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ドキュメント内 2-1 EU (ページ 106-200)

第 2 章 バックエンド事業関連施設の立地地域と国・事業者の関係

0. 一覧表

諸外国における、立地地域とのコミュニケーションの概要や、立地地域向け支援制度に関する比較表を 以下に示す。各国の制度に係る詳細は、後述する。

立地地域とのコミュニケーションの概要 主なコミュニケーション組織 立地地域への支援制度 備考

アメリカ

ユッカマウンテン計画については、「1969年国家環 境政策法施行手続き」、「1982年放射性廃棄物政 策法(1987年修正)」に許認可手続きへの住民参 加・住民への情報提供、公聴会の開催が規定され る。

「1982年放射性廃棄物政策法(1987 年修正)」において、立地地域への資 金給付が規定されている。財源は、放 射性廃棄物基金。

WIPPに関する地域住民へのコ ミュニケーション活動は、DOE が主導。

イギリス 原子力施設の立地地域において自治体関係者等 が定期的に集う会議体が存在する。

* SSG(NDA所有の原子力 施設立地地域)

* LCLC(EDF Energyが運転 する原子力発電所立地地 域)

政府が検討する立地地域支援として、

Engagement PackageとCommunity benefits packageがある。

スウェーデン

自治体が独自の調査団体を設置し、「環境法典

(Environmental Code)」に基づき、安全規制機関と の交渉・議論を実施。

2003~2010年、SKB社と地域住民や団体等との協 議を各候補地で開催。

* Oskarshamn EIA Forum

* Forsmark Consultation and EIA Group

廃棄物基金から自治体に交付金が交 付され、その資金が個人や団体の活 動資金に充てられる。

フランス

「TSN法」において設置が定められているCLI、CLIS を通じ、原子力事業活動の周知、理解活動および ステークホルダー間のコミュニケーションが行われ ている。

* CLI(INB立地地域)

* CLIS(地下研究所または 地層処分場の立地地域)

CLIおよびCLISの活動資金への補助 GIP(地下研究所または地層処分場の 立地地域のみ)によるインフラ整備等

独立した国家討論委員会という 組織を有しており、一定規模事 業の構想段階の討議手続きと して公開討論会が行われる。

ドイツ

「サイト選定法」が、サイト選定に関わる重要な事 項(候補地域、地上・地下での探査対象サイトの選 定、候補サイトの最終比較等)については、市民集 会を開催するほか、関係する州や地元自治体の参 加の上で決定すると規定。

* 市民集会(左記参照)

制度化されたものは無い。(過去に連 邦・州間の行政協定により補助金が 支給された例あり)

2011年12月、コンラッド処分場 の立地地域で、廃棄物発生者 である電気事業者と連邦の出 資により、地域振興を目的とし た財団が開設。

スイス

特別計画「地層処分場」により、「サイト地域」に属 する自治体が地域参加の組織を設置することを規 定。2011年から6つのサイト地域において、BFEの 主導により設置された地域会議が活動を開始。

* 地域会議(左記参照)

制度化されたものは無い。(特別計画

「地層処分場」で、サイト選定第3段階 において概要承認が発給されてから、

「対価」と呼ばれる交付金に関する検 討を行うことを規定)

フィンランド

環境影響評価や政府による原則決定前など、様々 な段階で住民が情報を入手し、意見を表明できる 場を設置。

Posiva社と自治体代表との間では「協力とフォロー アップのグループ」を設置してコミュニケーションを 図っている。

* 協力とフォローアップのグ ループ

* 監査グループ

政府による直接的な補助は存在しな い。但し、原子力施設は通常の施設よ りも高い固定資産税(2.5%)を払うこと となっている。

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1. アメリカ

1-1 バックエンド事業政策議論の変容

1-1-1 バックエンド事業政策

(a) 政策概要

アメリカは1970年代に再処理を放棄しており、将来的な最終処分場の建設を前提として、使用済燃料 を中間貯蔵している。高レベル放射性廃棄物には、発電用原子炉等で発生した使用済燃料、核兵器開発・

製造や再処理施設で発生した高レベル放射性廃棄物ガラス固化体がある。高レベル放射性廃棄物の処分に ついては、「1982 年放射性廃棄物政策法」によって、DOEがサイトを選定し、大統領へ推薦するという 手続きが進められ、「1987年放射性廃棄物政策修正法」によって、2002年7月にネバダ州ユッカマウン テンが唯一の処分場候補地として承認された。しかし、オバマ政権によるユッカマウンテンでの処分場建 設計画凍結にともない、DOE の諮問機関であるブルーリボン委員会が使用済燃料の処分問題に関する検 討・提言を行っている。2013年1月には、DOEが「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分 戦略」を公表し、ブルーリボン委員会の最終報告書で示された基本的な考え方に沿った実施可能な枠組み が示されている。

(b) 事業者の自主的取り組み

使用済燃料は、各発電所のプール等に貯蔵されていたが、最終処分場の建設開始が遅れていることから、

乾式貯蔵施設の設置が各サイトで進められている。現在56のサイトで乾式貯蔵施設が設置されている。

これらの中間貯蔵施設は、ISFSIとして認可を受けている。10 CFR Part 72「使用済燃料及び高レベル放 射性廃棄物の独立貯蔵に関する認可要件」に基づき、ISFSIの認可期間は20年とされていたが、最終処 分場建設の目途が立たず、中間貯蔵施設から使用済燃料の搬出ができない状況が続いているため、10 CFR

Part 72.42 (a)の規定に基づき、いくつかの施設では認可期間の40年への延長が申請され、許可されてい

る。

1-1-2 福島事故直後の原子力政策の動向

(a) 福島第一原発事故直後の政府の対応

福島事故直後の2011年3月14日、エネルギー省高官は、前月に発表した2012会計年度のエネルギー 省予算のうち、原子力発電所新設支援のための融資保証枠360億ドルは変更しない、と発言し、原子力政 策の維持を表明した。さらに3月30日にオバマ大統領はエネルギー政策に関する演説を行い、そこで原 子力の重要性に言及した。このように、福島事故直後の時期にあっても、基幹電源のひとつとして原子力 を使い続ける姿勢に変化はなかった。この背景には、NRC の監督のもと、国内原子炉の安全性が確保さ れている、との信頼性があったといえる。

この方針に沿って2012年2月9日にNRCはSouthern Co.等によるジョージア州Vogtle発電所におけ る新規原子炉建設計画の承認を決定した。2013年3月12日に3号機の、同年11月19日に4号機で原子 炉建屋のコンクリート打設が完了し、同計画は本格着工した。2014 年 2 月、DOE は Georgia Power

CompanyとOglethorpe Power Corporationとの融資保証交渉を完了し、両社分の融資保証65億ドルを

付与することを正式決定した。なお、DOEはジョージア州営電力公社(Municipal Electric Authority of

Georgia; MEAG)との間で、18億ドル分の融資保証について協議を継続している70

また、サウスカロライナ州V.C. Summer発電所における新規原子炉建設計画も、福島事故後の 2012 年3月30日にNRCより承認を取得し、2013年3月9日に2号機の、同年11月2日に3号機の原子炉

70 Department of Energy, Loan Programs Office,

http://energy.gov/lpo/georgia-power-company-gpc-oglethorpe-power-corporation-opc-municipal-0

104 建屋のコンクリート打設が完了し、本格着工している。

(b) NRCの取り組み

福島事故直後から対応活動を24時間体制で行ってきたNRCは、2011年3月21日に行われた委員会 の会合で、NRCの規制とそのプロセスに関して評価し、NRCの規制体系の追加的改善の必要性を検討し、

委員会に対してとるべき政策の勧告を行う上級レベルの機関タスクフォースを設置することを決定した。

NRC委員長は、2011年3月23日にNRCスタッフ責任者に対して指示メモを出し、タスクフォースが 設立されるに至った。指示を受けたスタッフ責任者は2011年3月30日に短期レビューについてのタスク フォースを6名の上級スタッフで設立し、タスクフォースは7月12日に報告書を提出した。この報告書 が、『21世紀の原子炉安全性強化のための勧告71』である。

短期レビュータスクフォースの勧告では、まず、スリーマイル島事故後の対応に見られるようなNRC の過去の取り組みにおける教訓を反映させ、「起因事象、機器と作業員の応答、事故の進展」に関して福島 第一原子力発電所事故と関連する分野に焦点を当て、体系的、組織的に検討をとりまとめた。また、福島 事故の全容は詳細には理解できていないが、プラントの広範囲にわたり損傷を与える外部事象、長時間の 全交流電源喪失(Station Blackout: SBO)に対する防護と緩和措置、緊急事態対応策といった分野を、米 国原子炉の安全性に最も関連する主要なものとして特定した。NRC の既存の規制取り組みには、設計基 準では何層もの防護が確保されるとする、深層防護の原理への強い意志が含まれていること、深層防護の 原理は有益であり広範囲に適用されている概念であることも認識された。ただし、深層防護の概念の定義 が曖昧であるため、タスクフォースは以下を深層防護の概念として用いている。(1)燃料損傷に至る可能 性のある外部事象からの防護、(2)そのような事故が発生した場合、炉心と使用済燃料の損傷、環境への 放射性物質の放出制御不能の防止に重点を置いた事故影響の緩和、(3)公衆と環境への放射性物質放出が 発生した場合、その影響を緩和するための緊急事態対応策(Emergency Preparedness: EP)。タスクフォ ースが勧告を策定するに際して、これまでのすべての規制・指針文書(深層防護、安全目標の政策文書、

規制解析指針、バックフィット規制)をレビューしたところ、既存の文書では、意思決定のための明確で 一貫した枠組みが示されていないことが明らかとなった。

タスクフォースは、深層防護の各レベル(防護、緩和、EP)がそれぞれの安全機能を発揮する点で、

完全かつ有効であるかを評価し、深層防護を中心とした意思決定根拠を採用し、勧告を策定した。このタ スクフォースの論理は、(1)これらの勧告は、深層防護が各レベルにおいて完全で効果的なものになるこ とを意図しており、(2)深層防護各レベルの完全性と有効性を確保することが、「適切な防護」と呼ばれ る安全確保のための総合的な取り組みの不可欠な要素である、というものである。

上述の短期レビュータスクフォースによる勧告を受けて、2011年8月19日のSECY-11-0093に基づき、

NRC スタッフはタスクフォースの勧告を詳細及び全体的に評価し、勧告のうち遅滞なく実施すべき項目 を選定し、NRC委員会に提出した。これは2011年9月9日に「短期タスクフォースレポートのうち遅滞 なく実施されるべき勧告内容」(SECY-11-0124)として委員会に提出され、9月14日には公開ミーティ ングが開催され、内容の説明が行われた。NRC委員会は、2011年10月18日付けでこれを承認している。

また、NRCスタッフは、その後、SECY-11-0124で検討対象外となった勧告について、「短期タスクフォ ースによる勧告の優先度付け」(SECY-11-0137)としてまとめている。SECY-11-0137は、2011年10月 3日付けでNRC委員会へ提出され、10月11日にはNRC委員への説明が行われた。

このように原子力発電の利用に対する大きな政策的な変化は、アメリカではみられなかった。同様に、

バックエンド関連事業に関して、福島事故を契機とする政策的な変化はみられない。

71 NRC: “Recommendations for Enhancing Reactor Safety in the 21st Century”, http://pbadupws.nrc.gov/docs/ML1118/ML111861807.pdf,

http://www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/commission/secys/2011/2011-0124scy.pdf, http://www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/commission/secys/2011/2011-0137scy.pdf

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