第 3 章 アジア・ダイナミズムへの参加と問題点
第 2 節 メコン川流域諸国の経済動向
メコン川流域に属する国々にかかる国際地域な開発の枠組が提示された代表的
な例として、まず、 ADBの GMS構想をあげることができる。 ADBは、メコ ン川流域諸国の経済的特性や地域的共通性に鑑み、経済開発は国際的地域的アプ ローチにより推進していくことが効率的かつ効果的であるとして、
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年から9 3
年 にかけて、ヴ、ェトナム、ラオス、カンボジア、 ミャンマ一、タイ、中国雲南省を 対象とした「経済協力調査(フェーズl)J
を実施し、その後も、インフラストラ クチャーを対象とした「調査(フェーズ2)Jを実施しているし、 9 0
年代末の今日 にいたっても関係国の政策対話を国際機関としての立場から積極的に推進してい る。このように、メコン川上流域の経済開発は、国際的にも地域的にも、単なる構 想、ではなく一定の枠組のもとで具体的に進められようとしている。本節の目的は、
メコン川流域諸国が積極派であるタイを中心として一つの経済地域としてまとま ろうとする流れの中で、各国政府がどのように対応しようとしているのか、それ を自国の経済開発政策の中にどのように位置づけようとしているのか、そしてこ の地域で望ましい分業関係とはどのよフなものであるのか、さらにそこで日本の はたすべき役割は何であるのかについて検討する縁を提示することにある。
1.東北タイ
地理的には勿論、言語・習慣などの点で共通点が多いタイは、自国内の都市・
地方閉経済格差問題解決策の一環として東部及び東北部の開発を推進しており、
カンボジアと共にラオスを自国経済の後背地として位置づけ、中央政府・関係各 県政府連携のもとラオスとの経済交流を一層加速させるとの明確な方針を有して いる。
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年代末からは貿易・民間直接投資を通じ、その歴史的確執にもかかわら ずラオスと緊密な関係を強固なものにしつつあることは既にみたとおりである。インドシナ半島ないしメコン川流域開発の国際的取組みのおおきなうねりは、
東北タイ経済の動きとも深い関係がある。以下に述べるように、メコン川沿岸都 市のラオスとの経済関係はますます活発化しており、メコン上流域のみならず下 流域の開発においても、もはや、タイの地方開発政策を看過できない状況にある
ということができる。
(1) 東北タイ経済の動向
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年代後半、タイは圏内市場の深化を経済開発課題の重要な柱として掲げた。この背景としては、
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年代からの急速な工業化と、その結果としての農工間格差 及び都市農村格差問題がある。東北タイ開発問題はタイの長期的・自律的経済発 展の如何を問うともいうべき重要な論点であるが、今やこの地域は、中央政府と の連携のもとに地場資本による持続的成長軌道を本格的に模索する段階に至った ということができる。旧来、タピオカ、メイズ、大豆の生産とそれらの関連工業 に依存してきた東北タイ経済は、9 0
年代にはいってから通貨危機までは、世界輸 出市場が比較的安定的に推移してきたことや中央政府の規制緩和政策による民間 主導の建設投資、オートパイ、繊維・衣料、食品加工業等の農業関連工業におけ る設備投資拡大、さらにはラオスを含むインドシナ諸国との貿易増大によってか つてない活況を呈している。熟練労働者の育成という大きな課題を抱えながらも、タイ側のメコン川沿岸都 市のうち開発ポテンシャルが高いと思われるのはウボンラチャタニである。東北 タイなかんづくメコン川沿いに並ぶ都市のうちで最も人口が多〈経済活動の集積 度も高いウボンラチャタニは、現在、再開発過程の真只中にある。タイ中央銀行 東北支庖及びタイ国家経済社会開発庁東北事務所(いずれもコンケン)によれば、
将来のパクセ橋の開通とラオス圏内の規制緩和(特に外国銀行支庖の地方開設規 制の緩和)によっては、現在のウドンタニ、ノンカイの発展ぶりを越えて急速に 経済開発が進むと思われる。
(2) タイーラオス国境貿易
( b o r d e rt r a d e )
の現状タイ中央銀行によれば、すでに
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年で国境貿易におけるタイの対ラオス輸出 額は約1 6 5
百万ドルで対前年比45%
増を記録した。主な品目は、自動車、オートパ イ、電力、靴、建設資材、工作機械であり、いずれも対前年比で40‑100%
増となっ ている。一方、輸入額は約6 6
百万ドルで、その9
割以上が製材となっており、カ ンボジアからの輸出(ラオスからの再輸出)も含まれている。タイ側主要税関事務所は、ノンカイ、ムクダハン、チョンメック、ケマラット、
ナコンパノム、シェンカンで輸出入の合計額では、ノンカイが全体の
65%
を占めて最大の貿易拠点となっている。特にタイ側からの輸出では、車両、オートパイ、
日用雑貨品、建設資材はそのほとんどが、ノンカイ経由である。しかし、輸入面 で、木材(製材)に関しては、ノンカイとともにムクダノ、ン、チョンメック、ナ コンパノムも重要拠点となっており、これら
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地点は大幅な入超を記録した。ま た、同年における旅客数に関し、タイ側から見た流出及ぴ流入は、それぞれ41
万 人、4 0
万人でいずれも9 2
年に比べて26%
の著増振りである。9 4
年4
月のメコン橋 開通とラオス政府の対外経済自由化政策によって旅客数は今後一層増大しているものと思われる。
( 3 )
ラオスとの経済交流の見通し現状では、ノンカイ及ぴウドンタニによる対ラオス経済交流が際立つている。
ヴィエンチャン県に近い両市は、メコン橋開通後自らをインドシナへのゲート ウェイとして位置づけている。ラオスの首都ヴイエンチャンに近いということは、
物流だけでなく、周囲の経済規制措置のニュアンスを理解するうえでも有利で、あ る。事実、ヴィエンチャンとの聞で親類・縁者が多いノンカイの企業家達は、他 の都市では不透明性や不安定性が指摘されるラオスの外国投資管理法をあまり問 題視していない。したがって、第
2
・第3
のメコン橋が開通するまでは、ノンカ イ、ウドンタニは引き続き、タイの対ラオス経済交流の重要な拠点であり続ける ものと思われる。これらの2都市さらにナコンパノムと比較すると、ウボンラチャタニの有利'性 はより多面的で、ある。前
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者の焦点は現在までのところ、ラオス側の購買力如何 におかれている。ノンカイ対岸のヴィエンチャン、あるいはナコンパノム対岸の タケクからは、ベトナム、カンボジアへの時間距離は依然として大きいのに比べ、ベトナム南部、カンボジア北部、タイ東部を結ぶ円周上に位置するウボンラチャ タニは、バンコクのみならず東部臨海工業地帯のマーケットとしてみた場合、イ ンドシナ市場へのゲートウェイトして非常に有利な地点にあるということができ る。現在建設中のパクセ橋開通の暁には、すでに国際空港を有しているウボンラ チャタニがインドシナ
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固との関係において国際的な物流の拠点、人材交流の最 大拠点となる可能性も大きい。ただし、ラオスにおいては、国内の金融規制緩和や道路網整備を一層進め、貿易取引が順調に拡大するよう経済環境を整えること が前提条件である。
2 .
ミャンマーおよび中国雲南省 (1) ミャンマー人口
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百万人(首都2 2 0
万人)のミャンマーにとって、シンyゲポールそして近年 拡大の一途をたどる雲南省との経済関係に比べると、ラオスを含むインドシナ諸 国との経済関係の比重は小きい。ミャンマー全体の経済発展の鍵を握るのは、タ イのみならず、シン7ゲポール、香港、台湾から訪れる華僑華人系企業による外国 投資活動である。ミャンマ一政府がADB
や関係国による「成長の4
角地帯J
構 想あるいは辺境貿易そのものの拡大に関心を示しているのは、基本的には、国境 地帯に住む少数民族の民生安定化政策との関連においてであるということができ る。参考までに、ミャンマーの経済基礎指標及び外国投資受入実績を第3‑1‑3
‑3
表にあげておく。ミャンマ一政府は、経済開発政策の一つの柱として、木材加工産業を含む輸出 向け製造業やエネルギ一分野に対する外国投資の積極的導入を掲げている。観光 産業についても投資振興の第
1
歩として位置づけ、ホテル建設や外国企業との合 弁事業による国内航空網の整備を推進している。しかし、製造業に対する外国投 資の可能性については、たとえば、公的為替相場と自由為替相場との恭離が2 0
倍 にものぼる現状( 1 9 9 4
年)では、外国企業が、特に輸出志向的製造業などの分野 で適正な利潤を獲得することは困難といわざるを得ず、ミャンマ一政府の今後の 政策課題のひとつとして残るといわざるを得ない。政府は、「成長の