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(1)

平成26年度発電用原子炉等利用環境調査

(バックエンド関連事業の環境整備に向けた諸外国の事例調査)

報告書

平成27年 3 月

(2)

I

目次

Executive Summary ... 1 第1 章 諸外国のバックエンド事業関連基本情報整理 ... 3 1. アメリカ ... 4 1-1 基本的な電力事情と発電用原子炉の実態 ... 4 1-2 バックエンド関連事業政策の状況 ... 11 1-3 バックエンド事業関連プレーヤー ... 12 1-4 バックエンド事業概要 ... 14 1-5 原子力安全規制体系の概要と動向 ... 21 2. イギリス ... 24 2-1 基本的な電力事情と発電用原子炉の実態 ... 24 2-2 バックエンド関連事業政策の状況 ... 29 2-3 バックエンド事業概要 ... 31 2-4 バックエンド事業関連プレーヤー ... 39 2-5 原子力安全規制体系の概要と動向 ... 39 3. スウェーデン ... 42 3-1 基本的な電力事情と発電用原子炉の実態 ... 42 3-2 バックエンド関連事業政策の状況 ... 47 3-3 バックエンド事業関連プレーヤー ... 47 3-4 バックエンド事業概要 ... 48 3-5 原子力安全規制体系の概要と動向 ... 51 4. フランス ... 53 4-1 基本的な電力事情と発電用原子炉の実態 ... 53 4-2 バックエンド関連事業政策の状況 ... 59 4-3 バックエンド事業関連プレーヤー ... 61 4-4 バックエンド事業概要 ... 63 4-5 原子力安全規制体系の概要と動向 ... 68 5. ドイツ ... 70 5-1 基本的な電力事情と発電用原子炉の実態 ... 70 5-2 バックエンド関連事業政策の状況 ... 75 5-3 バックエンド事業関連プレーヤー ... 77 5-4 バックエンド事業概要 ... 78 5-5 原子力安全規制体系の概要と動向 ... 79 6. スイス ... 81 6-1 基本的な電力事情と発電用原子炉の実態 ... 81 6-2 バックエンド関連事業政策の状況 ... 86 6-3 バックエンド事業関連プレーヤー ... 87 6-4 バックエンド事業概要 ... 87 6-5 原子力安全規制体系の概要と動向 ... 88 7. フィンランド ... 91 7-1 基本的な電力事情と発電用原子炉の実態 ... 91 7-2 バックエンド関連事業の状況 ... 96 7-3 バックエンド関連プレーヤー ... 97

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II 7-4 バックエンド事業概要 ... 97 7-5 原子力安全規制体系の概要と動向 ... 100 第2 章 バックエンド事業関連施設の立地地域と国・事業者の関係 ... 101 0. 一覧表 ... 102 1. アメリカ ... 103 1-1 バックエンド事業政策議論の変容 ... 103 1-2 地域住民とのコミュニケーション強化等の支援策・体制 ... 105 1-3 バックエンド関連施設の立地地域向け施策 ... 106 2. イギリス ... 108 2-1 バックエンド事業政策議論の変容 ... 108 2-2 地域住民とのコミュニケーション強化等の支援策・体制 ... 109 2-3 バックエンド関連施設の立地地域向け施策 ... 115 3. スウェーデン ... 119 3-1 バックエンド事業政策議論の変容 ... 119 3-2 地域住民とのコミュニケーション強化等の支援策・体制 ... 121 3-3 バックエンド関連施設の立地地域向け施策 ... 123 4. フランス ... 127 4-1 バックエンド事業政策議論の変容 ... 127 4-2 地域住民とのコミュニケーション強化等の支援策・体制 ... 130 4-3 バックエンド関連施設の立地地域向け施策 ... 135 5. ドイツ ... 138 5-1 バックエンド事業政策議論の変容 ... 138 5-2 地域住民とのコミュニケーション強化等の支援策・体制 ... 139 5-3 バックエンド関連施設の立地地域向け施策 ... 142 6. スイス ... 144 6-1 バックエンド事業政策議論の変容 ... 144 6-2 地域住民とのコミュニケーション強化等の支援策・体制 ... 147 6-3 バックエンド関連施設の立地地域向け施策 ... 150 7. フィンランド ... 152 7-1 バックエンド事業政策議論の変容 ... 152 7-2 地域住民とのコミュニケーション強化等の支援策・体制 ... 152 7-3 バックエンド関連施設の立地地域向け施策 ... 154 第3 章 バックエンド関連事業による経済的影響 ... 156 1. アメリカ ... 157 1-1 廃止措置関連事業に係る経済的影響 ... 157 1-2 最終処分事業に係る経済的影響 ... 166 2. イギリス ... 168 2-1 バックエンド事業における社会経済的な影響についてのNDA の取組方針 ... 168 2-2 核燃料サイクル事業に係る経済的影響 ... 168 2-3 廃止措置関連事業に係る経済的影響 ... 169 2-4 最終処分事業に係る経済的影響 ... 174 3. スウェーデン ... 177 3-1 最終処分事業に係る経済的影響 ... 177

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III 4. フランス ... 182 4-1 諸論(フロントエンド概要含む) ... 182 4-2 フランスにおけるバックエンド事業による雇用 ... 182 4-3 原子力産業が地方経済に与える影響 ... 183 4-4 新型炉EPR、研究開発炉が経済に与える影響 ... 186 5. ドイツ ... 192 5-1 廃止措置関連事業に係る経済的影響 ... 192 6. スイス ... 194 6-1 最終処分事業に係る経済的影響 ... 194 7. フィンランド ... 207 7-1 最終処分事業に係る経済的影響 ... 207 略語一覧 ... 210

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1

Executive Summary

本報告書では、3 つの観点から諸外国のバックエンド関連事業に関する事例を調査している。 第1 章では、諸外国におけるバックエンド関連事業に関する基本情報の整理を行い、廃止措置中の原子 炉、再処理施設や使用済燃料中間貯蔵施設等の核燃料サイクル施設等につき、仕様、現状、今後の計画等 についてとりまとめた。また、福島第一原子力発電所事故(以下、福島事故)前後の対象諸国における原 子力・核燃料サイクル政策や開発動向の経緯を詳細に調査し、福島事故がこれらの国の政策に与えた影響 を分析した。その結果、バックエンド政策については、米国でユッカマウンテン計画に代わる計画の進展 が特に見られない、ドイツでゴアレーベン計画が白紙撤回される等、概ね進展していないといえるものの、 これらが福島事故の影響といえる根拠はない。また、スウェーデンやフィンランドのように福島事故後も 計画に着実な進展がみられることからも、総じて、福島事故が各国のバックエンド政策に及ぼした影響は ほとんどないものと言える。 第2 章では、関連施設の立地地域との関係構築・強化を含む、バックエンド関連事業の事業環境を整備 するための枠組みや制度について整理を行っている。各国によって制度に相違はあるものの、特に関連施 設の立地に際しては、事業者を中心とした地域住民への情報提供、全ての関係者の意思決定プロセスへの 参加の機会確保が共通の課題として取り組まれている。 立地地域へのアウトリーチ活動(コミュニケーション強化の取り組み)としては、先進的な取り組みが イギリス、フランス、スウェーデンにみられる。イギリスでは、立地地域と関係者のコミュニケーション ツールとして自治体関係者等が定期的に集うステークホルダーグループ会議が開催されており、SSG や LCLC、LLC と呼ばれる会議体が存在する。これらの会議体は、ボランタリーな組織ではあるものの、 NDA が策定したガイドラインに沿った運営が求められており、施設に対する地域住民の監視や、重要案 件に関する立地地域との協議等を行っている。同様の組織は、フランスにも存在する。フランスには、高 レベル放射性廃棄物処分場の立地に際して、CLIS が設置され、事業者と地域住民間のコミュニケーショ ンの場として活用されている。イギリスと異なる点は、CLIS は TSN 法によってその設置や活動資金の拠 出方法が規定されている点である。また、スウェーデンには、オスカーシャム・モデルと呼ばれる、環境 団体を交えた、自治体、規制機関、事業者の協議体制がある。協議に参加する自治体側に常に拒否権があ ったこと、時間的制約が設けられなかったことから、すべての関係者が議論に参加した上で十分な議論が 尽くされ、最終処分場の決定まで至ったとされる。 バックエンド関連施設の立地地域に対して、日本ではいわゆる電源三法(電源開発促進税法、特別会計 に関する法律、発電用施設周辺地域整備法)に基づく交付金や補助金が、交付されている。ユッカマウン テン最終処分場建設計画が中止となったアメリカでは、1982 年放射性廃棄物政策法(及び 1987 年の改訂 法)に立地地域への資金給付といった地域振興策が規定されているものの、処分場選定の新たな手法策定 に合わせて、今後再度検討が進められることとなっている。イギリスでは、地域振興のための方策は地域 のニーズ、金額の妥当性等を考慮しながら協議の進展に合わせて立地地域、政府、NDA の間で協議しな がら策定するという方針である。フランスでは、地下研究所・地層処分場の設置及び操業の推進等を行う 公共事業共同体と呼ばれる組織が設置され、その財源についても法律に規定がなされている。ドイツには、 低中レベル放射性廃棄物処分場の立地地域について、地域振興を目的とした財団が設置され、事業者と連 邦政府は当該財団を通して資金を拠出する仕組みがある。スイスは現時点で地域振興を目的とした法的枠 組みはないものの、サイト確定後に交付金として検討することを明文化している。スウェーデンでは電気 事業者が拠出する廃棄物基金の一部が地域における協議活動資金として使われており、その活動資金は協 議に参加する全てのステークホルダー、例えば環境保護団体にも提供されている。フィンランドでは、発 電所や処分場といった原子力施設が立地する自治体に対して、固定資産税の税制優遇措置が設けられてい る。また、処分場立地に関しては立地自治体と事業者が協力協定を締結し、その中で高齢者向けホーム施 設建設の資金を貸与している。

(6)

2

総じて、調査対象諸国の制度は日本の交付金・補助金の概念とは若干異なり、地域住民の主体的な関与 がより強い枠組みとなっている。

第3 章では、バックエンド関連事業の立地地域や周辺自治体への経済的影響に関する調査研究事例を整

理している。諸外国では、「Socio-economic impact(社会経済的影響)」あるいは「Induced effect(波及

効果)」として関連する調査研究が実施されている。 アメリカでは、廃止措置が完了した原子炉が11 基存在し、廃止措置中の原子炉も数多くあることから、 原子炉の廃止措置ないしは発電所の閉鎖による立地地域への経済影響に関する調査研究が数多く実施され ている。アメリカの調査研究事例では、ほぼすべての立地地域において原子力発電所が州や自治体の経済 を支えているため、廃止措置のため一定程度の雇用等は維持されるものの、発電所閉鎖によって大規模な 直接・間接雇用の喪失や、人口の移動による地域経済の縮小が指摘されている。また、先行研究では、発 電所の閉鎖は免れないため、自治体が発電所閉鎖後の経済刺激策を検討することや、発電所閉鎖に備えた 立地地域間の情報交換や協力が望まれると指摘される。イギリスでは、NDA が、核燃料サイクル事業、 廃止措置関連事業、最終処分事業に係る社会経済的影響に関する報告書を多数発表している。これは、2004 年エネルギー法において、事業プログラムを行う際の社会経済的影響を考慮し自治体の社会経済的な便益 を支援することがNDA に求められており、イギリス政府が NDA へ経済影響を緩和するための役割を与 えているからである。調査研究では、核燃料サイクル施設や処分場は、立地地域に長年にわたる雇用創出 やそれにともなう地域経済の活性化、産業やインフラ投資のスピンオフ効果が期待できるといったプラス の経済影響をもたらすことが指摘されている。また、廃止措置関連事業については、アメリカと同様に発 電所の閉鎖によって直接・間接雇用が喪失され、代替経済活動がなければ多くの人口が地域外に移転して しまう可能性が分析結果として示されている。そこから、廃止措置作業が減少した後に有望と考えられる 産業の検討等まで実施している点に特徴がみられる。フランスの調査研究事例では、原子力施設は雇用を 創出し、経済活動を支え、自治体に税収をもたらすという点で、直接的なプラスの影響をフランスの社会 経済に及ぼしており、フランスにおける原子力産業の経済上の重要性について指摘している。 これらの諸外国における先行事例は、これから原子炉の廃止措置と最終処分場の選定を進めなければな らない日本にとって、参考となる点が非常に多い。例えば、スウェーデンのオスカーシャム・モデルにお いて自治体側に常時拒否権が保証されたことが最終処分場合意に至った要因であること、イギリスやドイ ツ、スイス等において原子炉・核燃料サイクル施設の運転終了後にも長期にわたる代替産業や雇用の創出 に重点が置かれていること等を十分に精査し、日本の取り組みに活かしていくことが、日本が今後も原子 力発電とそれに付随するバックエンド事業に関する国民の理解と合意を得て行くで不可欠といえよう。

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3

第 1 章

(8)

4

1.

アメリカ

1-1 基本的な電力事情と発電用原子炉の実態

1-1-1 一次エネルギー供給構成

表1-1 一次エネルギー需給バランス

(出所) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition

表1-2 エネルギー源別消費動向

(出所) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition

COUNTRY: United States (2013年、Mtoe)

石油 ガス 石炭 原子力 水力 再生可能エネルギー等 合計 国内生産 461 565 479 214 23 117 1,859 輸入 522 67 5 0 0 5 599 輸出 203 36 68 0 0 1 308 在庫変動 5 12 19 0 0 0 36 一次供給 785 607 435 214 23 122 2,187 シェア 36% 28% 20% 10% 1% 6% 100%

COUNTRY: United States (Mtoe)

石油 ガス 石炭 原子力 水力 その他 合計 2009 801 535 485 216 24 103 2,165 2010 806 556 503 219 23 110 2,215 2011 786 569 479 214 28 116 2,191 2012 771 596 425 209 24 116 2,141 2013 785 607 435 214 23 122 2,187 シェア 36% 28% 20% 10% 1% 6% 100% '13/'12 1.7% 2.0% 2.4% 2.6% -2.6% 4.9% 2.2%

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5 1-1-2 電力供給構成

図1-1 発電電力量構成(2013 年)

(出所) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition

アメリカは、国内の豊富な石炭を用いた石炭火力発電を古くから利用してきた。2009 年以降のいわゆ る「シェール革命」によって国内の天然ガス生産が大幅に拡大したこと、気候変動対策として石炭火力の 代替が進められていることから、発電構成に占める天然ガス火力発電のシェアが、近年急増している。

(出所) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition 石炭 40% 石油 1% 天然ガス 27% 原子力 19% 水力 6% その他 7%

Country: United States

2013年

4,274

TWh

COUNTRY: United States 単位:ktoe

1973 1980 1990 2000 2005 2010 2012 輸入 1,449 2,596 1,936 4,179 3,829 3,877 5,096 輸出 -221 -298 -1,765 -1,262 -1,703 -1,643 -1,032 発電 169,034 208,750 275,442 346,226 367,124 374,474 367,286 (発電構成)  石炭 46% 51% 53% 53% 50% 46% 38%  石油 17% 11% 4% 3% 3% 1% 1%  天然ガス 19% 15% 12% 16% 18% 23% 30%  原子力 5% 11% 19% 20% 19% 19% 19%  水力 14% 11% 9% 6% 6% 6% 7%  その他再生可能エネ 0% 0% 3% 2% 3% 4% 6%

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6 1-1-3 電力輸出入構成

アメリカは、主にカナダと電力の輸出入を行っている。

図1-2 アメリカの電力輸出入の推移

(出所) EIA, Electric Power Annual 2015

1-1-4 エネルギー価格動向 表1-3 アメリカの電力・ガス価格(税込み) 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 電力 (US$/MWh) 産業用 68.1 67.9 68.2 66.7 68.2 家庭用 115.1 115.8 117.2 118.8 121.2 ガス (US$/MWh GCV) 産業用 17.59 17.83 16.89 12.83 15.39 家庭用 40.04 36.95 36.41 35.32 34.05

(出所) IEA, Energy prices and taxes, 2014 年 2Q

1-1-5 国内商業用原子炉一覧 アメリカ国内には、100 基の商業用原子炉が稼働中であり、5 基の原子炉が建設中、さらに 5 基が計画 中となっている(2014 年末時点)。アメリカ国内商業用原子炉一覧を表 1-4~1-7 に示す。 表1-4 アメリカの商業用発電所一覧(PWR、稼働中) -80 -60 -40 -20 0 20 40 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 TW h メキシコ輸出 メキシコ輸入 カナダ輸出 カナダ輸入 純輸出

(11)

7

Name Type Status Location Reference Unit

Power [MW]

Gross Electrical Capacity [MW]

First Grid Connection

ANO-1 PWR Operational POPE 836 903 1974/8/17

ANO-2 PWR Operational POPE 993 1065 1978/12/26

BEAVER VALLEY-1 PWR Operational SHIPPINGPORT 921 959 1976/6/14

BEAVER VALLEY-2 PWR Operational SHIPPINGPORT 885 958 1987/8/17

BRAIDWOOD-1 PWR Operational BRAIDWOOD 1178 1242 1987/7/12

BRAIDWOOD-2 PWR Operational BRAIDWOOD 1152 1210 1988/5/25

BYRON-1 PWR Operational BYRON 1164 1242 1985/3/1

BYRON-2 PWR Operational BYRON 1136 1210 1987/2/6

CALLAWAY-1 PWR Operational FULTON 1215 1275 1984/10/24

CALVERT CLIFFS-1 PWR Operational LUSBY 866 918 1975/1/3

CALVERT CLIFFS-2 PWR Operational LUSBY 850 911 1976/12/7

CATAWBA-1 PWR Operational YORK COUNTY 1146 1188 1985/1/22

CATAWBA-2 PWR Operational YORK COUNTY 1146 1188 1986/5/18

COMANCHE PEAK-1 PWR Operational GLEN ROSE 1209 1259 1990/4/24

COMANCHE PEAK-2 PWR Operational GLEN ROSE 1197 1250 1993/4/9

COOK-1 PWR Operational BRIDGMAN 1030 1100 1975/2/10

COOK-2 PWR Operational BRIDGMAN 1077 1151 1978/3/22

DAVIS BESSE-1 PWR Operational OTTAWA 894 925 1977/8/28

DIABLO CANYON-1 PWR Operational AVILA BEACH 1122 1197 1984/11/11

DIABLO CANYON-2 PWR Operational AVILA BEACH 1118 1197 1985/10/20

FARLEY-1 PWR Operational DOTHAN 874 918 1977/8/18

FARLEY-2 PWR Operational DOTHAN 883 928 1981/5/25

FORT CALHOUN-1 PWR Operational FORT CALHOUN 482 512 1973/8/25

GINNA PWR Operational ONTARIO 580 608 1969/12/2

HARRIS-1 PWR Operational NEW HILL 928 960 1987/1/19

INDIAN POINT-2 PWR Operational BUCHANAN 1020 1067 1973/6/26

INDIAN POINT-3 PWR Operational BUCHANAN 1040 1085 1976/4/27

MCGUIRE-1 PWR Operational CORNELIUS 1158 1215 1981/9/12

MCGUIRE-2 PWR Operational CORNELIUS 1158 1215 1983/5/23

MILLSTONE-2 PWR Operational WATERFORD 869 918 1975/11/9

MILLSTONE-3 PWR Operational WATERFORD 1218 1280 1986/2/12

NORTH ANNA-1 PWR Operational MINERAL 943 990 1978/4/17

NORTH ANNA-2 PWR Operational MINERAL 943 1011 1980/8/25

OCONEE-1 PWR Operational OCONEE 846 891 1973/5/6

OCONEE-2 PWR Operational OCONEE 846 891 1973/12/5

OCONEE-3 PWR Operational OCONEE 846 891 1974/9/18

PALISADES PWR Operational SOUTH HAVEN 793 845 1971/12/31

PALO VERDE-1 PWR Operational WINTERSBURG 1311 1414 1985/6/10

PALO VERDE-2 PWR Operational WINTERSBURG 1314 1414 1986/5/20

PALO VERDE-3 PWR Operational WINTERSBURG 1312 1414 1987/11/28

POINT BEACH-1 PWR Operational TWO CREEKS 591 640 1970/11/6

POINT BEACH-2 PWR Operational TWO CREEKS 591 640 1972/8/2

PRAIRIE ISLAND-1 PWR Operational RED WING 522 566 1973/12/4

PRAIRIE ISLAND-2 PWR Operational RED WING 518 560 1974/12/21

ROBINSON-2 PWR Operational HARTSVILLE 741 780 1970/9/26

SALEM-1 PWR Operational SALEM 1168 1254 1976/12/25

SALEM-2 PWR Operational SALEM 1158 1200 1981/6/3

SEABROOK-1 PWR Operational SEABROOK 1246 1296 1990/5/29

SEQUOYAH-1 PWR Operational DAISY 1152 1221 1980/7/22

SEQUOYAH-2 PWR Operational DAISY 1125 1200 1981/12/23

SOUTH TEXAS-1 PWR Operational BAY CITY 1280 1354 1988/3/30

SOUTH TEXAS-2 PWR Operational BAY CITY 1280 1354 1989/4/11

ST. LUCIE-1 PWR Operational FORT PIERCE 982 1045 1976/5/7

ST. LUCIE-2 PWR Operational FORT PIERCE 987 1050 1983/6/13

SUMMER-1 PWR Operational JENKINSVILLE 971 1006 1982/11/16

SURRY-1 PWR Operational GRAVEL NECK 838 890 1972/7/4

SURRY-2 PWR Operational GRAVEL NECK 838 890 1973/3/10

THREE MILE ISLAND-1 PWR Operational DAUPHIN 819 880 1974/6/19

TURKEY POINT-3 PWR Operational FLORIDA CITY 802 829 1972/11/2

TURKEY POINT-4 PWR Operational FLORIDA CITY 802 829 1973/6/21

VOGTLE-1 PWR Operational WAYNESBORO 1150 1229 1987/3/27

VOGTLE-2 PWR Operational WAYNESBORO 1152 1229 1989/4/10

WATERFORD-3 PWR Operational TAFT 1168 1250 1985/3/18

WATTS BAR-1 PWR Operational SPRING CITY 1123 1210 1996/2/6

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8

表1-5 アメリカの商業用発電所一覧(BWR、稼働中)

表1-6 アメリカの商業用発電所一覧(新規建設)

Name Type Status Location Reference Unit

Power [MW]

Gross Electrical Capacity [MW]

First Grid Connection

BROWNS FERRY-1 BWR Operational DECATUR 1101 1155 1973/10/15

BROWNS FERRY-2 BWR Operational DECATUR 1104 1155 1974/8/28

BROWNS FERRY-3 BWR Operational DECATUR 1105 1155 1976/9/12

BRUNSWICK-1 BWR Operational SOUTHPORT 938 990 1976/12/4

BRUNSWICK-2 BWR Operational SOUTHPORT 920 960 1975/4/29

CLINTON-1 BWR Operational HART TOWNSHIP 1065 1098 1987/4/24

COLUMBIA BWR Operational BENTON 1107 1173 1984/5/27

COOPER BWR Operational BROWNVILLE 768 801 1974/5/10

DRESDEN-2 BWR Operational MORRIS 883 926 1970/4/13

DRESDEN-3 BWR Operational MORRIS 867 890 1971/7/22

DUANE ARNOLD-1 BWR Operational PALO 601 624 1974/5/19

FERMI-2 BWR Operational LAGOONA BEACH 1037 1100 1986/9/21

FITZPATRICK BWR Operational OSWEGO 813 849 1975/2/1

GRAND GULF-1 BWR Operational PORT GIBSON 1419 1500 1984/10/20

HATCH-1 BWR Operational BAXLEY 876 911 1974/11/11

HATCH-2 BWR Operational BAXLEY 883 921 1978/9/22

HOPE CREEK-1 BWR Operational SALEM 1172 1240 1986/8/1

LASALLE-1 BWR Operational MARSEILLES 1137 1207 1982/9/4

LASALLE-2 BWR Operational MARSEILLES 1140 1207 1984/4/20

LIMERICK-1 BWR Operational LIMERICK 1130 1194 1985/4/13

LIMERICK-2 BWR Operational LIMERICK 1134 1194 1989/9/1

MONTICELLO BWR Operational MONTICELLO 578 613 1971/3/5

NINE MILE POINT-1 BWR Operational SCRIBA 621 642 1969/11/9

NINE MILE POINT-2 BWR Operational SCRIBA 1276 1320 1987/8/8

OYSTER CREEK BWR Operational FORKED RIVER 619 652 1969/9/23

PEACH BOTTOM-2 BWR Operational YORK COUNTY 1125 1182 1974/2/18

PEACH BOTTOM-3 BWR Operational YORK COUNTY 1138 1182 1974/9/1

PERRY-1 BWR Operational PERRY 1256 1303 1986/12/19

PILGRIM-1 BWR Operational PLYMOUTH 677 711 1972/7/19

QUAD CITIES-1 BWR Operational CORDOVA 908 940 1972/4/12

QUAD CITIES-2 BWR Operational CORDOVA 911 940 1972/5/23

RIVER BEND-1 BWR Operational ST.FRANCISVILLE 967 1016 1985/12/3

SUSQUEHANNA-1 BWR Operational SALEM 1257 1330 1982/11/16

SUSQUEHANNA-2 BWR Operational SALEM 1257 1330 1984/7/3

Name Type Status Location Reference Unit

Power [MW]

Gross Electrical Capacity [MW]

First Grid Connection

SUMMER-2 PWR Under Construction JENKINSVILLE 1117 1250

-SUMMER-3 PWR Under Construction JENKINSVILLE 1117 1250

-VOGTLE-3 PWR Under Construction WAYNESBORO 1117 1250

-VOGTLE-4 PWR Under Construction WAYNESBORO 1117 1250

(13)

-9

表1-7 アメリカの商業用発電所一覧(閉鎖)

(出所) IAEA, Power Reactor Information System より作成

Name Type Status Location Reference Unit

Power [MW]

Gross Electrical Capacity [MW]

First Grid Connection

BIG ROCK POINT BWR Permanent Shutdown CHARLEVOIX 67 71 1962/12/8

BONUS BWR Permanent Shutdown Rincon 17 18 1964/8/14

CRYSTAL RIVER-3 PWR Permanent Shutdown 860 890 1977/1/30

CVTR PHWR Permanent Shutdown Parr 17 19 1963/12/18

DRESDEN-1 BWR Permanent Shutdown MORRIS 197 207 1960/4/15

ELK RIVER BWR Permanent Shutdown 22 24 1963/8/24

FERMI-1 FBR Permanent Shutdown LAGOONA BEACH 61 65 1966/8/5

FORT ST. VRAIN HTGR Permanent Shutdown PLATTEVILLE 330 342 1976/12/11 GE VALLECITOS BWR Permanent Shutdown Pleasanton, Sunol 24 24 1957/10/19

HADDAM NECK PWR Permanent Shutdown HADDAM NECK 560 603 1967/8/7

HALLAM X Permanent Shutdown Lincoln 75 84 1963/9/1

HUMBOLDT BAY BWR Permanent Shutdown EUREKA 63 65 1963/4/18

INDIAN POINT-1 PWR Permanent Shutdown BUCHANAN 257 277 1962/9/16

KEWAUNEE PWR Permanent Shutdown CARLTON 566 595 1974/4/8

LACROSSE BWR Permanent Shutdown GENOA 48 55 1968/4/26

MAINE YANKEE PWR Permanent Shutdown WISCASSET 860 900 1972/11/8

MILLSTONE-1 BWR Permanent Shutdown WATERFORD 641 684 1970/11/29

PATHFINDER BWR Permanent Shutdown 59 63 1966/7/25

PEACH BOTTOM-1 HTGR Permanent Shutdown YORK COUNTY 40 42 1967/1/27

PIQUA X Permanent Shutdown Piqua 12 12 1963/7/1

RANCHO SECO-1 PWR Permanent Shutdown SACRAMENTO 873 917 1974/10/13 SAN ONOFRE-1 PWR Permanent Shutdown SAN CLEMENTE 436 456 1967/7/16 SAN ONOFRE-2 PWR Permanent Shutdown SAN CLEMENTE 1070 1127 1982/9/20 SAN ONOFRE-3 PWR Permanent Shutdown SAN CLEMENTE 1080 1127 1983/9/25

SAXTON PWR Permanent Shutdown 3 3 1967/3/1

SHIPPINGPORT PWR Permanent Shutdown 60 68 1957/12/2

SHOREHAM BWR Permanent Shutdown SHOREHAM 820 849 1986/8/1

THREE MILE ISLAND-2 PWR Permanent Shutdown DAUPHIN 880 959 1978/4/21

TROJAN PWR Permanent Shutdown PRESCOTT 1095 1155 1975/12/23

VERMONT YANKEE BWR Permanent Shutdown VERNON 605 635 1972/9/20

YANKEE NPS PWR Permanent Shutdown ROWE 167 180 1960/11/10

ZION-1 PWR Permanent Shutdown ZION 1040 1085 1973/6/28

(14)

10 1-1-6 原子力発電所運転実績

図1-3 アメリカの原子力発電所設備容量と発電量の推移

(出所) IAEA, Power Reactor Information System

図1-4 アメリカの原子力発電所の設備利用率の推移 (出所) IAEA, Power Reactor Information System

0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 1985 1990 1995 2000 2005 2010 TWh MW 設備容量 発電量 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1985 1990 1995 2000 2005 2010 設備利用率

(15)

11

図1-5 アメリカの原因別運転停止時間の推移

(出所) IAEA, Operating Experience data

1-2 バックエンド関連事業政策の状況 1-2-1 バックエンド関連政策

アメリカでは1970 代に再処理を放棄して以来、将来的には最終処分場(地層処分)建設を目指しなが

らも、中間貯蔵で対応してきた。発電用原子炉等で発生した使用済燃料、核兵器開発・製造や再処理施設 で発生した高レベル放射性廃棄物の地層処分地の準備として「1982 年放射性廃棄物政策法」が制定され、 エネルギー省(Department of Energy: DOE)が最終処分場候補地としてネバダ州ユッカマウンテンの特 性調査を進め、2002 年 7 月には連邦議会で立地が承認された。2020 年からの操業開始を目指して、2008 年9 月以来、処分場の建設許可に関する安全審査が原子力規制委員会(United States Nuclear Regulatory Commission: NRC)で行われていたが、地元ネバダ州の反対は根強く、オバマ政権は 2009 年にユッカマ ウンテンでの建設計画を凍結した。その後DOE は 2010 年 3 月に許認可申請の取り下げ申請を行い、米 国の長期的高レベル放射性廃棄物管理戦略は見直されることになった。

その上で、DOE の諮問機関であるブルーリボン委員会(Blue Ribbon Commission for American Nuclear Future)が使用済燃料の処分問題に関する検討を続けてきた。同委員会は 2012 年 1 月に最終報 告書をDOE に提出。その中で、①速やかな恒久的地層処分施設開発の進展、②廃棄物管理計画の策定、 実施機関の創設、③処分施設の立地・開発に関して、同意に基づく、科学的根拠に依拠した新たなアプロ ーチの導入、④速やかな集中中間貯蔵施設の設置、⑤先進炉や核燃料サイクル技術に対する研究・開発・ 実証のための政府による支援等を提言している。 2013 年 1 月には、DOE が「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」を公表し、ブル ーリボン委員会の最終報告書で示された基本的な考え方に沿った実施可能な枠組みが示された。具体的に は、以下のようなスケジュールを立てている。①2021 年までに、閉鎖された原子炉からの使用済燃料の受 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 1990 1995 2000 20052006 2007 20082009 2010 2011 2012 2013 hours 補修&燃料交換 補修 その他 装置トラブル 燃料交換 補修&燃料交換 その他 外部要因 計 画 内 計 画 外 外 部 要 因

(16)

12 け入れに焦点を当て、パイロット規模の中間貯蔵施設の立地、設計と許認可、建設と操業を開始する、② 2025 年までに、より大規模な中間貯蔵施設を建設、③2048 年までに地層処分場を実現できるように処分 場のサイト選定とサイト特性調査を進める、というものである。 1-2-2 バックエンド関連法令 バックエンド事業に関連する法令を以下に示す。主要な法令は、「1982 年放射性廃棄物政策法(1987 年修正)」である。 図1-6 アメリカにおける処分事業に関する法律 (出所) (公財)原子力環境整備促進・資金管理センター 1-3 バックエンド事業関連プレーヤー 1-3-1 廃止措置 表1-4~1-7 に示したとおり、アメリカではこれまでに 33 基の原子炉が閉鎖され、うち 16 基が PWR、 11 基が BWR、6 基がその他の炉型(重水冷却圧力管型炉、高速増殖炉、高温ガス炉)となっている。各 原子炉の所有者は、Exelon や Dominion をはじめとする各事業者である。廃止措置に関する規制は、NRC

(17)

13 が管轄する。 1-3-2 再処理 アメリカには商業用再処理施設が存在しない。核兵器用プルトニウムの生産が行われていたワシントン 州ハンフォードの化学分離工場、サウスカロライナ州サバンナリバー・サイトやアイダホ化学処理プラン トは、すべてDOE が所有している。 1-3-3 MOX 燃料成型加工 2015 年 1 月現在、MOX 燃料製造工場がサバンナリバー・サイトで建設中である。ただし、同工場は余 剰核弾頭の兵器級プルトニウムを処分するためのものであり、DOE の国家核安全保障局(National Nuclear Security Administration: NNSA)が所有する。

1-3-4 放射性廃棄物処分

アメリカでは、1982 年放射性廃棄物政策法の第 111 条によって、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃

料の処分の責任は連邦政府にあると規定されている。具体的には、DOE が処分の実施主体として定めら

れており、同法第304 条の規定により DOE 内部に設置された民間放射性廃棄物管理局(Office of Civilian Radioactive Waste Management: OCRWM)が施策の実施に当たる。民間放射性廃棄物管理局は、ユッ カマウンテン計画中止の方針にともなってDOE の原子力局(Office of Nuclear Energy: NE)がその責任 を引き継いでいる。

図1-7 アメリカの処分実施体制

(18)

14 1-4 バックエンド事業概要 1-4-1 再処理 アメリカでは、マンハッタン計画において使用済み核燃料(ここでは核兵器用プルトニウムの生産炉で 天然ウラン金属燃料を照射したもの)からプルトニウムを回収するための再処理技術を開発し、その後、 冷戦終結後の1990 年代まで、ワシントン州ハンフォードの化学分離工場及びサウスカロライナ州サバン ナリバー・サイトにおいて、核兵器用プルトニウム生産のための再処理を行っていた。また、アイダホ化 学処理プラントでは、同じく1990 年代まで、各種の軍用炉の使用済燃料から高濃縮ウラン及びプルトニ ウムを回収することを目的とした再処理が行われていた。 1960~1970 年代には、軍用の再処理技術に基づいた軽水炉使用済燃料再処理工場の建設、操業が行わ れたが、カーター政権による核不拡散政策の一環として、1977 年に商業用再処理を禁止する政策が決定さ れた。その後1981 年のレーガン大統領令で再処理凍結は解除されたものの、現在に至るまで軽水炉の使 用済燃料は再処理せず、高レベル放射性廃棄物として直接処分する方針がとられている。 アメリカには商業用再処理施設はないものの、マンハッタン計画から始まった米国の再処理技術開発は、 主に国立研究所において継続的に研究開発が行われ、一定の技術基盤が維持されている。そのため、1980

年代以降は、金属燃料高速炉と高温冶金法(乾式)再処理を組み合わせたIFR 計画(Integral Fast Reactor, 1984-1994)、マイナーアクチニドの回収・変換による放射性廃棄物の毒性低減などをねらった ATW 計画 (Accelerator Transmutation of Waste)、新型炉と先進的核燃料サイクルの開発をめざした GNEP (Global Nuclear Energy Partnership, 2002-2009)など、種々の枠組みによって、将来の実用化をめざ した先進的な再処理技術、廃棄物処理技術、核燃料技術などの研究開発が行われてきた。 1-4-2 MOX 燃料成型加工 アメリカのMOX 燃料加工施設一覧を表 1-8 に、MOX 燃料加工施設位置図を図 1-8 に示す。 表1-8 アメリカの MOX 燃料加工施設一覧 (出所) 世界の原子力開発の動向2014 年版 生産量累計 2011 2012 2013 2013 アメリカ DOE/NNSA MOX Fuel Fabrication Facility (MFFF) サウスカロライナ州

サバンナリバー 70 - - - - 建設中

国名 会社名 施設名 所在地 製造能力

(tHM/年)

生産量実績

(19)

15

図1-8 アメリカの MOX 燃料加工施設位置図

(出所) Google map

現在、サバンナリバー・サイトでMOX 燃料製造工場の建設が進行中である。1999 年に、DOE の NNSA が、余剰核弾頭の兵器級プルトニウムを用いたMOX 燃料製造工場の建設契約を、現在の Shaw-AREVA MOX Service 社と結んだ。施設の設計は、AREVA NC 社 MELOX 施設の設計に基づくものであり、プル トニウムを精製し、ウラン酸化物と混合して、プルトニウム富化度数%の軽水炉用 MOX 燃料を製造する。 二酸化ウランと二酸化プルトニウム混合物の粉末化には、高富化度の混合物をボールミルで粉末化した後 に二酸化ウラン粉末を加えるMIMAS 法が採用されている。年間約 3.5tHM の兵器級プルトニウムを処理 し、約70tHM の軽水炉用 MOX 燃料を製造する1 NRC によれば、2001 年に建設ライセンスの申請が行われ、NRC は 2005 年に建設認可を承認した。 2007年から建設が開始されている2操業のライセンスは20年で、2030年代までの操業を予定している3 1-4-3 使用済燃料貯蔵施設 (a) 経緯 アメリカは、使用済燃料を再処理せず、直接処分を行う事を基本方針としている。1982 年放射性廃棄 物政策法によれば、DOE が建設する高レベル廃棄物処分場への発電所からの使用済燃料の輸送は、1998 年1 月 31 日までに開始される規定であった。しかし処分場建設計画は大幅に遅れ、DOE は 2008 年に、 ネバダ州ユッカマウンテンにおける高レベル廃棄物処分場の建設計画に関して、NRC に事業許可申請を 提出した。3 年から 4 年を要するとされたこの申請の結果を待つことなく、2009 年にオバマ政権はユッカ マウンテンに反対の方針を表明し、2010 年に事業許可申請は取り下げられた。その後、バックエンド対策 の代替案を検討する「アメリカの原子力の将来に関するブルーリボン委員会」が2010 年 1 月に設置され、 2012 年 1 月に最終報告書がとりまとめられた。(詳細は、1-4-6 を参照)

1 Shaw-AREVA MOX Service 社 HP、http://www.moxproject.com/about/

2 NRC ウェブサイト、http://www.nrc.gov/materials/fuel-cycle-fac/mox/licensing.html 3 Shaw-AREVA MOX Service 社 HP、http://www.moxproject.com/about/

(20)

16 (b) 貯蔵状況 使用済燃料は、各発電所のプール等に貯蔵されていたが、上述のとおり最終処分場の操業開始が遅れて いることから、乾式貯蔵施設の設置が各サイトで進められており、現在56 のサイトで乾式貯蔵施設が設 置されている。乾式貯蔵施設の位置を図1-9 に示す。アメリカの乾式貯蔵施設には、許認可上の貯蔵容量 限度は設定されていない。 図1-9 アメリカの使用済燃料中間貯蔵施設位置図 (出所) NRC ウェブサイト (c) 貯蔵に関する許認可

これらの中間貯蔵施設は、「独立使用済燃料貯蔵施設(Independent Spent Fuel Storage Installation: ISFSI)」として認可を受け、貯蔵されるケースが多い。ISFSI の認可に必要な手続き及び条件等は、10 CFR Part 72「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の独立貯蔵に関する認可要件」で規定されており、乾式貯 蔵施設の審査は、NUREG-1536「乾式キャスク貯蔵システムの標準審査指針」及び NUREG-1567「乾式 キャスク貯蔵施設の標準審査指針」に基づいて実施される。ISFSI として認可を受ける場合、原子炉とし ての認可を受けているサイト内において、その炉から取り出された燃料をNRC の認可を受けているキャ スクを使用して貯蔵する場合は、申請者は事前届出のみで認可される。また、安全解析書(Safety Analysis Report: SAR)や安全評価書(Safety Evaluation Report: SER)を必要とせず、パブリックコメントの期

間も設けられておらず、許認可手続きの時間と費用は大幅に軽減されている。この認可方法は、1990 年か

ら採用されている410 CFR Part 72 に基づき、ISFSI の認可期間は 20 年とされていたが、最終処分場建

4 ATOMICA、アメリカの使用済燃料の中間貯蔵 (14-04-01-27)、

(21)

17

設の目途が立たず、中間貯蔵施設から使用済燃料の搬出ができない状況が続いている。そのため、10 CFR

Part 72.42 (a)の規定に基づき、いくつかの施設では認可期間の 40 年への延長が申請され、許可されてい る。

(d) 敷地外貯蔵施設

1997 年 6 月、民間企業の PFS(Private Fuel Storage LLC)により、敷地外乾式使用済燃料貯蔵施設 (Private Fuel Storage Facility: PFSF)の建設が、ユタ州トゥーエル郡ゴシュート・インディアン居留 地、スカルバレーで計画された。2001 年 12 月に最終修正安全評価書が、2002 年 1 月に最終環境影響評 価書がNRC から発行され安全審査が開始されたが、2012 年 12 月、計画は中止されることとなった5。中 止の理由としては、建設許可証の条件である資金確保がなされていないこと、建設許可証の条件である使 用済燃料に関する全費用を顧客に転嫁する契約が締結されなかったこと、建設予定地がインディアン居留 地にあり内務省の承認を得られなかったことが挙げられる6 なお、DOE の諮問機関であるブルーリボン委員会は、2012 年 1 月に提出した最終報告書で、「速やか な集中中間貯蔵施設の設置」を提言している。また2013 年 1 月に DOE が公表した「使用済燃料及び高 レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」では、「2021 年までに、閉鎖された原子炉からの使用済燃料の受 け入れに焦点を当て、パイロット規模の中間貯蔵施設の立地、設計と許認可、建設と操業を開始」し、「2025 年までに、より大規模な中間貯蔵施設を建設」することが計画されており、今後集中貯蔵施設の立地検討 が進められるものと考えられる。 1-4-4 商業用発電所・サイクル施設(実験炉等)廃止措置 表1-4~1-7 で示したとおり、アメリカではこれまでに 33 基の原子炉が閉鎖され、うち 16 基が PWR、 11 基が BWR、6 基がその他の炉型(重水冷却圧力管型炉、高速増殖炉、高温ガス炉)である。NRC によ ると、11 基の廃止措置が完了している7 1-4-5 中・低レベル放射性廃棄物処分場 アメリカの放射性廃棄物処理施設一覧を表1-9 に、放射性廃棄物処理施設位置図を図 1-10 に示す。 表1-9 アメリカの放射性廃棄物処理施設一覧 (出所) (公財)原子力環境整備促進・資金管理センター、WCS テキサスウェブサイト、埋設量は Manifest

Information Management System による搬入量。総埋設量は、IAEA NEWMDB の 2010 年総埋

設量に2011 年~2013 年の搬入量を加えた値であり、正確ではない。 5 NRC ウェブサイト、http://pbadupws.nrc.gov/docs/ML1235/ML12356A063.pdf 6 諸外国での高レベル放射性廃棄物処分、http://www2.rwmc.or.jp/nf/?p=8244 7 NRC ウェブサイト、http://www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/fact-sheets/decommissioning.html 総埋設量(m3) 2011 2012 2013 2013 DOE(エネルギー省) ネバダ州、ユッカマウンテン(現政権は中止方針) ガラス固化体、使用済燃料 深地層(凝灰岩:ユッカマウンテン) 70,000t - - - -USエコロジー ワシントン州、リッチランド 低レベル(クラスA~C) 素掘トレンチ 1,700,000 1,212 665 707 398,964 ケム・ニュークリアシステム サウスカロライナ州、バーンウェル 低レベル(クラスA~ C) 素掘トレンチ 880,000 329 325 218 798,283 エネルギーソリューションズ ユタ州、クライブ 低レベル(クラスA) 処分セル 8,827,000 49,720 79,756 34,291 4,528,289 Waste Control Specialists (WCS

テキサス) テキサス州、アンドリューカウンティ 低レベル(クラスA~ C) 素掘トレンチ 51,051 - - - -アメリカ 埋設量実績(m3) 国名 会社名 所在地 対象廃棄物 処分方法 埋設規模(m3)

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18 図1-10 アメリカの放射性廃棄物処理施設位置図 (出所) Google map リッチランド処分場は、US Ecology 社が操業する低レベル放射性廃棄物処分場である。リッチランド 処分場では、クラス A~C までの放射性廃棄物を受入れており、素掘トレンチによる処分である。1965 年に操業を開始しており、埋設規模は1,700,000m3である。2013 年の搬入量は 707m324,959ft3)であ る。

バーンウェル処分場は、Chem Nuclear Systems 社が操業する低レベル放射性廃棄物処分場である。バ

ーンウェル処分場では、クラスA~C までの放射性廃棄物を受入れており、素掘トレンチによる処分であ る。1971 年に操業を開始しており、埋設規模は 880,000m3である。2013 年の搬入量は 218m3(7,706ft3 である。 クライブ処分場は、Energy Solutions 社が操業する低レベル放射性廃棄物処分場である。クライブ処分 場では、クラスA の放射性廃棄物のみを受入れており、処分セルによる処分を行っている。1988 年に操 業を開始しており、埋設規模は8,827,000m3である。2013 年の搬入量は 34,291m3(1,210,988ft3)であ る8

アンドリューカウンティ(WCS テキサス)処分場は、Waste Control Specialists Texas が操業する低 レベル放射性廃棄物処分場である。WCS テキサス処分場では、クラス A~C までの放射性廃棄物を受け 入れている。2012 年 4 月より、廃棄物の受け入れを開始した、アメリカでもっとも新しい処分場である。 許認可上の埋設規模は、1,802,865ft351,051m3)である9 1-4-6 高レベル放射性廃棄物処分場 (a) 商業用原子力発電所から発生する高レベル放射性廃棄物 アメリカでは、1982 年放射性廃棄物政策法で、DOE が処分場を開発すると定められており、DOE が 実施主体となる。なお、同法によりDOE 内に OCRWM が設置されていた。

8 IAEA NEWMDB。搬入量は、Manifest Information Management System による。 9 WCS テキサスウェブサイト、http://www.wcstexas.com/

リッチランド クライブ ユッカマウンテン

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19 DOE は、1983 年に 9 箇所の候補地点を選定され、候補サイトの環境アセスメント案が公表され、公聴 会が開催された後、1986 年に DOE はサイト特性調査の実施に適したサイトとして 5 箇所を指定、このう ち3 箇所(ユッカマウンテン、デフスミス、ハンフォード)が DOE 長官から大統領に推薦され、大統領 の承認を得た。しかし、翌1987 年には放射性廃棄物政策修正法が成立し、サイト特性調査を行う候補地 点として、ユッカマウンテンが指定される。予算削減により検討作業が遅れたものの、1998 年に DOE は ユッカマウンテンがサイトとして実現可能であることを示す報告書を公表した。ネバダ州が大統領の推薦 に対して承認しないとの通知を行ったものの、連邦議会の立地承認決議を法律とすることにより、2002 年にユッカマウンテンが正式に処分場として決定された。その後、2008 年に DOE は NRC に建設許認可 申請書を提出したが、2009 年の政権交代後に成立した民主党政権は、ユッカマウンテン計画の中止を決定。 2010 年には申請自体も取り下げられた。 ユッカマウンテン計画の中止後、バックエンド対策の代替案を検討するとの方針を受けて、DOE 長官 は、放射性廃棄物管理を含むバックエンド政策の代替案を検討する「ブルーリボン委員会」を2010 年 1 月に設置し、検討を進めた結果、2012 年 1 月に最終報告書が発表され、8 項目の勧告が行われた。8 項目 の勧告は以下のとおりである。  適応性があり、段階的で、同意に基づき、透明性があり、基準及び科学に基づいて、放射性廃棄物 管理及び処分施設のサイト選定を行い、開発するための新たなアプローチ  国内での放射性廃棄物の輸送、貯蔵及び処分のため、集中的で、統合されたプログラムを開発し、 実施するための単一の目的を有する新たな組織  放射性廃棄物管理プログラムによる、放射性廃棄物基金の残高と毎年の放射性廃棄物拠出金を放射 性廃棄物管理プログラムが利用可能であること  使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の安全な処分のための1つまたは複数の地層処分施設の開 発のための可能な限り迅速な取組  核燃料サイクルのバックエンドの管理のための計画の一部として、1つまたは複数の集中中間貯蔵 施設の開発のための可能な限り迅速な取組  集中貯蔵施設や処分場が利用可能となった際に開始される使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物 の大規模な輸送のための迅速な取組  先進的な原子炉及び核燃料サイクル技術に関する研究開発・実証のための安定した長期的なサポー ト  全世界の原子力施設及び核物質の安全性及びセキュリティを向上させるための国際的なリーダー シップ ブルーリボン委員会の最終報告書では、実施主体について、過去60 年間のアメリカの放射性廃棄物政 策の歴史を検討して、輸送、貯蔵及び処分のための集中的、統合的なプログラムを実施するため、新たな、 単一目標の組織が必要であるとの結論が示されている。具体的な法人形態としては、議会によって設立を 許可される連邦公社が最も期待できるとされ、1933 年に設立されたテネシー川流域開発公社(Tennessee Valley Authority: TVA)が既存の有用な事例とされている。 連邦公社のような法人形態の場合、①政治 的な管理の影響を受けにくい、②外部条件の変化に対応するための柔軟性などの性質をより多く有し、③ 費用やスケジュールを管理するための能力がより大きくなると指摘されています。また、新たな廃棄物管 理法人には強力な最高経営責任者(CEO)のリーダーシップが必要とするとともに、CEO は、上院の助 言及び同意によって大統領によって指名される取締役会の自己裁量で選ばれ、7 年間の任期で 1 回の更新 が可能などの具体的な提案がなされている。

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20 2013)」法案が提出された。同法案は、超党派の上院議員10が共同で提出したものである。なお、同法案は、 第113 回議会(会期 2013~2015 年)に提出されたが、会期終了にともない廃案となっている。法案の主 な内容11を以下に示す。  放射性廃棄物管理を所管する新たな連邦政府関係機関(行政府に設置される独立機関)の設立。同 機関の長官は、連邦議会上院の助言・承認に基づき大統領が任命し、DOE が設定した高レベル放 射性廃棄物計画を実施。  新たな連邦政府関係機関が、パイロット規模の中間貯蔵施設や集中中間貯蔵施設(民間の使用済燃 料とDOE の国防関連の廃棄物を対象)を建設。  処分場及び集中貯蔵施設に適用する新たなサイト選定プロセスを策定。サイト選定プロセスでは、 新たな連邦政府関係機関は以下を実施する。  サイトを評価するための技術的なサイト選定ガイドラインを開発  自主的にサイトとなるような州及び自治体を募集  サイト調査実施のための州及び地元の協力を得る。協力協定については、貯蔵サイトについて は任意とし、処分場サイトについては必須とする。  サイト特性調査の開始前(貯蔵サイト、処分サイト)、処分場サイトとして適性を最終的に決 定する前に、公聴会を開催  処分場、または貯蔵施設のサイトとして選定するための州及び地元の同意を得る  処分場、または貯蔵施設の建設、操業のための NRC の許認可を得る  新たな連邦政府関係機関が、歳出予算措置を経ずに利用可能となる新しい運営資本基金を財務省に 創設。当該基金には、電力会社からの拠出金を預託。本法案成立前に収集された拠出金は、従来の NWF に残り、歳出予算の対象となる。 また、2015 年 3 月、連邦議会上院並びに下院に「放射性廃棄物インフォームドコンセント法(Nuclear Waste Informed Consent Act)」法案がそれぞれ提出された。これらの法案は、ともにネバダ州選出の民 主党議員12によって提出されたものである。法案の主な内容13は、以下の通り。ユッカマウンテン計画につ いても、ネバダ州の承認を必要とすることを規定している。  エネルギー長官が、処分場候補地の州知事、影響を受ける地方政府、当該地方政府に隣接して輸送 経路となる地方政府、及び影響を受ける先住民族と書面による合意を締結しない限り、NRC は建 設認可を発給してはならない。  本法律は、施行時に存在しているか、または、将来提出される建設認可の許認可申請書に対して適 用される。 なお、ユッカマウンテンで予定されていた処分量は70,000tHM で、その内 63,000tHM は商業用原子 力発電所より発生した使用済燃料、7,000tHM は DOE が保有する使用済燃料やガラス固化体である。ま た、地表から201m~488m(平均 305m)の不飽和帯(凝灰岩)に建設する計画であり、DOE が提出し た許認可申請書では、2020 年の操業開始を予定していた14 10 ワイデン上院議員(民主党、オレゴン州選出)、アレクサンダー上院議員(共和党、テネシー州選出)、ファインスタイン上 院議員(民主党、カリフォルニア州選出)、マコウスキー上院議員(共和党、アラスカ州選出)、キング上院議員(無所属、メ イン州) 11 (公財)原子力環境整備促進・資金管理センター、諸外国での高レベル放射性廃棄物処分 12 上院ではリード上院議員(民主党、ネバダ州選出)が、下院ではティトゥス下院議員(民主党、ネバダ州選出)が法案を提 出。 13 (公財)原子力環境整備促進・資金管理センター、諸外国での高レベル放射性廃棄物処分 14 (公財)原子力環境整備促進・資金管理センター、諸外国での高レベル放射性廃棄物処分、 http://www2.rwmc.or.jp/wiki.php?id=hlw:us:prologue

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21 (b) 商業用原子力発電所以外から発生する高レベル放射性廃棄物 核兵器開発関係の研究及び核物質製造から発生した放射性廃棄物は、マンハッタン計画以来約50 年の 間貯蔵されてきた。その後、1975 年に民間の再処理は中止され、軍事関係施設でのみ再処理が行われた。 排出された高レベル放射性廃液はガラス固化等の処理が行われ、それぞれのサイト内で貯蔵されている。 また、米国海軍で発生した使用済燃料や高レベル放射性廃棄物も今後決定される処分場に地層処分される ことになっている。 軍事関連施設から発生した TRU(超ウラン元素)含有廃棄物は、サバンナリバー研究所等で浅地中に 埋設されていたが、ニューメキシコ州カールスバッドに完成した廃棄物隔離パイロットプラント(Waste Isolation Pilot Plant: WIPP)において 1999 年 3 月から処分が開始された。2013 年末現在、WIPP は 1 万回以上もの廃棄物受け入れを行い、90,000m3を超えるTRU 含有廃棄物が処分されている。 1-4-7 その他(研究所、実験施設等) アメリカは1990 年代まで軍事用再処理を行っており、ハンフォード・サイト、サバンナリバー・サイ ト、アイダホ国立研究所には、再処理に付随した廃棄物が貯蔵されている。 ハンフォード・サイトには、177 の地下貯蔵タンクに保管された 5,300 万ガロンの放射性廃棄物と有害 化学物質、750,000 m3の固形廃棄物や様々な形状の使用済燃料、プルトニウムが貯蔵されている15 サバンナリバー・サイトには、51 の地下貯蔵タンクがあるが、二次汚染や漏洩検知に関する環境保護庁

(Environmental Protection Agency: EPA)の基準を満たしているものは 27 しかない。タンクにはスラ

ッジ(不溶性の水酸化金属)や水溶性の上清塩の混合物が保管されている16 アイダホ国立研究所には1953 年に設立されたアイダホ化学処理プラント(現・アイダホ原子力技術工 学センター)があり、1992 年まで使用済燃料の再処理が行われていた。1998 年 2 月までに、貯蔵施設(Tank Farm Facility: TFF)に貯蔵された第一サイクルの抽出廃棄物は、移動され焼成加工されて凝固されてい る17 1-5 原子力安全規制体系の概要と動向 1-5-1 安全規制関連法18 高レベル放射性廃棄物処分場の安全性・安全基準については、1982 年放射性廃棄物政策法(1987 年修 正)の下に、地層処分場の建設、操業等の許認可要件、条件を規定する「地層処分場における高レベル放 射性廃棄物の処分」(10 CFR Part 60)と、「使用済燃料、高レベル及びTRU 放射性廃棄物の管理と処分 のための環境放射線防護基準」(40 CFR Part 191)が定められている。 ただし、ユッカマウンテンに関する許認可要件及び環境放射線防護基準としては、1992 年エネルギー 政策法に基づいて、「ネバダ州ユッカマウンテン地層処分場の高レベル放射性廃棄物の処分」(10 CFR Part 63)及び「ネバダ州ユッカマウンテンのための環境放射線防護基準」(40 CFR Part 197)が適用されるこ ととなっている。 1-5-2 安全規制機関 アメリカの原子力規制の枠組みは、「1954 年原子力法」によって規定され、同法は核物質の民生・軍事 15 NRC ウェブサイト、http://www.nrc.gov/waste/incidental-waste/wir-process/wir-locations/wir-hanford.html 16 NRC ウェブサイト、http://www.nrc.gov/waste/incidental-waste/wir-process/wir-locations/wir-srs.html 17 NRC ウェブサイト、http://www.nrc.gov/waste/incidental-waste/wir-process/wir-locations/wir-inl.html 18 (公財)原子力環境整備促進・資金管理センター、諸外国での高レベル放射性廃棄物処分、 http://www2.rwmc.or.jp/hlw:us:chap3

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22

利用に関する基本法となっている。民生利用に関して同法は、アメリカ国内の核物質と原子力施設の利用 の開発・規制について定めており、同法によって国による許認可制が整備された。

現行の原子力開発・規制体制では、DOE が民生・軍事利用の原子力開発を行う一方で、NRC が唯一の

規制機関としての機能を果たしている。

NRC の前身である原子力委員会(Atomic Energy Commission: AEC)は、「1946 年原子力法」で設置

され、原子力の利用促進と安全規制の両方を責務とする組織であった。その後、「1974 年エネルギー機構 再組織法」によってAEC を改組する形で NRC が連邦政府の独立機関として設置された。NRC の活動目 的は、放射線による被害から公衆の健康と安全及び環境を守ることであり、主要な規制対象は、民生用の 原子炉(商用原子炉と研究用原子炉等)、核燃料サイクル施設、核物質(原子炉で利用される核物質、研究 用・医療用・工業用核物質等)、放射性廃棄物等である。NRC の主要な業務には以下のようなものが挙げ られる。  原子炉(ウラン濃縮施設などその他の原子力施設を含む)新設の際の設計・立地・建設・運転の許 認可  核物質の保有・利用・処理・輸出入の許認可  低レベル放射性廃棄物施設及び高レベル放射性廃棄物地層処分場の設計・立地・建設・閉鎖の許認 可  既存原子炉の安全性に関する検査・運転許可の更新  独立した研究・データ・実験に基づく軽水炉の安全研究  原子力関連事故の事故調査、NRC の規則や基準の制定と施行 NRC の委員会は、大統領が任命し、連邦議会上院が承認した 5 名の委員から構成されており、委員の 任期は5 年間である。5 名の委員のうち、1 名が大統領によって委員長に任命され、同じ政党の委員は 3 名以内としなければならない。この委員会の下に管理部門と運営部門、諮問委員会等が設置されている。 なお、NRC の組織図は下図を参照されたい。運営部門には、NRC の主要な規制機能を担う、以下の 7 つ の局が置かれている。

 原子炉規制局(Office of Nuclear Reactor Regulation):既存の商業用原子炉・研究用原子炉・実 験炉の運転に関わるすべての許認可、検査を担当する。

 新規原子炉局(Office of New Reactors):新規商業用原子炉の設計・立地・許認可・建設の安全管理 を行う。

 核セキュリティ・事故対応局(Office of Nuclear Security and Incident Response):原子力施設等 の安全政策を監視し、安全保障について他の連邦機関との連絡を行い、緊急時対応や事故対応を担 当する。

 地方支局(Regional Offices):各地区(フィラデルフィア、アトランタ、シカゴ、アーリントンの 4 つ)で原子炉の検査や執行、許認可、緊急時対応等を担当する。

 原子力規制研究局(Office of Nuclear Regulatory Research):安全性に関する問題の解決のため、 独立した専門家の知見や情報の提供を実施。技術的な規制や基準を策定し、原子力発電所の運転等 の安全に係る情報を分析、普及を行っている。

 核物質安全保障局(Office of Nuclear Material Safety and Safeguards):商業用原子炉で使用され る燃料の製造から保存、輸送、使用済燃料の廃棄までの規制を行う。

 連邦州核物質環境管理政策局(Office of Federal and State Materials and Environmental Management Programs):医療用、産業用、研究用、商業用の核物質の安全安心な利用、原子力 施設廃止措置の規制枠組み策定・監視を担当する。規制の問題については、連邦機関や州、地方政 府と協働する。

(27)

23 図1-11 NRC 組織図 (出所) 電気新聞『原子力ポケットブック2014 年版』、NRC ウェブサイトを基に作成 委員会 委員 委員 委員長 委員 委員 運営総局長 運営補佐官 副運営総局長 (原子炉・対応計画担当) 副運営総局長 (核物質・廃棄物・研究・州・部族・遵守計画担当) 副運営総局長 (管理担当) 原子炉規制局 新型炉局 核セキュリティ・ 事故対応局 第1 地区 (フィラデルフィア) 第3 地区 (シカゴ) 第4 地区 (アーリントン) 原子力規制研究局 執行局 核物質安全・保障措 置局 調査局 連邦・州・核物質・ 環境管理計画局 情報サービス局 管理局 コンピューター 防護局 人事局 原子炉安全諮問 委員会 原子力安全 許認可協議パネル 上訴委員会 法務顧問 国際計画局 秘書局 第2 地区 (アトランタ)

(28)

24

2.

イギリス

2-1 基本的な電力事情と発電用原子炉の実態 2-1-1 一次エネルギー供給構成 2013 年時点でのイギリスの一次エネルギー供給の大半は石油、ガス、石炭であり、特にガスのシェア が高い。 表2-1 一次エネルギー需給バランス

(出所) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition

イギリスは、北海地域の石油・天然ガス資源開発の成功により、長らくエネルギーの純輸出国であった が、2004 年には純輸入国に転じた。

表2-2 エネルギー源別消費動向

(出所) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition

COUNTRY: United Kingdom (2013年、Mtoe)

石油 ガス 石炭 原子力 水力 再生可能エネルギー等 合計 国内生産 42 33 8 18 0 8 109 輸入 90 41 31 0 0 4 166 輸出 75 8 1 0 0 0 84 在庫変動 0 0 -1 0 0 0 -1 一次供給 58 66 37 18 0 11 190 シェア 30% 34% 20% 10% 0% 6% 100%

COUNTRY: United Kingdom (Mtoe)

石油 ガス 石炭 原子力 水力 その他 合計 2009 63 78 30 18 0 6 195 2010 62 85 31 16 0 7 201 2011 59 70 31 18 0 8 187 2012 58 66 39 18 0 10 192 2013 58 66 37 18 0 11 190 シェア 30% 34% 20% 10% 0% 6% 100% '13/'12 -1.7% -1.3% -4.3% 0.3% -10.8% 15.2% -1.0%

(29)

25 2-1-2 電力供給構成

イギリスの電源構成は化石燃料発電が過半を占めており、石炭、天然ガスの順で大きなシェアを占めて いる。

図2-1 発電電力量構成(2013 年)

(出所) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition

イギリスでは2000 年代に国産天然ガスを利用したコンバインドサイクル発電のシェアが大幅に伸びて きた。近年は米国のシェール革命の結果、北米でガスの供給力が増し、結果として石炭が余剰となった。 この石炭が安価に欧州に流入し、石炭火力発電所の競争力が高まり、また、近年は自国産ガス生産量の伸 び悩みもあり2012 年には石炭火力が 40%と最大のシェアを占めるようになった。2000 年以降、政府の再 生可能エネルギー普及促進策の影響もあり、風力発電の容量が着実に増加し、2012 年末時点で再生可能エ ネルギーのシェアが10%となった。

(出所) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition

2-1-3 電力輸出入構成 2010 年頃は年間を通じてネットの電力輸入量は多くなかったが、その後。大きく輸入ポジションとな っている。主な輸入元はフランスであり、次いでオランダが近年その量を伸ばしている。一方でアイルラ ンド向けの輸出も2013 年頃から拡大しており、国外への電力のやりとりの活発化が窺える。この要因の 一つとして国内での再生可能エネルギーの導入拡大が指摘される。 石炭 37% 石油 1% 天然ガス 27% 原子力 20% 水力 1% その他14%

Country: United Kingdom

2013年

354

TWh

COUNTRY: United Kingdom 単位:ktoe

1973 1980 1990 2000 2005 2010 2012 輸入 15 2 1,031 1,230 960 614 1,186 輸出 -10 -2 -4 -12 -244 -385 -150 発電 24,196 24,430 27,327 32,196 34,006 32,560 31,035 (発電構成)  石炭 62% 73% 65% 33% 34% 29% 40%  石油 26% 12% 11% 2% 1% 1% 1%  天然ガス 1% 1% 2% 40% 39% 46% 28%  原子力 10% 13% 21% 23% 21% 16% 20%  水力 1% 1% 2% 1% 1% 1% 1%  その他再生可能エネ 0% 1% 4% 6% 10%

(30)

26 図2-2 イギリスの電力輸出入の推移 (出所) ENTSO-E より作成 2-1-4 エネルギー価格動向 2007 年以降のイギリスの電力・ガス小売価格は国際的な資源価格の高騰、国内産化石燃料生産の減少 を受けて上昇傾向にある。 表2-3 イギリスの電力・ガス価格(税込み) 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 電力 (£/MWh) 産業用 86.1 78.4 80.8 84.7 89.4 家庭用 122.6 118.5 129.9 136.4 146.6 電力 (US$/MWh) 産業用 134.3 121.1 129.6 134.2 139.8 家庭用 191.2 183.1 208.2 216.1 228.9 ガス (£/MWh GCV) 産業用 19.47 18.31 22.17 24.17 26.87 家庭用 37.92 36.65 42.01 45.55 49.05 ガス (US$/MWh GCV) 産業用 30.4 28.3 35.5 38.5 41.9 家庭用 59.1 56.6 67.3 72.2 76.7

(出所) IEA, Energy prices and taxes, 2014 年 2Q

-2500 -2000 -1500 -1000 -500 0 500 1000 1500 J an -10 M ar -10 M ay -10 Jul -10 S ep -10 N ov -10 J an -11 M ar -11 M ay -11 Jul -11 S ep -11 N ov -11 J an -12 M ar -12 M ay -12 Jul -12 S ep -12 N ov -12 J an -13 M ar -13 M ay -13 Jul -13 S ep -13 N ov -13 J an -14 GW h month/year アイルランド オランダ 北アイルランド フランス 合計

表 1-5 アメリカの商業用発電所一覧(BWR、稼働中)
表 1-7 アメリカの商業用発電所一覧(閉鎖)
図 1-5 アメリカの原因別運転停止時間の推移
図 1-7 アメリカの処分実施体制
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