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4.2 トライボロジー特性に対する成膜部混入酸素の影響

4.2.2 結果および考察

Figure 4-2-2に異なる酸素添加量で得られたコーティング膜の摩擦挙動を示す。Figure 4-2-2 (a)

は、成膜雰囲気に酸素を添加しないで得られたa-C:H膜の摩擦挙動である。Figure 4-2-2 (b)、(c)、

(d)はそれぞれ酸素添加量0.1 L/min、0.3 L/min、0.5 L/minで得られたコーティング膜の摩擦挙動で

ある。なおそれぞれのグラフ中に示した挿入図は、測定開始からしゅう動距離 3 mまでの摩擦挙 動拡大図である。また、試験終了間際5分間の平均摩擦係数μaveの比較をFig. 4-2-3に示す。これ らを比較すると、酸素を添加しない雰囲気で得られたa-C:H膜は 0.11 の低い摩擦係数を終始安定 して示しているのが分かる。これに対し、成膜雰囲気に酸素を添加して得られたコーティング膜 の場合には摩擦開始からしばらくは0.25程度の摩擦係数を示すが、その後徐々に摩擦係数が増大 した。このように成膜雰囲気への酸素添加の有無で明確な摩擦挙動の差が見られ、この傾向は開 放雰囲気成膜と半密閉雰囲気成膜でのコーティング膜摩擦挙動の差(2章 Fig. 2-18)と一致する。

また測定開始直後の摩擦挙動拡大図を示した挿入図を見ると、酸素添加雰囲気で得られたコーテ ィング膜はしゅう動開始直後に 0.5 程度の非常に高い摩擦を示している。これはコーティング膜 の粘性挙動により試験スタンバイ状態で鋼球接触による変形が生じ、また鋼球とコーティング膜 の接触面に粘着作用も強く働くため、初期的に高い摩擦係数を示すと考えられる。また、先に述 べたように酸素を添加した雰囲気で得られたコーティング膜は徐々に摩擦係数が増大していく傾 向を示した。このような摩擦挙動はコーティング膜の摩耗やはく離の発生を示唆する。そこでSEM によるしゅう動面観察を行った。

成膜したままの初期表面および摩擦試験後のしゅう動面のSEM像をFig. 4-2-4に示す。図中の矢 印と破線はそれぞれしゅう動方向としゅう動部境界を示す。酸素を添加しない条件で得られた a-C:H膜では、しゅう動によるいかなる損傷も見られないことから、摩擦低減効果を終始安定して 発揮したと言える。これに対して酸素を添加した雰囲気で得られたコーティング膜は全て、コロ 状摩耗粉とコーティング膜剥離を示している。コロ状摩耗粉が発生していることから、コーティ ング膜は柔らかく粘性が強いことが伺える。また成膜雰囲気への酸素添加量が多くなるにつれて、

コロ状摩耗粉が大きくなり剥離面積も大きくなる傾向が見られる。この結果から、酸素を添加し た雰囲気で得られたコーティング膜はトライボロジー特性向上のためのゴム用コーティング膜に は向いていないと言える。

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

0 20 40 60 80 100 120 140

Sliding distance (m)

Coefficient of friction

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

0 20 40 60 80 100 120 140

Sliding distance (m)

Coefficient of friction

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

0 20 40 60 80 100 120 140

Sliding distance (m)

Coefficient of friction

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

0 20 40 60 80 100 120 140

Sliding distance (m)

Coefficient of friction

(a) O2: none (b) O2: 0.1L/min

(c) O2: 0.3L/min (d) O2: 0.5L/min

0 0.2 0.4 0.6

0 1 2 3

Distance (m)

C.O.F

0 0.2 0.4 0.6

0 1 2 3

Distance (m)

C.O.F

0 0.2 0.4 0.6

0 1 2 3

Distance (m)

C.O.F

0 0.2 0.4 0.6

0 1 2 3

Distance (m)

C.O.F

Fig. 4-2-2 Comparison of frictional behaviors. Each insets show early behaviors after test started.

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

0 0.1 0.3 0.5

Flow rate of additive O2 (L/min)

Coefficient of friction

μmax μave

Fig. 4-2-3 Comparison of coefficient of friction in different flow rate of additive oxygen.

O2: 0.1L/min

O2: 0.3L/min

O2: 0.5L/min

Initial Afte examination

O2: none

100µm 100µm

100µm 100µm

100µm 100µm

100µm 100µm

Fig. 4-2-4 SEM images of wear track after friction measurement. Areas between both broken lines and arrows represent wear truck and sliding direction, respectively.