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リチウムイオンバッテリーのバッテリーマネジメントシステムに関する基準を規定するAerospace Information Report 6897に関してもドラフト版が下記の目的で策定されている。

AIR 6897 Battery Management Systems for Rechargeable Lithium Batteries used in Aerospace Applications 航空機で利用する再充電可能なリチウムバッテリーのバッテリーマネジメントシステム

目的

現状理解

内容

当該AIRは、航空宇宙分野のリチウムイオンバッテリーにおいて使用されるバッテリーマネジメントシステムのアーキテクチャの設計とそ の開発に関する背景とガイダンスを提供することが念頭に置かれている。目的は、バッテリーマネジメントシステムを組み込んだリチウ ムイオンバッテリーの認定及びバッテリーマネジメントシステムの設計・開発のための標準化されたアプローチを開発するためのフレー ムワークを示すことにある。

当該AIRのにおいては、設置済みの機器に対して適用される。

※ リチウムイオンバッテリーには、バッテリーマネジメントシステムを組み込むことが必要である。その主な機能は、セルの状態を監視し、

過電圧、不⾜電圧、過電流、過熱等の有害な状態からセル保護することにある。その他、バッテリーマネジメントシステムには、セ ルのバランシング、充電状態の推定、電池の健康状態の推定、内臓テストなどの機能も含まれている。

※ 現在のところ、リチウムイオンバッテリーにおけるバッテリーマネジメントシステムの設計と検証のための推奨事項⼜は標準を提示する 文書は存在しなかったため、今回のAIRでそれを明確化する試みが⾏われている。

現在、使用可能なほぼすべてのリチウムイオンバッテリーにはバッテリーマネジメントシステムが組み込まれている。

その認定のため、バッテリーマネジメントシステムは、その故障状態分類と⼀致する設計保証レベル(DAL)を満たす必要がある。

航空宇宙分野で使われるリチウムイオンバッテリーの基準には、DO-311AとMIL-PRF-29595Aの⼆種類の文書が存在。

DO-311A︓商用(非軍事)の航空機用バッテリーの試験に関して定めた基準

MIL-PRF-29595A︓軍用航空機用のバッテリーの試験に関して定めた基準

上記の文書は、あくまでリチウムイオンバッテリーのための試験に関する基準を規定しているが、バッテリーマネジメントシステムに関し てはあくまで最⼩限の設計要件と試験方法が規定されているのみである。

そこで、本AIRにおいて、バッテリーマネジメントシステムの設計要件と試験要件を定めるための基礎的な考え方が提供されている。

Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 41

1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集

(6)関連文書 SAE AIR 6897 (ドラフト)

バッテリーマネジメントシステム の機能

パラメータ監視 セルの保護 診断及び

事前判定機能 コントロール 通信 データログ

過電圧充電保護 低電圧放電保護 過温度放電保護 低温放電保護 過温度充電保護

低温充電保護 過電流充電保護 過電流放電保護

充電の完了 セル

/

モジュール

/

パックの

電圧 充電

/

放電の

現状

セル

/

モジュール

/

パックの 温度

冷却材の温度

充電状態の推定 状態の推定 残存耐用年数の推定

内臓テスト 高電圧絶縁監視

電源管理 バッテリー温度管理

接触器作動 セルのバランス調整

航空機システムとの通信

電⼒制御システムとの通信

エネルギー貯蔵 コントローラーとの通信

使用履歴 障害履歴 パラメータ超過

AIR 6897では、バッテリーマネジメントシステムを下記の機能に分解して各機能に求められる要素を規定している。

Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 42

1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集

(6)関連文書 SAE AIR 6897 (ドラフト)

バッテリーマネジ メントシステム

の認定

結論及び勧告

内容

• リチウムイオンバッテリーのバッテリーマネジメントシステムに関してFAAの承認を得るためには、バッテリーマネジメントシステ ムを試験し、その結果で認定を⾏う必要がある。

• バッテリーマネジメントシステムが、デジタルバッテリーマネジメントシステム⼜は、アナログ/デジタルバッテリーマネジメントシ ステムの場合、ソフトウェアはRTCA DO-178Cに基づいて認定を受ける必要がある。

• DO-178Cにおいては、ソフトウェアの設計保証レベル(DAL)がAからEまでの5段階で設定され、システムごと に適切なレベルで設計することが求められている。

• バッテリーマネジメントシステムに複雑なハードウェアが含まれる場合、RTCA DO-254に基づいて認定を受ける必要が ある。 • DO-254においてもDO-178Cと同様に5段階のDALが存在し、適切なレベルでの対応が求められる。

• バッテリーマネジメントシステムは、航空宇宙分野のリチウムイオンバッテリーの機能と信頼性にとって必要不可⽋な要素 であり、設計要件と推奨事項・標準が必要である。

• 次のステップとして、ARPを開発することが推奨される。

バッテリーマネジ メントシステム の設計アプロー

• リチウムイオンバッテリーのバッテリーマネジメントシステムにおいて使用出来る基本的な設計アプローチは、「アナログ」、

「デジタル」、「アナログ/デジタルハイブリッド」の三種類になる。

• アナログのバッテリーマネジメントシステムの設計においては、アナログ回路のみを使用して設計が⾏われる(抵抗 器、コンデンサ、ダイオード、オペアンプ、コンパレータ、トランジスタ等)。そのため、比較的単純で、データ記憶の 能⼒を有しない傾向があるとされる。

• デジタルのバッテリーマネジメントシステムの設計においては、制御及びデータ記憶目的のためのマイクロプロセッサ やアナログ/デジタル変換機(A/Dコンバータ)を含んでいる。

• アナログ/デジタルハイブリッドのバッテリーマネジメントシステムの設計においては、アナログ制御、デジタル制御のい ずれも含まれる。アナログ制御は重要度の高い機能に使用され、デジタル制御は重要度の低い機能に使用さ れる等役割分担を⾏い、負担を下げられることがメリットとされる。

AIR 6897では、その設計アプローチや認定のために必要な取り組み(DO-178CやDO-254に基づく認定等)

が具体的に規定されている。

Copyright (C) Mitsubishi Research Institute, Inc. 43

※例えば、航空機の安全性に対する故障状態の発⽣確率を10-9以下にしなければならないといったもの

故障(Failure)=発⽣確率の算出が可能であるもの※

(想定され得る物理的な故障)

エラー(Error) =発⽣確率の算出が不可能なもの

(開発段階で発⽣するエラー)

安全性解析・評価を通じて安全性を担保する必要性がある

開発保証(プロセス)を通じて安全性を担保する必要性がある

(Failure Condition) 故障状態

航空機の安全性(耐空性)を検討するに際しては、当局の定める耐空性基準において、想定される故障状態

(Failure Conditions)の影響度(Severity)に応じて、その許容される発⽣確率を踏まえる必要がある。

航空機システムの安全性における故障状態は、発⽣確率の算出が出来る「故障」とそれが出来ない「エラー」に 分けられ、それぞれ「安全解析・評価」と「開発保証(プロセス)」を通じて安全性を担保していく必要がある。

1.1 国際標準化機関における議論の動向に関する情報収集