第 1 章 諸外国のバックエンド事業関連基本情報整理
6. スイス
6-1 基本的な電力事情と発電用原子炉の実態
6-1-1 一次エネルギー供給構成
表6-1 一次エネルギー需給バランス
(出所) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition
表6-2 エネルギー源別消費動向
(出所) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition
COUNTRY: Switzerland (2013年、Mtoe)
石油 ガス 石炭 原子力 水力 再生可能エネルギー等 合計
国内生産 0 0 0 7 3 3 13
輸入 13 3 0 0 0 3 19
輸出 2 0 0 0 0 3 5
在庫変動 0 0 0 0 0 0 0
一次供給 11 3 0 7 3 3 27
シェア 40% 12% 1% 25% 12% 10% 100%
COUNTRY: Switzerland (Mtoe)
石油 ガス 石炭 原子力 水力 その他 合計
2009 0 0 0 7 3 2 13
2010 0 0 0 7 3 3 13
2011 0 0 0 7 3 3 12
2012 0 0 0 7 3 3 13
2013 0 0 0 7 3 3 13
シェア 0% 0% 0% 53% 26% 22% 100%
'13/'12 - - - 2.1% -0.4% 3.0% 1.7%
82
6-1-2 電力供給構成
図6-1 発電電力量構成(2013年)
(出所) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition
(出所) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition 天然ガス
1%
原子力 水力 38%
56%
その他 5%
Country: Switzerland
2013年 68 TWh
COUNTRY: Switzerland 単位:ktoe
1973 1980 1990 2000 2005 2010 2012
輸入 604 730 1,785 2,092 3,298 2,872 2,713
輸出 -904 -1,433 -1,966 -2,700 -2,752 -2,828 -2,902
発電 3,166 4,143 4,730 5,687 4,969 5,680 5,862
(発電構成)
石炭 0% 0%
石油 7% 1% 1% 0% 0% 0% 0%
天然ガス 1% 1% 1% 2% 2% 1%
原子力 17% 30% 43% 40% 40% 40% 37%
水力 76% 68% 54% 56% 54% 55% 57%
その他再生可能エネ 0% 1% 3% 4% 4% 5%
83
6-1-3 電力輸出入構成
図6-2 スイスの電力輸出入の推移
(出所) ENTSO-Eより作成
6-1-4 エネルギー価格動向
表6-3 スイスの電力・ガス価格(税込み)
2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 電力
(CHF/MWh)
産業用 101.6 117.0 117.0 122.1 122.9 家庭用 178.0 187.7 197.6 191.4 188.8 電力
(US$/MWh)
産業用 93.5 112.2 131.9 130.2 132.6 家庭用 163.9 180.0 222.7 204.2 203.7 ガス
(CHF/MWh GCV)
産業用 65.77 59.35 64.33 67.23 66.97 家庭用 95.87 91.08 95.31 100.10 100.45 ガス
(US$/MWh GCV)
産業用 60.6 56.9 72.5 71.7 72.2 家庭用 88.3 87.3 107.4 106.8 108.4
(出所) IEA, Energy prices and taxes, 2014年2Q
6-1-5 国内商業用原子炉一覧
スイス国内には、5基の商業用原子炉が稼働中である(2014年末時点)。スイス国内商業用原子炉一覧 を表6-4~6-5に示す。
-4000 -3000 -2000 -1000 0 1000 2000 3000
Jan-10 Mar-10 May-10 Jul-10 Sep-10 Nov-10 Jan-11 Mar-11 May-11 Jul-11 Sep-11 Nov-11 Jan-12 Mar-12 May-12 Jul-12 Sep-12 Nov-12 Jan-13 Mar-13 May-13 Jul-13 Sep-13 Nov-13 Jan-14
GWh
month/year
イタリア フランス ドイツ オーストリア 合計
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表6-4 スイスの商業用発電所一覧(稼働中)
(出所) IAEA, Power Reactor Information Systemより作成
表6-5 スイスの商業用発電所一覧(閉鎖)
(出所) IAEA, Power Reactor Information Systemより作成
6-1-6 原子力発電所運転実績
図6-3 スイスの原子力発電所設備容量と発電量の推移
(出所) IAEA, Power Reactor Information Systemより作成
Name Type Status Location Reference Unit
Power [MW]
Gross Electrical Capacity [MW]
First Grid Connection
BEZNAU-1 PWR Operational BEZNAU 365 380 1969/7/17
BEZNAU-2 PWR Operational BEZNAU 365 380 1971/10/23
GOESGEN PWR Operational DAENIKEN 1010 1035 1979/2/2
LEIBSTADT BWR Operational LEIBSTADT 1220 1275 1984/5/24
MUEHLEBERG BWR Operational MUEHLEBERG 373 390 1971/7/1
Name Type Status Location Reference Unit
Power [MW]
Gross Electrical Capacity [MW]
First Grid Connection
LUCENS HWGCR Permanent Shutdown 1522 Lucens 6 7 1968/1/29
0 5 10 15 20 25 30
0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500
1985 1990 1995 2000 2005 2010
MW TWh
設備容量 発電量
85
図6-4 スイスの原子力発電所の設備利用率の推移
(出所) IAEA, Power Reactor Information Systemより作成
図6-5 スイスの原因別運転停止時間の推移
(出所) IAEA, Operating Experience data
0%
20%
40%
60%
80%
100%
1985 1990 1995 2000 2005 2010
設備利用率
0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600
1990 1995 2000 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
hours 補修&燃料交換 補修
改修・アップレート&燃料交換 その他
装置トラブル 燃料交換
規制 人的要因
その他 外部要因
計 画 内
計 画 外
外 部 要 因
86 6-2 バックエンド関連事業政策の状況65
6-2-1 バックエンド関連政策
スイスでは、原子力発電から発生する使用済燃料は、各発電会社が個別に外国(フランスとイギリス)
の会社と委託契約を結ぶことにより、再処理を実施してきた。しかし、原子力法により、2006年7月以 降10年間にわたり再処理を目的とした使用済燃料の輸出を禁止している。このため現在は、燃料プール で使用済燃料を数年間冷却した後、所内または所外の中間貯蔵施設で中間貯蔵している。
発電所外の中間貯蔵施設には、原子力発電所を保有する4社が出資して建設されたヴュレンリンゲン放 射性廃棄物集中中間貯蔵施設(2001年操業開始)がある。この施設では、使用済燃料(乾式キャスク貯蔵)
のほか、外国での再処理に伴って返還されるガラス固化体や他の放射性廃棄物を貯蔵している。2カ所の 原子力発電所(ベツナウとゲスゲン)には所内に中間貯蔵施設があり、いずれも2008年から使用済燃料 の貯蔵を開始した。ベツナウ中間貯蔵施設は乾式キャスクを用いた貯蔵方式であり、ゲスゲン原子力発電 所の施設は湿式プール方式である。
2010年12月末時点で、スイス国内の使用済燃料貯蔵量は約1,241トン(ウラン換算、以下同じ)であ る。外国との新規再処理委託契約が凍結されるまでに、フランスとイギリスに約1,139トンの使用済燃料 が搬出されており、ガラス固化体の形で115m3が返還される見込みである。このうち、2010年12月時点 で40m3が返還済みであり、ヴュレンリンゲン放射性廃棄物集中中間貯蔵施設で貯蔵されている。
スイスでは原子力法において、再処理目的の使用済燃料の輸出を2016年6月末まで禁じている。現時 点では将来に再処理を行うオプションが残されているので、使用済燃料は“直接処分する高レベル放射性廃 棄物”と決まった訳ではない。2005年施行の原子力令では、再利用しない使用済燃料を“高レベル放射性廃 棄物”と定めている。
スイスでは、放射性廃棄物を国内で処分する場合には地層処分を行う方針である。ただし、法的には、
国際共同処分場での処分も可能としている。地層処分場の構成要素として、主となる処分施設とは別に、
少量の代表的な放射性廃棄物を収納して一定期間にわたりモニタリングする「パイロット施設」の設置を 原子力令で定めている点が特徴的である。このような処分概念は「監視付き長期地層処分」と呼ばれてい る。
図6-6 スイスの放射性廃棄物の主要な流れ
(出所) (公財)原子力環境整備促進・資金管理センター、諸外国での高レベル放射性廃棄物処分
65 (公財)原子力環境整備促進・資金管理センター、諸外国での高レベル放射性廃棄物処分 http://www2.rwmc.or.jp/wiki.php?id=hlw:us:prologue
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6-2-2 バックエンド関連法令
2005年2月に施行された原子力法では、地層処分場の立地場所及びプロジェクトの基本事項などに関 する概要承認、地層処分場設置に向けて実施される立地の可能性のある地域での地質などの調査、及び建 設、操業、閉鎖について、連邦政府のみが許可発給を行うこととしてその手続等を規定している。
また同法では、原子力施設を操業または廃止する者は、施設から生じた放射性廃棄物を自らの費用で安 全に管理する義務を負うこと、この管理義務には、処分に関する研究、地球科学的調査及び地層処分場の 設置などの準備作業なども含むことが規定されている。さらに、廃棄物の管理義務を負う者は、廃棄物管 理プログラムを作成・提出することが求められている。
6-3 バックエンド事業関連プレーヤー
6-3-1 再処理
スイスでは各発電会社が個別に外国(フランスとイギリス)の会社と委託契約を結ぶことにより、再処 理を実施してきたため、国内には再処理事業者は存在しない。
6-3-2 MOX燃料成型加工
スイスにはMOX燃料成型加工事業者は存在しない。
6-4 バックエンド事業概要
6-4-1 再処理
スイスには再処理事業は存在しない。
6-4-2 MOX燃料成型加工
スイスにはMOX燃料成型加工事業は存在しない。
6-4-3 使用済燃料貯蔵施設
スイスでは、全ての放射性廃棄物を原則として国内の地層中に最終処分する方針である。処分事業は、
電力会社と政府によって設立された放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)が行うことになっている。放 射性廃棄物は高レベル放射性廃棄物(再利用されない使用済燃料と使用済燃料の再処理により発生するガ ラス固化体)、おおむね日本のTRU廃棄物に該当するα廃棄物、及び中・低レベル放射性廃棄物に区分さ れる。高レベル放射性廃棄物とα廃棄物を併置処分する処分場と、中・低レベル放射性廃棄物処分場の二 つの処分場を建設するか、または全ての放射性廃棄物を対象とした処分場を1カ所に建設することが見込 まれている。
また、放射性廃棄物の中間貯蔵施設としてヴュレンリンゲン集中中間貯蔵施設がある。同施設では既に、
高レベル放射性廃棄物、α 廃棄物及び中・低レベル放射性廃棄物の貯蔵が開始されている。また、ベツナ ウ原子力発電所には、中・低レベル放射性廃棄物、使用済燃料とガラス固化体の中間貯蔵施設が設置され ている。
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6-4-4 商業用発電所・サイクル施設(実験炉等)廃止措置66
表6-5の1基(Lucens)は、1969年に事故により閉鎖された実験炉である。商業用発電所で廃止され たものはまだなく、最も早いもの(Beznau 1, Mühleberg)で2019年の廃止を予定している。
6-4-5 中・低レベル放射性廃棄物処分場
スイスには廃棄物処分場はまだ無く、中間貯蔵が行われている。処分場の試験サイトとしては、1984
年にNAGRAによって設置された地下研究所であるグリムゼル試験サイトがある。同サイトはスイス中央
部の海抜1,730m、地表から深さ450mの結晶質岩の岩体内にある。この試験サイトでは、掘削を開始し
た1983年より、地質学、地球物理学、水文地質学、岩石力学及び放射性核種移行などを含む多くの分野 で幅広い調査が行われている。
2003 年より、実際の処分により近い時間スケール及び環境条件で処分概念を検討するための研究を目 的としたフェーズⅥが実施されている。具体的なプロジェクトとしては、母岩の間隙の空間分布及びコロ イド形成と核種移行に関する調査、核種の長期拡散試験、長期セメント試験が実施されており、原位置で の遠隔操作定置試験や長期材料試験施設の設置などが計画されている。グリムゼル試験サイトでの調査研 究には、フランス、ドイツ、日本、スペイン、スウェーデン、スイス、台湾、チェコ、米国、フィンラン ド、イギリス、韓国、欧州連合(EU)からの約25の組織及び国内外の多数の大学、研究所及び会社など が参加している。
6-4-6 高レベル放射性廃棄物処分場
前項に同じ。
6-4-7 その他(研究所、実験施設等)
モン・テリ岩盤研究所では、1996 年に各国関係機関による国際共同プロジェクトとして、スイス国立 水文学・地質調査所が中心となる形で設置され、オパリナス粘土に関する地質学、水文地質学、地球化学 及び岩石力学的特性を調査するための実験が行われている。研究所の管理は、2006年にスイス国土地理院 が引き継いだ。NAGRAは、処分場を設置する母岩の候補の一つであるオパリナス粘土に関する知見を深 めるのに、同研究所においてデータを取得し、研究を行っている。NAGRAが参加している主な研究とし て、セメントと母岩の相互作用の研究や放射性核種の拡散と閉じ込めに関する研究、実規模での放射性廃 棄物の定置の実証に関する研究などがある。NAGRAの他にもフランスのANDRA、IRSN、日本の原子 力研究開発機構、電力中央研究所、大林組などがプロジェクト毎に共同で研究を行っている。
6-5 原子力安全規制体系の概要と動向
6-5-1 安全規制関連法と許認可スキーム
2005年2月に施行された原子力法では、地層処分場の立地場所及びプロジェクトの基本事項などに関 する概要承認、地層処分場設置に向けて実施される立地の可能性のある地域での地質などの調査、及び建 設、操業、閉鎖について、連邦政府のみが許可発給を行うこととしてその手続等を規定している。また同
66 World Nuclear Association, Nuclear Power in Switzerland, 31 January 2015 http://www.world-nuclear.org/info/Country-Profiles/Countries-O-S/Switzerland/