• 検索結果がありません。

3.2 成膜部への酸素混入の影響

3.2.2 結果および考察

3.2.2.3 成膜挙動

Figure 3-2-7に示した酸素添加量と成膜速度の関係から、成膜雰囲気中の酸素は成膜速度を低下

させる効果があることが推定される。そこでOESにより成膜中に発生する活性種の確認を行った。

Figure 3-2-14 にOESスペクトルの比較を示す。また250 nm~700 nmの範囲を拡大したスペクトル

をFig. 3-2-15 に示す。全体的な発光強度を比較すると成膜部に酸素を添加しない条件が最も発光 強度が強く、酸素添加量の増加に伴い発光強度が低下していくことが分かる。発光スペクトルで 確認できる主な発光種は、励起アルゴン原子(4p-4s遷移)に帰属される 600~900nmの範囲での 強い発光、400~600nmの範囲に見られるアセチレンからの炭素活性種(CHラジカル、C2ラジカ ル)、306 nmのOHラジカルであった。

これらのOESスペクトルから成膜部への酸素添加に伴うC2 ラジカルおよびOHラジカルの発光 強度変化を調べた。Figure 3-2-16に酸素添加流量とC2ラジカルの発光強度の関係を示す。酸素添 加量の増加に伴いC2ラジカルの発光強度は減少した。これは酸素のプラズマクエンチ効果[4,5]に よりAr励起種が消費され、これによりアルゴン励起種からアセチレンへのエネルギー供給が抑制 され、その結果としてC2ラジカルが減少したと考えられる。実際に,酸素添加量の増加に伴いア ルゴン活性種の発光強度も低下することがFig. 3-2-14からも分かる。この酸素添加によるC2ラジ カル減少の傾向から、酸素が成膜速度を低下させていると考えられる。Figure 3-2-17にC2ラジカ ル発光強度と成膜速度の関係を示す。C2ラジカル発光強度と成膜速度は正の線形関係を示してお り、今回行った大気圧低温プラズマによる成膜においてC2ラジカル量が成膜速度と強く関係があ ることを示している。

0 20000 40000 60000

300 400 500 600 700 800 900

Wave length (nm)

In te ns it y ( cp s)

0 20000 40000 60000

300 400 500 600 700 800 900

Wave length (nm)

In te ns it y ( c ps )

0 20000 40000 60000

300 400 500 600 700 800 900

Wave length (nm)

In te ns it y ( c ps )

0 20000 40000 60000

300 400 500 600 700 800 900

Wave length (nm)

In te ns it y (c ps )

Ar

Carbon (a) O

2

:none

(b) O

2

:0.1L/min

(c) O

2

:0.3L/min

(d) O

2

:0.5L/min

Fig. 3-2-14 Comparison of OES spectra in different flow rate of additive oxygen gas.

0 200 400 600 800

250 300 350 400 450 500 550 600 650 700 Wave length (nm)

In te ns it y ( cp s)

0 200 400 600 800 1000

250 300 350 400 450 500 550 600 650 700 Wave length (nm)

In te n si ty ( cp s)

0 100 200 300 400 500

250 300 350 400 450 500 550 600 650 700 Wave length (nm)

In te n si ty ( cp s)

0 100 200 300

250 300 350 400 450 500 550 600 650 700 Wave length (nm)

In te n si ty ( c ps )

C

2

(a) O

2

:none C

2

C

2

CH

(b) O

2

:0.1L/min OH

(c) O

2

:0.3L/min

(d) O

2

:0.5L/min

Fig. 3-2-15 Enlarged OES spectra in the range of 250-700nm.

0 100 200 300 400 500 600 700 800

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

Flow rate of additive O

2

(L/min)

In te n si ty o f C

2

( c ps )

Fig. 3-2-16 Variation in emission intensity of C2 radicals with flow rate of additive oxygen gas.

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

0 200 400 600 800 1000

Intensity of C

2

(cps)

D e po s it io n ra te ( μ m / m in )

Fig. 3-2-17 Relationship between emission intensity of C2 radicals and deposition rate.

一方で添加した酸素から発生するOHラジカル、酸素原子などの酸素活性種は成膜反応に寄与し てコーティング膜組成を変化させると考えられる。過去のFeiらの研究により、酸素を添加したプ ラズマにおいてOHラジカルが発生することが確認されている[4,5]。そこでOHラジカルとC2ラジ カルの発光強度比(OH/C2)とコーティング膜の酸素含有量の関係を調べた。その結果をFig. 3-2-18 に示す。膜中酸素含有量とOH/C2にリニアな相関が確認された。成膜部への酸素添加によってC-O、

C=O、COOといった炭素と酸素の結合が生じることで酸素含有量が増加すると考えられる。OH/C2

の増大がコーティング膜の酸素含有量増加につながっていることから、成膜部への酸素添加によ り生じたOHラジカルなどの酸素活性種と炭素活性種と反応して酸素含有量の多いコーティング 膜を生成したと言える。

0 10 20 30 40 50

0 0.1 0.2 0.3 0.4

OH/C

2

O xy g en e co n te n t (a t. %)

Fig. 3-2-18 Relationship between emission intensity ratio of OH radicals to C2 radicals (OH/C2) and oxygen content.