1.開発計画及び政策の調整機能強化
ラオス全体として、今後の経済開発の諸局面では、政府部門が引き続きイニシ アティヴをとらざるをえない。政府自身の機能強化を射程に含めた具体的で、総合 的な開発戦略を確立する必要が大きい。そのうえで国際協力を受け入れるのでな ければ、いたづらに援助案件に関わる支出が増大し、財政赤字が拡大することに よって長期的な経済発展過程を大きく阻害する恐れもある。ラオスでは、インフ ラストラクチュア投資プロジェクトの多くが、部門的にも空間的にも綿密な相互 調整の枠組がないまま、民間投資を含む国際協力によって実施きれているのが実 情であるところから、長期的な国民経済の発展と共に国土整備の方向を念頭にお いた、投資案件相互の連関を保持し投資資金の効果的な配分を目的とする枠組の 提示と笑行が必要で、ある。援助側にとっても、こうした枠組を踏まえたうえで立 案・設計きれた案件をラオス側に提示することにより、ニーズに適合した国際協 力を実施できる余地が拡がる。また、政府内において、単に計画を立案・提示す るだけでなく国際協力の受け入れ窓口となり、援助案件のニーズ適合性を検討し 実施状況をモニターできる強力な援助調整機関が重要であり、ラオスにおいては
これをいかに強化していくかが問題となっているo
上で述べた大蔵省の例にさらに加えるならば、現在、公的援助については
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年1 0
月に外国援助管理委員会が、民間直接投資については8 8
年に外国投資法施行と 共に設立された外国投資管理委員会があり、両者とも国家計画協力委員会が事務 局を抱えているが、その機能は十分とはいえない。主な理由は2
つある。まず、両委員会はいずれも閣僚級メンバーからなる委員会であり案件の審査に長い時間 を要し、援助機関や投資家の計画を大いに狂わせる場合が多々あること、第2に、 両委員会の事務局を担当している国家計画協力委員会のスタッフは、専門家集団 ではないため、現場側には実施が無理な援助側の提案内容を受け入れてしまうと いったこともあり、案件の事前評価という点及び各実施機関の意見を十分に吸い 上げられないという点で計画調整機能を果たしていない。
2 .
人的資源開発教育・保健・医療などの社会部門を含め、人的資源開発はラオスにとって長期 的にわたって重要な分野であり続けよう。社会部門に関しては、自給自足的レベ ルにある農業の生産性をわずかでも引き上げるために、農業用水・飲料水などの 生活用水の確保等、地道な努力がまず必要で、ある。一般に、他の開発途上国の開 発経験からは、これらのサービスの向上は容易で、はないということができる。特 に、地方政府の行政能力の向上が必要で、あり、国際協力を効果的に受け入れる過 程においてこそ人材を育成していくといった考え方が重要であるo
また、経済開発により直結した分野、すなわち
ODA
(政府開発援助)や外国民 間直接投資を受け入れるために必要な人材をどのよっに育成していくかという点 も重要で、ある。短期的には、民間直接投資の拡大とそれらの事業活動の中で行わ れるO n ‑ t h e ‑ j o b ‑ t r a i n i n g
によってある程度の熟練の蓄積が期待できる。衣料縫製業など組立加工型産業の場合は、かなり綿密なスペックやマニュアル によって生産工程が管理されるため、労働者の最低限の資質が確保されれば短期 的には大きな障害はないであろう。しかし、特に金融部門等高度なサービスを提 供する分野では、会計士、タイピスト、秘書などの事務職向けの人材を十分に供 給するため、官民協調の下に職業訓練組織を拡充しなければならない。
さらに、このような短期的な問題のほかに
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年前後の長期的な観点からみると、初等・中等教育を充実させていくよう努力も続けなければならない。従って、特 定の職種に関する訓練を充実きせる一方で、、将来の人材を開発するための長期的 観点からの教育投資も実施すべきではあるが、ラオスの現在の自然条件や民族分 布状況などを考慮すると、辺地教育を組織的・制度的さらに資金的な観点からど のように整備し持続させていくかが重要な課題となる。
(1) 人材育成のニーズ
ASEAN
諸国と比較すれば、ラオスの経済開発は始まったばかりということが できる。しかし、ASEAN
の経験、つまり過去2 0
年余の聞の急速な経済構造変化 を今後のラオスが同じように辿れるかどうかは疑問である。例えば、タイについ ていえば、7 0
年代以降の急速な経済構造変化を経でもなお圏内の未熟練労働力が 枯渇したとは言い難い。ラオスが外国投資による労働集約型産業の振興を意図し てもタイは強力な競争相手であり続けるだろう。また、賃金水準からみて、ベト ナムは一層きびしくラオスの前に立ちはだかるものと思われる。総人口規模およ び労働人口規模に鑑みれば、国際的に標準化された技術を用いる労働集約型製造 業が長期的にはラオスにとって基幹産業たりえない分野であることは半ば明らか である。例えば、ラオスにおける最大投資国であるタイの投資は、輸出先国の輸 入規制回避のための生産拠点、シフトを目的とした衣料品(縫製)分野ではすでに 伸び悩みはじめ、最近では電力開発とともに観光産業開発分野での増大が顕著で、あるという。これはラオスにおける外国投資全体の動きに反映しており、アメリ カによる石油資源探査への投資をみても、タイをはじめとする外国企業はラオス に対して低廉な労働力を期待しているわけではないということができる。
しかしながら、技術協力のニーズの所在として、まず第
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に、対象分野にかか わらず全体としては増大の一途を辿る外国投資をできるだけ円滑に受け入れるた めに必要な人材の確保は緊急の課題となっている。例えば、英語あるいはフラン ス語をワーキングランゲージとして話せるラオス人の数は極めて限られており、公的援助案件でも、これを確保することがプロジェクト・コーディネータの重要 な仕事のひとつとなっている。タイ企業の場合は、母国語でラオス人と十分なコ ミュニケーションが可能なので一面大いに有利だが、プロジェクト・サイクルを
承知しているような中堅管理者の絶対的な不足という次の大きな制約を乗り越え なければならない。
第
2
に、近年の経済自由化傾向のなかで外国援助と外国民間投資が増えた結果、非耐久および耐久消費財が大量に市中に供給きれておりこれらの補修サービスの 必要性が高まっている。特に、自転車、オートパイ、乗用車やピックアップトラッ ク、さらにラジカセ、ステレオ、その他家電製品は、地方においても販売台数が 急増している。これらの修理は、しかし、大手の販売代理屈でも、メコン川沿い のタイ領内に本社を持つタイ人企業に高い料金を払って再委託しており、製品は 実際にはタイに持ち込まれて修理されたり、部品をラオスに持ち込んだうえでタ イ人技術者が修理を行っている。ラオス人企業家がタイに依存せずにある程度自 力で修理や補修を行うことができれば、かなりの付加価値を稼得できる段階に 至っていると思われる。さらに、経済が拡張してきた過去数年の建設ブームの中、
建設資材製造業の振興や施工管理技術者の確保も重要となってきている。
第
3
に、外国企業や潜在的成長力の大きいラオス人企業による経済活動を、円 滑に行わしめるための公的なサービスの充実が急務であり、このための人材確保 および制度組織の拡充が重要である。例えば、新規投資は横ばいの時期に入った とはいっても衣料産業はクψロスでは、ラオスの主力輸出商品である。原料の輸入 および製品輸出の期限を厳守することが決定的に重要で、ある。しかし、現状では、銀行のL/C発給業務や税関検査に時間がかかり、デリパリーを守れずに大口顧 客を失った例も少なくない。銀行側の審査能力に限界があり、企業能力の如何に かかわらず、引き締めるときは一律に引き締めてしまうので、特にラオス人企業 の場合は、新技術導入を伴う設備拡張資金や場合によって運転資金にも不足を来 す場合が多い。また、租税の面でも、かつて
ASEAN
諸国がそうであったように、外国投資法上、種々の特権が認めれていても、外国投資委員会事務局と関係官庁 の連絡が十分でないために実際の様々な「許可jや「承認