2.5 臨床に関する概括評価
2.5.6 ベネフィットとリスクに関する結論
2.5.6.1 用法・用量
PEG-IFNα-2a
の用量については単剤投与試験にて90μg
より180μg
で強いウイルス駆除効果及び高い有効性が示されたことにより,180 μgが承認されている。このことから,リバビリン 併用投与を検討した試験では
PEG-IFNα-2a
の用量は180μg
に固定して実施され,併用投与で 単剤投与に比し高い有効性が検証された。これに基づき,海外及び国内でC
型慢性肝炎(海 外ではC
型代償性肝硬変を含む)に対してリバビリンとの併用投与でPEG-IFNα-2a 180 μg
が 承認され,現在,長期にわたる臨床使用の実績からもリバビリン併用投与下でPEG-IFNα-2a
は180 μgが確立された用法用量となっている。また,C型代償性肝硬変はC
型慢性肝炎から連 続した疾患であり,PEG-IFNα-2a単独療法及びリバビリンとの併用療法のC
型代償性肝硬変に 対する有効性はC
型慢性肝炎に比し低いこと(海外第Ⅲ相臨床試験)からも,少なくともC
型慢性肝炎と同量の180μg
の投与が必要と考えられる。一方,C型代償性肝硬変では,C型慢 性肝炎患者に比し血小板数など血球成分が低下している患者が認められ,180 μgでは安全性の 面 か ら 休 薬 や 投 与 中 止 例 が 多 く な る こ と が 懸 念 さ れ た 。 こ の た め , 第 Ⅱ/
Ⅲ 相 臨 床 試 験(JV19595)及び一般臨床試験(JV19889)では,血小板数,好中球数,ヘモグロビン濃度な
どによる
PEG-IFNα-2a
及びリバビリンの用量調整基準をC
型慢性肝炎を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験(JV15725)より厳密な方法とした(2.5.1.4(3) 参照)。
第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験(JV19595)における主要評価項目である,FAS 前期における投与終了後
24週時のウイルス学的効果は,PEG-IFNα-2a (180)群で7/30例(23.3%)及び PEG-IFNα-2a (90)
群で9/33例(27.3%)に認められ,観察群33例においては投与終了後24週時のウイルス学的効 果が認められなかった。観察群に対するPEG-IFNα-2a (180)
群及びPEG-IFNα-2a (90)
群のFisher's exact test
によるP
値はそれぞれ0.0037及び0.0021であり,両投与群とも観察群に比し有 意に高いウイルス学的効果を示し,C型代償性肝硬変患者に対するPEG-IFNα-2a
とリバビリン 併用療法の有効性は検証された。また,副次的評価項目のうち観察群と比較可能である投与終 了時のウイルス学的効果及び生化学的効果はいずれも,観察群に比し明らかな改善効果を示し,主要評価項目の結果を支持する結果であった。
また,第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験(JV19595)における安全性を評価した結果,PEG-IFNα-2a (90)群
に比し
PEG-IFNα-2a (180)群で発現率が高い有害事象が認められたが,いずれも IFN
及びリバビリンで既知のものであった。重篤な有害事象の発現率が
PEG-IFNα-2a (90)群に比し PEG-IFNα-2a (180)群で高かったが,PEG-PEG-IFNα-2a (180)群の重篤な有害事象の発現年率は観察群と同
程度であった。また,臨床検査値異常変動の発現率がPEG-IFNα-2a (90)群に比し PEG-IFNα-2a (180)群で高く,血小板数,好中球数,ヘモグロビン濃度の減少による減量・休薬の頻度は
PEG-IFNα-2a (90)群より PEG-IFNα-2a (180)群で多かった。これらの血球成分減少に起因した可
能性が否定できない有害事象が認められたが,臨床上大きな問題となるような事象ではないと 判断された。
以上,C 型代償性肝硬変の治療に対し,リバビリンとの併用療法において
PEG-IFNα-2a
は180 μg
を開始用量として投与した場合,90μg
から開始した場合と比較し,安全性の面で臨床 上問題となるような相違はなかったが,臨床検査値の異常変動が多いこと,特に血小板数減少 及び好中球数減少による減量・休薬が多かったことを鑑みると,血球成分減少による患者への 安全性リスクの増大は否定できない。有効性の主要評価項目において用量間に大きな差が認め られなかったことから,国内C
型代償性肝硬変患者に対するリバビリンとの併用によるPEG-IFNα-2a
の投与開始用量として90 μgが推奨される。2.5.6.2 ベネフィット
(1) PEG-IFNα-2a
とリバビリン併用療法は,C 型代償性肝硬変に対して,C 型慢性肝炎同様にペガシス/コペガス
2.5
臨床に関する概括評価Page 67
HCV-RNA
の駆除が可能である。C
型代償性肝硬変に対する投与終了後24週時のウイルス学的効果は,PEG-IFNα-2a (180)群7/30例(23.3%),PEG-IFNα-2a (90)群9/33例(27.3%)及び観察群0/33例(0.0%)であり,観
察群に対するPEG-IFNα-2a (180)群及び PEG-IFNα-2a (90)群の P
値(Fisher's exact test)は,そ れぞれ0.0037及び0.0021と両投与群とも有意に高いウイルス学的効果を示した。すなわち,PEG-IFNα-2a
とリバビリンの併用療法は,C 型代償性肝硬変の原因ウイルスの駆除が可能であることが示され,肝炎沈静化を目的としたウルソデスオキシコール酸やグリチルリチン製剤等 の肝庇護療法による対症療法とは異なる有用性が示された。
(2) PEG-IFNα-2a
とリバビリン併用療法は,ジェノタイプ1かつ高ウイルス量のC
型代償性肝硬変患者に対して治療効果を有する。
国内で
C
型代償性肝硬変の患者に対し既承認のIFN
製剤で難治性とされるジェノタイプ1か つ高ウイルス量(投与開始時のHCV-RNA
値が100 KIU/mL以上)の患者に対し,PEG-IFNα-2a とリバビリン併用療法は,PEG-IFNα-2a 90 μgで8/45例(17.8%)及び180μg
で11/50例(22.0%)の投与終了後24週時のウイルス学的効果を示し,C 型代償性肝硬変の患者において本治療の有 効性が示された。
(3) PEG-IFNα-2a
とリバビリン併用療法は,既承認のIFN
製剤で適応が取得されていないC
型代償性肝硬変患者に対して治療効果を有する。
IFNβ
製剤はジェノタイプ1かつ高ウイルス量(HCV-RNAが100 KIU/mL以上)の患者に対し 試験を実施しておらず,適応も取得していない。一方,IFNα 製剤は,ジェノタイプ1かつ高ウ イルス量(HCV-RNA が100 KIU/mL 以上)の患者に対し,4/27例(14.8%)の有効性が示され ているが,ジェノタイプ1で更にウイルス量が高い500 KIU/mL以上の患者では有効性が認めら れなかった(0/9例)。このような状況に対し,PEG-IFNα-2a とリバビリン併用療法は,ジェ ノタイプ1でウイルス量が500 KIU/mL 以上の患者において,PEG-IFNα-2a 90 μg で6/40例(15.0%)及び180
μg
で9/46例(19.6%)の患者に有効性が認められ,IFNβ製剤及びIFNα
製剤 それぞれの単独療法より優れた効果を有することが明らかになった。(4) PEG-IFNα-2a
とリバビリン併用療法は,「ジェノタイプ1かつHCV-RNA 100 KIU/mL
以上」以外の患者においても既承認の
IFN
製剤より高い有効性を示す。PEG-IFNα-2a
とリバビリン併用治療において,「ジェノタイプ1かつHCV-RNA 100 KIU/mL
以上」以外の患者では,投与終了後24週時のウイルス学的効果は
PEG-IFNα-2a 90 μg
で9/16(56.3%)及び180 μgで6/13例(46.2%)であり,ジェノタイプ1かつ
HCV-RNA 100 KIU/mL
以 上の患者より高い有効性が示された。更に,IFNβ 製剤及びIFNα
製剤での「ジェノタイプ1かつ
HCV-RNA 100 KIU/mL
以上」以外の患者での成績と比較しても高い有効性を示した。このことから,「ジェノタイプ1かつ
HCV-RNA 100 KIU/mL
以上」以外の患者においてもPEG-IFNα-2a
とリバビリン併用治療の使用が推奨されるものと考える。(5) PEG-IFNα-2a
とリバビリン併用療法は,IFN 製剤既治療の患者に対しても治療効果を有する。PEG-IFNα-2a
とリバビリン併用療法は,IFN製剤既治療のC
型代償性肝硬変患者に対してもPEG-IFNα-2a 90 μg
で5/26例(19.2%)及び180μg
で10/28例(35.7%)に投与終了後24週時のウ イルス学的効果が示された。また,IFN 製剤とリバビリン併用の治療歴がある患者においても 有効例が認められた。(6) PEG-IFNα-2a
とリバビリン併用療法は週1回投与の治療が可能である。C
型慢性肝炎におけるPEG-IFNα-2a
とリバビリン併用療法の用法・用量で実施した第Ⅲ相臨 床試験の結果より,C 型代償性肝硬変に対しても,週1回の投与による有効性が確認されたこペガシス/コペガス
2.5
臨床に関する概括評価Page 68
とから,IFNα製剤及び
IFNβ
製剤における週3回の投与に比し週1回とすることで,患者の負担 が軽減される。2.5.6.3 リスク
PEG-IFNα-2a
とリバビリンの併用療法は,C型慢性肝炎患者に対し2007年1月に承認を取得した際に,本治療法のリスクについて検討し,安全に投与するための対応を添付文書に記載した。
本申請にあたって実施した
C
型代償性肝硬変患者を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験(JV19595)及び一般臨床試験(JV19889)の安全性成績を,C 型慢性肝炎申請時に提出した国内試験
(JV15725)の結果を同じ用量である
PEG-IFNα-2a 180 μg
及びリバビリンの併用投与同士で比 較したところ,C 型代償性肝硬変患者において発現率が10%以上高い有害事象はアスパラギン 酸アミノトランスフェラーゼ増加,γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加,アラニン・アミノ トランスフェラーゼ増加,発熱,熱感,そう痒症,鼻咽頭炎,網膜出血,網膜症及び肝の悪性 新生物であった。治験薬投与群での重篤な有害事象の発現率はC
型代償性肝硬変で高かった が,発現率増加の主な理由は肝の悪性新生物等の肝硬変の自然経過に伴うものであり,治験薬 投与群の発現率は観察群と同程度であった。投与中止に至った有害事象もC
型慢性肝炎患者 に比しC
型代償性肝硬変で高かったが主な事象は肝の悪性新生物及び血球成分の減少に関連 するものであり,その他は1例ずつの発現であった。したがって,C型代償性肝硬変に対する
PEG-IFNα-2a
とリバビリン併用療法は,用量調整に よるコントロールが可能であり,C型慢性肝炎と同様の注意・対応を添付文書に記載すること で使用可能であると考えている。2.5.6.4 結論
PEG-IFNα-2a
とリバビリンの併用療法は,C 型代償性肝硬変患者においてウイルス駆除が可能な治療法として有用であることが証明された。C型慢性肝炎において既承認の
PEG-IFNα-2a
とリバビリンの併用療法は,IFN 製剤単独療法より高い有効性が得られる治療法である。今回,PEG-IFNα-2a
とリバビリンの併用療法は,現在既承認のIFNα
製剤及びIFNβ
製剤より高い有効性が得られるのみならず,これらの
IFN
製剤において適応外であるHCV-RNA
が500 KIU/mL 以上のC
型代償性肝硬変患者に対しても有効性が認められた。また,IFN製剤既治療の患者で も有効性が認められた。このように,有効性の面から高いベネフィットが期待できる治療法で ある。安全性の面でも,C 型代償性肝硬変患者においても用量調整によるコントロールが可能であ り,C 型慢性肝炎と同様の注意・対応を添付文書に記載することで使用可能であると考えてい る。