第 1 章 諸外国のバックエンド事業関連基本情報整理
5. ドイツ
5-1 基本的な電力事情と発電用原子炉の実態
5-1-1 一次エネルギー供給構成
表5-1 一次エネルギー需給バランス
(出所) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition
表5-2 エネルギー源別消費動向
(出所) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition
COUNTRY: Germany (2013年、Mtoe)
石油 ガス 石炭 原子力 水力 再生可能エネルギー等 合計
国内生産 3 9 45 25 2 35 120
輸入 128 80 34 0 0 4 246
輸出 30 16 1 0 0 7 54
在庫変動 0 0 0 0 0 0 1
一次供給 102 73 78 25 2 33 312
シェア 33% 23% 25% 8% 1% 10% 100%
COUNTRY: Germany (Mtoe)
石油 ガス 石炭 原子力 水力 その他 合計
2009 103 73 72 35 2 25 310
2010 105 76 79 37 2 29 327
2011 102 70 78 28 1 32 311
2012 101 70 80 26 2 33 313
2013 102 73 78 25 2 33 312
シェア 33% 23% 25% 8% 1% 10% 100%
'13/'12 0.2% 4.8% -2.6% -2.2% -5.7% -2.7% 0.0%
71
5-1-2 電力供給構成
図5-1 発電電力量構成(2013年)
(出所) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition
(出所) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition 石炭
47%
石油 1%
天然ガス 11%
原子力 15%
水力 3%
その他 22%
Country: Germany 2013年
629 TWh
COUNTRY: Germany 単位:ktoe
1973 1980 1990 2000 2005 2010 2012
輸入 1,693 2,010 2,724 3,882 4,890 3,695 3,979
輸出 -699 -1,395 -2,644 -3,619 -5,283 -4,981 -5,746
発電 32,194 40,105 47,047 49,163 52,903 53,841 53,592
(発電構成)
石炭 69% 63% 59% 53% 48% 44% 46%
石油 12% 6% 2% 1% 2% 1% 1%
天然ガス 11% 14% 7% 9% 12% 14% 12%
原子力 3% 12% 28% 30% 27% 22% 16%
水力 4% 4% 3% 4% 3% 3% 3%
その他再生可能エネ 1% 1% 1% 3% 8% 15% 21%
72
5-1-3 電力輸出入構成
図5-2 ドイツの電力輸出入の推移
(出所) ENTSO-Eより作成
5-1-4 エネルギー価格動向
表5-3 ドイツの電力・ガス価格(税込み)
2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 電力
(€/MWh)
産業用 100.5 102.6 113.0 115.7 127.6 家庭用 228.8 240.7 253.0 263.6 292.0 電力
(US$/MWh)
産業用 139.6 135.8 157.1 148.7 169.3 家庭用 317.9 318.7 351.7 338.8 387.6 ガス
(€/MWh GCV)
産業用 34.38 34.04 36.14 34.72 37.58 家庭用 69.84 63.62 66.57 70.27 71.27 ガス
(US$/MWh GCV)
産業用 47.8 45.1 50.3 44.6 49.9 家庭用 97.0 84.3 92.6 90.3 94.6
(出所) IEA, Energy prices and taxes, 2014年2Q -2500
-2000 -1500 -1000 -500 0 500 1000 1500
Jan-10 Mar-10 May-10 Jul-10 Sep-10 Nov-10 Jan-11 Mar-11 May-11 Jul-11 Sep-11 Nov-11 Jan-12 Mar-12 May-12 Jul-12 Sep-12 Nov-12 Jan-13 Mar-13 May-13 Jul-13 Sep-13 Nov-13 Jan-14
GWh
month/year
スウェーデン ポーランド オランダ ルクセンブルグ フランス デンマーク チェコ スイス オーストリア 合計
73
5-1-5 国内商業用原子炉一覧
ドイツ国内には、9基の商業用原子炉が稼働中である(2014年末時点)。ドイツ国内商業用原子炉一覧 を表5-4~5-5に示す。
表5-4 ドイツの商業用発電所一覧(稼働中)
(出所) IAEA, Power Reactor Information Systemより作成
表5-5 ドイツの商業用発電所一覧(閉鎖)
(出所) IAEA, Power Reactor Information Systemより作成
Name Type Status Location Reference Unit
Power [MW]
Gross Electrical Capacity [MW]
First Grid Connection
BROKDORF PWR Operational OSTERENDE 1410 1480 1986/10/14
EMSLAND PWR Operational LINGEN (EMS) 1329 1400 1988/4/19
GRAFENRHEINFELD PWR Operational SCHWEINFURT 1275 1345 1981/12/30
GROHNDE PWR Operational GROHNDE 1360 1430 1984/9/5
GUNDREMMINGEN-B BWR Operational GUNDREMMINGEN 1284 1344 1984/3/16
GUNDREMMINGEN-C BWR Operational GUNDREMMINGEN 1288 1344 1984/11/2
ISAR-2 PWR Operational ESSENBACH 1410 1485 1988/1/22
NECKARWESTHEIM-2 PWR Operational NECKARWESTHEIM 1310 1400 1989/1/3
PHILIPPSBURG-2 PWR Operational PHILIPPSBURG 1402 1468 1984/12/17
Name Type Status Location Reference Unit
Power [MW]
Gross Electrical Capacity [MW]
First Grid Connection
AVR JUELICH HTGR Permanent Shutdown JUELICH 13 15 1967/12/17
BIBLIS-A PWR Permanent Shutdown BIBLIS 1167 1225 1974/8/25
BIBLIS-B PWR Permanent Shutdown BIBLIS 1240 1300 1976/4/25
BRUNSBUETTEL BWR Permanent Shutdown BRUNSBUETTEL 771 806 1976/7/13
GREIFSWALD-1 PWR Permanent Shutdown GREIFSWALD 408 440 1973/12/17
GREIFSWALD-2 PWR Permanent Shutdown GREIFSWALD 408 440 1974/12/23
GREIFSWALD-3 PWR Permanent Shutdown GREIFSWALD 408 440 1977/10/24
GREIFSWALD-4 PWR Permanent Shutdown GREIFSWALD 408 440 1979/9/3
GREIFSWALD-5 PWR Permanent Shutdown GREIFSWALD 408 440 1989/4/24
GUNDREMMINGEN-A BWR Permanent Shutdown GUNDREMMINGEN 237 250 1966/12/1
HDR GROSSWELZHEIM BWR Permanent Shutdown KARLSTEIN 25 27 1969/10/14
ISAR-1 BWR Permanent Shutdown ESSENBACH 878 912 1977/12/3
KNK II FBR Permanent Shutdown EGGENSTEIN 17 21 1978/4/9
KRUEMMEL BWR Permanent Shutdown GEESTHACHT 1346 1402 1983/9/28
LINGEN BWR Permanent Shutdown LINGEN 183 268 1968/7/1
MUELHEIM-KAERLICH PWR Permanent Shutdown MULHEIM-KAERLICH 1219 1302 1986/3/14
MZFR PHWR Permanent Shutdown KARLSRUHE 52 57 1966/3/9
NECKARWESTHEIM-1 PWR Permanent Shutdown NECKARWESTHEIM 785 840 1976/6/3 NIEDERAICHBACH HWGCR Permanent Shutdown NIEDERAICHBACH 100 106 1973/1/1
OBRIGHEIM PWR Permanent Shutdown OBRIGHEIM 340 357 1968/10/29
PHILIPPSBURG-1 BWR Permanent Shutdown PHILIPPSBURG 890 926 1979/5/5
RHEINSBERG PWR Permanent Shutdown GRANSEE 62 70 1966/5/6
STADE PWR Permanent Shutdown STADE 640 672 1972/1/29
THTR-300 HTGR Permanent Shutdown HAMM-UENTROP 296 308 1985/11/16
UNTERWESER PWR Permanent Shutdown STADLAND 1345 1410 1978/9/29
VAK KAHL BWR Permanent Shutdown KAHL 15 16 1961/6/17
WUERGASSEN BWR Permanent Shutdown WUERGASSEN 640 670 1971/12/18
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5-1-6 原子力発電所運転実績
図5-3 ドイツの原子力発電所設備容量と発電量の推移
(出所) IAEA, Power Reactor Information System
図5-4 ドイツの原子力発電所の設備利用率の推移
(出所) IAEA, Power Reactor Information System
0 20 40 60 80 100 120 140 160 180
0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000
1985 1990 1995 2000 2005 2010
MW 設備容量 発電量 TWh
0%
20%
40%
60%
80%
100%
1985 1990 1995 2000 2005 2010
設備利用率
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図5-5 ドイツの原子力発電所の設備利用率の推移
(出所) IAEA, Operating Experience data
5-2 バックエンド関連事業政策の状況61
5-2-1 バックエンド関連政策
ドイツでは、当初は使用済燃料を再処理して核物質を再利用するよう法律で定めていたが、1994 年の 原子力法改正により、再処理せずに使用済燃料を直接処分することを原子力発電事業者が選択できるよう なった。その後、原子力発電からの段階的撤退政策を受けて2002年4月に改正された原子力法において、
再処理を目的とした使用済燃料の原子力発電所からの搬出を2005 年7月以降永続的に禁止している。
原子力発電所で発生する使用済燃料は、原則として処分のために搬出するまで、発生したサイト内で貯 蔵する方針である。使用済燃料は、燃料プールで約 5年間冷却された後、「輸送貯蔵兼用キャスク」に収 納して貯蔵される。こうした乾式貯蔵は、運転中と閉鎖された原子力発電所を含め、12の原子力発電所で 実施されている。
一部の使用済燃料は、原子力発電所から搬出され、ゴアレーベンとアーハウスの2カ所の集中中間貯蔵 施設で貯蔵されている。電力会社などが出資しこれらの中間貯蔵施設を操業する原子力サービス会社は、
ゴアレーベン中間貯蔵施設において使用済燃料だけでなく、フランスとイギリスに委託した再処理からの 返還ガラス固化体(高レベル放射性廃棄物)を併せて貯蔵する計画であった。ゴアレーベン中間貯蔵施設 では、1995 年から使用済燃料を収納した「輸送貯蔵兼用キャスク」の受け入れが始まった。しかし、使 用済燃料の輸送に対する反対運動が激しくなったことから、1997年を最後に使用済燃料の搬入は行われて いない。
外国からの返還ガラス固化体の受け入れは継続していたが、2013 年3月の連邦とニーダーザクセン州 の合意に基づき、搬入が停止されることになった。アーハウス中間貯蔵施設では、主として研究炉や高温
61 (公財)原子力環境整備促進・資金管理センター、諸外国での高レベル放射性廃棄物処分 http://www2.rwmc.or.jp/wiki.php?id=hlw:us:prologue
0 500 1,000 1,500 2,000 2,500
1990 1995 2000 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 hours 補修&燃料交換改修・アップレート&燃料交換 補修その他
装置トラブル 燃料交換
規制 その他
計 画 内 計 画 外
外 部 要 因
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ガス炉(実験炉と実証炉、いずれも1980年代末に廃止)の使用済燃料を乾式貯蔵している。なお、旧東 ドイツに導入された原子力発電所の廃止措置に伴い、それらの発電所からの使用済燃料が、ノルト集中中 間貯蔵施設において乾式貯蔵されている。
図5-6 ドイツの放射性廃棄物の主要な流れ
(出所) (公財)原子力環境整備促進・資金管理センター、諸外国での高レベル放射性廃棄物処分
5-2-2 バックエンド関連法令
ドイツでは、「原子力の平和利用及びその危険の防護に関する法律」(原子力法)が、原子力の利用、放 射性廃棄物管理(貯蔵・処分等)の許認可手続や、関係機関の役割や責任等を定めている。放射性廃棄物 の処分場設置の責任が連邦にあることも、この原子力法で定められている。
一方、処分サイトの選定は「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(サイト選 定法)に基づいて行われる。この法律では、選定に関わる安全要件や調査対象サイトの決定、処分サイト の最終決定など、サイト選定に関わる重要な決定は市民集会などの公衆参加プロセスにかけた上で、最終 的に議会が連邦法として採択するという形をとると定めている。
ドイツでは放射性廃棄物を定置する前のサイト調査活動は原子力法の適用を受けず、鉱山法の許認可取 得が必要となる。ゴアレーベンの地下探査活動も、この鉱山法の許可に基づいて行われていた。
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図5-7 ドイツにおける処分事業に関する法律
(出所) (公財)原子力環境整備促進・資金管理センター、諸外国での高レベル放射性廃棄物処分
5-3 バックエンド事業関連プレーヤー62
5-3-1 再処理
ドイツは2002年4月に改正された原子力法において、再処理を目的とした使用済燃料の原子力発電所 からの搬出を2005年7月以降永続的に禁止しており、再処理事業者は存在しない。
それ以前に搬出された約6,670トンの使用済燃料が、主としてフランス及びイギリスにおいて再処理さ
62 (公財)原子力環境整備促進・資金管理センター、諸外国での高レベル放射性廃棄物処分
78 れている。
5-3-2 MOX燃料成型加工
ドイツにはMOX燃料成型加工事業者は存在しない。
5-4 バックエンド事業概要63
5-4-1 再処理
ドイツには再処理事業は存在しない。
5-4-2 MOX燃料成型加工
ドイツにはMOX燃料成型加工事業は存在しない。
5-4-3 使用済燃料中間貯蔵施設
ゴアレーベンには、ゴアレーベン中間貯蔵社が操業する使用済燃料と放射性廃棄物の中間貯蔵施設も設 置されている。同施設は、使用済燃料及びガラス固化体の集中中間貯蔵施設、放射性廃棄物集中中間貯蔵 施設、及び使用済燃料のパイロットコンディショニング施設で構成されている。
使用済燃料及びガラス固化体の集中中間貯蔵施設には約5,000m2の敷地に420本のキャスクを貯蔵す ることが可能で、使用済燃料とフランスから返還されたガラス固化体が貯蔵されている。
放射性廃棄物集中中間貯蔵施設には、原子力発電所や医療・産業・研究利用から発生する放射能レベル の低い廃棄物が貯蔵されている。それらの廃棄物は、同施設に輸送される前に鉄やコンクリートで作られ た容器に封入される。同施設は面積が4,500 m2、高さが5mとなっている。
使用済燃料のパイロットコンディショニング施設は、使用済燃料を最終処分に適した形態へとコンディ ショニングするための技術開発のために設置されている。ただし、現在の利用許可は、使用済燃料用キャ スクの補修に制限されている。
アーハウス中間貯蔵施設は1984年に設置された使用済燃料の中間貯蔵施設で、電力会社の共同出資に よって設立された原子力サービス社が施設の操業を行っている。貯蔵建屋は、全長200m、幅38m、高さ 20mとなっている。旧東ドイツのグライフスバルト原子力発電所では、現在、世界最大級の廃止措置が進 められているが、サイト近傍に設置されたノルト中間貯蔵施設では、同発電所などからの使用済燃料が貯 蔵されている。ノルト中間貯蔵施設はノルト・エネルギー社によって操業されており、上記の使用済燃料 だけでなく、他の発電所の使用済燃料や廃止措置に伴い発生する廃棄物の貯蔵も行っている。
5-4-4 商業用発電所・サイクル施設(実験炉等)廃止措置
ドイツでは既に27基について廃止申請が行われ、事業者による廃止措置が進められている(解体完了 分を含む)。しかしながら、福島事故を受け、政治的判断により2011年8月に廃止が決定された8基につ いては、事業者が連邦政府に対して損害賠償請求を行うなどしており、具体的な廃止スケジュールは決ま っていない。
5-4-5 中・低レベル放射性廃棄物処分場
63 (公財)原子力環境整備促進・資金管理センター、諸外国での高レベル放射性廃棄物処分