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ASEAN諸国、インド、中国及び韓国等

アジア・太平洋地域における石油等の

需給動向・供給体制に関する調査

報告書

平成28年3月

一般財団法人

日本エネルギー経済研究所

平成27年度石油産業体制等調査研究

(2)

i

はじめに

アジア・太平洋地域においては、今後も着実な経済発展に伴うエネルギー需要の拡大が 見込まれ、石油・天然ガス等の大部分を輸入に依存している我が国も含め、エネルギー資 源とりわけ石油の安定供給の確保は重要な課題である。 一方で、例えばASEAN諸国の石油需給に関しては、国内需要の拡大に伴い、原油輸 入が増加している国もあれば、石油製品輸入が増加している国もあり、各国の石油精製能 力の過不足の状況の違い等により輸出入や国内流通状況は様々である。 このような状況の下、石油を中心とするアジア・太平洋地域における各国のエネルギー 需給動向や、石油精製・備蓄能力といった供給体制に関する事項を詳細に調査するととも に、今後の各国を取り巻く環境や課題を整理し、アジア・太平洋地域の原油・石油製品等 のサプライチェーンを明確化することは、国際連携強化による我が国のエネルギーセキュ リティの確立・向上に向けたエネルギー政策を立案していく上でも非常に重要な課題とな ってきている。 本調査においては、係る問題認識に基づき、アジア・太平洋地域における 17 カ国にお ける石油を中心とするエネルギー需給及びエネルギー政策の最新動向についての情報収集 とその整理を行った。 本報告書が我が国のエネルギー政策立案の一助となることがあれば幸いである。 平成28年3月 一般財団法人日本エネルギー経済研究所

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ii

目次

第1章 インドネシア ... 1 第2章 カンボジア ... 11 第3章 シンガポール ... 17 第4章 タイ ... 26 第5章 フィリピン ... 36 第6章 ブルネイ ... 44 第7章 ベトナム ... 51 第8章 マレーシア ... 59 第9章 ミャンマー ... 68 第10章 ラオス ... 75 第11章 インド ... 77 第12章 中国 ... 86 第13章 韓国 ... 96 第14章 台湾 ... 106 第15章 パプアニューギニア ... 117 第16章 オーストラリア ... 122 第17章 ニュージーランド ... 129

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1

第1章 インドネシア

1-1 エネルギー政策動向、石油政策動向 インドネシアでは、エネルギー部門全体を総括的に管理するため、2007 年 8 月に「エネ ルギーに関する法律」(エネルギー法)が制定され、国家エネルギー審議会の設立の他、資 源開発の促進や国内供給重視等の規程が織り込まれた1。このエネルギー法では、定期的に

国家エネルギー政策(KEN:Kebijakan Energi Nasional)を策定することが規定されてお り、2014 年から 2050 年までを対象とする最新の KEN は、2014 年 1 月の国会承認を経て、 同年 10 月から大統領令として施行されている。

こうしたインドネシアのエネルギー政策の基本方針および計画の策定は、国家エネルギ ー審議会(DEN:Dewan Energi Nasional)が行うこととなっている。DEN の委員長は大統領 が務め、構成員は 15 名で 7 名の閣僚、8 名の産業界代表、学識経験者からなる2

個別のエネルギー鉱物資源政策の策定と実行の責任官庁は、エネルギー鉱物資源省 (Ministry of Energy and Mineral Resources:MEMR または ESDM)であり、2014 年 10 月 の Joko 新政権発足に合わせ、Pertamina の元幹部である Sudirman Said 氏が新しく大臣に 就任している。エネルギー鉱物資源省は、石油・ガス産業全体を管轄する石油・ガス総局 (Directorate General of Oil and Gas:MIGAS)、電力産業を管轄する電力・総局(Directorate General of Electricity)、鉱物・石炭を管轄する鉱物石炭総局(Directorate General of Mineral and Coal)、新エネルギーなどを管轄する新エネルギー・再生可能・省エネルギー 総局(Directorate General of New Energy,Renewable and Energy Conservation)など、 いくつかの総局(DG)からなっている。 インドネシアの石油・天然ガス事業の監督は、上流部門を SKK Migas、下流部門を BPH Migas が所管している。上流部門については元々、001 年の石油・ガス法(Law 22/2001)に基づ き BP Migas が担当していたが、2012 年 11 月、インドネシア憲法裁判所(Constitutional Court)が違憲判決を下したことを受け、エネルギー鉱物資源省内の暫定部局(SK Migas) へその役割を移転した。その後、2013 年の大統領令(2013 年第 9 号)を受け、現在の SKK Migas が発足した3。インドネシア政府は現在、石油・ガス上流事業の運営形態の再編の検討を進 めており、再編案では SKK Migas の後継として新たに国営企業を新設することなどが検討 されている。国会で審議中の石油・ガス法(Law 22/2001)の改正案と併せて、今後の検討 動向が注目される4 1 海外電力調査会、海外諸国の電気事業 2014 年 2 エネルギー鉱物資源省のホームページ 3 SKK Migas ホームページ 4 NNA.Asia, 2015 年 4 月 10 日, 「石油ガス上流事業、新会社設立で運営形態再編」

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2 図 1-1 インドネシア・エネルギー鉱物資源省傘下の主要な行政機関 (出所)エネルギー鉱物資源省の HP を基に作成 インドネシアでは、油田の老朽化により石油生産量が減少する一方、石油需要は増加し ている。このため、同国の石油政策においてはエネルギーセキュリティの確保が喫緊の課 題となっており、外資を含めた探鉱・開発投資の拡大や石油精製インフラ増強等の供給面 での対策や、石油製品への補助金廃止等による需要面の抑制策が採られている。上流部門 では、外資による開発投資を確保すべく、開発鉱区の入札ラウンドが実施されているが、 インドネシア政府の期待とは裏腹に、外資の側は同国の投資コスト回収制度の不透明さや 政府機関の汚職、契約の不履行などといった同国の構造的なリスクを忌避する傾向が強く、 十分な上流開発投資が行われているとはいいがたい。 なお、外資がインドネシアの上流部門へ参入するには、生産分与契約の締結が必要であ る。石油の場合、コスト回収分を除いた利益配分比率については、通常ケースで外資石油 会社への配分が 15%(残りは政府取得分、以下同様)、インセンティブケース(開発が困難 な地域等に適用される)では 35%とされている。 一方、精製部門に関しては、2001 年の新石油ガス法下、外資参入が制度上認められてい るが、こちらも外資の参入は進んでいない。他方、販売部門に関しては、元々国営石油会 社の Pertamina の独占状態が続いていたが、2004 年 7 月に英系石油メジャーの BP とマレー シア国営石油会社 Petronas に対して石油製品販売業務が承認されたことで、同部門におけ る Pertamina の独占は終了した。しかし、まだ外資の参入は、補助金なし燃料分野に限定 Ministry of Energy and Mineral Resources

(エネルギー鉱物資源省)

Inspectorate General Secretary General

Directorate General of Oil and Gas

(MIGAS:石油ガス総局)

Directorate General of Electricity

(電力総局)

Directorate General of Mineral and Coal

(鉱物石炭総局) Research and Developoment Agency (研究開発庁) Geology Agency (地質庁) Directorate General of New Energy,Renewable and Energy Conservation

(新エネルギー・再生可能 ・省エネルギー総局)

Education and Training Agency

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3 されており、完全な市場開放には至っていない5 インドネシア政府は、財政負担の抑制を主目的に、補助金削減策を進めている。2015 年 1 月には、原油価格の下落の影響から補助金の必要性が下がったことを背景に、ガソリンへ の補助金を撤廃し、同年 2 月には更なる補助金の削減も発表している。 1-2 石油等の化石エネルギーの需給バランス インドネシアは石炭、天然ガス、石油に加え地熱などのエネルギー資源に富む国である。 2013 年の一次エネルギー国内供給 2 億 1,364 万トン(石油換算、以下同じ)に対し、国内 生産は 4 億 5,999 万トンと自給率は 200%を上回る。石炭の 89%、天然ガスの 48%は輸出に 回され、貴重な外貨獲得手段となっている。ただ、島嶼国であるために水力に乏しく、発 電用エネルギーとしては石炭を中心に、ガス、石油ならびに地熱が利用されている。また、 未だに薪炭などの森林資源が民生部門を中心に多く使われており、経済の発展とともにこ れらが電力や石油、天然ガスに置き換わってゆくものと考えられる。 原油の需給バランスを見ると、国内生産 4,218 万トンの 38%、1,594 万トンが輸出され、 2,336 万トンの輸入が行われている。一次エネルギー国内供給 4,973 万トンに対する自給率 は 85%となっている。石油製品は 3,185 万トンの輸入と、石油精製から 4,554 万トンの生 産が行われている。これらは発電用で 657 万トン、最終エネルギー消費で 6,625 万トン、 国際バンカーを含む輸出で 531 万トンが消費されている。最終エネルギー消費を部門別に 見ると、運輸部門が 68%と大きな部分を占めているのが特徴的である。

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4

表 1-1 インドネシア・エネルギーバランス表(2013 年、単位:石油換算万トン)

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

表 1-2 インドネシア・一次エネルギー供給の推移

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

エネルギー源 A B C D E F G H I 部門 原油 石油製品 原子力水力・ 電力 コーク ス石炭・ ガス 新エネ他地熱・ バ イオマス廃棄物 合計 1国内生産 4,218 0 146 0 28,106 6,294 1,619 5,616 45,999 2輸入 2,336 3,185 0 26 7 0 0 0 5,554 3輸出 -1,594 -428 0 0 -24,961 -3,022 0 -124 -30,130 4国際バ ンカー 0 -103 0 0 0 0 0 0 -103 5在庫変動 14 34 0 0 0 0 0 -4 44 6一次エネルギ ー国内供給 4,973 2,688 146 26 3,152 3,272 1,619 5,489 21,364 7電力生産 0 -657 -146 1,854 -2,898 -1,151 -1,619 -12 -4,626 8石油精製 -4,893 4,554 0 0 0 0 0 0 -340 9その他転換 0 0 0 0 0 0 0 -73 -73 10自家消費・ ロス 0 -225 0 -246 0 -1,066 0 0 -1,537 11品種転換・ 統計誤差 282 265 0 -13 206 671 0 0 1,410 12最終エネルギ ー計 362 6,625 0 1,620 460 1,727 0 5,405 16,199 13 産業 0 701 0 556 459 1,313 0 648 3,677 鉄鋼 0 43 0 0 18 40 0 0 101   化学・ 石油化学 0 56 0 0 0 224 0 0 280   非鉄金属 0 0 0 0 7 0 0 0 7   非金属 0 80 0 0 378 0 0 0 457   輸送機械 0 0 0 0 0 0 0 0 0   機械 0 7 0 0 0 0 0 0 7 鉱業 0 96 0 0 0 0 0 0 96   食料・ タバコ 0 59 0 0 0 0 0 0 59   紙パ・ 印刷 0 0 0 0 21 0 0 0 21   木材・ 木製品 0 0 0 0 0 0 0 0 0   建設 0 33 0 0 0 0 0 0 33   繊維・ 皮革 0 108 0 0 0 0 0 0 108   その他 0 219 0 556 35 1,050 0 648 2,508 14 民生 0 791 0 1,051 1 21 0 4,674 6,539   家庭部門 0 700 0 654 1 2 0 4,655 6,011   業務部門 0 91 0 397 0 20 0 20 528 15 運輸 0 4,534 0 0 0 3 0 82 4,619   国内航空輸送 0 270 0 0 0 0 0 0 270   道路輸送 0 4,012 0 0 0 3 0 82 4,096   鉄道輸送 0 0 0 0 0 0 0 0 0   パイプライン輸送 0 0 0 0 0 0 0 0 0   国内海上輸送 0 252 0 0 0 0 0 0 252   その他 0 0 0 0 0 0 0 0 0 16 農林水産 0 247 0 13 0 0 0 0 261   農業・ 林業 0 230 0 13 0 0 0 0 243   水産業 0 0 0 0 0 0 0 0 0   その他 0 18 0 0 0 0 0 0 18 17 非エ ネルギ ー消費 362 352 0 0 0 390 0 0 1,104 一次 エネルギー 供給 エネルギー 転換・ 自家消費 最終 エネルギー 消費 1990 2000 2013 1990 2000 2013 1990-2000 2000-2013 1990-2013 石炭 355 1,201 3,152 3.6% 7.7% 14.8% 13.0% 7.7% 10.0% 石油 3,335 5,787 7,661 33.8% 37.2% 35.9% 5.7% 2.2% 3.7% 天然ガス 1,581 2,656 3,272 16.0% 17.1% 15.3% 5.3% 1.6% 3.2% 原子力 0 0 0 0.0% 0.0% 0.0% 水力 49 86 146 0.5% 0.6% 0.7% 5.8% 4.1% 4.8% 再生可能エネルギー他 4,542 5,835 7,134 46.1% 37.5% 33.4% 2.5% 1.6% 2.0% 9,862 15,564 21,364 100.0% 100.0% 100.0% 4.7% 2.5% 3.4% シェア % 年平均伸び率 % 一次エネルギー供給 万TOE 合計

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表 1-3 インドネシア・電源別発電量(2013 年、単位:GWH)

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

1-3 各国主要エネルギー企業(上流・中流等)の概況及び動向 インドネシアにおいては,かねてから外資企業が石油開発において大きな役割を果たし てきた。同国で最大の生産量を誇っているのが、同国最大の油田である Minas 油田の操業 を行っている Chevron であり、同国の原油生産量の 40%を生産している。国営石油会社の Pertamina は、長らくインドネシアにおいて上流開発に従事する外資企業のカウンターパー トとなってきたこともあり、同国の生産量の 30%を生産している。この他、同国の上流部門 において事業を展開している企業としては、Total、ConocoPhillips、ExxonMobil、Inpex などがいる。 中流部門について、主要な石油製品パイプラインは以下のとおり。インドネシアは島嶼 国であることから、国内の石油製品輸送は、パイプラインによるものというよりは、タン カーや小型の艀による海上輸送が中心となっている。 表 1-4 インドネシアにおける主要な石油製品パイプライン (出所)日本エネルギー経済研究所 石油製品小売部門に対する外資の参入状況としては、Shell、Total と Petronas のみがイ ンドネシアにて石油製品の小売を行っている。しかしながら、政府の補助金がついた生活 用の燃料供給については、Pertamina が独占的に販売を行っている。 発電電力量  GW H 2013年 シェア % 石炭 110,452 51.2 石油 26,751 12.4 天然ガス 51,769 24.0 原子力 0 0.0 水力 16,930 7.9 地熱 9,414 4.4 太陽光 6 0.0 可燃再生エネルギー 268 0.10 0.0 合計 215,590 100.0 パイプライン名 長さ(km) オペレーター Balongan-Jakarta 209 Pertamina Balikpapan-Samarinda 109 Pertamina Tuban–Surabaya 56 Pertamina

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6 1-4 原油及び石油製品需要、輸出入、輸入依存度の推移と今後の見通し インドネシアにおける石油製品の国内需要は近年急速に拡大しており、2013 年の需要は 7,282 万トン(石油換算)、2000 年の 4,995 万トンから 1.5 倍の増加、2000 年~2013 年の 年平均伸び率では2.7%の増加となっている。一方、国産原油の生産の低迷、石油精製設備 の老朽化を反映して石油製品の生産量は同期間で年率▲0.8%の減少を見ており、これを補 うための輸入が増加している。石油製品輸入の伸び率は年率7.3%と非常に高い伸びを示し ている。石油製品の輸出には低硫黄の重油(LSWR、Low Sulfur Waxy Residue)があり、 日本、韓国を中心に電力用重油として利用されている。

図 1-2 インドネシアの石油製品需給バランス(単位:石油換算百万トン)

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

図 1-3 インドネシアの石油製品需要の推移(単位:石油換算百万トン)

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

石油製品需要の伸びを支えるのが軽油とガソリンで、2013 年におけるシェアで見ると軽 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2013 MTOE 国内消費 生産 輸入 輸出(含、国際バンカー) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2013 MTOE その他 LPG ナフサ 重油 ジェット燃料油 灯油 軽油 ガソリン

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7 油が全体の41%、ガソリンが 35%と、この 2 油種だけで約 80%を占める。それぞれの 2000 年~2013 年の年平均伸び率は 2.8%、7.1%でモータリゼーションの進展に伴い乗用車用の ガソリン需要の方が高い伸びを示しており、今後もさらに増加することが予想される。一 方、灯油を見ると2000 年のシェアは 21%であったが、2013 年には 1.5%に縮小しており、 同期間の年率では▲16%と急激な減少を示している。灯油は厨房用、島嶼での照明用に用 いられており、政府の燃料油補助金政策の中でも最も高い金額の補助が行われてきた。灯 油はジェット燃料油として用いれば付加価値が高いことから、政府は2007 年に LPG への 転換を開始し、電化の推進とも相まって需要は減少を続けている。因みに、LPG の需要は 年率14%の増加、2000 年のシェア 2.1%から 2013 年には 9%に拡大しており、ジェット 燃料油も年率12%の増加、シェアも 1.2%から 2013 年は 3.7%となっている。 図 1-4 インドネシアの石油製品生産の推移(単位:石油換算百万トン)

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

国内生産が需要に追い付かないことから、需要の伸びが著しいガソリン、軽油を中心と した輸入が拡大している。2013 年の製品輸入量 3,185 万トンのうち、ガソリンが 46%、軽 油が39%、2000 年~2013 年の年平均伸び率で見るとそれぞれ 19%、5%となっている。 LPG も輸入量の 12%を占めているが 2000 年の輸入量はゼロであった。一方、2000 年に輸 入量の 20%を占めた灯油は 2009 年以降、輸入はゼロとなっている。今後、薪炭等のバイ オマス燃料がLPG に置き換わってゆくと、LPG の輸入量もさらに拡大するものと見られる。 0 10 20 30 40 50 60 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2013 MTOE その他 LPG ナフサ 重油 ジェット燃料油 灯油 軽油 ガソリン

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図 1-5 インドネシアの石油製品輸入の推移(単位:石油換算百万トン)

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

なお、2014 年時点でのインドネシアの主要な石油輸入源は下図の通りとなっている。

図 1-6 インドネシアの原油輸入源

(出所)EIA、Country Analysis Briefs: Indonesia

1-5 石油精製設備の状況、今後の建設計画、M&A の動向 1-5-1 既存製油所 国営石油会社の Pertamina は国内で 6 ヵ所の製油所を稼働しており、精製能力は合計 104.7 万 b/d である。 0 5 10 15 20 25 30 35 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2013 MTOE その他 LPG ナフサ ジェット燃料油 灯油 軽油 ガソリン 重油

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9 表 1-5 インドネシア国内の製油所 会社 製油所 処理能力(千 b/d) Pertamina Cilacap 348 Balikpapan 260 Balongan 125 Dumai 170 Plaju 133.7 Kasim 10 合 計 1,046.7 (出所)Pertamina ホームページ 1-5-2 製油所の新設・改造計画 Pertamina は、運営する製油所 5 ヵ所の改修プロジェクト「製油所開発マスタープラン (RDMP)」を進めており、精製能力の拡大や精製品質の向上を目指している。同社が国内で 操業する 6 つの製油所の内、Plaju および Kasim を除く 4 ヵ所を対象としており、同社の精 製能力を 168 万 b/d まで引き上げる計画である6。このうち、2015 年 11 月、Pertamina は中

Java 州 Cilacap 製油所の改修事業で、サウジアラビアの国営石油会社 Saudi Aramco との合 弁設立に関する基本合意(HOA)に調印した。推定総事業費は 55 億ドルで、2021 年の完成 を目指している7 表 1-6 インドネシアにおける精製能力の増強計画(新規・拡張) (出所)JPEC, 世界製油所関連最新情報(各月)、各社ホームページより推定 6 時事通信アジアビジネス情報、2015 年 5 月 11 日 7 Saudi Aramco プレスリリース、2015 年 11 月 26 日

Owner Location Capacity(b/d) Planned start date Notes

Balongan 200,000 2017 Expansion

South Smatra 300,000 2019 Planning

Bontang 300,000 2020 Planning

Cilacap Balikpapan Dumai Balongan

Pare Pare Pare Pare 300,000 2018 Planning

Gulf Tanjung Sauh 200,000 2020 Planning

Petrogas Situbondo 150,000 2020 Planning

Kreasindo Resources

/ NBP(イラン) West Java 150,000 2018 Planning

Expansion

2023 Expansion

Pertamina

640,000

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1-6 原油及び石油製品備蓄設備の状況、今後の建設計画

インドネシアには国家による備蓄制度は存在しないが、石油・ガス法(Law 22/2001)及 び石油・ガス下流事業に関する政令(Ministry Decree on Downstream Oil and Gas 36/2004) に基づき、Pertamina が 21~23 日分の商業備蓄を保有している。 政府は現在の商業備蓄に 加え、戦略エネルギー備蓄(ESR:Energy Strategic Reserves)及びエネルギー予備備蓄 (EBR:Energy Buffer Reserves)を含める国家エネルギー備蓄制度の構築を目指している。 戦略エネルギー備蓄については、国内の油田の一部を開発せずあえてそのまま残しておく ものを指し、エネルギー予備在庫については、エネルギー法(Law30/2007 on Energy)に 基づき緊急時対応として政府が行うものを指している。エネルギー予備備蓄は、2017 年か らの貯油開始を計画している8 2015 年 6 月、政府は緊急備蓄として 30 日分の石油燃料備蓄を計画していることを明らか にした。需要を 150 万 b/d と想定し、合計 4,500 万 bbl を備蓄するものである。備蓄に必 要な施設の建設と併せ、緊急備蓄に関連する法整備も進めるとした。政府はまた、現在の 商業備蓄についても 30 日分まで増量する計画についても明らかにした9 1-7 石油供給セキュリティ上の課題 世界第 4 位の人口を有するインドネシアでは、国内のエネルギー需要が増加しており、 エネルギーの安定供給の確保は大きな課題である。同国では、石油・天然ガス資源の探鉱・ 開発、石油消費の削減、天然ガスの国内需要への優先利用、石炭利用の拡大、新エネルギ ーの拡大で、エネルギー安全保障を図っている。2014 年 1 月に国会で承認された新しい国 家エネルギー政策案においても、エネルギー安全保障の達成が目的とされており、そのた めの方策として、エネルギー資源開発や国産エネルギーの確実な利用、エネルギーの効率 利用等が掲げられている。その中で、国内の探鉱・開発投資の拡大策として、2013 年 4 月 には、石油・ガスの探査開発および地熱開発事業に対し、付加価値税や生産に必要な資材 等の輸入にかかる関税の免除を実施した。生産分与契約の利益配分比率見直しや上流開発 に利用される輸入品の関税免除など投資環境の改善に努めているものの、未だ投資拡大に は至っていない。

8 IEA, Energy Supply Security of Indonesia 2014, P15

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第2章 カンボジア

2-1 エネルギー政策動向、石油政策動向

カンボジア政府は 1994 年 10 月に「エネルギー部門開発政策」(Energy Sector Development Policy)を発表しており、その中では以下の 4 点が主要なエネルギー政策上の目標として挙 げられている。 ① カンボジア全国に適正な料金でエネルギーを供給する。 ② カンボジアへの投資を促進し、経済発展を促すような適正な価格で、信頼性の高い電 力供給を行う。 ③ カンボジア経済に必要なエネルギー資源の探鉱、及び、環境と社会に優しいエネルギ ー資源の開発を促進する。 ④ エネルギーの効率的な利用の促進とエネルギーの供給・消費によって生ずる環境負荷 の最小化を図る。 上流部門における外資の導入については、カンボジア政府は 1991 年に公布した「石油に 関する規則」(Petroleum Regulations of 1991)及び外国投資法に基づいて、石油開発を行 う企業と生産物分与契約(PSC)を締結して開発を奨励している。また現在、国際基準に合 うように改善された新しい石油法案が検討されており、2015 年末までに成立することが期 待されているが、本稿執筆時点(2016 年 3 月)で成立したとの情報は得られていない。こ の新しい法案は、投資家にとって重要な条項(国内供給義務、石油・ガス輸出権、不可抗 力等)が明確化されるとみられている10

エネルギー政策を所管する省庁としては、鉱業・エネルギー省(Ministry of Mines and Energy: MME)があり、エネルギー政策全般の方針の策定や、電力開発計画の策定、電力技 術・安全・環境基準の制定を行っている11。2015 年 12 月時点の大臣は Suy Sem 氏である。

同省の内部部局として、エネルギー総局(General Department of Energy)は、電力・エ ネルギー部門の計画・消費・データ収集を所管している。このエネルギー総局の下、エネ ルギー開発部、新・再生可能エネルギー部、原子力エネルギー技術部(Atomic Energy and Technique Department)および水力発電部(Hydropower Department)がある。エネルギー 開発部がエネルギー戦略策定や政策の実施を担当し、同部のエネルギー計画室(Energy Planning Office)がエネルギー政策策定および企画を担当している。

石油政策に関しては、同じく鉱業・エネルギー省の内部部局として石油総局(General

10 Global Insight. October 13, 2010.

11 2013 年 12 月、鉱工業・エネルギー省は、鉱業・エネルギー省(MME)と工業・手工業省(MIH)に分かれ

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12

Department of Petroleum: GDP)がある。GDP は、元々は首相直轄の組織であったカンボジ ア石油公社(Cambodian National Petroleum Authority, CNPA)が、鉱業・エネルギー省内 部の組織として改編されたものであり、カンボジア国内の石油市場、石油産業(上流及び 下流)に関連する諸政策を所管している。 2-2 石油等の化石エネルギーの需給バランス カンボジアは資源に乏しく、わずかに水力の利用が行われているのみで、他のエネルギ ーは全て輸入に依存している。また、電力も一部の輸入が行われている。ただ、一次エネ ルギー供給における国内生産の割合を自給率として捉えると、この値は 68%に達する。こ れは、2013 年の国内生産 409 万トンのうち 400 万トン、98%を占める薪炭等の非商業エネ ルギーが家庭用、更には産業用にも用いられていることによる。家庭用の多くは厨房用と みられるが、経済の発展に伴い石油や電力への転換が進むと、これらのエネルギーの輸入 がますます増加することになる。発電用のエネルギーとしては水力が主体であるが、石油、 石炭も利用されており、このための石炭も全量が輸入に依存している。

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表 2-1 カンボジア・エネルギーバランス表(2013 年、単位:石油換算万トン)

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

表 2-2 カンボジア・一次エネルギー供給の推移

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

エネルギ ー源 A B C D E F G H I 部門 原油 石油 製品 水力・ 原子力 電力 石炭・ コーク ス ガス 地熱・ 新エネ他 廃棄物 バ イオマス 合計 1国内生産 0 0 9 0 0 0 0 400 409 2輸入 0 173 0 18 5 0 0 0 195 3輸出 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4国際バ ンカー 0 -7 0 0 0 0 0 0 -7 5在庫変動 0 0 0 0 0 0 0 0 0 6一次エネルギー国内供給 0 167 9 18 5 0 0 400 597 7電力生産 0 -15 -9 15 -5 0 0 0 -14 8石油精製 0 0 0 0 0 0 0 0 0 9その他転換 0 0 0 0 0 0 0 -57 -57 10自家消費・ ロス 0 0 0 -5 0 0 0 0 -5 11品種転換・ 統計誤差 0 0 0 0 0 0 0 0 0 12最終エネルギー計 0 151 0 28 0 0 0 343 522 13 産業 0 8 0 5 0 0 0 77 90 鉄鋼 0 0 0 0 0 0 0 0 0   化学・ 石油化学 0 0 0 0 0 0 0 0 0   非鉄金属 0 0 0 0 0 0 0 0 0   非金属 0 0 0 0 0 0 0 0 0   輸送機械 0 0 0 0 0 0 0 0 0   機械 0 0 0 0 0 0 0 0 0 鉱業 0 0 0 0 0 0 0 0 0   食料・ タバコ 0 0 0 0 0 0 0 0 0   紙パ・ 印刷 0 0 0 0 0 0 0 0 0   木材・ 木製品 0 0 0 0 0 0 0 0 0   建設 0 0 0 0 0 0 0 0 0   繊維・ 皮革 0 0 0 0 0 0 0 0 0   その他 0 8 0 5 0 0 0 77 90 14 民生 0 12 0 22 0 0 0 265 299   家庭部門 0 12 0 14 0 0 0 265 292   業務部門 0 0 0 8 0 0 0 0 8 15 運輸 0 117 0 0 0 0 0 0 117   国内航空輸送 0 2 0 0 0 0 0 0 2   道路輸送 0 98 0 0 0 0 0 0 98   鉄道輸送 0 14 0 0 0 0 0 0 14   パイプライン輸送 0 0 0 0 0 0 0 0 0   国内海上輸送 0 4 0 0 0 0 0 0 4   その他 0 0 0 0 0 0 0 0 0 16 農林水産 0 13 0 1 0 0 0 0 14   農業・ 林業 0 0 0 0 0 0 0 0 0   水産業 0 0 0 0 0 0 0 0 0   その他 0 13 0 1 0 0 0 0 14 17 非エ ネルギ ー消費 0 2 0 0 0 0 0 0 2 一次 エネルギ ー 供給 エネルギ ー 転換・ 自家消費 最終 エネルギ ー 消費 1990 2000 2013 1990 2000 2013 1990-2000 2000-2013 1990-2013 石炭 0 5 0.0% 0.8% 石油 69 167 20.3% 27.9% 7.0% 天然ガス 0 0 0.0% 0.0% 原子力 0 0 0.0% 0.0% 水力 0 9 0.0% 1.5% 再生可能エネルギー他 272 418 79.7% 69.9% 3.4% 341 597 100.0% 100.0% 4.4% シェア % 年平均伸び率 % 一次エネルギー供給 万TOE 合計

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表 2-3 カンボジア・電源別発電量(2013 年、単位:GWH)

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

2-3 各国主要エネルギー企業(上流・中流等)の概況及び動向

カンボジアではこれまで、カンボジア石油公社(Cambodian National Petroleum Authority, CNPA)が石油企業と契約を締結し、探鉱開発を管理していたが、この機能は、上述の通り、 GDP に移管されている。現在、外資による探鉱活動が行われているが、まだ原油・ガスの生 産には至っておらず、石油製品は輸入に依存している。 2-4 原油及び石油製品需要、輸出入、輸入依存度の推移と今後の見通し カンボジアは国内に製油所が無いことから、消費される石油製品の全量を輸入に依存し ている。2013 年の需要は最終エネルギー消費 151 万トン(石油換算、以下同じ)、発電用 15 万トンの計 166 万トンであるが、IEA がデータの集計を開始した 1995 年の需要は 49 万トンに過ぎなかった。2000 年の需要は 65 万トンで、2000~2013 年の間の年平均伸び率 は7.5%と非常に高い伸びを示している。 2013 年における石油製品の需要を油種別シェアで見ると軽油が全体の 57%、ガソリンが 24%、他に重油 10%、LPG 7%となっている。それぞれの 2000 年~2013 年の年平均伸び 率は軽油7.7%、ガソリン 10%、重油 4.3%、LPG 15%でガソリンと LPG の伸びが著しい。 経済の発展に伴い自動車の保有台数が増加していることから、今後も軽油、ガソリンの需 要は堅調な伸びを示すものと見られる。LPG も 2000 年の 1.9 万トンから 2013 年には 11.7 万トン増加しており、家庭用を中心に今後更に需要が拡大するものと考えられる。一方、 重油は主として発電用に利用されており、政府が進める水力開発の進展に伴い需要は減少 傾向にある。 発電電力量  GW H 2013年 シ ェア % 石炭 169 9.5 石油 579 32.6 天然ガス 0 0.0 原子力 0 0.0 水力 1,016 57.1 地熱 0 0.0 太陽光 3 0.2 可燃再生エネルギー 11 0.60 0.0 合計 1,778 100.0

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図 2-1 カンボジアの石油製品需給バランス(単位:石油換算百万トン)

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

図 2-2 カンボジアの石油製品需要の推移(単位:石油換算百万トン)

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

2-5 石油精製設備の状況、今後の建設計画、M&A の動向

本校執筆時点(2016 年 3 月)において、カンボジア国内に製油所は存在しない。下流部 門は自由化され、基本的には競争市場となっている。全ての石油製品の輸入と流通は、石 油メジャーなどの外資(Total や Chevron)を含む国内外の民間企業によって行われている。

2012 年 12 月下旬、カンボジアの Cambodian Petrochemical Company(CPC)と中国の Sinomach China Perfect Machinery Industry Corp(Sinomach)は、カンボジア初となる製 油所建設計画を発表した。製油所の精製能力は 500 万 ton/年(10 万 b/d)、建設地は Preah 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0 1995 2000 2005 2013 MTOE 国内消費 生産 輸入 輸出(含、国際バンカー) 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 1995 2000 2005 2013 MTOE その他 LPG ナフサ 重油 ジェット燃料油 灯油 軽油 ガソリン

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Sihanouk 州と Kampot 州の州境地域で、用地は 80 万㎡、建設コストは 23 億ドルとされる。 2011 年 11 月に China National Automation Control System Corporation と CPC との間で EPC(設計・資機材調達・建設工事)の基本契約を締結している12。2018 年初めに完成が予定 されていたが、選挙や行政機関の改革によって遅れるとみられる。 2-6 原油及び石油製品備蓄設備の状況、今後の建設計画 民間備蓄義務は 30 日である。国家備蓄は特に定められていない13 2-7 石油供給セキュリティ上の課題 カンボジア政府は、エネルギーセキュリティをエネルギー政策の一部として位置づけ、 その重要性を認識している。供給サイドでは、政府は、国内エネルギー資源の拡大や資源 の最適な利用を促進し、燃料や供給源の多様化、電力供給拡大・天然ガス輸送インフラの 開発・エネルギー開発への投資の促進を図る。需要サイドについては、省エネルギーを促 進し、輸送部門への影響を軽減するために代替となる輸送システムの開発を追及し、エネ ルギー開発に環境への影響を考慮している14 12 石油エネルギー技術センター(JPEC) HP。世界製油所関連最新情報 2013 年 1 月。

13 IEA (2013). Medium-Term Oil Market Report 2013.

14 “Cambodia Energy Sector Strategy” Draft reported to the United Nations Commission on Sustainable Development (CSD)-14/15 (2006-2007).

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第3章 シンガポール

3-1 エネルギー政策動向、石油政策動向 シンガポールでは、2007 年 11 月に通商産業省、エネルギー市場監督庁や経済開発局、環 境・水資源省などの関係省庁が共同で「成長のためのエネルギー」と題された国家エネルギ ー戦略を発表した。戦略の骨子は、①市場競争推進、②エネルギー供給多様化、③エネル ギー効率改善、④エネルギー研究開発投資、⑤国際協力強化、⑥政府の対応、からなり、 アジア第一の石油ハブの地位を強化するとともに、エネルギー取引の扱い範囲を LNG やバ イオ燃料、CO2排出権まで拡大し、ソーラーやバイオ、燃料電池を含むクリーン/再生可能エ ネルギーを強化することを目指している15 省エネ政策については、2009 年 4 月に環境・水資源省と国家開発省が「Sustainable Development Blueprint」を発表し、GDP あたりエネルギー消費量を 2005 年比で 2020 年ま でに 20%減、2030 年までに 35%削減する数値目標を設定している。また、廃棄物のリサイク ル率を 2030 年までに 70%へ改善する他、水消費量の削減なども織り込まれている16 石油市場に対する政策としては、世界的な石油ハブ(石油取引の中心地、集積基地)・精 製センターとして、基本的には、政府の干渉を最小限にして自由市場、自由貿易のなかで 産業を育成するという方針が貫かれている。ただ、国内の石油需要の抑制および市内の渋 滞予防策の一環として、自動車購入価格を高く設定し保有台数を抑制し、かつ自動車の利 用自体をも抑制すべく自動通行料課金システム(ERP:Electric Road Price)を導入して いる。

エネルギー政策の立案・実行機関は通商産業省(MTI:Ministry of Trade and Industry) である。同省は通商部門と産業部門から構成されており、産業部門には、経済部(Economics Division)、戦略部(Futures and Strategy Division)、産業部(Industry Division)、調 査・企業部(Research and Enterprise Division)、資源部(Resource Division)、エネル ギー部(Energy Division)、広報部(Corporate Communications Division)、管理部(Corporate Services Division)、経済部(Economic Security and Resilience Division)、人事部(Human Resource Division)、財務部(Finance Division)がある17。また、MTI はシンガポール統

計局(Singapore Department of Statistics)及び、電力・ガス市場における自由化の促 進およびエネルギー市場の規制当局であるエネルギー市場監督庁(EMA:Energy Market 15 MTI ホームページ (http://www.mti.gov.sg/ResearchRoom/Pages/National%20Energy%20Policy%20Report.aspx) 16 MEWR ホームページ(http://app.mewr.gov.sg/web/Contents/ContentsSSS.aspx?ContId=1299 17 MTI ホームページ(http://www.mti.gov.sg/AboutMTI/Pages/Organisational%20Structure.aspx

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Authority)を含む 10 の行政機関(statutory board)を監督している18

3-2 石油等の化石エネルギーの需給バランス シンガポールは国土も狭小でエネルギー資源はほとんど存在しない。わずかにバイオマ ス・廃棄物が発電用に利用されているだけで他のエネルギーは全て輸入に依存している。 天然ガスは2013 年の輸入量 888 万トンの 86%に相当する 761 万トンが発電用に利用され ており、2013 年の発電量の 92%を占めている。石油については、原油、石油製品を輸入す る一方で、製油所からの石油製品と輸入した石油製品の多くを近隣の諸国に輸出している。 また、重油やジェット燃料油の国際バンカーの供給も活発に行われている。 表 3-1 シンガポール・エネルギーバランス表(2013 年、単位:石油換算万トン)

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

18 MTI, < http://www.mti.gov.sg/AboutMTI/Pages/Statutory-Boards.aspx> エネルギー源 A B C D E F G H I 部門 原油 石油製品 原子力水力・ 電力 コークス石炭・ ガス 新エネ他地熱・ バイオマス廃棄物 合計 1国内生産 0 0 0 0 0 0 0 64 64 2輸入 4,567 10,350 0 0 27 888 0 3 15,834 3輸出 -57 -8,426 0 0 0 0 0 0 -8,483 4国際バンカー 0 -4,805 0 0 0 0 0 0 -4,805 5在庫変動 -37 37 0 0 0 0 0 0 -1 6一次エネルギ ー国内供給 4,473 -2,845 0 0 26 888 0 67 2,610 7電力生産 0 -75 0 413 -13 -761 0 -67 -504 8石油精製 -5,211 5,093 0 0 0 0 0 0 -119 9その他転換 0 0 0 0 0 0 0 0 0 10自家消費・ ロス 0 -195 0 -19 0 -1 0 0 -214 11品種転換・ 統計誤差 738 -544 0 0 0 3 0 0 197 12最終エネルギ ー計 0 1,434 0 394 13 130 0 0 1,970 13 産業 0 299 0 160 13 113 0 0 586 鉄鋼 0 0 0 0 0 0 0 0 0   化学・ 石油化学 0 225 0 0 0 0 0 0 225   非鉄金属 0 0 0 0 0 0 0 0 0   非金属 0 0 0 0 0 0 0 0 0   輸送機械 0 0 0 0 0 0 0 0 0   機械 0 0 0 0 0 0 0 0 0 鉱業 0 0 0 0 0 0 0 0 0   食料・ タバコ 0 0 0 0 0 0 0 0 0   紙パ・ 印刷 0 0 0 0 0 0 0 0 0   木材・ 木製品 0 0 0 0 0 0 0 0 0   建設 0 0 0 4 0 0 0 0 5   繊維・ 皮革 0 0 0 0 0 0 0 0 0   その他 0 74 0 156 13 113 0 0 356 14 民生 0 9 0 210 0 14 0 0 234   家庭部門 0 2 0 58 0 5 0 0 66   業務部門 0 7 0 152 0 9 0 0 168 15 運輸 0 247 0 20 0 2 0 0 269   国内航空輸送 0 0 0 0 0 0 0 0 0   道路輸送 0 221 0 0 0 2 0 0 223   鉄道輸送 0 0 0 20 0 0 0 0 20   パイプライン輸送 0 0 0 0 0 0 0 0 0   国内海上輸送 0 26 0 0 0 0 0 0 26   その他 0 0 0 0 0 0 0 0 0 16 農林水産 0 0 0 3 0 0 0 0 3   農業・ 林業 0 0 0 0 0 0 0 0 0   水産業 0 0 0 0 0 0 0 0 0   その他 0 0 0 3 0 0 0 0 3 17 非エ ネルギ ー消費 0 879 0 0 0 0 0 0 879 一次 エネルギー 供給 エネルギー 転換・ 自家消費 最終 エネルギー 消費

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表 3-2 シンガポール・一次エネルギー供給の推移

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

表 3-3 シンガポール・電源別発電量(2013 年、単位:GWH)

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

3-3 各国主要エネルギー企業(上流・中流等)の概況及び動向

シンガポール国内で上流事業を行っている企業はいない。石油精製事業は、ExxonMobil、 Shell、Singapore Petroleum Company(SPC)が行っており、石油化学産業とともに同国経 済の中軸を担っている。中国 PetroChina は 2009 年 6 月、Keppel Oil and Gas Services の 保有する SPC の発行済み株式 45.51%に相当する 2 億 3450 万株を取得する19とともに、その 後、残る 54.49%も TOB(株式公開買い付け)により取得し、SPC 全額出資子会社化を果たし ている20 シンガポールは、アジアにおける石油製品貿易の中心地であり、シンガポールにおける 石油製品価格は広くアジア全体の石油製品価格の指標となっている。特に、Platts 社が毎 日発表する石油製品価格は、アジア各国の石油製品価格の指標として参照されるなど、ア ジアの石油市場においては絶大な影響力を有している。このため、世界の石油メジャーや

19 2009 年 5 月 25 日、Wall Street Journal

20 2009 年 9 月 15 日、時事通信 企業ニュース 1990 2000 2013 1990 2000 2013 1990-2000 2000-2013 1990-2013 石炭 2 0 26 0.2% 0.0% 1.0% 11.6% 石油 1,144 1,735 1,628 99.2% 92.9% 62.4% 4.3% -0.5% 1.5% 天然ガス 0 112 888 0.0% 6.0% 34.0% 17.3% 原子力 0 0 0 0.0% 0.0% 0.0% 水力 0 0 0 0.0% 0.0% 0.0% 再生可能エネルギー他 7 20 67 0.6% 1.1% 2.6% 11.2% 9.7% 10.3% 1,153 1,867 2,610 100.0% 100.0% 100.0% 4.9% 2.6% 3.6% シェア % 年平均伸び率 % 一次エネルギー供給 万TOE 合計 発電電力量  GW H 2013年 シ ェア % 石炭 391 0.8 石油 2,329 4.9 天然ガス 43,871 91.5 原子力 0 0.0 水力 0 0.0 地熱 0 0.0 太陽光 16 0.0 可燃再生エネルギー 1,357 2.80 0.0 合計 47,964 100.0

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20 トレーダーなど名だたる石油会社・トレーダーはすべてシンガポールに事務所を構え、常 時情報収集やトレーディングを行う体制ができている。東南アジアには、ベトナムやイン ドネシアなど、内需に対して精製能力が不足している国々が多く存在しており、シンガポ ールはそういった国々に対する供給拠点となっている。 製油所だけではなく、シンガポール近辺には多くのタンク基地が多くあり、そうしたタ ンク基地に対し、世界中から製品が輸入され、またそこから世界中に輸出されている。当 初そうしたタンク基地はシンガポール国内に多く建設されていたが、近年は、シンガポー ル近郊のマレーシアやインドネシア国内においても建設が進んでおり、現在シンガポール 近辺の石油貯蔵能力は 900 万立米以上にも達しているとみられている(Table TBN)。 Table 3-4 シンガポール周辺のタンク基地

Operator Terminal Capacity (cm) Vopak Banyan, Jurong Island 1,363,375 Vopak Sebarok Island 1,263,079 Vopak Jurong Rock Caverns 480,000 Oiltanking Seraya, Jurong Island 1,265,000 Oiltanking (Helios) Jurong Island 503,000 Hin Leong Jurong Island 2,360,000 Horizon Singapore Jurong Island 1,252,184

Kuo Busing Island 1,200,000

合 計 9,686,638

Source: Petroleum Economist, December 2014 / January 2015, p11

シンガポールを通るマラッカ・シンガポール海峡は、いわゆるチョークポイントとして 知られる海上交通の要衝であり、現在でも 1,500 万 b/d もの原油や石油製品が航行するホ ルムズ海峡に次ぐ重要な海上航行路となっている。マラッカ・シンガポール海峡は、近隣 の東南アジア諸国のみならず、日本や中国といった北東アジア諸国が輸入する石油をはじ めとする物資の航行に利用されており、アジアの経済の大動脈ともいえる。

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図 3-1 マラッカ・シンガポール海峡

(出所)CIA World Fact Book

表 3-5 マラッカ・シンガポール海峡の航行量

(出所)Energy Information Administration, “World Oil Transit Chokepoints,” November 2014 (http://www.eia.gov/beta/international/regions-topics.cfm?RegionTopicID=WOTC) 3-4 原油及び石油製品需要、輸出入、輸入依存度の推移と今後の見通し シンガポールの 2013 年における石油製品(製油所ガスを除く)の国内需要は 1,312 万ト ン(石油換算、以下同じ)、2000 年の 1,149 万トンから 14%の増加であるが、2000 年~2013 年の年平均伸び率では 1.0%と低い伸びにとどまっている。需要の大半はナフサで、2013 年のシェアは 62%、次いで軽油 15%、重油 8%、ガソリン 7%の順となっている。2000 年 ~2013 年の間のナフサの伸び率は 10%と高い伸びを示す一方、軽油は 2.7%、ガソリン 2.0%と低く、重油は▲13%と減少を続けている。

million barrels per day 2009 2010 2011 2012 2013

Total oil flows through Strait of Malacca 13.5 14.5 14.6 15.1 15.2

Crude oil 11.9 12.8 12.9 13.3 13.4

Refined products 1.6 1.7 1.7 1.8 1.8

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図 3-2 シンガポールの石油製品需給バランス(単位:石油換算百万トン)

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

図 3-3 シンガポールの石油製品需要量の推移(単位:石油換算百万トン)

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

石油製品の 2013 年における生産量は 4,748 万トン、2000 年~2013 年の年平均伸び率は 1.4%と低い水準で推移しており、特に 2009 年以降生産量が大きく落ち込んでいる。これ は、リーマンショックの影響によりアジアの製品需要が低迷する中で、この頃から中国、 インドの新設製油所が立ち上がっており、近隣製油所との競争力という点でシンガポール の製油所に陰りが見え始めたことも影響しているものと見られる。 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 120.0 140.0 160.0 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2013 MTOE 国内消費 生産 輸入 輸出(含、国際バンカー) 0 2 4 6 8 10 12 14 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2013 MTOE その他 LPG ナフサ 重油 ジェット燃料油 灯油 軽油 ガソリン

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図 3-4 シンガポールの石油製品生産量の推移(単位:石油換算百万トン)

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

石油製品の輸入は年率 7.9%、輸出は 5.6%とともに高い伸びを示しており、製品の貿易 がますます活発化している状況が見て取れる。2013 年における石油製品の輸入量は 1 億 350 万トン、うち重油が 62%、6,459 万トンを占めた。次いで軽油が 1,470 万トンでシェア 14%、 ガソリンが 1,379 万トンでシェア 13%であった。2000 年~2013 年の年平均伸び率では重油 7.0%、軽油 10.7%、ガソリン 9.1%となっている。 図 3-5 シンガポールの石油製品輸入量の推移(単位:石油換算百万トン)

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

一方、2013 年における国際バンカーを除いた石油製品の輸出量は 8,426 万トン、うち重 油が 31%、2,609 万トン、次いでガソリンが 28%、2,363 万トン、軽油が 26%、2,206 万 トンであった。重油については国際バンカーの重油が 3,966 万トンあり、両者を合わせる と輸入した重油とほぼ同量の輸出が行われていることになる。2000 年~2013 年の年平均伸 0 10 20 30 40 50 60 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2013 MTOE その他 LPG ナフサ 重油 ジェット燃料油 灯油 軽油 ガソリン 0 20 40 60 80 100 120 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2013 MTOE その他 LPG ナフサ ジェット燃料油 灯油 軽油 ガソリン 重油

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び率では輸出重油 8.5%、国際バンカー重油 7.0%、ガソリン 8.7%、軽油 4.9%となって おり近隣諸国のモータリゼーションの進展、経済の発展に伴い、今後もこれらの製品の輸 出が増加するものと見込まれる。

図 3-6 シンガポールの石油製品輸出量の推移(単位:石油換算百万トン)

(出所)IEA、Energy Balances of Non-OECD Countries 2015 を基に作成

3-5 石油精製設備の状況、今後の建設計画、M&A の動向

2016 年 1 月 1 日時点でシンガポールには 3 ヵ所の製油所があり、全体の精製能力は 134.5 万 b/d となっている。内訳は、ExxonMobil(精製能力:59.3 万 b/d、Jurong/Pulau Ayer Chawan)、 Shell(同 46.2 万 b/d、Pulau Bukom)および Singapore Petroleum Co.(SPC)(同 29 万 b/d、 Pulau Merlimau)となっている21。今後の精製能力の増設・新設計画はない。

表 3-6 シンガポール国内の製油所

操業会社 場所 原油処理能力 (‘000 b/d)

ExxonMobil Jurong/Pulau Ayer Chawan 593

Shell Pulau Bukom 462

Singapore Petroleum (SPC) Pulau Merlimau 290

(出所)日本エネルギー経済研究所

21 Oil & Gas Journal;2013.12.2 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2013 MTOE その他 LPG ナフサ ジェット燃料油 灯油 軽油 ガソリン 重油

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25 3-6 原油及び石油製品備蓄設備の状況、今後の建設計画 シンガポールに国家備蓄制度は存在しない。2009 年現在、発電用重油とジェット燃料油 についてのみ備蓄義務が課せられており、電力用に関しては、発電所サイドで 60 日、およ び燃料供給者に対して 30 日の計 90 日が義務付けられている。また、原油および石油製品 に関わる在庫状況は公表されていない。 3-7 石油供給セキュリティ上の課題 シンガポールは、一次エネルギー供給に占める石油のシェアが 62%と高く、さらにその全 量を輸入に依存していることが最大のセキュリティ上の課題と言える。このため、天然ガ ス導入による「エネルギー源の分散化」及び「エネルギー効率の向上」によりエネルギー セキュリティの向上を図っている。水力、地熱、風力などの再生可能エネルギーについて はシンガポールにおけるポテンシャルが低いことから利用可能でなく、原子力発電に関し ても検討はなされているものの、土地が少ないこと、人口密度が高いことから実現性は低 い。石炭に関しても、利用可能ではあるが、MTI は環境問題に配慮する必要があるとして必 ずしも積極的ではない22

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26

第4章 タイ

4-1 エネルギー政策動向、石油政策動向

2008 年 12 月、Abhisit 首相(当時)が行った政策演説にて、エネルギー政策の概要 「Thailand’s Energy Policy(タイエネルギー政策)」が発表され、2009 年 1 月に Wannarat エネルギー相(当時)が「Energy Strategy」を明らかにした。その主要な項目は以下の通 りである。 ① エネルギー自給率向上のための国内エネルギー資源開発強化 ② 国家政策としての代替エネルギー政策の導入 - バイオ燃料の生産・活用の推進(バイオエタノール E10,E20,E85、バイオディ ーゼル) - 輸送・産業・民生部門における天然ガスの導入推進 - 再生可能エネルギーの導入推進(風力、太陽光、水力、バイオマス、バイオ ガス、廃棄物からのエネルギーなど) - 代替エネルギー、再生可能エネルギー、その他革新的技術に関する研究開発 ③ 適切で安定的なエネルギー価格の監視・維持 - 公平で安定的なエネルギー価格を確保するための監視 - エネルギー関連事業のサービスの質・安全性の向上 - エネルギー事業における競争や投資の奨励 ④ 家庭部門、産業部門、サービス部門、輸送部門における省エネ、効率向上の推進 - 国家的なエネルギー開発・省エネルギー(省エネルギー目標 20%に設定) - 省エネキャンペーンを実施し、省エネに関する知見を国民に提供 - 省エネへの投資を奨励する優遇政策の立案 - 省エネシステム・技術に関する研究開発(R&D) - 省エネ備品やエネルギー管理に関する基準・規定の設定 ⑤ 環境保護が実現できるようなエネルギー調達・消費の推進 石油政策について、タイ政府は、国内市場への安定した十分な石油・ガスを供給するた めの資源開発の強化を重視している。生産拡大のため国内の探鉱開発(E&P)への投資を 拡大し、輸送コストを軽減するために石油貯蔵システムやパイプラインの開発も推進して いる。また、深海における開発にも注目している。「タイエネルギー政策」でも、国内原油・ コンデンセート生産や関連インフラの構築の推進、海外資源探鉱の奨励、石油化学工業の ようなエネルギー産業開発の推進・強化が示された。 タイのエネルギー政策を所管しているのが、エネルギー省(Ministry of Energy)である。 2015 年 8 月の暫内閣改造に伴い、新しいエネルギー大臣に Anantapong 陸軍大将が就任した。

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なお、エネルギー省の傘下には以下 4 つの部門がある。

① Energy Policy and Planning Office(EPPO):エネルギー需給のモニタリングやエネ ルギー政策の立案・実施・評価、関係機関との政策調整などを行っている。また、国 内のエネルギー不足を防ぎ、価格安定化を図る目的のための Oil Fund も運営している。 ② Department of Mineral Fuels:国内石油・ガス上流部門を管轄し、探鉱・開発における

契約当事者となる。

③ Department of Energy Business:エネルギー事業を管轄しており、関連する取引や 品質、安全、環境についての監督を行っている。

④ Department of Alternative Energy Development and Efficiency:エネルギーの効 率化や省エネルギーに関する規制、代替エネルギーの研究開発を管轄する。

図 4-1 エネルギー省の組織

(出所)Ministry of Energy

なお、石油・天然ガス事業は国営の PTT Public Company Limited が、電力事業は同じく 国営の EGAT(Electricity Generating Authority of Thailand)が中核を担っており、共に エネルギー省の管轄下にある。

表 1-3  インドネシア・電源別発電量(2013 年、単位:GWH)
表 2-2  カンボジア・一次エネルギー供給の推移
表 2-3  カンボジア・電源別発電量(2013 年、単位:GWH)
図 3-1  マラッカ・シンガポール海峡
+7

参照

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