• 検索結果がありません。

クーポンが根付き始めた理由

ドキュメント内 流通科学大学卒業論文 (ページ 64-68)

第4章  日本にクーポン文化は根付くのか

第 2 節  クーポンが根付き始めた理由

第1項  長引く不況とフリーメディアの浸透

  ここ数年、日本の社会環境やメディア環境が大きく変わり、消費者の情報に対する意識 や態度も大きく変化している。99年以降、携帯電話のインターネットサービスが劇的に 普及するなどネットワーク化が進むと同時に、情報が無料で入手できるという環境や意識 が広がってきた。つまり、どの情報をどのメディアからどのように入手するのかを消費者 が主体的に選択できる環境が整い、すでに積極的に選択し始めているのだ。

60

  また、長引くデフレ不況の中で「安い物は品質も悪い」というイメージが払拭され、ユ ニクロやマクドナルドに見られるように「安くてもいい物もある」といった消費意識の変 化が生まれた。

  このように、「手軽に新しい情報を知るきっかけになる」あるいは「住んでいる地域の情 報収集に役立つ」としてイメージもよく、評価も高いフリーメディアだが、具体的にはど のくらいの閲読率があるのだろう。大きく2つの配布形態に分けて分析してみた。(「販促 会議」2003年9月号調査による)

1つは、ポスティングや折り込みなど家に配布される「宅配系」、もう1つは、駅や店舗 にラックを配置して配布する「街頭系」である。

  「宅配系」の閲読状況は大変高く、ほぼ毎号読む人は約4割に達した。習慣的に安定し て読まれていることがここからわかる。一方、「街頭系」もほぼ毎号読む人は約1割と、「宅 配系」には及ばないが高い結果になった。この2つのスコアの差は、家に居ながら入手で きることと、自らが出向いて入手しなければならないという、入手環境の違いが大きく影 響していると考えられる。

閲読者の年齢構成を詳しく見てみると、居住地域密着の個人情報とタウン情報誌である

「ぱど」や主婦を主なターゲットにした「サンケイリビング」等に代表される「宅配系」

は、男女ともに30代以上の中高年層が多い。中でも30代〜50代の主婦層はその6割 以上が、ほぼ毎号読んでいると答えた。対照的に「街頭系」は、男性は20代、女性は1 0代〜40代の若い層が中心になっている。媒体としては特に、設置箇所が多く、関心あ る情報をたくさん盛り込んだ「ホットペッパー」や「ローソンチケット」、「TSUTAY Aマガジン」等が人気だ。

  さらに、読者特性を調べてみたところ、「宅配系」の主な読者層である30〜50代の女 性は、フリーメディアを見ない人と比較して、「買い物好き」で「値引きや特売といった価 格情報に敏感」であり、「クレジットカードなどのポイント収集」や「キャンペーンへの応 募」にも関心が高かった。同様に「街頭系」の読者層でも「バーゲン好き」という傾向が 強く、「掲載された店へ行った」「付いている割引クーポン券を利用した」「レジャー関連の 資料請求問い合わせをした」など、レスポンス行動のスコアが高かった。

  このような結果から、お得な情報を無料で手に入れることができるフリーメディアに接 触することによって、消費行動が喚起されていると言えるのではないか。

第2項  社会的評価

  「クーポン」というものの社会的評価がこの数年でぐっと上がったと感じられる。もち ろんクーポンそのものは昔からあった。しかし、例えば折り込み広告の、もしくは街中で 配られるチラシのクーポンは、「使うのが恥ずかしかった」というのが、女性の本音である のではないか。損はしたくないが、「他人の目に映る自分がかっこ悪いのはイヤ」と感じる 人が多々いたと思う。

  しかし、リクルートがホットペッパーを創刊した頃からこの図式があっという間に変わ っていった。同誌はまず、クーポンを利用することが当たり前である空気を、街の中につ くっていくことを目指したのである。「どこのお店でも発行している」「皆が使っている」

という空気だ。今では、飲食店1店舗あたりのホットペッパーでの集客数は、月間平均約 200人にもなるという。「クーポン文化」は消費場面に確実に芽生え、定着しようとして いる。

第3項  割引にとどまらないクーポン

クーポンというと、いまだただの値引きという考え方に陥りやすいが、現在の状況はま ったく変わりつつある。端的にいえば、自店と消費者を結ぶコミュニケーションツールだ。

クーポンの使用が常態化されてきたのは、ここ1年ぐらいのこと。リクルート社が発行す る「ホットペッパー」がクーポンマガジンとしての地位を確立し、インターネットによる

「ぐるなび」や「グルメぴあ」などのサイト、「オンラインクーポン」、さらには NTT の

「Lモード」のCMがテレビを通じて茶の間に流されたことが、クーポンの認知を飛躍的 に高めることとなった。

では、クーポンのもつ効用について書いてみる。クーポンはただの「割引」だけの意味 ではない。クーポンとは、それぞれの店(特に飲食店)が持つ課題を克服するためのツー ルである。具体的に言えば次のとおりになる。

62

①  アイドルタイム対策    時間帯や曜日を指定したクーポン

②  宴会集客対策      宴会客、団体客限定のクーポン

③  客層対策      女性限定クーポンなど

④  客単価対策      コース、ドリンク、フード限定クーポン

⑤  新規客対策      メニュー特徴、店舗情報を付記・サービスするクーポン

  いずれも飲食店が抱える大きな課題と言える。クーポンは、これら課題解決のための助 けとなりうる貴重なツールというわけだ。またクーポンの利用条件に「名前、連絡先、年 齢」などの記入を加えれば、マーケティングへの応用も可能である。

  最近の傾向としては、定番化した10%引きなどの値引きクーポンから、その店が新た に開発したメニュー、ドリンクのサービスなど、よりお店のオリジナリティを強調する内 容が増えてきている。というのも、クーポン使用の頻度が相対的に高まるにつれ、同様の 業態、価格、雰囲気の店ならばお得なクーポンのあるほうへと、店選びの決め手としてそ の内容が重視されることが多くなっているからだ。そして一番大事なことは、店のオーナ ーが自店をどうしていきたいのかという戦略を明確にすることである。その実現のために クーポンをツールとして上手に利用することが必要となってくるのだ。単に値引きサービ スのひとつという考え方では、もはや効果的な結果は得られにくいということを認識して おいた方がよいのではないか。

                   

ドキュメント内 流通科学大学卒業論文 (ページ 64-68)

関連したドキュメント