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フォトポンピングの実験系

第 5 章 半極性 (11¯ 22) GaN 基板上への LD 構造の設計と作製 89

5.4 MOVPE によるレーザ構造の作製とフォトポンピング

5.4.1 フォトポンピングの実験系

実験結果について述べる前に, フォトポンピングの実験系(キャビティの作製方法, 光学系, 励起に用いたレーザの特性)について詳しく説明する.

キャビティの作製方法

キャビティの作製方法について説明する. [1¯100]方向のキャビティは劈開により作製した. その方法の概略を図5.8(a)に示す. 成長後の試料に対して基板の裏面からラッピング(研磨) を行い,約100 µmの厚さまで薄くする. その後, 基板の裏面にダイヤモンドスクライバを用い て[¯1¯123]に平行にけがき線を形成し, その上からナイフで力を加えることで(1¯100)に沿って 劈開される. このような手順で作製した劈開端面のノマルスキ顕微鏡像を図5.8(b)に示す. 劈 開がうまくいかないと端面に段差ができて散乱の要因となるが, 本研究では極めて平坦な端面 を得ることができている.

[¯1¯123]方向キャビティ

[¯1¯123]方向のキャビティを作製する際には, ドライエッチングによってミラーを形成した. 作製プロセスを図5.9(a)に示す. 詳細は以下のとおりである.

1. (11¯22) GaN基板上にヘキサメチルジシラザン(Hexamethyldisilazane: HMDS), リフ

As-grown sample

Photo-resist

spin coat

photolithography

Ni evaporation 200 µm

(a)

(b)

(c)

[1100]

[112 3]

cavity: 500 µm

Lift off

ICP-RIE

Ni remove

etched mirror

200 nm

端面

[1100] 試料表⾯

5.9 (a) ドライエッチングによる[¯1¯123]キャビティの作製方法, (b) 作製したキャビ ティの表面から観察したノマルスキ顕微鏡像, (c) ドライエッチングにより作製したミラー の鳥瞰SEM.

トオフレジスト(LOR), フォトレジスト(S1813)を, この順にスピンコートにより塗布 する.

2. フォトリソグラフィ(露光·現像)によりレジストのパターニングを行う. 3. Ni(100-200 nm)を蒸着する.

4. Microchem社製Remover PGを用いてNiをリフトオフする.

5. 反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching: RIE)を行う. 用いたガスはCl2であ り, 供給流量は50 sccmとする. また, エッチング時の圧力を0.6 Pa, バイアス電力を 300 W, ICP電力を400 Wとする. この条件は, 当研究室で(0001) GaNの側壁を垂直 に加工するために最適化されたものであり, エッチングレートは0.75 µm/minである. 6. 希硝酸(10 wt%)に室温で1分間浸漬し, Niを除去する.

このようにして作製したキャビティの表面から観察したノマルスキ顕微鏡像を図5.9(b)に 示す. 長方形のキャビティが周期的に並んでいる様子が見られる. また, 少なくともこのス ケールでは端面の揺らぎは見えない. また, ミラー端面の鳥瞰SEM像を図5.9(c)に示す. 劈

Spot size:

100 µm

×

1 cm

(13 K ~ RT) Achromatic

Lens Achromatic Lens

Laser cut filter Optical Fiber Cylindrical Lens

Excitation Laser:

Nd:YAG 3ω (355 nm)

Nd:YAG+OPO (400 nm)

Ti:sapphire + OPO (400 nm)

25 cm monochromator + Multi-channel detector

5.10 フォトポンピング実験に用いた光学系の概略図.

開面には劣るが, 比較的平坦な端面が得られている. 以降の実験では, これらの手法により作製 したキャビティを用いた.

光学系

実験に用いた光学系の概要を図5.10に示す. 励起レーザをシリンドリカルレンズにて試料 表面に短冊状に集光し, キャビティ全体を励起する. 試料からの発光はアクロマティックレン ズを用いてコリメートおよび集光し, 光ファイバを通して分光器に導く. 励起レーザ光をカッ トするため, レンズの間に適切なカットオフ波長のフィルタを置いた. 検出には基本的に25 cm分光器とマルチチャネルディテクタを組み合わせて用いた.

試料温度は13.5 Kまたは室温とし, 13.5 Kで測定する際にはクライオスタットを用いて試 料を冷却した.

励起レーザ

試料の励起には3種類のレーザを用いた. それぞれの特性を表5.1に示す. 基本的にはYAG レーザおよび光パラメトリック共振器 (Optical Parametric Oscillator: OPO)を組み合わせ て用い, 選択励起か非選択励起のどちらを目的とするかによって波長を使い分けたが, YAG レーザの故障により使用できなかった期間に行った実験に限り, Ti:sapphire レーザ再生増幅 器+OPOを励起光として用いた.

5.1 励起レーザの特性.

Nd:YAGレーザ3倍高調波 Nd:YAGレーザ+OPO Ti:sapphireレーザ再生増幅器+OPO

励起タイプ 非選択励起 選択励起 選択励起

波長 355 nm 400 nm 400 nm

パルス幅 5 ns 5 ns 1.5 ps

繰り返し周波数 10 Hz 10 Hz 1 kHz

p

-GaN (100 nm)

p

-AlGaN/GaN SL clad (avg. 3.7%, 450 nm)

p

-GaN (20 nm)

p

-In

0.019

Ga

0.981

N WG (70 nm)

p

-Al

0.13

Ga

0.87

N EBL (20 nm) GaN Barrier (9.3 nm)

In

0.135

Ga

0.865

N/GaN 3QW (4.2 nm/9.3 nm)

n

-In

0.019

Ga

0.981

N WG (70 nm)

n

-GaN (20 nm)

Mg: 2x10

19

cm

-3

Si: 2x10

18

cm

-3

n

-Al

0.037

Ga

0.963

N clad (330 nm)

n

-GaN (2 µm) (1122) GaN sub.

Si: 2x10 cm

5.11 青緑色発光LDの構造概略図.