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パス解析によるモデルの検討

第 4 章 反応スタイルが抑うつに及ぼす影響(研究 2)

第 1 節 目的 …

5. パス解析によるモデルの検討

抑うつと直接的に有意な相関が認められたのは4つの反応スタイルの内,2つのみであ ったが,それ以外についても媒介要因を介して抑うつに影響を及ぼしている可能性があ る。そこで,共分散構造分析を用いて,自己開示を含めた反応スタイルが抑うつに及ぼす 影響についての検討を行った。なお,分析にはAmos22(母数の推定方法は最尤推定法)

を用いた。始めに,全ての反応スタイルが抑うつに影響を及ぼすことを仮定して初期モデ ルを作成した(Figure 4-1)。自己開示については,反応スタイルに比べるとより具体的な 行動であることから,各反応スタイルと抑うつを媒介するものとした。

Figure 4-1. 反応スタイルが抑うつに及ぼす影響の初期モデル

反すう的 考え込み

気分転換的 気晴らし

回避的 気晴らし

省察的 考え込み

自己開示 抑うつ

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有意ではなかった3つのパス(「回避的気晴らし」から「自己開示」,「省察的考え込み」

から「自己開示」と「抑うつ」)を削除した。その結果,得られたモデル(Figure 4-2)の 適合度は十分な値を示した(χ2 (3) = 1.51, ns., CFI = .999, GFI = .999, AGFI = .993, RMSEA

= .000)。

Figure 4-2. 反応スタイルが抑うつに及ぼす影響

分析の結果,反すう的考え込み(β = .59, p < .01)と回避的気晴らし(β = .19, p < .01)

は,抑うつに正の影響を及ぼしていた(β = .59, p < .01)。一方,気分転換的気晴らしは抑 うつに負の影響を及ぼしていた(β = -.22, p < .01)。さらに,自己開示の抑うつへの負の影 響が認められた(β = -.12, p < .05)。

反すう的 考え込み

気分転換的 気晴らし

回避的 気晴らし

省察的 考え込み

自己開示

抑うつ

*p < .05, **p <.01, χ2(3) = 1.51, ns., CFI = .999, GFI = .999, AGFI = .993, RMSEA = .000 注)パス係数は標準化推定値を示す

-.12*

-.22**

.19**

.59**

.17**

.26**

.19**

.36**

.13*

.41**

.57**

.29**

R2= .46**

R2= .17*

64 第 4 節 考察

本章では,一般成人の反応スタイルの構造を確認し,さらには反応スタイルとメンタル ヘルスの悪化につながる抑うつ,ならびに自己開示の関係を検討した。

反応スタイル尺度(島津,2010)を因子分析した結果,反応スタイルは「反すう的考え 込み」,「回避的気晴らし」,「気分転換的気晴らし」,「省察的考え込み」の4因子構造であ ることが確認された。そして,それぞれが抑うつに対して正負の異なる影響を及ぼすこと が認められた。また,前章と同様に,自己開示は抑うつに対して負の影響を及ぼしてい た。気晴らしのポジティブな効果について,島津(2010)は,一時的な気分転換を意図し て行うと,問題解決につながることが多いため,抑うつの低減につながるのではないかと 指摘している。ただし,気晴らしにも,常にポジティブな効果があるわけではないとする 報告がある(cf. Steil & Ehlers, 2000)。

また,本研究と島津(2010)で報告されている結果には,尺度の因子構造の一致という 共通点が確認された。島津(2010)では,否定的考え込み反応,回避的気そらし反応,問 題解決的考え込み反応,気分転換的気そらし反応の計4下位因子が抽出されており,それ ぞれが抑うつに正負の影響を及ぼす互いに独立した反応スタイルであると報告されてい る。一方,本研究では,因子分析の過程において原版の尺度から4つの項目を削除した が,因子構造については,同様の4因子構造であることが認められた。その内の「反すう 的考え込み」と「回避的気晴らし」のみが抑うつと有意な相関が確認され,さらには,そ の後のパス解析において「気分転換的気晴らし」が抑うつに負の影響を及ぼしていた。こ れらのことから,島津(2010)と同様に,反応スタイルが抑うつの持続と軽減に関わる2 種類に分かれていることが示唆された。ただし,大学生のみを対象とした島津(2010)と 比較すると,本研究は,対象者を20代から60代までの全年代に拡大したものであった。

そのため,本研究の結果は,抑うつに対する反応スタイルの影響の一般化につながるもの であると考えられる。

先述の通り,反すうは単一構造ではなく,抑うつの持続と軽減につながるものに分かれ るとの指摘がある(島津, 2010;Treynor et al., 2003)。気晴らしについても同様に,たとえ ば,及川(2003)は,気晴らしは気分緩和と問題明確化という効果がある一方,長期的な

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気晴らしや過度な気晴らしへの没入は,その効果を半減させ,むしろ抑うつの悪化につな がる可能性があると示唆している。気分転換的気晴らしが,抑うつに負の影響を及ぼして いた一方で,回避的気晴らしが正の影響を及ぼしていたことは,こうした結果を認める結 果であると考えられる。そのため,メンタルヘルスの改善には,どのような気晴らしをす るのかが重要となるだろう。そこで,次章以降では,気晴らしのより具体的な方略として の余暇が個人のメンタルヘルスに及ぼす影響を解明する。

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第 3 部 余暇によるメンタルヘルスの