第 3節 結 果 お よ び 考 察
1 ア‑ウィン'果実
アーウィン'果実の温水処理・貯蔵果の物理・化学的性質をTable25に示した。
温水処理果のうち、緑色果の 5 tとlOt・42日間および赤紫色果の 5.t ・24日間貯 蔵果は果実の劣化・黒変が著しかったため、 Tableへの実験結果の記載を省略した。
Table 25 Changes in physical and chemical properties of
・
Irwin' mango fruits by hot water treatment•
白lor Storage∞ndition Hunter color of skin Hunter∞lor of f1esh F1esh finnness何fJcm2) Total soluble stage T〈c℃m)p T(duanye ) solids
L a b L a b Seedside Skin side ("Brix) Green Initial 36.1士1.0 3.7 :t6.6 9.2+0.4 72.6:t3.3 ‑3.6士0.8 34.2:t 1.0 4.70士5.70 6.66:t 9.76 9.2士0.6
15'tご・ 19d 40.9士4.2 15.0:t3.1 16.9:t 2.4 62.9 :t5.4 ‑1.7:t 2.8 32.1士2.0 0.15士0.05 0.20:t0.09 17.1 :t2.8 15'C・36d 39.4:t3.9 20.4+2.0 18.7:t0.7 61.6土0.5‑3.5士1.2 32.5士1.0 0.14土0.11 0.17士0.15 15.3士2.0 Purple Initial 42.7:t2.4 ー1.7:t4.0 18.7土2.7 52.2士11.9・4.4士0.2 28.2:t4.2 3.72:t6.58 5.91:t8.38 l1.9:t3.3 1O'C・ 14d 36.8:t 1.3 6.4:t4.3 13.7 :t0.8 65.5土8.5 ‑1.3:t3.9 30.1士5.9 4.09 :t3.80 4.11士5.15 12.5 :t2.2 1O'C・28d 37.1士1.3 7.0:t6.0 11.0土1.3 61.0士12.3 ‑2.0土2.9 32.2:t 1.7 0.19 :t0.15 0.26 :t0.37 12.6 :t2.3 15'C・ 14d 33.5:t2.0 12.6士6.1 12.2:t 1.6 58.9:t1O.8 ‑0.9:t0.9 31.3士1.5 0.08土0.02 0.13士0.03 13.0士1.7 15'C・ 28d 29.5:t3.2 5.7士4.8 12.4:t2.6 57.1士8.9 ‑1.3士3.2 33.0:t4.5 0.06土0.04 0.08:t 0.05 16.3土5.1 Purplish Initial 43.7 :t2.5 0.2士2.9 17.1士3.5 63.1:t 12.0 ‑4.1士0.8 27.2士3.1 0.21 :t0.14 0.34:t0.38 17.2:t2.6 red 1O'C・ 16d 38.4 :t2.3 7.0:t9.3 14.5:t 1.5 66.7士5.8 ・2.1:t2.4 30.4:t0.5 0.08:t0.02 0.09:t0.
∞
18.5:t 2.215'C・ 7d 40.3 :t3.0 12.2:t4.7 16.2士1.4 55.2:t5.5・1.0:t1.7 31.6:t4.4 0.08:t0.05 0.09:t0.04 17.4:t2.6
Weight loss(%)
Organtoelste
.
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tic Overall Organic acid (glflesh 100g) Free sugar (glflesh 1∞
'g)Citric acid Malic acid Suαose Fructose Glu∞se
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Each value is the mean:t SD of five samples.
事ηlefruilS were dipped in 50'C hot water for 10 minutes.
Date were obtained by measurement of equaもorportion of the mango fruit
•• Organoleptic test was carried out for ∞lor, flavor, sweetness, acidity and overall byぉoremethod. But, only the result for overall was shown in this table. Score 0: none or no good ~3: most or very good.
以上の結果から果皮色の変化が顕著で、良好な果皮の赤色化を示した貯蔵条件 は、次のとおりであった。
緑色果は150C19日間貯蔵であり、赤紫色果は10oC 16日間、 150C7日間貯蔵であっ た。
緑色果の 50Cおよび100Cで42日間貯蔵、紫色果の 5"C、 10"cおよび150Cの14 日間貯蔵、赤紫色果の 50C24日間貯蔵は順調に追熟が進行することができず、特に 果皮色が悪く、萎びや黒変が生じた生理障害果も多く、果実全体としては、良好な 品質とは言えなかった。
温水処理果はすべての貯蔵条件において 1,,‑, 2日程度追熟が早められたが、温水 処理を施す果実の成熟度と追熟条件(温度・日数)などの関係が非常に複雑で、今 後さらに果皮の総ポリフェノール含量および、ポリフェノールオキシダーゼ活性の消 長などの面からも詳細な検討の必要性があると考えられた。
緑色果を温水処理した後50Cおよび100Cで貯蔵した場合生理障害の発生が目立つ たため、緑色果では温水処理後は 15"cでの追熟を、赤紫色果ではやや高温で比較 的短期間の追熟が好結果を得られるものと現時点では考えている。
2 .
金煙1
号'果実金程1号'果実の温水処理・貯蔵果の物理・化学的性質をTable26に示した。
温水処理果の果重減少率は高かった。果重の減少は水分蒸発によるものであり、
温水処理が呼吸を活発にし、水分の蒸発を促進したと考えられる。温水処理による 果皮色への影響はみられなかったが、追熟期間が2,,‑, 4日程度短縮された。 Table 26に示した各項目の分析値は、第4章第3節に述べた非温水処理・追熟果の分析値
と大差が認められなかった。したがって、本マンゴー果実の場合は、温水処理によ り追熟期間が 2,,‑, 4日間短縮されたこととなる。温水処理により
0
・bガラクトシ ダーゼ活性およびα‑L‑アラピノフラノシダーゼ活性の上昇傾向がみられた。官能検 査の結果より温水処理・追熟果は香りと甘味が増し、酸味が減少し、総合評価も高 くなった。なお、収穫後の蒸熱処理は℃訂abao'マンゴ‑果実の果肉中のデンプン の糖化を促進し、ショ糖を主とした糖含量が増加したという報告59)がある。Table 26 Changes in physical and chemical properties of Chiin Hwang No.l
・
mango fruits by hot water treatment*.
Initial fruit Hot water treatment fruit 56.6::1::2.7 56.6土4.0
‑10.1::1::2.4 ‑1O.1:!::1.8 27.3::1::9.7 37.1土4.2 78.7:!::2.4 56.7土7.5
‑1.0::1::1.0 12.8土0.5 47.3:!::0.3 55.8土10.2 16.35土3.00 0.68::1::0.25 25.49士4.39 0.82:!::0.27 81.3 + 1.1 77.3土7.8 4.33土0.25 5.60:!::0.30
9.8:!:: 1.2 19.3:!:: 1.4 0.63土0.05 0.65土0.12 0.20土0.02 0.53土0.08 2.40::1::0.50 10.92::1:: 1.05 3.19土0.07 3.00士0.40 0.90:!::0.22 0.85:!::0.25 11.81土1.79 3.19:!:: 1.46
4.68土1.51 0.46土0.16 1.78土0.24 0.65::1::0.27 50.15士16.29 149.24:!::23.43
14.70:!::0.30 378.6:!:: 11.9 236.1:!::61.0 230.9土27.8 189.6:!:: 111.0 268.1 :!::27.8 169.3士22.5
5.3土1.2 1.9土0.8 32.4+8.2 402.4::1:: 164.1
9.3::1::3.8 90.1:!::37.6 2.1::1::0.2 1.3土0.3 2.2:!::0.3 0.8::1::0.4 2.1 +0.2 L
a b n
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Hunter color of flesh L a Flesh firmness
b (kgf/cm2) Seed side Skin side
(%) Moisture
pH
Total soluble solids CBrix) Organic acid
Citric acid (g/flesh 100g) Malic acid (g/flesh 100g) Free sugar
Sucrose Fructose
(g/flesh 100g) (g/flesh 100g) Glucose (g/flesh 100g) A 1 S (g/flesh 100g) Starch (g/flesh 100g) Total pectin (g/flesh 100g) Respiratory rate (C02mglkg' h) Weight loss (%)
Enzyme activities α‑Amylase β‑Amylase Polygalacturonase Pectin esterase β‑D‑Galactosidase α‑L‑Arabinofuranosidase Organoleptic test**
Color Flavor Sweetness Acidity Overall
Each value is the mean:t SD of four ‑five samples.
*TT1巴fruitswere dipped in 50 "C hot water for 20 minutes and ripened at 25"Cand 58‑84% RH for 10 days. Dala were obtained by measurement of equator portion of the mango企uit.
α‑Amylase activity was defined as units per 100g flesh per minute.
。
‑Amylaseactivity was degined as maltose μmol freed from substrate per 100g flesh per minutePolygalacturonase activity was defined as galacturonic acid μmol freed from substrate per 100g flesh per minute. Pectin esterase activity was defined mmol of freed carboxyl group from pectin substrate per 100g flesh per hour. s ‑D‑Galactosidase and α‑L‑Arabinofuranosidase activities were difinedμmol ofρ‑nitrophenol released from substrate per 100g flesh per minute.
Organoleptic test was carried out by score method. Score 0 : none or no good ‑.. 3 : most or very good.
第
4
節 要 約アーウィン'の場合は 500Cで10分間、 金埠1号'では向温度で20分間温水 浸漬処理を行った後、追熟させた。
その結果、両品種とも温水処理により追熟が促進される効果が認められた。しか し、 アーウィン'の場合未熟果(緑色果)を温水処理した後50Cおよび10oCで 貯蔵すると生理障害の発生が目立つた。このため、未熟果では温水処理後は 150C での追熟を、中熟果(赤紫色果)ではやや高温で比較的短期間の追熟が好結果を得
られると推定された。
一方、 金燈 1号'は追熟が促進され甘味の高い果実が得られたが、一部の果実 の果頂部に軟化60)がみられた。このため 8分程度成熟した果実を温水処理すると 追熟に有効であると推定された。
第
6
章 総 括マンゴーはインド・ビルマ地方の原産で広く熱帯地方にて栽培されている果樹で、
特にインドでのマンゴ‑栽培の歴史は古く4
,
000年以上も前から行われ、インド文 明と同程度に古いとされている。 1997年におけるマンゴーの世界の果実生産量は 21,964,000 tである。一方、わが国のマンゴーは主にハウスで栽培され沖縄県、鹿 児島県および宮崎県で生産されているが、 1997年 1,
200tと量的には少なく、熱帯 地方に比べて栽培の歴史も浅い。しかし、マンゴ一果実は消費者の曙好性の多様化 と向上に伴って、国内での生産拡大や輸入量の増加で庖頭で見かけることが多くなっ てきた。熱帯果実というと独特の風味と香りがあって、人によって好みが分かれるが、マ ンゴ‑果実は樫色の果肉と甘い香り、モモに似た風味などから、日本人の好みにあっ ている。また圏内産果実は品質の良さ、果実の貯蔵性および輸送性の面から輸入果 実にはない 完熟と新鮮"をキャッチフレーズに高価で販売されており、付加価値 の高い特産果実としての今後が期待される。国内のマンコ一生産に関しては、現時 点では施設を用いた栽培技術が確立されつつある段階であって、今後品質などの裏 付けとなる多方面の研究が必要である。その一環として生育および成熟に伴う果実 の諸性質に関する研究が求められている。本研究はハウス栽培マンゴ‑果実の成熟 および貯蔵に伴う物理・化学的性質などの変化やそれらの露地栽培果実との違いを 明らかにするとともに、収穫適期の判断のための基礎的資料を得ることを目的とし た。
I アーウィン'マンゴー果実の成熟および貯蔵に伴う物理・化学的性質 の変化
アーウィン'はわが国のマンゴー栽培面積の約9割を占めている重要な品種で ある。早生種で沖縄県、鹿児島県および宮崎県で7月中旬", 8月中旬に成熟する。
他の品種に比べて耐寒性がある程度強いので生産者にとって現在手放せない品種で ある。果実は長卵型でやや偏平、果重は350'" 600 g 、果皮色は鮮赤色で繊維の少 ない多肉性果実である。
( 1 )マンゴ‑果実の成熟に伴う諸性質の変化
1995年に 6年生 アーウィン'樹において4月下旬から 5月上旬に満開期を迎え
た花穂を選び、満開後から約 10週(果皮色:緑色)、 13週(紫色)、 16週(赤紫色)およ び19週(赤色)目に果実を採取し(それぞれ試料
I
、H
、l l L N
と略)、それらの物 理・化学的性質の変化を追究した。その結果は以下に示すとおりである。1 )物理的性質の変化
成熟に伴い果重と果径、果皮のハンターL値および
a
値は増加した。一方、果肉 のL値は減少、a
、 bの両値は増加した。特に試料Wでこれらの増加は顕著であっ た。しかし、果肉硬度は果実の成熟度が進むにつれて低下した。2 )
化学的性質の変化成熟に伴い全可溶性固形物含量は増加した。クエン酸含量は成熟に伴い漸減した が、リンゴ酸含量はほとんど変化しなかった。遊離糖のうち、果糖とショ糖含量は 成熟に伴い増加した。特にショ糖含量は試料
W
で著しく高くなり、試料I
の主要糖 であった果糖と置き換わった。 A1 S (al∞
hol insoluble solids)、デンプンおよびペク チン含量は試料Eで最高に達した後、急減した。ポリフェノールは薄層クロマトグ ラフイーにより試料I
、E
、E、W
のそれぞれの果皮から 6種類、果肉から 4種類 を検出した。成熟度を異にする各供試果実の総ポリフェノール含量は果肉よりも果 皮に多く含まれていて、果肉の約 11‑‑‑‑‑29倍であった。果皮の総ポリフェノール含 量は熟度の進行に伴い、いったん減少した後、試料Wで急増した。3 )
呼吸量果実は採取時期が遅くなるほど呼吸量が多くなり、成熟が進行するにつれて呼吸 が盛んになった。
4)酵素活性の変化
αーおよび0・アミラーゼ活性はほぼ直線状に増加し、試料Wで最高に達した。果 皮のポリフェノールオキシダーゼ活性は果肉よりもかなり高く、果実熟度の進行に 伴い増加した。熟度を異にする各果実の果皮中の酵素活性は果肉の約 4‑‑‑‑‑12倍で
あった。
以上の結果から、 ア‑ウィン'マンゴーでは満開後約 16週日から 19週日にか けて(果皮色が赤色に変化)果実内で顕著な生理的変化が起り、果実の成熟が急激 に進行することが示唆された。また、果実の成熟に伴い果梗部の果皮色は濃緑→紫
→赤紫→赤色と変化するが、この果皮色 (a値)の変化が熟度判定・収穫適期を判 断する重要なファクターであると考えられた。
( 2
)マンゴ‑果実の貯蔵性に関する研究1 )完熟果の貯蔵に伴う諸性質の変化および品質
近年、各種マンゴ‑果実の品質に及ぼす追熟・貯蔵の影響に関する研究が盛んと
なり、多くの報告があるが、わが国においてハウス栽培されている アーウィン' マンゴー果実に関する研究は極めて少ない。そこで、 1995年に6年生 アーウィン' 樹において満開後約 19週目に採取した果実(果皮色:赤色)を下記の条件下で貯 蔵し、果実の品質に及ぼす影響を調査した。貯蔵条件:25 "c・ 3日間(試験区1‑a)、 250C・3日間 +4"C・ 3週間(試験区1‑b)、25"C・3日間 + 4"C・ 6週間(試験区 1‑c)、 40C・3週間(試験区2‑a)、4"C・3週間十25"c・3日間(試験区2‑b)、4"C・ 6週間(試 験区2‑c)、4"C・ 6週 間 +25 "c・ 3日間 (試験区2‑d)。その結果は以下に示すと おりである。
( 1 )塁皮企 L値およびb値はほとんど変化しなかったのに対し、 a値は両試験 区各貯蔵果で上昇した。(2 )塁因企 ほとんど変化しなかった。(3 )果肉硬度 すべての貯蔵果で低下した。採取直後の果実では測定部位によって明確な差が認め られたが、貯蔵果の場合は測定部位による差はほとんど認められなかった。 (4) 睦毘量 いずれの貯蔵果においても減少した。しかし、低温で貯蔵した後 250Cで 3 日間貯蔵した試験区2‑bとdの貯蔵果の場合はある程度増加した。(5 )塁重企 滋金率貯蔵期間が長期にわたるとともに高くなった。
( 6
)有機酸と糖質合量クエン酸は減少、リンゴ酸は増加の傾向を示した。ショ糖は漸減、果糖は漸増し、
ブドウ糖は試験区 1ではやや減少、試験区 2では増加の傾向を示した。また AIS とデンプンはいずれの貯蔵果においても半減、ペクチンは漸減した。(7 )宣能強 室 総 合 評 価 の 結 果 は1‑a>1‑b>完熟新鮮果実> 2-a~2-b>2-d>2- c
三1一Cであった。
以上の結果から、樹上で完熟した アーウィン'果実は 40Cの低温で 3週間程度 の貯蔵が可能であることが明らかにされた。
2 )
成熟果の貯蔵に伴う諸性質の変化および品質①成熟度の異なる果実の貯蔵
1996年に 7年生 アーウィン樹において満開後約10週(緑色果)、 13週(紫 色果)の果実を 5oC ~ 15 oC の温度で 14 日 ~42 日間貯蔵し、諸性質の変化と品質
に及ぼす影響を調査した。その結果は以下に示すとおりである。
( 1 ) 塁 皮 色 全 貯 蔵 果 でL値の変化は認められなかったが、