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ベトナム

ドキュメント内 Microsoft Word - ASEAN石油原稿_Rev4.docx (ページ 54-62)

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ーを普及する。電化率に関し、2020 年までにほぼ全家庭への電力供給を実現する。

-

国際的な環境基準や国内経済に合わせた長期環境政策を策定する。

-

電力、石炭、石油・ガスセクターの競争的市場メカニズムへの移行、2022 年まで に電力小売の競争市場構築、2015 年までに石炭、石油取引市場を構築する。

-

2020 年までに最初の原子力発電所の運転開始を行い、エネルギーミックスにおけ る原子力の役割を徐々に拡大させる。

-

エネルギー分野の国際協力の拡大(2010-15 年に 500kV 送電線の連系や、天然ガス 融通)を図る。

石油上流政策では、1993 年に制定された「石油法」(Petroleum Law)が、探鉱及び生産 活動や課税に関する規定を定めている。探鉱開発契約におけるベトナム側のカウンターパ ートは国営石油企業 Petrovietnam であり、その事業形態は直接投資による合弁事業ないし は経営協力、契約形態は生産物分与契約或いは合弁契約による、と規定している。探鉱開 発コストの回収は、50%(大水深など技術的課題が高い投資推奨案件は 70%)まで認められ る。期間は 25 年(深海鉱区、遠方沖合鉱区または天然ガスの場合 30 年)で、うち探鉱期 間は 5 年(同 7 年)。ガスを発見した場合、市場環境が整っていなければ、5 年間(特定の 条件がなければ 7 年)の留保が可能。法人税は 50%(奨励プロジェクトでは 32%)。開発や 生産企業は、法人税が最高 2 年間免除され、その後も 50%の減税が認められる。利益の再投 資は法人税が還付される36

ベトナムでは、資金力拡大・業務の効率化・技術や戦略経営をもたらすため、国営企業 の改革、equitisation(株式会社化)が検討されている。エネルギー部門の国営企業も例 外ではなく、Petrovietnam Fianance Company、Petrovietnam Fertilizer and Chemicals、

Petrovietnam Construction JSC は株式会社化された。Petrolimex は、2011 年 6 月、MOIT 下の株式所有会社に移し、5%の株式を IPO(新規公開株)で売却することが認められた。

ベトナムでは、商工省(Ministry of Industry and Trade: MOIT)が、電力、新エネル ギー・再生可能エネルギー、石炭、石油・ガス産業など全てのエネルギー産業を所管して いる。2015 年 12 月時点の商工大臣は Vu Huy Hoang 氏。MOIT は、これらエネルギー産業に 関する法律、政策、開発戦略、マスタープラン、年次計画の策定ならびに首相への提出、

発行・認可を伺う責務を負い、エネルギー部門の指導・管理も行う。MOIT の下に、電力市 場の開発及び規制を管轄するベトナム電力規制庁(Electricity Regulatory Authority of Vietnam)、及び、エネルギー政策の原案作成や電力開発計画の策定等を行うエネルギー研 究所(Institute of Energy)がある。

36東西貿易通信社(2014)「東アジアの石油産業と石油化学工業 2014 年版」

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7-2 石油等の化石エネルギーの需給バランス

ベトナムは石油、石炭、天然ガスのいずれのエネルギー資源も産出する資源国である。

2013 年の一次エネルギー国内供給 5,993 万トン(石油換算、以下同じ)に対し、国内生産 は 6,928 万トンと自給率は 100%を上回る。石炭の生産量 2,298 万トンのうち 727 万トン、

32%が輸出されており、原油も 1,778 万トンの生産のうち 856 万トン、48%が輸出され、

いずれも外貨獲得の手段となっている。一方、天然ガスの国内生産量 842 万トンの全量が 国内消費に回されており、輸出は行われていない。

表 7-1 ベトナム・エネルギーバランス表(2013 年、単位:石油換算万トン)

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

ベトナムは水力も豊富で、2013 年の発電量の 45%を占めているが、渇水期には電力の輸 入も行われている。ベトナムも近隣のアジア諸国と同様に民生用としてバイオマス・廃棄 物が非常に多く利用されており、今後の経済の発展とともに、これらが石油、天然ガス、

エネルギ ー源 A B C D E F G H I

部門 原油 石油

製品

水力・

原子力 電力 石炭・

コーク ス ガス 地熱・

新エネ他 廃棄物 バ イオマス 合計

1国内生産 1,778 0 491 0 2,298 842 1 1,518 6,928

2輸入 0 999 0 24 82 0 0 0 1,106

3輸出 -856 -135 0 -11 -727 0 0 0 -1,729

4国際バ ンカー 0 -87 0 0 0 0 0 0 -87

5在庫変動 -134 -8 0 0 -83 0 0 0 -224

6一次エネルギ ー国内供給 788 769 491 13 1,570 842 1 1,518 5,993

7電力生産 0 -78 -491 1,092 -610 -737 -1 -2 -826

8石油精製 -664 628 0 0 0 0 0 0 -36

9その他転換 0 0 0 0 0 0 0 -90 -90

10自家消費・ ロス 0 0 0 -124 0 0 0 0 -124

11品種転換・ 統計誤差 -124 269 0 0 6 30 0 0 181

12最終エネルギ ー計 0 1,588 0 981 967 135 0 1,426 5,097

13 産業 0 170 0 546 830 135 0 267 1,947

鉄鋼 0 7 0 36 36 5 0 0 84

  化学・ 石油化学 0 8 0 32 19 55 0 0 113

  非鉄金属 0 0 0 0 0 0 0 0 0

  非金属 0 10 0 106 448 0 0 0 564

  輸送機械 0 0 0 0 0 0 0 0 0

  機械 0 0 0 0 0 0 0 0 0

鉱業 0 0 0 0 0 0 0 0 0

  食料・ タバコ 0 24 0 54 61 7 0 0 145

  紙パ・ 印刷 0 4 0 48 31 3 0 0 87

  木材・ 木製品 0 0 0 0 0 0 0 0 0

  建設 0 0 0 0 0 0 0 0 0

  繊維・ 皮革 0 9 0 46 136 2 0 0 193

  その他 0 107 0 223 101 63 0 267 760

14 民生 0 157 0 422 135 0 0 1,160 1,873

  家庭部門 0 88 0 334 107 0 0 1,159 1,688

  業務部門 0 69 0 89 27 0 0 0 186

15 運輸 0 1,041 0 0 0 0 0 0 1,041

  国内航空輸送 0 18 0 0 0 0 0 0 18

  道路輸送 0 1,019 0 0 0 0 0 0 1,019

  鉄道輸送 0 0 0 0 0 0 0 0 0

  パイプライン輸送 0 0 0 0 0 0 0 0 0

  国内海上輸送 0 4 0 0 0 0 0 0 4

  その他 0 0 0 0 0 0 0 0 0

16 農林水産 0 50 0 14 2 0 0 0 65

  農業・ 林業 0 50 0 14 2 0 0 0 65

  水産業 0 0 0 0 0 0 0 0 0

  その他 0 0 0 0 0 0 0 0 0

17 非エ ネルギ ー消費 0 171 0 0 0 0 0 0 171

一次 エネルギ ー

供給

エネルギ ー 転換・

自家消費

最終 エネルギ ー

消費

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電力に置き換わっていくものと見られることから、エネルギーの内需は今後も増加が見込 まれる。

表 7-2 ベトナム・一次エネルギー供給の推移

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

表 7-3 ベトナム・電源別発電量(2013 年、単位:GWH)

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

石油製品の需給バランスを見ると、2013 年の国内需要は最終消費の 1,588 万トンと発電 用の 78 万トンを合わせた 1,666 万トンであるが、国内生産は 628 万トンで需要の 38%を賄 うに過ぎない。このため、999 万トンの製品輸入が行われているが、一部は近隣諸国に再輸 出されている。最終消費を部門別に見ると、運輸部門の需要が 1,041 万トンと全体の 66%

を占めていることが特徴的で、産業部門のエネルギー消費はむしろ石炭が中心となってい る。

7-3 各国主要エネルギー企業(上流・中流等)の概況及び動向

国営石油企業 Petrovietnam(PVN)がベトナムの石油・ガスの上流分野の中核的な企業であ り、外資企業が参画するプロジェクトにおけるベトナム側のカウンターパートである。PVN は、石油・ガス・炭層メタンガス(CBM)の探鉱・生産、貯蔵、処理・輸送、石油化学製品

1990 2000 2013 1990 2000 2013 1990-2000 2000-2013 1990-2013

石炭 222 437 1,570 12.4% 15.2% 26.2% 7.0% 10.3% 8.9%

石油 271 781 1,557 15.2% 27.2% 26.0% 11.2% 5.5% 7.9%

天然ガス 0 112 842 0.0% 3.9% 14.1% 80.8% 16.8% 41.2%

原子力 0 0 0 0.0% 0.0% 0.0%

水力 46 125 491 2.6% 4.4% 8.2% 10.5% 11.1% 10.8%

再生可能エネルギー他 1,247 1,419 1,532 69.8% 49.4% 25.6% 1.3% 0.6% 0.9%

1,787 2,874 5,993 100.0% 100.0% 100.0% 4.9% 5.8% 5.4%

シェア % 年平均伸び率 %

一次エネルギー供給 万TOE

合計

発電電力量  GW H

2013年

シェア %

石炭

24,828 19.5

石油

2,269 1.8

天然ガス

42,655 33.6

原子力

0 0.0

水力

57,131 45.0

地熱

0 0.0

太陽光

87 0.1

可燃再生エネルギー

58 0.0

0 0.0

合計

127,028 100.0

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の製造、石油製品の輸出入、販売、を行い、上流部門及び下流部門に子会社を保有してい る。また、PVN は 1990 年代末から海外進出も図っており、アジアの近隣諸国だけでなく南 米(キューバ、ベネズエラ等)・中東(イラン)・アフリカ(アルジェリア、チュニジア等)

でも事業を拡大している37。下流部門における主要企業としては、国営の Petrovietnam Oil Corporation (PV Oil)が原油・石油製品の輸入販売、Vietnam National Petroleum Group (Petrolimex)が石油製品・石化製品の輸出入、販売を行う。

7-4 原油及び石油製品需要、輸出入、輸入依存度の推移と今後の見通し

ベトナムにおける石油製品の国内需要は 2000 年の 782 万トンから 2013 年には 1,666 万 トンと 2 倍以上に増加しており、2000 年~2013 年の年平均伸び率は 6.0%と非常に高い伸 びを示している。2013 年の石油消費量を油種別に見ると軽油が 709 万トン、43%を占め、

次いでガソリンが 505 万トン、30%、 他に LPG が 145 万トン、8.7%、重油 111 万トン、

6.7%となっている。2000~2013 年の年平均伸び率では、軽油 5.4%、ガソリン 10.0%、LPG 12%、重油▲3.8%で特にガソリンと LPG の伸びが著しい。経済の発展に伴う自家用乗用車 の普及、家庭における厨房用エネルギーの LPG への転換が影響を及ぼしているものと見ら れる。

図 7-1 ベトナムの石油製品需給バランス(単位:石油換算百万トン)

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

37 東西貿易通信社(2013)「東アジアの石油産業と石油化学工業 2013 年版」

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図 7-2 ベトナムの石油製品需要の推移(単位:石油換算百万トン)

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

2009 年に新設の製油所が稼働したことに伴い、石油製品の輸入量は減少傾向にある。輸 入量はピークの 2007 年には 1,480 万トンを記録したが、2013 年は 999 万トンにとどまった。

2000 年~2013 年の年平均伸び率は 0.9%という低い水準である。製品別の内訳をみると、

軽油が 320 万トンで全体の 32%、ガソリンが 244 万トン、24%、ジェット燃料油が 124 万 トン、12%となっている。今後、更に新設製油所の稼働が予定されていることから、輸入 量は減少傾向を強めることが予想される。

図 7-3 ベトナムの石油製品輸入の推移(単位:石油換算百万トン)

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

1980 1985 1990 1995 2000 2005 2013

MTOE

その他 LPG ナフサ 重油 ジェット燃料油 灯油 軽油 ガソリン

0 2 4 6 8 10 12 14 16

1980 1985 1990 1995 2000 2005 2013

MTOE その他 LPG ナフサ ジェット燃料油 灯油 軽油 ガソリン 重油

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7-5 石油精製設備の状況、今後の建設計画、M&A の動向

ベトナムの製油所は Dung Quat 製油所(2009 年操業開始、精製能力:14 万 b/d、20 万 b/d への拡張を予定)のみで、国内需要の約 3 割を賄っているが、残りは輸入に依存している。

石油製品需要の拡大に対応するために、以下の製油所建設の計画が進められている。

表 7-4 ベトナムの新規製油所プロジェクト

製油所 能力 所在地 企業 状況

Nghi Son 20 万 b/d Thanh Hoa 省

出光興産:35.1%、 Kuwait Petroleum:35.1%、PVN:

25.1%、三井化学:4.7%

2013 年 7 月建設着工、

2016 年完工、2017 年 商業運転開始予定 Long Son 18 万 b/d Vung Tau City 、 Ba

Ria-Vung Tau 省

PetroVietnam

外資との合弁で計画 2020 年操業予定 Vung Ro 16 万 b/d Hoa Tam 工業団地、

Phu Yen 省

Vung Ro Petroleum (Technostar Management 完 全子会社)

2015 年建設開始、2019 年完工予定

Victory

(旧 Nhon Hoi)

40 万 b/d Nhon Hoi 経済特区、

Binh Dinh 省

(計画)タイ PTT 40%

Saudi Aramco 40%

ベトナム企業 20%

2014 年 FS 終了、

2016 年建設開始、

2020 年操業開始予定 Vung Ang 30 万 b/d Vung Ang 産業区、Ha

Tinh 省 台湾塑膠集団 500MW 火力発電所建設 計画有り

Nam Van

Phong 20 万 b/d Nam Van Phong 経済 特区、Khanh Hoa 省

Petrolimex、JX エネルギ ー、韓国大林産業

石 油 製 品 貯 蔵 施 設 の 建設も計画

(出所)各種資料に基づき日本エネルギー経済研究所作成

2013 年 6 月、出光興産は、Nghi Son 製油所・石油化学コンプレックスに対する最終投資 決定を行っており、現在建設がすすめられている。2013 年 11 月、GazpromNeft が Dung Quat 製油所へ拡張・改修工事に協力することで基本合意し38、同社が同製油所を操業する Binh Son Refining and Petrochemical の株式 49%を取得予定。また 2014 年 5 月、Rosneft と Petrovietnam は、Dung Quat 製油所への長期原油供給契約に合意した。製油所の拡張が完 了した後、ESPO 原油を 2014-39 年に最大 600 万トン/年を供給する計画である39。この他、

2014 年 12 月には、日本の JX エネルギーが、Petrolimex と同社への出資及び Nam Van Phong 経済特区の製油所新設について、独占的に交渉・検討する旨を定めた覚書を締結した40

7-6 原油及び石油製品備蓄設備の状況、今後の建設計画

2009 年 7 月、「2015 年までの原油・石油製品備蓄網計画および 2025 年までの展望」

38 日本経済新聞 2013 年 11 月 13 日

39 Rosneft PR 2014.5.24

40 JX 日鉱日石エネルギーPR 2014 年 12 月 22 日

ドキュメント内 Microsoft Word - ASEAN石油原稿_Rev4.docx (ページ 54-62)

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