。

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★大手居酒屋にクーポンを出す意味を聞いてみよう!!★ 

  12月9日(火)に大手居酒屋チェーン「村さ来」大阪本部の辻本さんにお電話でお話を 伺った。

―クーポンをだす意義について。

  辻本  もちろん広告効果。高い掲載料を払ってでも、「ぐるなび」や「タウンピタ」、「ホ ットペッパー」などの媒体にたくさん載せているのは、それだけたくさんの人に“村さ来”

を知ってもらうため。費用はそれだけたくさんかかるが、それ以上に来店してもらうきっ かけ作りになる。どんなにいい店もお客様に来てもらわないと始まらない。特に「ホット ペッパー」などの雑誌やフリーペーパーを見る人は、大体の人はどこに行こうかなと思っ て店選びをしているので、値引率やこの店は雰囲気がいいな、などといった理由で選んで いる。まず、新規客を獲得して、そこからリピーターにつなげていくために、サービスで

あったり、接客に力を入れているのだ。

クーポン=きっかけ作り

―「 村さ来」さんはたくさんの媒体にクーポンを掲載しているが、どこのクーポンの回収 率が高いのか。

  辻本  店の出店場所によって変わってくる。都心部ではホットペッパーの回収率が一番 高い。

―値引率は月毎に変わるのか。(もしくはクーポンの内容)

辻本  変わっていない。「村さ来」は直営店と加盟店とで展開をしている。「神戸版ホット ペッパー」の場合、掲載しているのは「三宮北野坂店」と「三宮生田店」で、どちらの店 もフランチャイズ契約をしている加盟店。加盟店はそれぞれの店でサービス内容、クーポ ン掲載を決めているが、直営店は本部が一括してサービス内容・クーポンの値引率を決め ている。なので、加盟店は値引率を変えたりもしている。

―実際リピーターにつながっているのか。

  辻本  長い目で見るとつながっている。クーポンは来店してもらうきっかけにすぎない ので、その後どうやってリピーターにつなげていくのかというのは確かに悩むところ。ク ーポンの内容を○○%割引といったものから、ワンドリンクサービスor1品サービスとい ったものに変えたりして、お客様に飽きられないような内容にすることも大切なのかもし れない。リピーターにつなげる努力としては、ポイントカードを発行したり、月曜日はビ ール○○○円といったサービスをしている。また、店員と「じゃんけんゲーム」をして勝 てば景品が当たるということもしている。

―利益はでているのですか。

  辻本  全体的にみるとつながっていると思う。「村さ来」という店をたくさんの人に知っ てもらうために、これからもクーポン雑誌に載せ続けますよ。

お話を伺ってわかったことは、直営店と加盟店とでクーポンの内容(割引率など)が違 うということだ。兵庫県の直営店は「東加古川店」のみで、ホットペッパーによく掲載し ている「三宮北野坂店」と「三宮生田店」は加盟店だった。全国の直営店ではお話を伺っ

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